あらすじ
世界が憧れる沖縄美ら海水族館の、知られざる日常と非日常を綴った一冊。
・水族館は不要不急!?
・ジンベエザメの採血&エコー
・「メガロドンは深海ザメですか?」
・古代ザメの幻のペニスを求めて
などなど、気になる話題が盛り沢山!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
この本は分野を問わず研究職に就く人は絶対読んだ方がいい
というのも研究職においての課題がはっきりと描かれているからだ
サメ研究について分かりやすく解説しながら、経済や産業に直接貢献しない研究を挑戦的に「役に立たない」と題してそれらの研究及び研究結果のアーカイブ化の重要性を問いかけている
どうか日本も「役に立たない」事柄を研究する価値に気付いて適切な制度の設置、予算配分をして欲しいと思う
知的好奇心は大切
なかなかに興味深く、思ったよりも楽しく読めた本でした。
以前に、ある研究者がバッタを倒しにアフリカへ行く、という本を読んだことがあるのですが、その本とはちょっと違い研究内容やその方法、研究する方の想い等が丁寧に書かれていてかなり読みごたえのある内容でした。
勿論、先の本も書かなかっただけでスゴいことしてるんですけどね。
水族館という、ある種のエンターテインメントの提供をする場所で働く方たちの熱い思いって言ったらアレだけど、「生き物の命を守り、繋いでいく為にこんなに色々と考えている」というのを感じられる熱意のある本でした。
美ら海水族館はかなり好きな場所なので、ちょっとした裏側を覗き見られて得した気分です。
Posted by ブクログ
自分も研究者の端くれとして、大変興味深いタイトルに惹かれ、本書を手に取った。
自分の研究は建物の耐震工学なので、こと日本においては説明不要で重要な研究と認知されることが多いが、生物関係の研究はすぐに役に立つわけではない研究も多いことがわかった。(こんなのも研究になるのね、という発見もあった)
本書で紹介されているような基礎的研究も、種の生態系を把握する上で重要ではあるが、今の日本の制度上、役に立たない研究は研究費を貰いづらく、重要だが人間の生活には役に立たないと言う研究が発展しない現状がある。美ら海水族館と研究センターの関係性のような工夫が必要なのだろうと思った。
Posted by ブクログ
サメの研究者による美ら海水族館の紹介と研究ネタの紹介本。
面白いですね。
サメ学の本の続きのようですが、そちらを読まず、こちらから読んでしまいましたが、前著も読んでみたくなりました。
「知れば知るほど謎が深くなる、というのが研究の醍醐味」と言い、「バケツ一杯の水で棲んでいる魚が分かる技術の開発」は、その撥露でした。
水族館は動物園と同じように遊戯場的な扱いを一般的な感覚ではもってしまいますが、
生物の飼育技術の向上→魅力的な展示につながる→多くの来院者→研究・技術開発の活性→新たな展示に還元
と、研究する水族館というモデルを構築できていることが、唯一無二のポジションという記載に唸りました。
確かにサメの人工子宮は初めて知りました。
特にお気に入りは、第2章の「役に立つ装置と、役に立たない研究」で、サメに超音波検査(しかも水中で!)とか、カエルやエイが瞼を閉じる時、一緒に眼も皮膚に陥没するらしいのですが、エイは眼球を引っ込める距離がなんと4cmも移動し、ほぼ目の大きさと同じ距離を移動する唯一の生物という件で、「この役に立ちそうな装置を使って、びっくりするほど役に立たない研究をしてやろう」というところ。
こういう環境が維持できる日本で今後も言って欲しいと思いつつ、役に立つ製品を!とか、ニーズから商品開発を!と日夜悩ませている自分と比較して、ちょっぴり切ない気分になりつつ、なぜかほっこりした本でした。
Posted by ブクログ
沖縄美ら海水族館は“研究する水族館”。
飼育技術と魅力ある展示で来館者を呼び、研究者を引き寄せ、
研究を活性化させながら、展示の更なる先を模索する。
そこに身を置く3人の研究者たちが語る、仕事と研究の日々。
・カラー口絵4ページ
・はじめに
第1章 ちょっぴりマジメな美ら海サメ学への招待(佐藤圭一)
第2章 ちょっぴり笑える役に立たない最高のサメ研究(冨田武照)
第3章 美ら海は夢とともに世界へ(松本瑠偉)
第4章 美ら海の研究は本当に役に立たないのか?(佐藤圭一)
・あとがき
参考文献有り。
