加島祥造のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ⚠️2022年放映の映画版についても言及があるため、未視聴の方は軽いネタバレにご注意ください⚠️
今回の教訓:愛は人を変える
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エジプトのエキゾチックな景色の後に後半バタバタと展開していった映画版と違い、小説ではウィンドルシャム卿とリネットの結婚問題にページが割かれていたため、リネットがサイモンを奪うまでの過程が見られ、じわじわと迫り来る嫌な空気を味わうことができました。
ジャクリーンとの友情が壊れるだろうことは予測できたのですが、まさかジョウアナまでリネットを脅かしていたとは……油断ならないリネットの身の上を思うと、せつなくなります。映画を観てからかなり経っているため記憶が朧気なのですが、映画ではジョウアナについては確かあまり触れられていない(というかアラートン親子も出てこない)ため、船上にいない人物の話が度々出てきて伏線となっているのも、小説ならではだなと思いました。(私が覚えていないだけかもしれない)
とても巧妙なトリックで舌を巻くばかりなのですが、あまりに複雑すぎて自分の理解が追いつきませんでした。話は5点満点ゲージ突き破ってますが、悔しかったので私情で-0.5です笑
個人的に自分で考えながらじっくり読み進めたい方には原作、エジプトの景色を目で楽しみたい方(本の事件とは対比的なエジプトの雄大且つ神秘的な情景描写もお見事でしたが)、比較的サクッと話を楽しみたい方には映画がおすすめかなと思いました。 -
Posted by ブクログ
ミステリにはパターンだとかテンプレだとかが山のように存在していて「口の軽い人間が不用意な発言をした、又はしそうになって殺される」なんてそれこそ数多のミステリで用いられてきた要素
本作はその口の軽い人間の死が全てを掻き回していく様が非常に面白く描かれているね
また、舞台設定の特殊性も言及したくなるかも
出版されたのは1953年、まだ戦争の残り香がそこかしこに有る頃であり、同時に大英帝国の終焉期。それもあってか登場人物の二極化が見られるね
発端となったリチャード・アバネシーの大邸宅は時代を間違えたとしか思えない代物。そんな人物が死んで遺産目当ての遺族が睨み合いを始めるなんてやはり時代錯誤
けれど、登場人物全てが貴族時代の名残があるわけではなく、借金漬けや配給頼りの生活をしていたり、新時代に向けて準備する女性が居たりと様々
いわば時代の狭間が本作には横たわっていて、それが作品の深みに一味加えているね
本作で発生する事件はどれも特別なトリックは何も見当たらない。ちょっと人の目を盗めば誰だって犯行可能なタイプ
だからこそ、事件現場から証拠を見つける方法なんて無いし、むしろ現場を見る意味すら薄い
そのような事件なら尚更にポアロの出番となるわけだね
事件に対するポアロの調査方法は現場に赴いて証拠を探し回る遣り方ではなく、ひたすらに関係者の話に耳を傾けるというもの
その中で発せられる容疑者達の発言が読者を煙に巻きつつ、事件に対し更に奥深さを持たせるものになっているね
本作を語る際、事件の発端となる「だって、リチャードは殺されたんでしょう?」という発言はどうしたって取り上げたくなるが、もう一つ取り上げようとするならば、犯人の動機だろうか
上述したような舞台設定が整った作品であのような理由で殺人に及ぶ人間が居るとは!と衝撃を受けてしまう
とてもしっかりしたボリュームの本作だけど、推理パートは軽めに。それは真相が簡単なものだったというわけではなく、推理ショーの際にポアロは犯人逮捕に関する部分しか語らなかったと言うだけ
あの推理ショーでポアロが語らなかった部分を想像しつつ隅々を読み直すとまた違った色が見えてくるかもね -
Posted by ブクログ
イギリスの作家「アガサ・クリスティ」のミステリ長篇『ナイルに死す(原題:Death on the Nile)』を読みました。
『ひらいたトランプ』に続き、「アガサ・クリスティ」作品です。
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美貌の資産家「リネット」と若き夫「サイモン」のハネムーンはナイル河をさかのぼる豪華客船の船上で暗転した。
突然轟く一発の銃声。
「サイモン」のかつての婚約者が銃を片手に二人をつけまわしていたのだ。
嫉妬に狂っての凶行か?
