加島祥造のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレはっきりいって今までのクリスティー作品の中でダントツで面白かった。親友に婚約者を奪われた哀れな女性の行く末に心を揺さぶられた。無限に拡散していく人物相関はどこに着地するのだろう?ととにかく夢中になって読んだ。まだ著作を5分の1も読めていない私だが、読んだことない方にクリスティーのおすすめを聞かれたら現時点では真っ先にこれをお勧めすると思う。
【ネタバレ強め】【シリーズ過去作ついても触れるので注意】
肝心な時に限ってピタリと当ててしまった。当てたくなかった。なぜ当てられたかというと同シリーズの過去作にほぼ同じと言ってもいい犯人の設定と動機があるからだ。どうしてもその作品の使い回しという印象が拭えない。緻密に計画した犯行のはずなのに、あの(5分の空白)には確定的な要素がないとも思う。確かに過去作品よりは、経緯が詳細に描写される分、真相は効果的に映るし、ロマンスとしてもビターなエンディングも好みだ。過去作品さえ読まずに本作だけをつまみ食いしていたら、他の名作に並ぶ評価だったのが悔やまれる。でも、本作の持つ魔力に惹かれて、必ずいつか再読してしまうと確信している。
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Posted by ブクログ
ネタバレ悲しい結末だった。きっとジャクリーヌはお金がなくてもサイモンのことを愛していたと思う。でもサイモンはジャクリーヌを愛していたからこそ、2人で何不自由なく暮らせて自分の趣味に興じられるお金が欲しかった。
そして美貌も頭脳も財産も有するリネットは、おそらく欲しいものを何不自由なく手に入れてきたからこそ、『欲しいもの』となった親友・ジャクリーヌの恋人であるサイモンを奪うことに特に大きな抵抗がなかったのだろう。自分本位で動いてきたからこそ、最後は2人の画策に気付かず殺されてしまったとあり、なんともいえない気持ちになる。
ポアロは名探偵でありながら洞察力に優れ、何を赦して何を裁くかを自分自身で決めている。罪を犯した人をすべて『罪人』にせず、正当な理由や自分が最善だと思った時に救済のチャンスを与える。そこが『事件を解決に導いた正義のヒーロー』でありながら『一個人』という感じで最高!
アガサ・クリスティのシリーズものは、番号が若いものから読まないと過去作のネタバレを食らうことがあるということは覚えておく必要があるだろう。 -
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アメリカの作家エド・マクベインの長篇ミステリ作品『死が二人を 87分署シリーズ(原題:'Til Death)』を読みました。
ここのところ、アメリカの作家の作品が続いています。
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警察に日曜日はない。
その日もキャレラは妹の花婿となるトミイの電話でたたき起された。
出掛けていった彼がトミイの自宅で見たものは、なんと小箱にうずくまる猛毒の黒後家蜘蛛だった!
晴れの結婚式の当日に次々と起る忌わしい事件をセミドキュメンタルなタッチで描くシリーズの逸品。
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1959年(昭和34年)に刊行された、87分署シリーズの第9作です。
警察に日曜日はない……初夏のさわやかな微風も明るい陽ざしも、一旦緩急あれば刑事にはもどかしいばかりだ、、、
妹アンジェラ・キャレラの結婚式当日も、キャレラはその花婿となるトミイ・ジョルダーノに電話でたたき起こされた……彼の家を至急訪れたキャレラがそこで見たものは、なんと、小箱にうずくまる猛毒の黒後家蜘蛛だった! しかも、”花婿に”とのカードまで添えられて……。
晴れの日に起きた忌わしい事件をセミドキュメント・タッチで描くシリーズの逸品。
キャレラの妹アンジェラの結婚式で巻き起こる騒動と殺人事件を描いた物語……花婿のトミイへの脅迫と思える黒後家蜘蛛の入った小包が届き、その後もトミイを狙ったと思しい怪事件が次々と起きます、、、
キャレラは、同僚で非番だったコットン・ホースとバート・クリングに頼み込み、参列者として紛れ込ませて警護に当たらせ、トミイを恨む元戦友マーティ・ソコーレンの捜査をマイヤー・マイヤーに頼む……結婚式は無事に終わるのか? 殺人事件や傷害事件が発生するし、トミイがライフルで狙われたり、危うく新郎新婦が毒殺されそうにもなるのですが、ドタバタ劇的な展開やユーモアのある叙述の影響で、深刻さは感じられず愉しく読めました。
キャレラの妻ティディが双子を無事に出産するハッピーなエンディングも良かったですね……面白かったです、、、
次も87分署シリーズを読もうと思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレミステリー小説に興味を持ち始めたとき、「アガサ・クリスティは外せない」と友人にすすめられて手に取ったのが『ナイルに死す』でした。
舞台はナイル川を巡る豪華な旅。美しい景色に囲まれながら進んでいくミステリーという設定に惹かれ、読み始めました。
最初は登場人物が多くて少し戸惑いましたが、それぞれの人物が物語に重要な役割を持っていることが少しずつ分かってきて、読み進めるうちにどんどん引き込まれていきました。
