加島祥造のレビュー一覧
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映画「ナイル殺人事件」原作。1978年版、2022年版ともに未視聴。中近東が舞台になる長編ミステリー。
本の半分近くまで事件が起こらないが退屈ではなく、旅情豊かに描かれる人間模様が面白くて、ぐいぐいと引っ張られるように読み進めた。分厚いのに読みやすい小説と評されることが多いのはこれのおかげだろう。本筋となる殺人以外にいくつもの事件が絡み合っており、どんでん返しのような衝撃はないものの、人間模様の濃厚さも相まって結末の余韻がいつも以上に味わい深い。というか、基本的にはラブストーリーといっていいんじゃないかと思う。推理部分の緻密さは相変わらずすごいが、本作は多様な愛の形を見られたのが特に印象に残 -
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ネタバレブリッジのルールを知らなくても面白い。知っていたらもっと面白いかも。
殺人を過去に犯したとされる4人と警視、調査局員、探偵小説家、私立探偵の4人がパーティーに招かれた。ブリッジをしている途中でパーティーの主催が殺された。ダミーの間に誰かが彼を殺した。それは4人の中のいったい誰なのか。得点表からポアロが導き出した真相は?
物的証拠が何もないところから、ポアロが推理を働かせて真相を突き止める。ポイントになるのはブリッジの得点表から見る4人の性格、彼らの過去、注意力、ブリッジのプレイヤーとしての遊び方。殺人は大きな賭けであり、大胆さと注意力を必要とする。
終盤、ポアロはロリマー夫人の告白を受け -
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深堀骨氏による後書きが腹におちた。
いわくミステリとは人間関係の綾を描くものなのだと。
そう、そうなのよ、だから私は皆がくさそうとも、キャラの造形と配置が見事な『検視官』シリーズをいまだ愛読してるし(新刊出るんかいな…)、ディーヴァーといえど人が魅力に乏しい『エンドゲーム』はピンと来なかったのよ(いえ、ライムのシリーズなどは心から愛してます)!
古代エジプトの裕福な一家で起きる連続殺人事件を追う本作は、しょーじき、こう、サンドラ・ブラウンとか、ハーレクイン的なロマンチックミステリー仕立てなんだけど、妙に心を打つのは、さらりとした筆致ながら人々の欲望と愛情の描写がお見事だから。少女漫画にもありそ -
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ネタバレ導入部が面白いポアロシリーズ19作目。世界一の名探偵でも歯医者怖いんだね(笑)
以下ネタバレ
ポアロ行きつけの歯医者の先生がポアロが受信した日に自殺。そして翌日に同じ日に受診した患者が死亡、別の患者は行方をくらます……歯科医院内で何かあったのかと思いきや、スパイやら国家機密やらなんだか物騒な流れに。
タイトルからして革命家の方々のアレかと思いきや、めちゃくちゃ個人的な殺人でびっくり。スパイはミスリードだったのね。
登場人物が多くて混乱気味やったけど、サクサク読めた。
最後まで読んでからタイトルを見返すと思わず納得。
そして私は最後のオチが好きでした。ポアロぽかーんやん(笑) -
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すごくおもしろかった。
ポアロファンが好きなものが詰め込まれている1冊だと思いました。
ポアロシリーズのなかでも、読み応えのある作品だと思います。
まずポアロの登場シーンが多いのがいい。
ヘイスティングスがいないのが残念ですが、ポアロによる調査シーンが多くてうれしかったです。
ジャップ警部は出てくるので、二人の掛け合いも楽しめます。
ミステリとしては、最後まで読者に頭を使わせてくれる構成で、一度流れに乗るとページをめくる手が止められませんでした。
日本語のタイトルからは想像できませんが、実はマザーグースの暗記唄をモチーフとしたお話です。
章タイトルが、マザーグースの暗記唄の一節 -