加島祥造のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ポアロシリーズ13作め。1936年の作品。
原題は『CARDS ON THE TABLE』。
本文の中では「手の札は開けて置く」と訳されている。
解説によるとこれはブリッジのルールで「攻撃側の一人は持ち札をすべて卓上に表向きにさらし(カーズ・オン・ザ・テーブル)、どの札を出すかは一切パートナーに委ねて、休み(ダミー)としてプレイには参加しない。」
このルール自体がこの作品の事件の基本なので、それとかけたうまいタイトルなのだが、邦題だとピンとこないのが惜しい。
たしかこの話は前に読んだはず、と思いましたが例によって犯人は覚えていないので、後半の二転三転を「あれ、この人が犯人だったけ?」と思いながら楽しみました。
本作で初登場の推理作家オリヴァ夫人のキャラクターがすばらしい。アガサ・クリスティー自身というより、読者が想像するクリスティー像を自らカリカチュアしている感じ。
以下は有名なセリフ。ポアロをベルギー人にしたことを皮肉っております。
107
「ただ一つ、あたしの後悔してることがあるの──それはね、主人公の探偵をフィンランド人にしたことなの。フィンランドのこと、あたし全然知らないでしょ。ところが、フィンランドからよく手紙がきて、その探偵の言動がおかしいだのなんだの言ってくるの。フィンランドじゃあ探偵小説がとても愛読されているのね。冬が長くって、その間は日光がささないからじゃないかと思うわ。ブルガリアやルーマニアじゃあ、探偵小説は読まれないでしょ。あたし、探偵をブルガリア人にしとけばよかったわ」
266
「オリヴァさん、お手柄でしたね。あなたの作品のひょろ長いラプランド人の探偵より、ずっと素晴らしかったですよ」
「フィンランド人ですわ。彼、どうせ馬鹿な探偵ですけど、皆さんに人気があるのよ。」
そしてクリスティー作品によくある2人の女性と1人の男性の構図。アン・メレディスとローダ・ドーズはお互い自分にないものをもっているところに嫉妬もしている。女友達あるあるの関係ですね。
上品で頭が良くて孤独なロリマー夫人も印象的でした。そしてこういうマダムにはつねに優しいポアロ。
234
「生きるのはむずかしいことですよ。わたしの年になったら、わかります。限りない勇気と忍耐が必要なのです。そして、死ぬ時になって、誰もが、“人生にそんな値打ちがあったのかしら”って、疑うんです」
149
「記憶力は貴重な贈り物です。それがあれば過去もけっして過ぎ去ったものになりません──マダム、あなたには過去のことも、目の前に巻物を広げるように開けて、すべての出来事が昨日のようにはっきり映るんじゃございませんか?」
ロリマー夫人がシャイタナ氏と出会ったというエジプトのホテル、ルクソールのウィンター・パレス、検索したら今もありました。エジプトって観光地のイメージが強いんですが、リヴィエラと並ぶようなリゾート地なのですね。
おもしろくて数日で一気読みしてしまいました。アガサ・クリスティーの描く人間模様、登場人物たちの台詞の粋なこと。
コーヒー飲みながらクリスティーを読むってそれだけで幸せを感じます。
以下、引用。
12
ウェセックス・ハウスの鍵煙草入れ展示会であった。
14
シャイタナ氏がアルゼンチン人か、ポルトガル人か、ギリシャ人といった英国人のきらう国籍を持っている人なのかどうか誰にも明らかでなかった。
34
「あたしの天使がもう来るころよ、さあ、一勝負始めない? きっと今夜はつくわよ」
52
「ドクター・ロバーツですよ」オリヴァ夫人がまた断固として言った。「彼、とっても親切なんですもの。人殺しには親切そうなのがよくいるわよ──変装ですよ!」
64
「あたし、いつだって実際に行われた殺人よりも、素敵な殺人を書けるんですよ。あたし、話の筋で苦労したことなんか、ありゃしませんよ。それにあたしの読者は毒薬の方を欲しがりますよ、ナイフより」
106
