加島祥造のレビュー一覧
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ネタバレ故人からの依頼を受けて、ポアロが捜査に乗り出す。
老婦人が亡くなり、遺産はすべて付添い人に渡った。亡くなる直前に変更された遺言状によって、親族たちは遺産を受け取ることができなかった。ポアロが受け取った手紙は、その老婦人が亡くなる前に書かれて、それから二ヶ月も経って届いた。興味を持ったポアロはヘイスティングスを連れて、聞き込みを始める——。
犯人そっちか。ドクターの方が怪しいと思っていた。ヘイスティングスと一緒に何もわからない人としてポアロの推理に感嘆する楽しさ。人から聞いた話で、少しずつ光を当てる部分が違うのを、確信できる事実だけに絞っていくポアロ。その過程で登場人物たちの豊かな個性に引っ張られてぐんぐんと読み進められる。幕引きまで鮮やか。最後に犬を引き取るポアロとヘイスティングスの描写が幕引きとしてとてもよかった。 -
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ネタバレ面白かった。ただ、ボーバリー夫人のメイドが、マダムジゼルの娘というのは突拍子で、出来すぎた話に見えた。完璧に話を理解しているわけではないが、ジゼルの娘がすぐに死んでしまうというストーリーを作り上げるのに、そこまで必要な要素だったのだろうか。ノーマンは、ジゼルの娘と出会い、そして、ホーバリー夫人とジゼルのつながりを知って、殺人を企てたらしいが、実の母娘が、双方が知らないうちに関わり合うというのが自分は、引っかかるのだろう。まあフィクションだしいいか。
確かに、変装をするというのは、あまり考えていなかったが、現実的に考えれば、乗務員しかジゼルを直接的には殺せないはずである。アガサクリスティの作品は、現実的でアナログな部分にオチが持っていかれるのが心地いい。「人は、無意識のうちに、自分を曝け出したくなる」、「動機があって、行動する」というのは、まさにその通りだと思った。いつも通り、ポワロの冷静で、論理的で、それでいて人間の情への鋭い観察力はみもの。自分が1番好きなのは、そのキャラクター性なのだと思った。 -
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ネタバレ悪評で有名なシャイタナのパーティに招待されたポアロ。そこにはシャイタナのほかにポアロ含め8人の人間が招待されており、彼らは2組に分かれてブリッジをすることに。その最中、シャイタナが何者かに刺殺された。部屋には誰も出入りしておらず、そこにいたのはポアロとは別の組の4人のみ。シャイタナには人の弱みを握り悦に入るという悪趣味があり、どうやら4人には後ろ暗い過去があったらしい。ポアロたちは4人の過去を調べるとともに、ブリッジの手法や得点表から彼らの心理分析を行なっていく。
そうしていくうちに、ロリマー夫人が罪を自白する。だが犯罪の性質的に彼女が犯人ではないことを見抜いたポアロは、彼女がアン・メレディスを庇っていることを知る。ブリッジの最中にたまたまアンがシャイタナを殺すところを目撃したロリマー夫人は、自身が病気で余命いくばくもないこともあり、未来あるアンを庇ったのだった。直後にロリマー夫人は睡眠薬を服用して命を断つが、それはドクター・ロバーツの計略だった。アンがシャイタナに近づいたとき、シャイタナはロバーツによりすでに殺されており、アンは宝石を盗もうとしていただけだったのだ。だがアンはアンで自分の利益のためなら平気で人を殺す人間で、最後は親友のローダを殺そうとした結果自身が死ぬことになる。4人の容疑者のうち唯一デスパード少佐のみがローダと結ばれハッピーエンドを迎える。
ブリッジの最中に殺人が起きる、容疑者の4人にはともに後ろ暗い過去がある、など設定が奇抜かつ魅力的。さらに探偵側はポアロのほかバトル警視、レイス大佐、(クリスティーを投影していると言われる)オリヴァ夫人と濃いメンツが揃っている。その分、ポアロの印象がやや薄まってしまっていると言えなくもない。ブリッジのルールがわからずとも問題ないのはある意味フェアだが、基本的には物証ではなく心理面での推理がメインになっているため犯人当てはかなり難しいと思われる。
