あらすじ
二十世紀の黄昏の、ある晩秋に起きた殺人。たわいもない筈のその事件には、一つ奇妙な謎が残されていた。私立ルピナス学園に通う吾魚彩子(あうおさいこ)は、かつてうっかり密室の謎を解いてしまったために、刑事である奇矯な姉に無理やり現場写真を見せられ、推理を強要される。なぜ犯人は殺人ののち、現場で冷えたピザを平らげたのか――(「冷えたピザはいかが」)。青薔薇の館に残された、鏡文字のルビ付きダイイング・メッセージ。死体から右手を切り取られた大女優。博学の少年・祀島(しじま)らと遭遇する不思議な事件の結末は? 少年少女が織りなす謎と論理のセッション。清冽な印象を残す佳品三編を収める。
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Posted by ブクログ
もともと少女小説のレーベルで出版していた作品を、作者自ら改稿した青春ミステリ。収められている3編は、古びているということはなく、それでいて津原さんのテイストが味わえる秀作ばかり。個人的には『ようこそ雪の館へ』が好みでした。また、『大女優の右手』には、尾崎翠の『瑠璃玉の耳輪』も出てきて、面白かったです。
Posted by ブクログ
全体的になんだか懐かしい空気で読んでいた。解説を読んで、なるほど中学の時に夢中だったコバルト文庫的だったんだ!
登場人物がとにかくいい。主役集団だけでなく、出てくる人々が楽しい。
とぼけた雰囲気の会話も楽しいし。数々の雑学。
化石探しとかやっちゃうかも。
「これまで見えていたものが見えなくなる喪失感と、これまで見えなかったものが見えてくる解放感、この相反する状態が同時に起こる幻惑的瞬間に立ち会う事、それこそ良質な推理小説を読む醍醐味なのだ」(解説より)
犯人が最初にわかっていてもとても楽しめた。
Posted by ブクログ
思ったより読んでる人が多いな。何かの本の裏に書かれてて借りた物。3つの短編集。ちょっと長めの。ティーンエイジャー向けにしてはちょっと難しいというか。少し昔の時代設定で、凜とした感じがする。元女子校、というのも影響してるのか。キャラはみんないい。やっぱり毒舌のキリエが一番好き。きりみたいだな。化石ばかりの祀島君も好き。登場人物紹介の京野摩耶のところ、「さして取り柄のない美少女」って摩耶は怒るべきだ。
2015.12.21
再読。この続編の感動を知っている私は、初回よりもとても楽しめたと思う。でもちょっとトリックが難しいよな。本格的で。ほんと、みんな大好きだ、と思う。これが津原やすみ時代に書いたものを手直ししたとは知らなんだ。