「実際をいうと、あたし、正確ということそんなに気にしていないの。すべてに正確な人なんている? いまでは誰もいないんじゃないかしら。たとえば、二十二歳の美しい処女が、窓から海を眺め、可愛がっていたラブラドル犬のボブに、さようならの接吻をした上、ガスの栓をひねって自殺した、という記事が載った時に、その女が二十六歳で、その部屋の窓は海に面していないし、犬はシーリアム・テリヤでボニーというんだと、騒ぎたてる人がいるかしら」
「もっと大切なのは、人をうんと殺すことね。小説が少しだれてきたら、だらっとタワー流させれば引き締まりますよ。誰かが何かを打ち明けようとする──すると、まずその人が殺される。この手はいつもうまくいくわ。これ、あたしのどの小説なもあるのよ」
107
「ただ一つ、あたしの後悔してることがあるの──それはね、主人公の探偵をフィンランド人にしたことなの。フィンランドのこと、あたし全然知らないでしょ。ところが、フィンランドからよく手紙がきて、その探偵の言動がおかしいだのなんだの言ってくるの。フィンランドじゃあ探偵小説がとても愛読されているのね。冬が長くって、その間は日光がささないからじゃないかと思うわ。ブルガリアやルーマニアじゃあ、探偵小説は読まれないでしょ。あたし、探偵をブルガリア人にしとけばよかったわ」
138
「日本の版画が六枚、これは一級品だった。鏡の上には中国の絵二枚、大変立派な鍵煙草入れが五、六個。日本の象牙の根付がこれも五、六個、これは一かたまりに机の上にのっていた。」
139
「たとえばシャーロック・ホームズみたいに、とおっしゃるんでしょう。夜になってもその犬は吠えなかった。これはおかしいぞ!」
149
「記憶力は貴重な贈り物です。それがあれば過去もけっして過ぎ去ったものになりません──マダム、あなたには過去のことも、目の前に巻物を広げるように開けて、すべての出来事が昨日のようにはっきり映るんじゃございませんか?」
152
オリヴァ夫人は小さな二人乗りの自動車の運転台から下りるのに、大骨折りだった。それというのも、第一に現代の自動車製造者が、ハンドルをながら者はみな、すんなりした脚の持ち主ばかりだと考えているからである。それに加えて座席の低いのが流行ときている。そこで、肉付きのいい中年の婦人が運転台に座ると、外へ出るのに身体をあっちへやったり、こっちへやったり、超人的努力をしなければならなくなる。
155
「あたしは犯人の目星、ちゃんとついてるの。あの医者、何ていったっけ、名前は? ロバーツ。そうそう、ロバーツですよ。これ、ウエールズ系の名前ね。あたしはウエールズ人なんて絶対に信用しないの。」
158
「それに、もうひとつ打ち明けて言うと、本当の殺人事件ってあたしの手に負えそうもないの。本の中でいつもこっちの勝手に作りつけてるでしょ。だから本物だと困っちゃうの。」
177
「ああ、あなたが好きになったのよ。きまっているじゃないの。ぜんぜん興味がないのに、親切なことをする男ってあるかしら。あなたが不器量で、にきびでもいっぱいできていたら、こんな所まで来やあしないから」
181
「ドーズさんの故郷はデヴォンシャーだと思いますわ。時々クリームが送られてまいりますから。それを見ると、故郷を思い出すとおっしゃってますもの」
195
「雨、雨では別に怪我もしませんよ」
209
「日本の風土病みたいなもの──買ってきた日本製の髭剃りブラシからうつったのよ。日本人ってよく注意しないのかしら、こわいわねえ。それからあたし、日本製は敬遠してるの」
221
「そんな簡単なわけにはいかないのよ」オリヴァ夫人は言った。「まず考えなきゃあならないでしょ。そして、考えるのは退屈なことよ。それから、筋を立てなきゃあならない。ところが、時々行き詰まっちゃうの。そしてその行き詰まりからどうにも抜け出せそうにないって気になる──でも、しまいに何とかなるの! 書くのってけっして楽じゃあないわ。他のことと同じように、辛い仕事なのよ」
222
「退屈なのはそれを書く時。これで書き終えた、六万語くらいかなと思って、数えてみると、三万語くらいしか書いていないのはしょっちゅうなのよ。そこで、殺人をもう一つふやし、女主人公がもう一度誘拐されることにしなきゃあならない……こんなことって退屈な仕事よ」
234
「生きるのはむずかしいことですよ。わたしの年になったら、わかります。限りない勇気と忍耐が必要なのです。そして、死ぬ時になって、誰もが、“人生にそんな値打ちがあったのかしら”って、疑うんです」
