サメの研究者による美ら海水族館の紹介と研究ネタの紹介本。
面白いですね。
サメ学の本の続きのようですが、そちらを読まず、こちらから読んでしまいましたが、前著も読んでみたくなりました。
「知れば知るほど謎が深くなる、というのが研究の醍醐味」と言い、「バケツ一杯の水で棲んでいる魚が分かる技術の開発」は
...続きを読む、その撥露でした。
水族館は動物園と同じように遊戯場的な扱いを一般的な感覚ではもってしまいますが、
生物の飼育技術の向上→魅力的な展示につながる→多くの来院者→研究・技術開発の活性→新たな展示に還元
と、研究する水族館というモデルを構築できていることが、唯一無二のポジションという記載に唸りました。
確かにサメの人工子宮は初めて知りました。
特にお気に入りは、第2章の「役に立つ装置と、役に立たない研究」で、サメに超音波検査(しかも水中で!)とか、カエルやエイが瞼を閉じる時、一緒に眼も皮膚に陥没するらしいのですが、エイは眼球を引っ込める距離がなんと4cmも移動し、ほぼ目の大きさと同じ距離を移動する唯一の生物という件で、「この役に立ちそうな装置を使って、びっくりするほど役に立たない研究をしてやろう」というところ。
こういう環境が維持できる日本で今後も言って欲しいと思いつつ、役に立つ製品を!とか、ニーズから商品開発を!と日夜悩ませている自分と比較して、ちょっぴり切ない気分になりつつ、なぜかほっこりした本でした。