●見どころ
・大量のストッキングを購入して不審者扱いされるポアロ -
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ネタバレ海外ものは名前や人物関係を把握するのに
いつも手こずるので、
今回からノートに相関図、時系列をまとめながら読んだ。
いつ誰に何ができたのか、こいつは周りからどんなやつだと思われているのか。
結果、みごとに犯人が…
全くはずれていた。
またやられた。
クリスティは人物への思い込みを利用するのがほんとに上手い。
だから、今回も見えてる通りの人物像とはみんなちがうんだろう、と実はロウスンがすっごい策士で演技してるんじゃないか!?とか思ってたのに。
全然ちゃうかった。
驚きとかトリックだとかはクリスティの
他作品より薄いが、終始コメディぽい軽快なやりとりが楽しい作品。ボブがいいスパイスになっている。
ちなみに相関図に書くために調べたら、ボブは表紙の犬とは全然ちがう感じの犬種だった。
今回、読んでてポアロが「事実と解釈」だとか「推察と考察」だとかを非常に意識して線引いてることに目が行った。やっぱり賢い人は気をつけてんだな。
最近、物事に対する自分の解釈だとか無意識の色眼鏡を疑ってかかんなきゃだめだなって反省してたから、参考になっちゃった。
「〝彼の話では〟とか〝彼女の話では〟といった推理は、愚の骨頂ですよ」とポアロは言った。「なんの意味もない。それは本当の話かもしれないし、あるいは〝嘘も方便〟のつくり話かもしれない。いずれにしてもわたしは事実だけしか取り扱わないことにしている」
「あらゆる人が少しずつ異った角度から彼女を眺めていたことになる。」
「この人たちをわれわれ自身の目で観察することです」
「その人から受けた印象だけを頼りにしたら、非常に危険だということ。感じや印象は第二にして事実をもととしなければ……」
「ヘイスティングズ。わたしは思うなんてことは、自分自身に対して絶対に許さない主義なんだよ。つまり推察するってことはしないんだね。ただ、いまのところある種の考察はしてますが……」
「原因と結果だよ。原因と結果」
肝に銘じます、ポアロさん。 -
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2作目のポアロ作品。3.3。
場面的状況を主に、誰が怪しいかを一つずつ憶測のもとに追い詰めていくポアロの推理力と自尊心がすごい。
物的証拠からは勿論のこと、誰がこの状況で罷り通らない嘘の証言をしているのかとの洞察力というか、合理的というか、事実を縫合させて事件を解決に導く手腕がすごい。
時として、犯人になりますよ、と暗に揺することで重複した事件の一つを自供させる持っていき方の強引さもポアロの魅力の一つなのかもしれない。
本人は真実のみが必要であり趣向、明かされた真実の後の犯人の動向を気にしないので、まだ著者2作目だが、ポアロの紳士さの裏にある冷徹さが癖になる。 -
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ネタバレ歯医者行きたくないよ…のポアロが可愛いです。
いきなり口調が変わるのは、翻訳する上で仕方ないのかもしれませんが、今作は余計に混乱しました。丁寧な話し方から、『あんた、安心していいよ、…』に変わったり、「今ポアロが喋ってるんだよね⁈」と、文章を二度見したり、遡ったりしていたら時間がかかってしまいました。
権力を持つと保身に走るのは、いつの時代でもどの物語でも同じですね。
『私のたずさわっているのは自分の命を他人から奪われない、という権利を持っている個々の人間に関することです』というポアロの台詞、他の作品でもきちんと彼の中でぶれない軸として生きているのだろうな…と感動でした。オリエント急行の結末等を思い返すと、共通して国だの権力ではなく、人の尊厳を重く見ていることが分かって、嬉しく思います。 -
