あらすじ
老いた名投手の悲願を叶えるため、災いが襲うことを承知で呪術を使う男の話「枯葉の中の青い炎」。一カ月だけ愛人と同棲したい、という夫の望みを聞き入れる妻が妖しい「ちょっと歪んだわたしのブローチ」。奇妙な匂いに誘われて妻の妹をレイプしてしまった男のモノローグ「水いらず」など、濃密な味わいを持つ六つの物語。
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Posted by ブクログ
人気なさそうですが(笑)、本屋で何気なく目に付いたので購入。個人的にサイコーです。買ってよかった!!
現実的にはまったくありえないだろう話と、事実と虚構が融合した話と2タイプに分けられます。
前者はその非現実性によって、かえって常識的想像をよせつけないまったき一つの空間を創出しています。後者はスタルヒンと中島敦がつながったり、リルケと凶悪な銀行強盗犯がつながったり、でも、強引さのかけらもなく、虚構が冷たい事実に溶け込んで生命を吹き込むような感覚です。
つまり、どちらもそれぞれの作品の中において、確固たる真実性をもっているのです。
ありえない! 意味わかんない! なんて言わないで、小説のもつ無限の広さの中にじっくり浸ってみてください。
Posted by ブクログ
芥川賞作家辻原登の、表題作を含む6編の短編集。
独特の(作品の題名にもあるように)ちょっと歪んだ世界が丹念な描写によって描かれており、読み終わった後はしばらくぼーっとしてしまう。
私としては特に最初の「ちょっと歪んだわたしのブローチ」と、最後の「枯葉の中の青い炎」が良かった。
読書家としての作者の姿が垣間見える秀作。
Posted by ブクログ
短編6作、かなり自由な構成。
寓話性が高い怪しい話があったり、実際の事件や人物に創作を絡めた語り口調の話があったりと多彩だが、手放しで楽しむにはあと一歩というところ。
川端賞受賞の表題作は、野球と南方の魔術が絡む非常に独創的な話で、不思議な作品だった。
Posted by ブクログ
最初の話とかはなかなかだったんだけども、、後半になるにつれて、なんだかエッセイ風というか、昔の小説っぽい感じになっていく、気がする。いや、そういうわけじゃなくて、そういえば昔こんな話があって、、という日本昔ばなし的な感じか。
スタルヒンとかユニオンズとか、へー、ってなるけど、なんかwikipediaを読んでるみたいな気分でね。なんだろうね。
Posted by ブクログ
「ちょっと歪んだわたしのブローチ」
「水いらず」
「日付のある物語」
「ザーサイの甕」
「野球王」
「枯葉の中の青い炎」
の短編6編。
短編なのに、なにこの重厚感。
いろんなものがつまってる感じです。
個人的にはツシタラと呼ばれる不思議な語り部が語る「枯葉の中の青い炎」がGOODでした。
Posted by ブクログ
○2010/07/10
中古屋にて長いタイトルが気になって、短編集だっていうことで購入。面白いものもあったけど、で、これはどいう言いたいの?っていうのが。
不思議な話というか度を越した狂気と言うか、最後まで読んでみると一番しっくりくるテーマは”奇憚”だろうか。そういう話書くぞーって意気込んだはいいけど最終的に話の意思のほうが強くなってしまった印象。
想像してたのと違って、っていうのとはまた違うんだけど、雰囲気からすると期待ほど奮わなかったなと。でも一番最初の”ちょっと歪んだわたしのブローチ”が面白かった。何か似たような話を読んだ気がするのは後か先か…。