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経済学の分析道具として発展したゲーム理論は生きるための多くの知恵も与えてくれる。「利己的な人」を想定したナッシュ均衡と、「全員の利益」を最大化するパレート効率性が一致しないジレンマ。その解決のために考えられるさまざまなメカニズム・デザインと、理想のルール設計は不可能であるとする不可能性定理──人間社会の限界をも示唆するゲーム理論を学んで、したたかに生きよう。(ブルーバックス・2012年8月刊)
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Posted by ブクログ
ナッシュ均衡、パレート効率性といったゲーム理論の基本となることが具体的に学べる。量子ゲームという考え方を初めて知った。また、参考図書が難易度別にたくさん掲載されているので、さらに勉強したいと思っても困らないようになっていて素晴らしいと思った。
ナッシュ均衡って聞いたことあるというレベルだったので面白く読めました。ゲーム理論の入門書としてオススメ
私と違って、数学が「好き・得意」の人が見ている世界はどんなものだろうと興味があり手に取った本。「ケーキを分ける時にもめない方法」、帰りに3人でタクシーに乗り、順番に降りていく時にどれくらいお金を払って降りるべきか(「逐次費用分担法」)など、興味深い「ゲーム理論」がいくつかあった。
なんとなくゲーム理論の基礎的な知識が身についた。この本には応用系の話題、コラムのような基礎知識を身につけるためのインセンティブに欠けているようにも思えた。あと数学などの取り決めみたいなものに疎いせいか、いきなり説明なしに数式化、図化されて、読み取るのに時間を要した。 でも入門書としては良いのかな。第...続きを読む7章「量子ゲーム」は読まなかった。 そもそも結構斜め読み。
ぉわー。 また大分内容を忘れてしまった。。 とりあえず、ゲーム理論って、囚人のジレンマくらいしか知らなかったけど、もうちょっといろいろあったんだね、っていう(笑)。 そして、なんで「ゲーム理論」というかって、実際、ポーカーとかのゲームで勝つ可能性を最大化させる研究から始まっているっぽぃ。 ある意味新...続きを読むしく、また理解もなかなか難解(?ついパレート最適とかを考えてしまうから、というだけですが)なのは、ナッシュ均衡の考え方。 つまり、「自分も相手も、お互いに相手の予想通りの戦略を選ぶことが、お互いにとって最善になっている状態」(p. 30)。 まぁなんていうか、予想が大方できる場合の話かな、という感じですが。 あとは、平等性(絶対的1/2)と衡平性(各自納得の1/2)が異なる話とかは面白かったかな。 きちんと1/2にしたいときのナイフ移動方の話とかも分かりやすいし、またなんとも賢いな、と感じて面白かったな。 そうそう、あと、まさかゲーム理論が選挙の1票の平等性とかの話にもつながっていくんだ!と思ってちょっとびっくりした。 その辺は、またほかの本も読んだりして、深められたらいいなぁ。(いつか 笑)
ゲーム理論について、基本的な考えを実に分かりやすく解説した本です。 ほんとに過不足なく、素晴らしくまとめていると思いました。特筆すべきがない、というのは、おそらく最大の賛辞なのではないかと思うほどに、入門書としてまとまっています(笑)
内容盛り沢山、だがたしかに盛り沢山すぎて各章の印象が薄く、かつ理解が難しくなっていると思う。 特に最終章に量子力学との関連を持ってきた点は、発展中の学問だけに、徒に話をややこしくしてしまったのではないか。 ただ、あとがきにあるように、パレート効率性とナッシュ均衡の概念を、この一冊で把握することは...続きを読むできた。 それはゲーム理論、という考え方について本書が各方面からアプローチしてくれた結果だと思う。その点、作者の狙いは満たされていると言えよう。 総括するに、たとえば高校生が取り組む入門書としては難解だが、ある程度の時間をかけてゲーム理論に取り組もうとする者の入門には推奨できるのではないか。
入門書としては、少しレベルが高く感じたが、 「囚人のジレンマ」や「ソロモン王のジレンマ」など聞いたことはあるけれど、詳しくは知らなかったものを説明されていて面白かった。
ゲーム理論がわかりやすく解説されている。特に、囚人のジレンマが量子ゲーム理論ではナッシュ均衡の解が存在する事と量子相関の関係が見てとれ、興味深い。
