加島祥造のレビュー一覧

  • 愛国殺人

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    複雑な話でした。ドラマ化されて見たものでしたが話が入り組んでいて難しく、以前だったらたっぷりと時間をかけて読んだはずが、和洋問わずミステリーに浸かっている為かサクサクと読み進めました。クリスティは流石です。犯人が自分を国にとって大切な人物だから、被害者など取るに足りないと4人の命を軽く話す後半を読み、殺人犯を決して許さないポアロに納得、それで良いんだよと思わずガッツポーズ。そしてオリエント急行殺人事件のポアロの最後の行動が思い出されました。デビット・スーシエのポアロが涙を浮かべて犯人達を庇った時の心の葛藤と苦悩。正しく苦悩ですね。

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    2025年02月21日
  • 死が最後にやってくる

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    アガサ・クリスティー。ノンシリーズ。舞台は古代のエジプトだが、人間は変わらない。未亡人の主人公の父親が愛人を連れて戻ったとき、事態は動き出す。その家に住んでいる家長とその息子たち、またその奥さんたちや召使いの今まで見えていなかった性質があらわになる。その中には殺人者の性質をもつものがいる。
    ミステリーというよりサスペンスよりの作品。
    容疑者は少なく、次々と死んでいくので犯人当てはしやすい。しかし複雑なトリック等がなく、人間関係の妙だけで、ここまで読ませるのはクリスティは推理作家としてだけでなく純粋に小説家として技量が高い。

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    2024年11月29日
  • もの言えぬ証人

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    ボブ絶対可愛い!会ってみたい!
    久しぶりのポアロの長編は読み応え抜群でとても楽しかった。薬の話が出てくるやつは特に好き。

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    2024年09月29日
  • 野生の棕櫚

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    かなりひどいことが起きているのに、カラッとした読み味で読み終えられたのはオールド・マンのおかげなのだろう。野生の棕櫚に見られる一組の男女の悲しい顛末を、オールド・マンのなかの囚人と妊婦の長い旅の場面が差し込まれることで、うまく気持ちをフラットにしたまま読めた。オールド・マンが、まるで老人と海のようでもあり、自然に翻弄されながら必死にボートを漕ぐ囚人がユーモラスに映る。でもオールド・マンだけを読んでも、多分あまり意味がないのだろうと思うから、この交互という形が完ぺきなのだろう。

    フォークナーは読むのに時間がかかるのに、また読みたくなる。光とも暗部とも取れるこのエネルギーを受け取りたい。自分の大

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    2024年09月18日
  • ひらいたトランプ

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    ブリッジのルールは分からなかったけど話の展開が好みだった。容疑者4人なのにこんなに分からないもの?!最も怪しくない人物を疑うのがミステリーの鉄則だけど、序盤からその通りにはいかなかった。
    シャイタナは殺される事予期してたのかな?自分でメンバー集めておいてわざわざあの席に座ったの?笑 大胆すぎる犯行に犯人の心理が透けて見えてるところがおもしろい!

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    2024年08月10日
  • 葬儀を終えて

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    1953年発表、エルキュール・ポワロシリーズの第25作。遺産相続の諍いから始まるオーソドックススタイルのミステリなのだが、仕掛けは決してありきたりなどではない。最初から最後まで手がかりは堂々と提示されているし、読者なら頁を遡って怪しい記述を探すこともできる。それでも欺されるのはやはり女王クリスティの類稀な力によるもの。時代の移り変わりにより、世間のポワロの認知度に差が出てきているのも良き。

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    2024年07月27日
  • もの言えぬ証人

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    ネタバレ

    犯人がまさかの既に死んでいるという真相。捕まって裁きを受けるが当たり前だと認識してしまっているから、ここの展開は少し驚いた。
    作中で登場人物のことを「全くセンスはないが着飾るのが好きな人」と評していたのがなぜか妙に印象に残っている。多分作者の身の回りにこういう人がいたんじゃないかなと思う。他作品にも、服装についての描写はよく出てくるし、アガサクリスティー自身の観察眼の鋭さがあったからこそ、いろんな作品にそれが活かされたのかなとも考えた。

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    2024年07月26日
  • ひらいたトランプ

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    ブリッジのルールを知らなかった私が残念。
    ブリッジのルールを知らなくても十分楽しめてしまうところはさすがとしかいいようがない。

    ラストは久しぶりに「え?」て言ってしまった。
    いや、アガサクリスティーのは毎回「え」てなるけど、声が漏れたのは久しぶりだった。その一瞬だけ私自身がオリヴァ夫人になって小説の中に入れた気さえした。

    ありがとうアガサクリスティー!

