辻原登のレビュー一覧

  • 陥穽 陸奥宗光の青春

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    大好きな幕末物で、大好きな坂本龍馬と高杉晋作がふんだんに出て来るので面白く読めたが、人や出来事を軸によく時間を遡るので、訳が分からなくなる時がある。しつこいと思う程出て来る場面もあるので、少々読みにくかった。ただ、陸奥宗光から見た幕末、明治維新、海援隊、薩長連合等々が見れたので新鮮だった。

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    2025年10月30日
  • 陥穽 陸奥宗光の青春

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    島崎藤村「夜明け前」を読んだ後に手に取り、一気読みした。実に読みやすい文体で、テーマも簡潔にして明瞭。面白かった。

    陸奥宗光の青春における「陥穽」とは。彼は頭脳明晰で才能豊か。先の先がよく見えていた。であるがゆえに、現実や周囲の人々をおきざりにしてしまった。頭脳と現実の間にある大きな隔たりの中に、彼は落ちたのである。

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    2025年03月02日
  • 枯葉の中の青い炎

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    短編6作、かなり自由な構成。
    寓話性が高い怪しい話があったり、実際の事件や人物に創作を絡めた語り口調の話があったりと多彩だが、手放しで楽しむにはあと一歩というところ。
    川端賞受賞の表題作は、野球と南方の魔術が絡む非常に独創的な話で、不思議な作品だった。

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    2024年09月23日
  • 寂しい丘で狩りをする

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    いろいろ調べていたら、この本を知ったので読んでみた。

    JTの女性社員が逆恨みで殺された実際の事件をモデルにした小説。

    実際の事件はひどい内容だった。被害に遭ったことを警察に通報し、自分が逮捕されたことを、被害者に裏切られた、と加害者が恨みを募らせて被害者は殺された。
    小説なので、実際の事件とは違って、被害者が加害者が出所したこと、自分が恨まれていて殺されそうということを知り、女探偵に調査を頼む。その探偵自身がストーカー被害を受けているという設定。
    なぜ女探偵は警察に通報しないのだろうか?と思った。不法侵入や傷害など実際に被害に遭っているのに。何か合理的な理由があるのかと思ったら、特になかっ

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    2024年06月08日
  • 村の名前

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    異国の地でどんどん調子が狂い、判断力も失われ、新境地に達したかと思えば、最後は現実に引き戻されて終わる。夢か現実か間なのか。不思議な感覚になる作品。

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    2023年10月13日
  • 卍どもえ

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    辻原登『卍どもえ』中公文庫。

    ロッキード事件、日航ジャンボ機墜落事件、オウム真理教事件、耐震偽装事件、五輪エンブレム盗用事件といった昭和から平成に掛けて起きた事件、映画や文学、ジャズをちりばめながら、瓜生甫とちづる、中子脩と毬子の二組の夫婦の奇妙な人生が描かれる。

    同時代を知る者なら面白いシチュエーションなのだが、如何せんメインのストーリーは余り面白いとは言えない。

    LGBTのLの世界がテーマなのか、二組の夫婦の出自がテーマなのか判然としないままにまるで騙されたかのように結末を迎えた。

    東京の青山にデザイン事務所を構える瓜生甫は妻のちづるを構うことが無くなり、仕事や趣味などで知り合った

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    2023年02月27日
  • 隠し女小春

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    ネタバレ

    アカデミックに知識人達を配し都会的に男女の交際を絡めてゆきながら、変態なのか狂人なのか手探りしながら読み進めてゆく。
    で、結局はファンタジーと思わせておいてのホラー小説…?
    分からないけれど何故か心に残る一冊。

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    2022年11月02日
  • 隠し女小春

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    出版社の知り合いが薦めてくれた本です。タウン情報や本、映画が満載なので、神保町とか好きなら、この本も好きかも、と教えてくれました。確かに街のディテール、サブカルチャーの破片があふれんばかりに埋め込まれていて、そのリアリティがラブドールが意志を持つ、という荒唐無稽な設定を現実に定着させている、と思いました。1980年の「なんとなく、クリスタル」が当時、知らない固有名詞で構築された時代気分のシンボル小説であったことから42年、今は日常に散りばめられた固有名詞で時代気分ファンタジーを成立させています。なにしろレオパレスなんて単語、小説で出会ったのは初めてです。没後30年、松本清張のような暗い昭和の情

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    2022年07月22日
  • 隠し女小春

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    久しぶりの大家作品に気負ってページ開くと主人公はラブドール…。SFホラー、それとも穴場紹介?あまりに突飛な設定に最初は戸惑うも、豊富に繰り出される蘊蓄マッタリ楽しんでいるうちに怒涛のラスト。辻原さん、551のブタまんまでカバーしているとは。この春、大津SAで食べたシューマイ懐かしい。

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    2022年07月12日
  • 隠し女小春

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    やはり人形は怖い。途中までのスピード感のなさを補って余りあるほどのラストに向けての怒涛の展開。
    「捨てないで、‥‥私を」と訴えかける小春のひたむきさが哀しい。主人公・矢野聡を取り巻く3人の女。誰も幸せにならない結末。矢野の身勝手さが際立つ終盤だけど、最後の最後で矢野を救って自ら火の中に戻っていく小春の愛が際立つ。

    小説としては、実在する街の説明や、カフェの情報、映画や小説の情報が詳細に描かれすぎて、その度に物語の流れが止まるような印象。その手の解説本ならいざ知らず、ちょっと邪魔だったかな〜。

