辻原登のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
初読みの作家さん。
芥川賞、谷崎潤一郎賞など受賞されてる方。
何かで紹介されてるのを見て購入。
聡は出版社で校閲の仕事をする独身男性。
彼は密かにハンガリー製のラブドールを購入し、小春と名付けて毎夜弄び、話しかけ、これが精神衛生上とても良いと考える。
バーを営む千賀子とは定期的に会う。
千賀子はバーに現れた男が過去の秘密をネタに脅されている。
恭子は、一度見かけただけの聡に執着して彼を眺めることのできるマンションに引っ越し、双眼鏡で半年以上も観察し続ける。
正直言ってちょっとずつ変な人ばかりの物語で、文学や映画の蘊蓄もいっぱい出てくるけれど、どういうストーリーなんだろう...と思いながら読んでいた。
が、後半、急激におかしなことになっていく。
終盤、怖いけれどページを捲るスピードが上がります。
淡々とした文章で読みやすかった。
予想以上の怖さで楽しめました。 -
Posted by ブクログ
舞台は1903年、紀州の新宮(本書では”森宮”と表記)の地においてアメリカ・インドで研究を積んで地元に貢献する医師として活躍しつつ、そのリベラルな政治姿勢から影響力を発揮する槙隆光という人物を主人公に、日露戦争開戦や鉄道の敷設など、様々な歴史の中で活きる人々の姿を描く長編小説。
主人公のモデルは、幸徳秋水らと共に処刑された大石誠之助という実在の人物である。実際、幸徳秋水自身も、新宮で講演に招聘されるというエピソードが本書では綴られ、幸徳秋水をマークする地元警察との緊張感溢れるやり取りなどは強く印象に残る。
総じて、新宮という決して日本の政治・文化的な中心から距離のある街において、日本が帝国主義へ強く傾いていく日露戦争の時期の世相を追体験できるかのような面白さに満ち溢れており、辻原登の優れたストーリーテリングの才能もあり、全く上下巻、飽きさせない流れを楽しめる。
個人的には、主人公の槙がアメリカ留学中に知り合ったジャック・ロンドンと、日露戦争への従軍医師として赴任した中国の地で再開する、というエピソードもあり、驚くと同時にロンドン愛好者として非常に印象的。 -
Posted by ブクログ
舞台は1903年、紀州の新宮(本書では”森宮”と表記)の地においてアメリカ・インドで研究を積んで地元に貢献する医師として活躍しつつ、そのリベラルな政治姿勢から影響力を発揮する槙隆光という人物を主人公に、日露戦争開戦や鉄道の敷設など、様々な歴史の中で活きる人々の姿を描く長編小説。
主人公のモデルは、幸徳秋水らと共に処刑された大石誠之助という実在の人物である。実際、幸徳秋水自身も、新宮で講演に招聘されるというエピソードが本書では綴られ、幸徳秋水をマークする地元警察との緊張感溢れるやり取りなどは強く印象に残る。
総じて、新宮という決して日本の政治・文化的な中心から距離のある街において、日本が帝国主義へ強く傾いていく日露戦争の時期の世相を追体験できるかのような面白さに満ち溢れており、辻原登の優れたストーリーテリングの才能もあり、全く上下巻、飽きさせない流れを楽しめる。
個人的には、主人公の槙がアメリカ留学中に知り合ったジャック・ロンドンと、日露戦争への従軍医師として赴任した中国の地で再開する、というエピソードもあり、驚くと同時にロンドン愛好者として非常に印象的。 -
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辻原登は1945年和歌山県生まれ。1990年に芥川賞を受賞しているが、良い意味でマイナーポエットとでも言うか、作品が玄人好みであるというか、これまで不勉強に全く知らない作家であった。とある本で大絶賛されていたことから本書を手に取ったのだが、「なぜこんなに素晴らしい作品を書く作家を今まで知らなったのだろう」と反省するくらいに心を揺さぶられた。
1人の男がとある事件を起こして5年の刑期を終え滋賀の刑務所を出所する場面から物語は始まる。既に老いた母親はこの間に亡くなっており、単身の主人公は一人、滋賀からかつて暮らした大阪へと電車で向かう。大阪にたどり着いてからの出来事とかつての回想場面が交互していく。既に大阪の街も大きく変わり、結果として寄るべきなき主人公は、和歌山のとある村への孤独な”冬の旅”を続けていく。
リアリズム小説と思いきや、”冬の旅”の最後を巡る場面では反リアリズムな世界観であり一瞬たじろぐも、改めて読みかえすとこの反リアリズムさは冒頭からの伏線があることに気づく。
非常に重苦しいテーマでありながらも深く心を打つのは、日本近代文学の系譜とでもいうべき失われた何かがここには確実に表現されている、という点にもあるだろう。これを機に、著者の他作品を探索しているところである。 -
Posted by ブクログ
初読みの著作。1990年に「村の名前」で芥川賞、1999年に「翔べ麒麟」で読売文学賞、その他の作品では谷崎潤一郎賞や川端康成文学賞や大佛次郎賞等々受賞されている。
先日「卍どもえ」と言う本を見かけて気になっていたのが、この著者だった偶然。これは表題作+短編3作を収めた作品で、まぁ芥川賞だなと。
最初の「たそがれ」では弟の感情に移入。他人がする親族の話に対する不快感。読者には分かる姉の嘘と仕事。「首飾り」では疚しくないのに帰国後の妻の発言にドキリ。誤解ってどこまで解けるものなのか。「シンビン」の強かな女性がラグビー観戦。
まぁ全編不思議な感情になる。先日Twitterでこんな呟きを見た。「本が好きな人は2種類に分かれる。物語が好きな人と、言葉が好きな人に」納得。私は前者だなと実感。芥川賞受賞作は言葉が好きな人に寄って読まないと楽しめないな。直木賞は物語が好きな人向きか。 -
Posted by ブクログ
近代文学のおおよその流れが分かって面白かった。著者の言うように「19世紀の文学」にどっぷりはまってみたい気分になった。但し、作家になる気はないので全集は読む気はないが・・・
小説や物語を分析的に読むのは、あまり好きではなく、読んでて面白ければそれでいいと思っていたが、やはり、色々お勉強してた方が、より深い理解もできるだろうし、より楽しめるでしょう。
それにしても、名作と言われる物のかなりの作品が恋愛物で、不倫、三角関係いわゆるドロドロした何でもアリの男女関係を扱っているのに今更ながら驚きました。世の中も人間もそんなには変わってないと言う事なのでしょうか。