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    2024年07月22日
  • 野生の棕櫚

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    小説におけるオールタイムベストに「八月の光」を挙げている私は、その著者フォークナーの文庫最新刊に当たる本作の発売を楽しみにしていた

    ミシシッピ州に属す架空の街(ヨクナパトーファ郡)を舞台に、様々な登場人物たちの人生が交錯するサーガ形式であったり、或いは、代表作「響きと怒り」に用いられた、言葉を持たない(話せない)者の意識の流れを綴った文章表現であったりという具合に、小説の可能性を常に追求し続けた作家、それがフォークナーと言っていいだろう

    そんな革新派スタイルの彼が、ここで試みたのは、異なるふたつのストーリーを交互に語り進めていく「二重小説」だ。元医学生と人妻が世間のあらゆるシガラミから逃れ

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    2024年02月17日
  • ナイルに死す

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    ネタバレ

    映画を見たので犯人は知っていた。行動に至るまでの経緯とかはすっかり忘れていたので楽しめた。途中までエジプト旅行記なので、殺人事件が起こるまではゆったりしている。リネットは悪人ではないが、個人的には同情できる被害者ではなく、逆に3人殺したジャクリーヌ(+サイモン)の方に共感してしまう。

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    2024年02月04日
  • ひらいたトランプ

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    ネタバレ

    四人の容疑者のうち、半々で見事に明暗が別れた。アンが容姿以外良いところが無さすぎて笑ってしまった。容赦がない。ロリマー夫人はかっこよくて好きだったんだけどなあ。
    婦人服売り場でストッキング19足買うお爺ちゃん、怪しすぎて今ならSNSに勝手にアップされそう。

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    2024年02月03日
  • 野生の棕櫚

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    ネタバレ

    ・wikipediaに詳細なあらすじがあるので、参考になった。
    ・棕櫚(シュロ)で通じているが、実は椰子(ヤシ)らしい。
    ・スイカズラではないのだ。舞台もヨクナパトーファではない。
    ・中上健次「野生の火炎樹」はオマージュしているわけだが、たぶん内容は関係なく、タイトルだけだろう。
    ・ちょうど前に読んだのが、バルガス=リョサの「フリアとシナリオライター」だった。年上の世慣れた女に手ほどきされた、という構図。また、帯に「二重小説(ダブル・ノヴェル)」とあるが、リョサ作は作中作であっても二重小説ではないだろう。
    ・奇数偶数で交互に語られる小説は多くあるが、だいたいは絡む。本作は場所も時間も異なり、絡

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    2024年01月23日
  • ナイルに死す

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    ナイル河での船旅の中でおきた殺人事件の話。

    乗っている人たちのくせが強い中、1番目立っていたのが、新婚旅行で来たお金持ちの美女夫婦。

    しかもこの美女、親友の彼氏を奪って夫にしたので、もうそれだけで興味津々。

    ただ、途中で犯人がわかってしまった自分。

    しかし、さすがクリスティで、最後まで目が離せないな内容になっています。

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    2023年12月20日
  • 葬儀を終えて

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    これぞ隠れた名作。
    初めて読んだ時「うわ、やられた!」と思った。
    今回数年振りに読んだけれど、ホント上手いんだよなあ。
    当主を亡くしたアバネシー家を動揺させた『だって、リチャードは殺されたんでしょう?』という一言。
    その言葉を放ったコーラは翌日死体となってしまう。
    「ポアロシリーズはメジャーな作品しか読んでいない」という人がいれば、ぜひ読んでくださいと言いたい。
    ここまで見事にしてやられると、かえって気分が良いもんです。

