加島祥造のレビュー一覧
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ネタバレアバネシー家の主人リチャードが心臓発作で急死する。葬儀を終えたのち、遺言執行人エントウィッスルは集まった親戚たちに故人の遺言を発表する。するとその時、リチャードの末妹コーラが「リチャードは殺されたんでしょ」と言い放ち、そこにいる全員を凍りつかせる。実は親戚の者たちはすべて、ひどく金に困っていたのだ。そして葬儀の次の日、コーラが殺される。
クリスティが生んだ名探偵エルキュール・ポワロものの、知る人ぞ知る傑作。ミステリーの真相とは、作者が仕掛けたミスリードを作者自身がひっくり返すことだ。そこでひっくり返る事実が大きければ大きいほど、意外であれば意外なほど、そのミステリーは成功したと言えるだろう。本書では、そんなことがあっていいのか!というひっくり返しが起こる。
「事実がそこにあるんです。はっきりね。誰が見てもわかるように(ポワロ)」。ところが、人の目は節穴だ。クリスティを読むと、そのことを痛感する。 -
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バート・クリングの恋人であり、これまでも物語の中で仲むつまじい様子を見せてくれた、クレアの死。
クリングとのデートの前に立ち寄った本屋にて、一人の男による銃乱射事件に遭遇してしまったクレアは、命を落としてしまいます。
犯人は誰なのか。そして犯人の目的は…。仲間であるクリングの恋人を襲った悲劇ということで、スティーブ・キャレラはじめ87分署の刑事たちは、躍起になって事件の捜査に向かいます。
なかなか掴めない事件の全貌を暴くべく、復讐の念に駆られながらも根気強く立ち向かう刑事たちの姿に、87分署という彼らの繋がりが見えたように思います。
恋人を失い、失意の底に沈むクリングの姿を見ていると、クレアという存在が彼にとってどれほど大きかったのかを、改めて感じました。
犯人を挙げることに燃えるスリリングな展開と、そのモチベーションとなる心の内を細やかに描いた個々の刑事の心理的描写により、これまで読んできた『87分署シリーズ』の中でも特に、リアリティのある優れた作品であると思いました。
クリングの悲哀を思うキャレラの心情を描いたシーンが、今も心に残ります。 -
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マクベイン『87分署シリーズ』。
ある酒屋で殺害された1人の女性アニイ・ブーンは貞淑な妻であり、優しい母親であり、ある人にはインテリに映り、ある人には酒飲みの情婦に映った。様々な顔を持つ彼女を殺したのは、一体…。
原題『Killer's choice』とあるように、アニイの持つどの顔が犯人の殺意を引き起こしたのかが本作の重大な争点となります。
87分署のお馴染みの刑事が聞き込みを経て被害者アニイの様々な顔を掴んでいく様子は、心地よいテンポと飽きさせない展開によって描写されています。
ページを繰る手もスムーズに進み、具体的な描写も映画を観ているかのような気分にさせてくれるのです。
あまりに面白い展開に、たった半日足らずで読み終えてしまったことも付言しておきます。
本作で初めて登場する赤毛の大男で二級刑事コットン・ホース。
刑事としての荒々しさに欠ける所作でキャレラを危険な目に遭わせるも、泥臭く成長していく様子には、読者として思わずエールを送りたくなりました。
とりわけ、マイヤー・マイヤーの活躍がここまで描かれているのはシリーズの序盤にして本作が初めてであり、マイヤー好きな私には印象深い作品となりました。 -
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ネタバレ初めのうちは、どこの文化の話かよくわからなかった。
現代のイギリスの話でないことは分った。
昔の話なので、生活の実感がわかなかった。
家族の間の関係は、資産がある家だとこういうふうなんだろうなと想像はついた。
登場人物でアガサクリスティに近いのは、
インホテプの娘レニセンブと
インホテプの母エサかな思った。
「生きている妾と、死んだ妾では大違い」
といった、人生訓のような言葉があちこちに出てくる。
エジプト文化の人生訓なのか、
アガサクリスティの見聞きした人生訓なのははわかららなかった。
話の筋としては、へネットという召使の位置付けがよくわからなかった。
殺人者の正体も意外だった。
へネットの位置付けと殺人者の正体の2点を除けば、とても奥深い物語だと感じました。
エジプトへ行って,エジプト文化に触れてから再読したい。 -
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折原一氏が解説で、クリスティの中で一番の作品と言っているので、最近のマイブームにのって読んでいました。この作品は過去には読んでいないはずです。
「だって、リチャードは殺されたんじゃなかったの?」
アバネシー家の当主リチャードが病死した葬儀の後の、遺言状公開の席上で、末妹のコーラが無邪気に発したこの言葉。このとき、席上にいた親戚一同の凍りつくような雰囲気。それがまざまざと映像のように意識させられるうまい冒頭です。
そして、その言葉を発したコーラ本人は翌日殺されてしまうのです。
なかなか憎い演出と意外な犯人で楽しめました。久しぶりに読むとポアロのもったいぶった演出も気にならなくなっていました(笑)。犯人はわかりませんでしたが、鏡の話から、その仕掛けは薄々わかりました。そしてヘレンが電話をした時に・・・でも、それでも犯人は分からなかったかな。
でも、私が犯人なら、ここまで頭のいい用意周到な犯人なら、こんなことしなくても望むものは手に入れられるような気もしますが(笑)。
すっかりクリスティ再読がマイブームになり、続けて数冊読みたい感じです。 -
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ネタバレポアロシリーズ⑩
先日、通勤電車が出発時間になっても駅から動き出さない。「何かあったのかなぁ〜」と思っていたら、車内アナウンスが流れてきた。
「女性専用車に、蜂が侵入したため対応しております」
なるほど!そういう事もあるのね〜!