246
「あなたは私の言うこと、おわかりになっていません。私は殺される人のことを言ってはいません。殺す人の心に起こる変化を申しておりますんです。人間を殺せるという心の持ち方について、です」
「戦争では、たしかに、個人的な判断を行使して殺人するのではありません。しかしだからこそ戦争とはもっとも危険なものなのです。戦争では人間は相手を殺すことに正当な理由をつけられます。このように、人間が他人の生死を左右できるという考えに、一度でも取りつかれたものは、もっとも危険な殺人犯人になりかかっているのです──利益のためでなく──思想のために人を殺す──こんな人ははなはだ傲慢な殺人犯人です。そういうひとは全能の神の権能を奪いとったことになります」
248
「手の札は開けて置く(カーズ・オン・ザ・テーブル)。これがこの事件のモットーでしたよ。」
255
「冬になると時々外国に行くほかは大部分ロンドンで暮らしています。外国といっても、リヴィエラとかエジプトとかいった一流の土地です。」
66
「エジプトのホテルでしたよ──たしかルクソールのウィンター・パレスだったかしら」
266
「オリヴァさん、お手柄でしたね。あなたの作品のひょろ長いラプランド人の探偵より、ずっと素晴らしかったですよ」
「フィンランド人ですわ。彼、どうせ馬鹿な探偵ですけど、皆さんに人気があるのよ。」
297
「このポアロっていう人、頭がいいと思う?」
「シャーロック・ホームズみたいには見えないわね」
かくてその日の午後から三時には、ローダ・ドーズとアン・メレディスは、ポアロのきちんと片づいた部屋で、澄ましこんで椅子に腰かけ、古風な形のグラスに注がれたブラックベリーのシロップを、少しずつすすっていた。二人ともブラックベリーは大嫌いだったが、礼儀をわきまえていたので断れなかった。
303
「短剣です、お嬢さん、十二人の人々が、一人の男を指したという短剣ですよ。ワゴンリッツから記念品としてもらったものです」
392
よく指摘されるように『ABC殺人事件』のなかに、本書の予告篇のようなエルキュール・ポアロのせりふが見いだされる。
「四人の人間がブリッジをしていて、それに加わらない一人が煖炉のそばの椅子に座っている。夜更けになって、暖炉のそばの男が死んでいることが発見される。四人の一人が、ダミーになって休んでいるときに、そこにいって彼を殺したが、ほかの三人はゲームに夢中になっていて気づかなかった。ああ、それがあなたにふさわしい犯罪ですよ!四人のうちのだれがやったのか?」
395
ここがブリッジの非常に得意な点だが──攻撃側の一人は持ち札をすべて卓上に表向きにさらし(カーズ・オン・ザ・テーブル)、どの札を出すかは一切パートナーに委ねて、休み(ダミー)としてプレイには参加しない。プレイの段階では、常に四人のうち一人は抜けるわけだ。
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Posted by ブクログ
【ポアロ】
1936年クリスティー46歳の作品。
タイトルの通り〈トランプ〉のブリッジが重要になってくるので、ルールを知っていればもっと楽しめたのにと思う。
同じくトランプで事件を解いたヴァン・ダインのアノ事件と似ていた。
トランプで何がわかるの?と思うかもしれないけど、トランプって本当にその人の性格が出てくるので面白い。
この作品を読んでる途中に、お正月で親戚達とトランプの大富豪をやったので、Naotyポアロになりきって観察してみた。
・序盤から良いカードを出して過ぎて、最後に破滅する〈勝負師タイプ〉
・全然良いカードがない、終わったわ…と言いつつ大富豪になる〈策士タイプ〉
・自分の手の内が全部顔と行動に出てしまう〈正直タイプ〉
・良いカードを持ってるのに最後まで使えない〈心配性タイプ〉
・平民が1番平和だわ〜と本当にずっと平民の〈万年平民タイプ〉
・大貧民から1つずつ着実に上り詰めて大富豪になる〈叩き上げタイプ〉
・女の子には甘いが男の子には厳しい〈おじさんタイプ〉
・孫にだけ優しい〈おじいちゃんタイプ〉
いや〜見事にそれぞれの性格が出ていて面白かった!