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    2022年06月09日
  • 不意撃ち

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    2018年初版。5つの短編中編の作品です。著者の作品は初めて読みました。先ず感じるのが非常に文章力の優れた方だということ。偉そうですね。あなたは何者と言われそうですが。ミステリアスな内容のもの・エッセイに近いもの・内容が豊富です。生きていると不意撃ちとしか言いようのないことが起こるということ、再度実感しました。それと私的にではありますが、生きていると魔が刺すということもあると思っています。何が起こるかわからないのが人生だと思います。

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    2022年02月27日
  • 枯葉の中の青い炎

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    最初の話とかはなかなかだったんだけども、、後半になるにつれて、なんだかエッセイ風というか、昔の小説っぽい感じになっていく、気がする。いや、そういうわけじゃなくて、そういえば昔こんな話があって、、という日本昔ばなし的な感じか。
    スタルヒンとかユニオンズとか、へー、ってなるけど、なんかwikipediaを読んでるみたいな気分でね。なんだろうね。

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    2021年06月26日
  • 寂しい丘で狩りをする

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    過去の読書メモで高評価を付けた(籠のオウム、4.5)作家の探偵小説。正統派スタイルの作家らしく、主人公と犯人の二人が奇しくも同じ映画フィルムに関わる仕事をしているのだが、その辺りの描写(京橋のフィルムセンターとか、山中貞雄監督のサイレント映画とか)がとても詳しく安心してよんでいられる人である。
    3.5

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    2021年06月16日
  • 村の名前

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    ネタバレ

    舞台は桃源郷の名を持つ中国の山奥の村。主人公は商談のためにそこを訪れる。
    異国の景色や風習をその場で見ているような臨場感があり、ちょうどいい速度ですんなりと世界に入り込めた。
    現地の人々にミステリアスに絡めとられていく主人公を見ていると心許ない気持ちになる。この人は現実に戻れるだろうか。本当に浦島太郎のようになってしまいそうだ。
    捕まえたと思ったそばから逃げられる朧げな夢を見ているような物語だった。

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    2021年04月28日
  • 抱擁

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    ネタバレ

    2.26事件直後の昭和の時代。

    侯爵の屋敷で5歳の娘の小間使いとして働くことになったわたし。

    少女と一緒に生活するにつれて感じるようになる、見えないなにか。
    自分の前任だったゆきのさんに関わる話。

    姿のないなにかによって少女が次第に現実から遠ざかってしまうと感じたわたしは
    彼女の身を守るために、自分の立場を犠牲にしてでも行動を起こしたこと。

    少女に取り憑いていたと思われていたなにかは
    実はわたし自身に取り憑いていたのかもしれない。

    最後が意味深で、結局真相は読み手側に委ねられている〜。
    不気味故の後味なのか。もっとすっきりしたい。

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    2020年03月05日
  • 東京大学で世界文学を学ぶ

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    ネタバレ

    第5講義 燃えつきる小説 近代の三大小説を読む1 セルバンテス『ドン・キホーテ』
    ドン・キホーテとキリスト教信者を同一とする分析は面白い。
    何故、ドン・キホーテに偽ドン・キホーテに会わすと文学が破滅するのか、わからなかった。

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    2020年03月22日
  • 籠の鸚鵡(新潮文庫)

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    帯より「誘う女とワル3人、最期に誰が笑うのか?」
    ワル3人とは、あの3人か
    4人のお話なのね
    やくざの抗争がありつつ、個人間のだましあい
    そこに女が絡み、なお話でした

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    2019年12月09日
  • 東大で文学を学ぶ ドストエフスキーから谷崎潤一郎へ

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    芥川賞や紫綬褒章を受賞(章)している一流小説家の東大での講義録。「近代小説とはなんぞや」ということを大テーマに、ドストエフスキーの『罪と罰』や、『源氏物語』、谷崎潤一郎の『夢の浮橋』などを取り上げ、著者独自の分析を試みている。
    なかなか難解な内容で、「ほんまかいな」と思うような解釈もあったりしたが、小説家が小説を分析するというのは面白い試みだと感じた。最後に、東大生の本授業を要約したレポートが16篇収録されているが、同じ授業を要約しているのに、それぞれに個性があり、かつ、本質を突いている内容で、東大生の知性が垣間見えて興味深かった。

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    2019年08月14日
  • 籠の鸚鵡(新潮文庫)

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    昭和50年代の和歌山。
    1人のコケティッシュな女がいる。
    この女に群がる3人の男がいる。
    1人は不動産屋。1人はヤクザ。1人は町役場の出納室長。
    時代はバブル期を目前にし、国際空港の建設に沸く。山口組分裂に伴う、いわゆる「山一抗争」で血みどろの戦いが展開されていた頃でもある。

    女は元々、長崎の浦上出身である。流れ流れて和歌山に来た。
    女はまず、不動産屋と結婚し、一女をもうける。元々ホステスだった女は、不動産屋が悪行で手にした大金を元手に、自身の小さなバーを持つ。ここに客として訪れたヤクザが女に横恋慕し、不動産屋から彼女を奪い取る。バーの客に役場の出納室長がいることを知ったヤクザは、女を唆して

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    2019年07月08日
  • 不意撃ち

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    どの話もフワフワと不思議を感じながら読み進めていると、最後に不意撃ちをくらう(^^;)最後の「月も隅なきは」が私好み(^^)

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    2019年05月22日