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ネタバレ1935年のポアロ中期作。『ABC殺人事件』の前なのか。日本では『ドグラ・マグラ』が発表された年だと思うと、意外と我が国のミステリーも先進性があるというか本国イギリスに健闘しているな。
【ネタバレのようなものあり】
列車内では飽き足らなくなったのか、遂には天空で殺人事件が起こる。メイントリックはその綱渡り的な面も含めて実にホンカクミがあって好感が持てた。吹き矢とハチのアイデアはミスリードとして十分に機能している。
ただ人物関係でよくやるアレは流石に食傷ぎみだ。いくら当時の戸籍制度・身分制度・捜査手法が杜撰でも、流石にこれを見逃すことはないだろうと思う。『オリエント急行』と同じように、捜査編もかなり退屈。
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ネタバレ全く知らなかったがオールスター編だったのか。普通に容疑者4人以外のレイス大佐とか疑ってたぞこっちは。初耳のブリッジはクリスティーオリジナルゲームかと思ってた。面白そうなのになんで日本で浸透してないんだろう。2vs2のゲームで1人休憩てよくわからんな。
他の方もおっしゃっているように、ゲームから容疑者の心理や性格を分析するスタイルは『カナリヤ殺人事件』や『心理試験』を想起させるが、それ一辺倒にはならず、容疑者4人の過去の犯罪にも焦点を当てている分、説得力があると思う。後ろめたい過去のある4人の容疑者をポアロが聴取で追い詰めていく展開も高度な騙し合いとなっている。フェミニストの推理作家はやや浮いた道化として描かれているので、完全に投影しているわけではないのだろうが、推理作家の苦労やポリシーが伝わってきて楽しい。
ブリッジ知らなくても結構面白い。ブリッジ自体も多分ポーカーより面白い。 -
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ネタバレ注:内容に触れています
読んだのは、『鈍色幻視行』の舞台がクルーズ船だったので。
クルーズ船が舞台と言ったらコレだろー!、みたいな感じで読み始めた(^^ゞ
クリスティーはそこそこ読んでいると思うけど、『ナイルに死す』を読むのは初めて。
というのも、自分はポアロものよりは、マープルもの。マープルものよりは、ノンシリーズが好きだからだ。
というか、いわゆる「名探偵」ってヤツが、なぁ〜んか好きじゃない(爆)
『ナイルに死す』は世間ではクリスティーの傑作ということになっているけど、今回読んでみて思ったのは、「そうかぁ〜?」みたいな感じ(^^ゞ
いや、面白いのは面白いし。
華麗なる美女であるリネットから始まって、めくるめくように登場人物が次から次へと出てきて。
ちょっとまどろっこしくも感じるw、冒頭の人物紹介が進むにしたがって、ジワリジワリと物語が進み出す感じもいい。
ただ、殺人が起こって以降が、ミョーに地味に感じちゃうのは自分だけ?(^^ゞ
殺人以降はエジプトテイスト、ほとんどゼロだしw
なにより、初めの方で出てきた会話がそのまま犯人で。
もちろん、「それ、違うからね」と読者を惑わす展開は出てくるんだけどさ。
でも、結局、犯人が犯人w
それ、最初の方に書いてあったよねー、みたいな(爆)
犯人たちが事件を起こすこととなる動機のメロドラマの部分とミステリーの要素が、クリスティーにしては珍しくビミョーに噛み合ってない。
その二つの混ざり合うことで面白さが何倍にもなるはずが、たんなる足し算に終わっちゃった感じ。
個人的には、リネットはヒロインとして、最後まで生かしておいて。
その上で、リネットの周りで別の事件が起きる展開の方がよかったんじゃないかな?って思った。
★3つは、「名作!」と聞かされていたわりに「ミステリー」の展開がイマイチだったから(^^ゞ
ミステリー小説の良し悪しは、「ミステリー」の要素と「メロドラマ」の要素のバランス加減だと思う。
これは、「ミステリー」がちょっと弱めかな?