物語の中心にいるのは、すべてを持っているように見える女性リネット・リッジウェイ。彼女を取り巻く人間関係の緊張感や嫉妬、憎しみが、まるで静かな水面の下に隠れていた感情が一気に噴き出すように描かれていて、ページをめくる手が止まりませんでした。
殺人事件が起きてからは、一気に空気が変わり、エルキュール・ポアロの冷静で鋭い推理が光ります。ただ真相が明らかになるだけでなく、「人はなぜ人を憎むのか」「愛は時に破壊的になりうるのか」といった深いテーマも感じられて、読み終えたあとも心に余韻が残りました。
最後の真相には驚きと同時に、どこか切なさもあり、ただのミステリーにとどまらない作品だと実感しました。
クリスティ作品の面白さを知るきっかけとなった一冊です。 -
購入済み
面白かった
面白かった。
かなりはっきりとしたヒントが示されていたのに
気づけなかった。
作者がうまいのか、私がヘボなのか。
まぁ両方か。
次に読む本こそは謎を解いて見せるぞ。 -
Posted by ブクログ
かなりひどいことが起きているのに、カラッとした読み味で読み終えられたのはオールド・マンのおかげなのだろう。野生の棕櫚に見られる一組の男女の悲しい顛末を、オールド・マンのなかの囚人と妊婦の長い旅の場面が差し込まれることで、うまく気持ちをフラットにしたまま読めた。オールド・マンが、まるで老人と海のようでもあり、自然に翻弄されながら必死にボートを漕ぐ囚人がユーモラスに映る。でもオールド・マンだけを読んでも、多分あまり意味がないのだろうと思うから、この交互という形が完ぺきなのだろう。
フォークナーは読むのに時間がかかるのに、また読みたくなる。光とも暗部とも取れるこのエネルギーを受け取りたい。自分の大事な地盤となっている感触がある。死がピークとなった「響きと怒り」だが、今作で死はピークではなかった。しずかな悲劇であった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ・wikipediaに詳細なあらすじがあるので、参考になった。
・棕櫚(シュロ)で通じているが、実は椰子(ヤシ)らしい。
・スイカズラではないのだ。舞台もヨクナパトーファではない。
・中上健次「野生の火炎樹」はオマージュしているわけだが、たぶん内容は関係なく、タイトルだけだろう。
・ちょうど前に読んだのが、バルガス=リョサの「フリアとシナリオライター」だった。年上の世慣れた女に手ほどきされた、という構図。また、帯に「二重小説(ダブル・ノヴェル)」とあるが、リョサ作は作中作であっても二重小説ではないだろう。
・奇数偶数で交互に語られる小説は多くあるが、だいたいは絡む。本作は場所も時間も異なり、絡まない。なのに交互に繰り出されることに意味がある。音楽でいう対位法。その効果は抜群だった。
・積読の「ポータブル・フォークナー」では「オールド・マン」だけ池澤夏樹が訳しているらしいが、片方読んだときと両方読んだときの感想は全然違うのではないか。意義深いぞ>中公文庫の担当者様。おそらく中上もお好きなのだろう。お名前は存じないがこっそり応援しています。
・ただし加島祥造氏の訳文は古臭かった。この点は光文社古典新訳文庫か岩波文庫あたりに期待したい。
以下、ネタバレメモ。
■野生の棕櫚 009
視点人物は医者。不審な男女。特に女は混乱している?
■オールド・マン 034
1927年。
■野生の棕櫚 043
ハリー、25になって初めてパーティへ。
シャーロットという女。兄好きの挿話。手で触れる物を作る。
逢い引き。夫。
ひょこっと金を拾う。……このご都合? 啓示? 岩井俊二「リリイ・シュシュのすべて」での強盗を連想。
シャーロットは二人の子供を愛していない?
■オールド・マン 082
駆り出されて行方不明に。
■野生の棕櫚 106
愛。生活。金。仕事。セックス。友人のマコード。ヘミング波(ヘミングウェーブ)という皮肉。面白い表現。
クリスマスについての考えで、やはりシャーロットは子を愛せない?
童貞が長いのがまずかった、とマコードに一席ぶつ。愚かだなあ。
ハリー「君からの祝福が欲しいな」マコード「呪いをくれてやるよ」マコードのほうが正しい!
■オールド・マン 183
女を救出。
いつでも置き去りにできる。
何度かの洪水。
出産。
全然別の話なのに、ハリーとシャーロットの話と照応している。
■野生の棕櫚 225
鉱山に勤める。
夫妻の堕胎を。カソリックだから? 医師免許がないから? 抵抗。
勤める外国人をだましつづけ。……このへん、夏目漱石「坑夫」を連想。結局はボンボンじゃん。
一度シャーロットが子供らに会いに行く。……ここで、相米慎二監督「風花」の小泉今日子を連想。
手術に失敗したら逃げて、と。
■オールド・マン 293
言葉の通じないフランス人(ケィジャン)との共同作業。
堤防爆破。
■野生の棕櫚 354
冒頭に戻る。
「わたしたち、雪の中で楽しんだわよね」セックスを。でもこの抒情はいいな。
つかまる。
保証人になったリトンメーヤーの偉さ。
対比的に、ハリーの卑小さ。
悲しみと虚無しかないのだとしたら、ぼくは悲しみのほうを取ろう。……あ、大江健三郎が引用していた言葉だ! ……状況からなんとなく、アルベール・カミュ「異邦人」を連想。
■オールド・マン 416
また刑務所に戻る。
追加の10年の刑期を甘受する。ここもハリーと対応。
◇『野生の棕櫚』について 加島祥造 436
◇人間終末説は容認せず ウィリアム・フォークナー 446
◇フォークナーとラテンアメリカ文学 野谷文昭 450