ゲーム理論はもともと、ジョン・フォン・ノイマンらによるポーカーについての分析から生まれ、有名になった理論です。いまでは医療の世界であたらしい医者の配属の仕方に用いられていたり、建築業界などで工事の入札を自分の会社が赤字にならない金額でうまく権利をものにするために使われる論理だったりするそうです。 ...続きを読むそうじゃなくても、有名な「囚人のジレンマ」(別々に取り調べを受けるAとBの両者のうち一人だけ自白しもうひとりが黙秘すると前者は無罪放免で後者は長期の刑期に服すことになり、ともに自白するならば刑期は免れないが情状酌量の余地がもたらされ、両者が黙秘だと両者とも軽微な罰だけで済む状況のなかで、AとBはどう行動するべきか? を考える問題)と呼ばれる状況と似たようなジレンマ・葛藤に僕たちも日常ででくわすときがあり、そのときに頭をひねろうとするその思考パターンを洗練させて学問化しているのがゲーム理論だといえるでしょう。 そのようなジレンマに対してナッシュ均衡とパレート効率性という二種類の最善手があります。その二つを中心に、そしてそれらの性質を見ていきながらゲーム理論の領域に足を踏み入れていく読書になりました。 余談ですが、僕は大学生の頃にバイト仲間たちと社会心理学の範囲で知った「囚人のジレンマ」の論議をしたことがありました。軽い雑談の中でですが、みんな懸命に最善の解や新しい解をひきだそうといろいろ言いあったものでした。その流れもあって、バイト仲間とラッセル・クロウ主演のアカデミー賞受賞作『ビューティフル・マインド』を観にいったりしたんですよねえ。この映画の主人公が、ナッシュ均衡を生んだノーベル経済学賞受賞者・ジョン・ナッシュ博士だったのです。 本書はさまざまなジレンマのケースを扱いながら、ゲーム理論を用いた社会デザインの学問である「メカニズム・デザイン論」にも足を踏み込んでいきます。ゲーム理論でわかる人の動きを考えながら規制やルールを決めて、上手に人を動かす仕組みを作ろうというのがこれです(それに付随するコラムでは、低賃金と高賃金では、高賃金のほうが労働者の労働に対する真剣味が増し、生産性が上がる効果があることについての説明があって、そのとおりだな、と膝を打ちました)。身近で使える簡単なルールでいえば、二人でケーキをわけるとき、一方がケーキをカットし、もう一方がどちらを自分のものとするかを先に決める、というのがありました。カット&チューズ法というそうです。これは上手なやりかたですよね。公平です。 でも、ゲーム理論には「不可能性定理」という問題があることも解説されていきます。たとえば「コンドルセ・パラドックス」という、多数決では決定不可能なことを証明したものがあるのですが、さらに、「コンドルセ・パラドックス」を発展させて考えた投票制度に関する「アローの不可能性定理」というのがあって、これによると、民主的で公平でというように、理想の投票制度の満たすための5つの条件をかかげてそれら全てを満たすパターンを導き出せばそれは「独裁制」に行き着くのだそうです。これは当初の目的と相反する答えなので、完璧な投票制度は作れない、という不可能性定理となるのでした。 不可能性定理には、「個人の自由の尊重」と「全員一致の原則」を同時に満たすルールは存在しない、というものもあると書かれていました(アマルティア・センの「リベラル・パラドックス」)。こういうのを知ると、自身が探している理想のようなものはセピア色の牧歌的なものだったのか、と残念に思う方もいると思います(僕も思いました)。 また、人々の思惑にもとづく戦略的操作とは無縁の社会を、僕たちは作ることが出来ないこともわかっているそうです。しかしながら著者は、そこで悲観せず、だからこそゲーム理論をいかして戦略的に「したたかな生き方」をしてほしい、という願いを綴ってもいたのでした。著者が本書を著し、この学問に邁進するのには、そういう考え方が土台にあるのでした。 じゃあ、ゲーム理論を学んで社会のデザインに生かそうとしても様々な不可能性定理によってまったく役に立たないかといえば、今後を考えると決してそうではない兆しがあるようなのです。それが「量子ゲーム(量子ゲーム理論)」の分野。量子力学の知見である「量子の重なり」や「量子もつれ」を活かして考えると、囚人のジレンマなどの数々の難問が解けてしまう。今後、量子コンピュータが試験段階から実働段階にうつると、量子ゲームの方法でたとえばネットカジノのブラックジャックを勝ちまくるようなボットプレイヤーが登場するかもしれないという話もありました。 というようなところです。数式がでてくるところはわずかで、文章での解説力(論理力)がしっかりしていてなおかつわかりやすいので、読解力があれば数式にもついていけるくらいの初歩のレベルだったと思います。僕はあまり数学だとかをやってこなかったのでこういう本にはたじたじになりやすいのですが、なんとかついていけました。それどころか、楽しく読めました。
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