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    2023年12月17日
  • ひらいたトランプ

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    ひらいたトランプ
    ポアロシリーズ長編。再読だが記憶は曖昧。途中、うっすらとだが犯人を思い出したと思ったのだが。恥ずかしい事に、意外性のある結末に初見読みの様なリアクションをしてしまった。作品構成が良くトリックも上手い。
    しかし、終盤、とある人物が都合よく睡眠薬を飲んでいる事、それを犯人が見越している事は腑に落ちないが。
     初見の際にはまだポアロシリーズの世界観を把握していなかった為、バトル警視やレイス大佐、オリヴァ夫人まで疑ってかかった事を思い出した。後々彼らが登場する作品を沢山読んでいる為、完全に容疑者から除外される訳だが、いかに筆者が「容疑者はこの四人」といっても我々読者は素直に取らないし

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    2023年11月21日
  • ナイルに死す

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    ポワロさん、さすがですね。
    途中まで全く展開が予想できませんでした。
    財産管理人だとばかり…
    愛の強さって並外れた力を持っているんだとつくづく感じさせられました。

    オリエントと同じく緩くも特急でもないストーリー性がしっかり読者を考えて作られている、そんな作品でした。

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    2023年11月13日
  • ナイルに死す

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    ネタバレ

    ⚠️2022年放映の映画版についても言及があるため、未視聴の方は軽いネタバレにご注意ください⚠️

    今回の教訓:愛は人を変える
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    エジプトのエキゾチックな景色の後に後半バタバタと展開していった映画版と違い、小説ではウィンドルシャム卿とリネットの結婚問題にページが割かれていたため、リネットがサイモンを奪うまでの過程が見られ、じわじわと迫り来る嫌な空気を味わうことができました。

    ジャクリーンとの友情が壊れるだろうことは予測できたのですが、まさかジョウアナまでリネットを脅かしていたとは……油断ならないリネットの身の上を思うと、せつなくなります。映画を観てからかなり経っているため

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    2023年08月05日
  • ナイルに死す

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    異国のラブロマンスを読んでいるようだった。
    エジプト旅行をしている、とまではいかなくても空気感は十分伝わってくる。
    ミステリーだということを忘れそうになった頃、事件は起きる。
    資産家のリネット、夫のサイモン、元恋人のジャクリーン。
    この三人を中心に物語は展開するが、いつもどおり意外な真相が待ち受けていた。
    読み終わって思うのは、愛は恐ろしいってこと。

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    2023年07月05日
  • もの言えぬ証人

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    ネタバレ

    鏡越しに見たブローチのイニシャルが逆になるところには早めに気づいて、Aから始まりそうな名前を登場人物一覧の中から探して、そんな人いなくて、まだなんかあるんだなと思ってたら「親のアラベラという名をもらいそれを略したのがベラ、つまりATのAはアラベラのA」とか言われた時にはそんなんわかるわけなくない?と思いましたがおもしろかったです
    ドクタータニオスはいい人だなと思った(投機失敗してるし散々疑われてたのできれいなジャイアン効果かもしれないけど)

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    2023年06月23日
  • 葬儀を終えて

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    ミステリにはパターンだとかテンプレだとかが山のように存在していて「口の軽い人間が不用意な発言をした、又はしそうになって殺される」なんてそれこそ数多のミステリで用いられてきた要素
    本作はその口の軽い人間の死が全てを掻き回していく様が非常に面白く描かれているね

    また、舞台設定の特殊性も言及したくなるかも
    出版されたのは1953年、まだ戦争の残り香がそこかしこに有る頃であり、同時に大英帝国の終焉期。それもあってか登場人物の二極化が見られるね
    発端となったリチャード・アバネシーの大邸宅は時代を間違えたとしか思えない代物。そんな人物が死んで遺産目当ての遺族が睨み合いを始めるなんてやはり時代錯誤
    けれど

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    2023年06月17日