今年1発目に読んだ『茶色の服の男』のレイス大佐がこの作品にも登場していて、たまたまこの順番で読んだのに偶然に驚いた。
推理作家のオリヴァ夫人の初登場作品でもあり、キャラクターも楽しい。
ポアロ作品は残すところあと4作品。
どれも攻略本では低評価だけど、もったいなくてなかなか読めない。
★2.5 -
Posted by ブクログ
ネタバレポアロのかかりつけの歯医者が殺された?
ポアロでも歯医者は憂鬱なんだなぁと微笑ましく感じる冒頭。しかし歯医者は遺体で発見され、治療ミスを悔いての自殺とされる。ポアロはいくつか引っかかったことをたぐるために、調査を進めるが——。
犯人がポアロに見逃してくれるように願う理屈は、自分が国家の安定に必要な人物だから、というもの。それに対してポアロは返す。あなたは4人の命を犠牲にしている、大切にしたいのは誰も自分の命を他人から奪われないことだ、と。まさにポアロの言うことは正しい。誰も自分の命を他人に奪われない、それは国家の存続よりも大事なことである。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『ゼロ時間へ』で頼もしい活躍を見せたバトル警視が登場するとのことで手に取りました。カバー見返しの登場人物リストは最少なのでは??
バトル警視だけでなく、探偵役はポワロさんにオリヴァ夫人、レイス大佐と、まさにお菓子のアソートパックのような豪華さ。それぞれの探偵の捜査方法が異なっていて、楽しく読めました。
それにしても、犯人が○○と思いきや実は○○と見せかけて○○だったとは……。
その立派な人柄から、○○○○○○の告白に衝撃を受け心打たれていたのですが、そこから二転三転。まんまとクリスティー女史の手のひらで転がされてしまいました。ネタバレありでも書けない!笑
イギリスを舞台にした作品では必ずといっていいほど出てくるブリッジがテーマということで、ルールがわからないと楽しめないのでは?と敬遠していましたが全くの杞憂でした。もちろん、ブリッジを知った上なら各プレイヤーの性格がわかって面白いんだろうなぁ。
容疑者のうち、誰が何を見てどんな発言をしてどう行動したか?それぞれ書き出して読み進めるのも楽しそうな一冊です。 -
Posted by ブクログ
憂鬱な歯医者での治療を終えてひと息ついたポアロの許に、当の歯医者が自殺したとの電話が入った。しかし、なんの悩みもなさそうな彼に、自殺の徴候などまったくなかった。これは巧妙に仕掛けられた殺人なのか?マザー・グースの調べに乗って起こる連続殺人の果てに、灰色の脳細胞ポアロが追い詰めたものとは?
かなり登場人物が入り乱れて、しかも本人かどうか分からない死体も登場したり出てくる人物が本物なのかどうかなど混乱をきたしました。でも面白かった!ポアロが警察の先を進みながら解き明かしていくところはこれぞミステリという感じ。重婚が理由の殺人って他にも読んだ記憶があるんだけど、当時は結構問題になるレベルだったんだろうか・・・現代だとあまり見たことがないけれど。冷静で仕事に対しては真面目でこんな人が殺人をするわけない、と思っている人に限って恐ろしい考えを持ってたりするんですよね。体面を保つために命を狙われたり人を殺すような考え方は歪んでるし、奥さんも止めなさいよと思ってしまった・・・。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ犬のボブがかわいい。ボブにアテレコするヘイスティングズがかわいい。ヘイスティングズと軽口を言い合うポワロさんがかわいい!