…だが事件は意外な展開を見せる。
船に乗り合わせた「ポアロ」が暴き出す意外きわまる真相とは。
(解説 「西上心太」)
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1937年(昭和12年)に刊行された「エルキュール・ポアロ」シリーズのミステリ長篇… 「ポアロ」が船上での怪事件に挑むという、クローズド・サークルものの傑作のひとつです、、、
『東西ミステリーベスト100』で海外篇の99位として紹介されていた作品ですね。
大富豪の娘「リネット・リッジウェイ(リネット・ドイル)」は「ウィンドルシャム卿」と婚約していたが、何事も自分の思い通りにしたがる性格のため、結婚に躊躇していた… ある日、親友の「ジャクリーン(ジャッキー)・ド・ベルフォール」がやってきて、自分の婚約者が失業中のため、「リネット」の屋敷で雇って欲しいと頼んでいった、、、
そして後日その婚約者である「サイモン・ドイル」を連れてきたところ、「リネット」は彼に一目惚れしてしまい、「ジャクリーン」から奪うようにして結婚してしまった。
エジプトに新婚旅行に出たリネットらは、しつこくつきまとってくる「ジャクリーン」にいらだたされる… 偶然エジプトに来ていた「ポアロ」は、「リネット」から頼まれて「ジャクリーン」をたしなめようとするが、彼女は全く聞き入れないどころか、小さなピストルを取り出して、これで「リネット」を撃ってしまいたくなる、と言った、、、
「リネット」らは「ジャクリーン」から逃げるようにしてナイル川を遡る観光船に乗り込んだが、そこにも「ジャクリーン」の姿があった… そしてある晩、展望室で事件が起こった。
泥酔した「ジャクリーン」が「サイモン」と口論になり、「ジャクリーン」が「サイモン」の脚を撃ってしまったのだった… 医師の「カール・ベスナー」が「サイモン」を介抱し、ヒステリーを起こした「ジャクリーン」を看護婦の「バウァーズ」が部屋に連れて行った、、、
そして次の朝、「リネット」が部屋で死んでいるのが発見された… 寝ている間に頭を撃たれたのだ。凶器は「ジャクリーン」が持っていたピストルらしいが、そのピストルは展望室での事件の後、どこかへ行方不明になっていた。
しかも「ジャクリーン」が夜中に部屋を出なかったことは「バウァーズ」が証言している… では、いったい誰が「リネット」を殺害したのか? 船上の殺人事件に、名探偵「エルキュール・ポアロ」と友人の「レイス大佐」が挑む、、、
登場人物が多いのですが、序盤は、エジプト旅行ののんびりとした雰囲気の中で、それぞれの性格や事情、人間関係等が丁寧に描かれるので、頭の中にしっかり人物像を作ることができて戸惑いは少なかったですね… 何せ最初の殺人事件が発生するのが265ページですからね、リゾート地への旅行のように、ストーリー展開ものんびりした感じでした。
殺人だけでなく、別な犯人による宝石の窃盗(すりかえ)事件があったり、アルコール中毒という家族の秘密を隠そうとして偽証したり、犯行に気付いた人物が真犯人を脅迫して殺されたり… と、重層的な仕掛けて埋め込まれており、600ページ近いボリュームを長いと感じませんでしたね。
舞台がエジプトだったので、いつも以上に現実逃避しながら読めたのも良かった… 面白かったです。
以下、主な登場人物です。
「エルキュール・ポアロ」
私立探偵
「リネット・リッジウェイ(リネット・ドイル)」
美貌で金持の若い女性
「サイモン・ドイル」
リネットの夫
「ジャクリーン(ジャッキー)・ド・ベルフォール」
リネットの親友。サイモンの元恋人
「ルイーズ・ブールジェ」
リネットのメイド
「ジョウアナ・サウスウッド」
社交界の貴婦人。リネットの友人
「ミセス・アラートン」
ジョウアナのいとこ
「ティモシー(ティム)・アラートン」
アラートン夫人の息子。リネットの友人
「サロメ・オッタボーン」
女流作家
「ロザリー・オッタボーン」
サロメ・オッタボーンの娘
「マリー・ヴァン・スカイラー」
金持ちの老婦人。アメリカ人
「コーネリア・ルス・ロブスン」
ヴァン・スカイラー夫人の遠縁の娘
「バウァーズ」
スカイラーの看護婦
「アンドリュー・ペニントン」
リネットの財産管理人
「スターンデイル・ロックフォード」
ペニントンの共同経営者
「ジェイムズ(ジム)・ファンソープ」
カーマイクル甥。弁護士
「ウィリアム・カーマイクル」
ジムの伯父
「ギド・リケティ」
考古学者
「カール・ベスナー」
医者
「コンラッド・ファーガスン」
社会主義者
「フリートウッド」
カルナック号の機関士
「ジョニー・レイス」
大佐。陸軍情報部部長。ポアロ友人。途中から船に乗り込む -
購入済み
面白かった
トリック自体は運任せといえなくもないが
捜査を撹乱するには十分だったりする。
そんなところがなんともいえない現実感を感じて、
少し怖くなる。
犯人の言い分も、さもありなんという感じで
アガサ・クリスティって天才だね。 -
購入済み
現実にありそう
綿密な計画とか、巧妙なトリックとかではないけれど
ポアロが乗り出さなければ、ばれなかっただろうと思うと
恐ろしいような気がする。
犯人の人物造形や動機も、怖くなるくらい現実的で
現実世界でも、こんな殺人が起きて、ばれていないのかもしれない。
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Posted by ブクログ
深堀骨氏による後書きが腹におちた。
いわくミステリとは人間関係の綾を描くものなのだと。
そう、そうなのよ、だから私は皆がくさそうとも、キャラの造形と配置が見事な『検視官』シリーズをいまだ愛読してるし(新刊出るんかいな…)、ディーヴァーといえど人が魅力に乏しい『エンドゲーム』はピンと来なかったのよ(いえ、ライムのシリーズなどは心から愛してます)!
古代エジプトの裕福な一家で起きる連続殺人事件を追う本作は、しょーじき、こう、サンドラ・ブラウンとか、ハーレクイン的なロマンチックミステリー仕立てなんだけど、妙に心を打つのは、さらりとした筆致ながら人々の欲望と愛情の描写がお見事だから。少女漫画にもありそうじゃん!って話だけど、重くも希望を感じされる読後感は、やっぱり天才の技だなあ