ということで、この本です。
旅客機の中で金貸しの女性が死んでいた。首には針で刺された跡が。
機内には黄蜂が飛んでいた。
そして、毒の塗られた吹き矢と筒も見つかった。
彼女の殺害方法は?動機は?
今回のポアロは、イギリスのジャップ警部に、犯人にされかけたことをからかわれ、
フランスのフルニエ警部には、物事を難しく考えないと気がすまないのかと眉をひそめられていましたが、灰色の脳細胞は冴えわたっていました。
乗客の持ち物リストで犯人の目星がつくって!流石だわ〜!
そして、恋のキューピッドにまでなってしまうポアロが、またダンディだわ〜!
あっ、電車は何事もなく出発しましたよ〜。 -
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時代的には、第1次世界大戦と第2次世界大戦の間の1930年代らしいです。飛行機を使っているので、もう少し後かと思ったんですが。しかも、この作品が出た1930年代には、舞台となったプロメテウス号の様な21人も乗客を乗せることが出来る旅客機は数少ないながら特定できていないっぽいですね。イメージに近いDC-3は、この作品の刊行後に世に出てきているらしいです。
そんな、当時としては最新の乗り物での、ある意味密室殺人なのですが、ポワロの灰色の脳細胞は見事に解決しています。まぁ、自分も容疑者のひとりであるわけなので、解決しないわけにはいかない状況だったんですけどね。 -
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87分署シリーズ5作目。バーで酒まみれになっていた女性の遺体。彼女は誰でなぜ殺されたのかを追う警察小説。
今作はキャレラとクリングとマイヤー、そして新キャラのホースが主軸。
ゆるく読めるのが良き→
私にとって87分署シリーズは、謎解きよりもメンバーがわちゃわちゃしながら事件を解決していく過程を楽しむ物語なので、今作もとても楽しめた。新キャラのコットン・ホースがいいキャラなんだよなぁ(笑)
殉職者が一名出てしまったのはショックだけど。なんか、あっさりで衝撃……→
シリーズ3作目の「麻薬密売人」で出てくるバーンズ捜査主任ファミリーがチラ見せ登場しているのが個人的にポイント高い。ラリイ(バーンズの息子)が一緒に食卓についてる〜!!!回復したみたいでよかったよ〜!!! -
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1974年版の映画「オリエント急行殺人事件」は面白すぎて感動したが、1978年版の映画「ナイル殺人事件」はぱっとしなかった。よって原作も読む気はなかったが、あらかたクリスティーの代表作を読み終えたので、今回手を出した。すると、意外や意外、面白かったのである。筋を知っていても、いや、筋を知っているからこそ読んでいて楽しい部分が多くあった。読書の優れているところは、「この人誰だっけな?」「なんかそんなことあったな?」といったとき、ページを戻って確認できることだ。かすかな記憶をたよりにページをたぐるのは、面倒ではあるが、楽しい作業でもある。また、事件が起こった船の船室の配置図があるのがよかった。何度もこの配置図を見て、事件の巧妙さに感心した。というか、この部屋の配置でなければ、この犯罪は成立しない部分があり、それは犯人にはコントロールできないことのはずで、犯人が犯行の詳細をいつ決めたのかは考察の余地がある。残念ながら登場人物たちがめぐるエジプト観光地の絶景は読書では味わえないのが欠点だ。ではもう一度映画を見てみるか。新しいのはつまらなそうなので、見るならやっぱり古いほうかな。