ということで、話の展開としては”いつものクリスティー作品”なのですが、”ボブ”というアクセントが加わることでほっこりした印象が強かったです。
それに、犯人に対する裁きもちょっとビックリというか……。まあ、ポワロさんはコ◯ン君と違って犯人であっても必ず生かす主義ではありませんからね。
にしても、”お金のためならなんだってする放蕩息子”、”この世は自分のためにあると信じて疑わない美人な妹”が毎回出てくるのに、その度疑ってしまう自分をなんとかしたいものです。笑 -
Posted by ブクログ
クリスティの長編ミステリー。ポアロシリーズ。相棒はヘイスティングス。依頼人からの手紙がポアロの元に届くが、何故か書かれた時期と投函された時期がずれており、既に依頼人が亡くなっているという状況。手紙の内容はとてもわかりにくくヘイスティングスは気にも止めないがポアロは依頼人を調査する事を決め、彼女が住んでいた屋敷を訪れる。
ポアロの探偵としての行動や考え方、時には嘘をも活用した調査方法とヘイスティングスのイギリス人然とした馬鹿正直な人間性が対比になっており、序盤の二人のやりとりはとても面白い。また、被害者の愛犬、テリアのボブが重要な役割を果たしており(タイトルで匂わされているが)かれが登場する擬人化した描写になる為、ヘイスティングスとのやり取りなどは微笑ましい。
設定として、大金持ちの老人が自身の一族に不信感を持ち、とある事故をきっかけに自身の身に起きている事を不審に感じ、全く家族とは関係ない手伝いさんを相続人にする。やがて、金持ちの老人は急に亡くなり、全ての遺産をお手伝いさんが相続する。老人が生きている際に認めたのがポアロへの依頼であり、これによりポアロは興味を持ち依頼をスタートさせる。
彼女の一族は見るからに怪しい描写がされている人達ばかりで、相続人でさえ何処となく影のある人物だ。少なくとも犯人は誰か。と目星をつけるのは難しくヘイスティングス並みに読者も混乱するだろう。ラスト、いつもの如くポアロは関係者達を集めて推理を披露するが、直前で明かされるとある出来事により、僕自身犯人を推定して文字を追っていったが、結末はまさかのものだった。
クリスティの作品は、タイトルにて作品をある程度表しているものが多い。今回もテリアが実は暗にご主人を殺害した人物なり証拠なりを咥えていたり掘り出したりした方が伏線になっており面白い様に思った。犬が活躍するというのは言い過ぎだが、アクセントとしてあっても良いのではないだろうか。また感慨深いのは、後書きにあるのだが、今作後テリアはヘイスティングスに飼われ、一緒にアルゼンチンに連れて行ったのであろうと推測され、そしてこの後「カーテン」に至る十数年間(説によってバラバラ)ポアロと再会しなかった様だ。ポアロとヘイスティングスは名コンビなのだが共演が意外に少ないと知った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ解決編での構図の逆転が鮮やかでそれなりに面白いが、引きが弱い上に故意に読みにくくしたような不自然さがある作品。歯科医のモーリイとライリイ、アリステアとアムバライオティス、ジェインとジュリアなど登場人物の名前が紛らわしく、またフランク・カーターとハワード・レイクスもキャラクター設定も被っている感じで区別しにくかった。すきま時間に少しずつ読み進める読書習慣もあり、忘れたり混同したりでなかなか読み進められなかった。わざとにしか見えないので意図が知りたい。
中盤で「歯医者が一人が死んでも大した事じゃない」という人物に対しポワロが「あなたにはそうでも私にはそうでは無い」というのがびしっと決まってかっこいいな、と思ったら、解決編でもう少し丁寧な言い方ながら同じことをいう犯人に対し、ポワロが決然と見解の不一致を告げる。この至極真っ当な主張の繰り返しが本来軽い読み物の推理小説を引き締めていて良かった。
ただ、市井の若者ならそのような乱暴な言い方も仕方ないかもしれないが、真犯人のキャラクターからするとあまりにとってつけたような…地味で控えめだけど中身がサイコパス?という違和感。