辻原登のレビュー一覧

  • 不意撃ち

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    人生には時折、予測不能な出来事がある。出会い頭の事故のような「不意撃ち」が、時として、人生の流れを大きく変えていく。そんな短編集。

    「渡鹿野」。デリヘル嬢のルミと、送迎ドライバーの左巴。顔見知りではあるが、店の決まりで特に話をしたこともなかった2人は、仕事中に遭遇したある事件がきっかけで連絡先を交換する。2人は徐々に、互いの過去や将来の夢を語り合うようになる。やがてルミは姿を消すが、しばらくして、お伊勢さん近くの島にいるとメールが来る。
    渡鹿野はかつて売春島として知られた地である。
    流れ流される男と女、風に舞って消える儚い縁。

    「仮面」。神戸に住む甲斐。かつて、神戸の震災の際にボランティア

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    2019年04月11日
  • 抱擁/この世でいちばん冴えたやりかた

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    ずいぶん以前に読んで好きだった『遊動亭円木』の辻原さんを久しぶりに読んでみようかと。
    ただ、私にとって辻原さんは当たり外れの大きな作家さん。で、これは「やや、外れ」という印象です。
    合本と言うのでしょうか、中編『抱擁』と短編集『この世でいちばん冴えたやりかた』(旧題『約束よ』)が1冊にまとめられた文庫本です。どちらも”この世ならぬ”という雰囲気と匂い立つようなエロティシズムがあり、また、文章的にも流石と思わせるのですが、ストーリーが私に合わないのでしょうね。
    ちなみに『抱擁』はヘンリー・ジェームスの『ぬじの回転』のパスティーシュ作品。二・二六事件を背景に侯爵邸の小間使いと5歳の令嬢・緑子の異様

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    2019年02月26日
  • 松尾芭蕉 おくのほそ道/与謝蕪村/小林一茶/とくとく歌仙

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    今回は俳句。
    松尾芭蕉・与謝蕪村・小林一茶
    芭蕉の奥の細道の句を初めて全部読みました。
    小林一茶の句がわかりやすく面白い
    露の世は露の世ながらさりながら

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    2017年11月22日
  • 家族写真

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    久しぶりに読む辻原さん。でもダメでした。
    表題作の「家族写真」は芥川賞授賞第一作。その他も「初期辻原ワールド」の不思議系の作品で、一旦廃刊になり随分高値がついたものを15年ぶりに文庫化したのだそうです。
    別に不思議系の作品が苦手な訳では無く、三崎作品など好きな私ですが、ダメでした。何が描きたかったのか理解でき無い。。。。
    玄人受けの作品なのでしょうか。

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    2016年11月12日
  • Yの木

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    ネタバレ

    短編集みたいです。
     たそがれ を読んで。なんか心に残るというか、心地よくなでられるような文章で、この作者すごいなって感じた。大阪環状線はよく利用していたので、よりリアルに情景が浮かんだ。静雄の黄昏はゆっくり過ぎていくのに対し、文乃の黄昏は一瞬で終わってしまう描写にぐっときました。
     首飾り 途中グレン・グールドが出てきてテンションあがりました(笑)音楽知識が足りないなぁと感じました。
     Yの木は読み切れませんでした。あぁ~

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    2016年07月22日
  • 東京大学で世界文学を学ぶ

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    著者の本は小説以外では書評「熱い読書 冷たい読書」「熊野でプルーストを読む」は読んだ。
    本書は、小説とは何かという講義を元にしたもの。

    まずゴーゴリと二葉亭四迷を語る講義。
    四迷に関しては関川夏央「二葉亭四迷の明治四十一年」を思い返した。「あひびき」の引用があり、国木田独歩の「武蔵野」への影響もより納得させられた。近代が風景をその心境を映す対象として発見したという言説は、橋本治「江戸にフランス革命を」にもあった。

    ドン・キホーテ
    子供の頃に読んだが、風車に挑んでいくクダリしか記憶がない。グレアム・グリーン、矢作俊彦のパスティーシュは読んだので、原作もそんなものだろうと思っていた。いや~、こ

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    2016年02月28日
  • 冬の旅

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    辻原さんの本だからと買ったけど正月に読む本じゃなかったな。

    大災害や周囲の狂気や欲望に躓き、転落し続ける主人公。主人公に不幸を齎した人間や主人公と同じく不幸だった人間の人生も語られる。

    毎日の新聞やテレビのニュースで知るように、こうした不幸は世に溢れている。僕はどうにか人並みの生活を送っているが、例えば職を失ったら、家庭が失われたら、どうなるだろう。街でホームレスの人を見ると、ふと、そんなことを思うこともある。

    違う終幕を予想していたんだが。
    求めても仏に遭えない世なのだろうか。
    救いのない話だった。辻原さんのペンの力に怖気てしまった。

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    2016年01月15日
  • Yの木

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    昭和な空気感の「たそがれ」。「首飾り」は、いいオトナでもこんななんだ〜と思い、「シンビン」は片岡義男風で、ラグビーがメジャーに浮上した今となってはここまで説明されなくても素人の私でもわかるよ、と思い。そして「Yの木」だが、ごめんなさい、なんだよこのしみったれた年寄りは、と情けなく思ってしまいました。

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    2015年11月24日
  • 闇の奥

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    小人族と1人の日本人を巡る世代を超えた冒険物語的なもの。
    ノンフィクションか、フィクションか、はっきりしていればもう少し楽しめた気もするのだけど、中途半端に毒カレー事件とか、数学者のナントカとか、物語に没入しづらかった。

