【感想・ネタバレ】東大で文学を学ぶ ドストエフスキーから谷崎潤一郎へのレビュー

あらすじ

いま最も脂がのっている小説家が、東大生150人を前に、14回にわたって、挑発的、刺激的、縦横無尽に、世界文学、日本文学を語りつくした名講義。
小説の起源を古代中国の歴史と志怪・伝奇にまでさかのぼって見極め、翻って、横光利一「純粋小説論」、小林秀雄「私小説論」、柳田國男「山の人生」からドストエフスキーの小説の重要な場面に必ず差し込む斜めの光を発見する。斜光はいったいどこから来るのか、そして何を照らし出すのか? われわれは斜光に導かれて、フロイトの「家族小説」へ、そして『源氏物語』へ、さらに谷崎潤一郎へとたどり着く……。
学生には全講義の要約がレポートとして課せられた。そのレポート16本を収録する。

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Posted by ブクログ

小説とは何か、文学とは何かと今までに問われ答えに窮していたが、この本のおかげで少しは答えられるようになったと思う。名作の名作たる所以はそのオリジナリティにあるのではなく、古典から脈々と受け継がれる人間の内面の物語、筋書きのパスティーシュの巧みさにあるのだ。

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2017年05月01日

Posted by ブクログ

谷崎はどうしても好きになれないんだけど,こういう解釈を聞くと,読んでみようかと思う.
何よりすごいと思ったのは,巻末の東大生のレポート.

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2021年06月11日

Posted by ブクログ

『東大で文学を学ぶ』
辻原登

……小説の中から何かを教えてもらうとか、教訓を得ようとか、そういうことをしてもほとんど意味がありません。……小説は、われわれの見る夢である。たとえそれが現実と似ていても夢である。……ですから、小説というものは頭で読んでもわからない。背筋で読む。(p78)

 小説に意味を求めない。頭で理解しようとしない。背筋、それはプロットとも考えられる。夢を見る器官と同じところで小説は読むということ。

 ここで、『古事記』を『旧約』に、『源氏』を『新約』になぞらえてみるのも面白い。(p225)

 はっとさせられる。なるほど。

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2015年01月04日

Posted by ブクログ

芥川賞や紫綬褒章を受賞(章)している一流小説家の東大での講義録。「近代小説とはなんぞや」ということを大テーマに、ドストエフスキーの『罪と罰』や、『源氏物語』、谷崎潤一郎の『夢の浮橋』などを取り上げ、著者独自の分析を試みている。
なかなか難解な内容で、「ほんまかいな」と思うような解釈もあったりしたが、小説家が小説を分析するというのは面白い試みだと感じた。最後に、東大生の本授業を要約したレポートが16篇収録されているが、同じ授業を要約しているのに、それぞれに個性があり、かつ、本質を突いている内容で、東大生の知性が垣間見えて興味深かった。

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2019年08月14日

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