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    2015年10月24日
  • 東京大学で世界文学を学ぶ

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    2014/10/29
    いま読んでる
    友達のフルート吹きにオススメされました。タイトルに「学」が3回も出て来るところが大事らしい。

    2014/11/20
    読み終わった
    講義を書き起こした本なので、講義を聞けばもっと臨場感あふれるものなのだと思う。ボヴァリー夫人を読みたくなった。あとドストエフスキーは20歳までに読めって、もうだめかなあ。

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    2014年11月20日
  • 家族写真

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    意外と変な話満載というか、虚ろな空気が立ち籠める中ぽつんと取り残されたり、さぁ謎解きがはじまったと思ったら、プ・チエン・ドゥ、ずるずると脱線、「谷間」の老婆の言葉に得も言われぬ空気に包まれたり、終始そわそわさせられる。「わが胸のマハトマ」も好いけれど、最後のふたつがユーモアをまぶした不条理系でちょっと可笑しい。何故かわからないけど、木下古栗さんを思い出した。

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    2013年10月02日
  • 闇の奥

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    太平洋戦争末期にボルネオで姿を消した民族学者の三上隆を四度にも渡り、捜索する友人達。三上が追い求めていたのは矮人族。友人達は三上を捜し出す事が出来るのか。

    ジョセフ・コンラッドの『闇の奥』に着想を得た作品という事なのだが、ジャングルに消えた三上隆はクルツというより南方熊楠のような人物に映った。この作品もコンラッドの『闇の奥』と同様、ジャングルを舞台に虚構と現実が混沌とした世界が展開して行くのだが、コンラッド『闇の奥』のような重苦しい暗さは感じない。コンラッドが描いた『闇の奥』ではクルツの心の闇にまで迫っており、善と悪の境が解らなくなるような妖しい雰囲気が展開するのだが、この作品では登場人物の

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    2013年08月20日
  • 東京大学で世界文学を学ぶ

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    ドン・キホーテ、やっぱり読むべきなのかもしれない。講義の内容はところどころ比喩に寄りかかりすぎな気もしたけれど、学生時代が遥か彼方となった私にとっても啓発的な本でした。しかし古い翻訳書の文意は実にわかりにくい。

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    2014年05月26日
  • 許されざる者 下

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    ネタバレ

    戦争に反対していた「毒取る」槇は、脚気に苦しむ兵士を助けるべく医者として戦地に赴く。
    そこには、脚気について誤った主張・治療をしなければならず苦悩する森林太郎(森鴎外)がいた。

    森宮に帰国後、槇はもとの生活にもどるが、
    そこでは社会主義運動が広がり始め、怪しげな空気に包まれていた。
    槇は、はからずもその騒動に巻き込まれてしまう。




    上巻を読み終えた後、本書の題材である「大逆事件」について少し調べてみました。
    槇のモデルとなった医師は、大逆事件で無実の罪で処刑されています。
    だからきっと、「この物語も悲しい結末をむかえるんだ」と身構えて読んでいました。
    しかし、最後まで読んでいくと、槇は

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    2013年03月29日
  • 抱擁

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    ネタバレ

    ちいさな女の子のみつめる世界の独特で不思議な空気感。
    最後の一文が発する謎に対する衝撃が、印象的で。
    魅力的だった。

    世話係の主人公と、ちいさなお嬢様の緑子。そして、ゆきの。

    閉鎖的で、依存しあったちいさな世界が、不安定で心地よく感じた。
    読んでいて少し、ねじの回転を思い出した。

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    2013年05月17日
  • 抱擁

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    なんだかよく分からない。薄い本だからすぐに読めるんだけれど、じゃあページ数がある小説だったらもうちょっと書き込まれて理解できたのかなあと思う一方、いやページ数増えても変わらないでしょって気もするし。舞台設定というか雰囲気は嫌いじゃないんだけどなあ・・・

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    2013年01月29日
  • 抱擁

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    ネタバレ

    雰囲気は好きです。お屋敷!小間使い!といったら内名あまりがまっさきに出てきてしまうのですが(笑)、より現実的というか、そういう感じはありました・・・序盤は。
    後半の展開は「お嬢様を独占したい自分」という点では非常に共感できるものだと思います。おんなのこはこういう感情に陥ったりしません? 
    そのわりに“ゆきのかもしれないなにか”について理解がおっつかなかった気がします。それが狙いなのでしょうが、読んでいる側からすればもうちょっと最後はスッキリしたいな、なんて・・・
    最後の一文も「??」が残ります。うぅん、読解力が足りないのかなぁ。読んだ人とこのオチについて語り合いたいです。雰囲気には惚れているか

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    2012年11月10日
  • 許されざる者 上

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    大逆事件を題材にしており、事件自体にも興味が湧いた。他に大谷探検隊や二楽荘に関してとか初めて知る事が多かった。小説としてはTHE純小説だった。

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    2012年11月04日
  • 父、断章

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    辻原登の半生を特に小説家になる前からなった後を掌編的に、父、母、自分、郷里の小説家の先輩を主役に纏めている。
    人生史でもないしあまり納得はしなかった。

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    2012年09月27日
  • 父、断章

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    辻原登の作品は、『村の名前』が芥川賞をとった時に読んだきりで、以来何年になるのだろう。でも作品世界の雰囲気は何となく覚えている。今回の作品集中の「天気」を読んで、それと雰囲気が似ていると思った。嫌いではない雰囲気なのに、何か物足りない感じがするのはなぜだろう。相性の問題だろうか。

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    2012年09月15日