コロナ禍での非常事態宣言による臨時休館。
水槽を維持するための電力コスト、人件費、エサ代の重圧。
それでもオンラインを活用する活動で、窮地を脱する努力。
飼育員も研究者もいる職場であることが、活動にも展示にも、
活かされている。
古生物学者としてのジレンマ。謎多きメガマウスザメ。
研究の中ではサメの人工子宮や水中エコーの開発など、
役に立つものもあるけど、びっくりするほど役に立たない
研究をしたいという心情が。
ジンベエザメの研究は飼育員環境にも活かされるし、
水族館でしか出来ない研究もある。更に、その成果が海外での
共同研究に役立つことがある。ガラパゴス諸島での海中調査は、
わくわくする臨場感に包まれていた。
“役に立たない研究”と謙遜してはいるけれども、
研究者ならずとも好奇心のある者には、面白さが伝わってくる
愉しさとロマン、希望が備わっていると思います。
きっちりとした研究が飼育展示の土台になっていると同時に、
多くの記録や標本が保管されているからこそ、
生物たちの過去から未来への懸け橋も備わっているのでしょう。
いつかジンベエザメの妊娠や出産が解明出来たとしたら、
あの調査と研究が実を結んだなぁという喜びも味わえそう。
Posted by ブクログ
もともと私自身が海や海洋生物が好きという背景とあるが、めちゃくちゃ面白かった。大学で少し研究というものをかじったことがあるが、こんな情熱を持って研究できればよかったなぁと思った。私自身もいわやる産業的にお金にならない研究をしていたが、この研究は面白い!人にこの面白さを伝えたい!という気持ちが必要だったなと反省(^◇^;)
美ら海水族館は娯楽施設だと思っていたが、こんなにもアカデミックな研究をされていたとは驚いた。水中エコーは美ら海が始めたということで興味深かったし、これのおかげで色々な研究が進むとはなかなかロマンあふれる話ではないか。
あぁ、私もこんな研究をしてみたいと思わせてくれた本。本に書いてあること以外に、地道な作業、業務や数えきれないほどのうまくいかない苦労もあるとは思うが、研究って面白そう!という気持ちにさせてくれる。
Posted by ブクログ
美ら海水族館に行ったら魅力的で読みたくなった本作。3人のサメの研究者が、この美ら海水族館に辿り着くまでそして今直面していることが書かれていて、またさらに美ら海水族館が好きになった。
Posted by ブクログ
タイトルに惹かれて、思わず手に取った。
美ら海水族館がこんなにも研究をしているなんて知らなかった。もう何年も行っていないが、久しぶりに美ら海水族館に行きたくなった。
役立つ研究だけが重要ってことはないんだと、目からウロコ!
Posted by ブクログ
役に立たない研究が大切なワケ。
沖縄美ら海水族館は研究を奨励する体制があり、この本はその中でも特にサメに関する職員の研究を中心にその面白さや意義について書かれている。浅学ながら美ら海水族館がサメの研究で国際的にも重要な論文を発表しているとは知らなかった。コロナ禍の水族館の様子や、動物園・水族館の研究活動についても書かれていて、興味深く読んだ。
研究は「役に立つ」ことが求められる。自分の経験でも、大切なのはso what? それで? と聞かれた時に何のためか答えられることと教えられた。たとえばこの本で取り上げられている人工子宮はサメの飼育のために必要だから「役に立つ」研究だ。水中エコーも、それを使ってサメの生態を知ることができる装置で、サメの生態がわかれば保護にも活かせるから「役に立つ」と言える。さて、それではサメを保護したり飼育したりするのは、人類にとって何の「役に立つ」のか?
クモの糸やヤモリの指先を研究して、新しい素材を生み出す研究が話題になったことがあった。生物の研究を、そういう人類の「役に立つ」何かのために行っている人もいるだろう。間違ってはいない。でもこの本は教えてくれる。たとえ直接人類の何かにならなくても、水族館で様々な生き物を研究し、その成果を発表することが、どれだけ大切なのかを。
SDGsなんて言わなくても、自然保護は今や世界全体の課題だ。動物たちと地球上で共存していくということは、人類の中で争っている場合ではない。動物の姿を見るなら、すぐそこの自然で見る以外には、動物園や水族館がその場所となる。そこで生き物たちがいきいきとした姿を見せること、その出会いから生まれる興味や好奇心は、必ず生命への共感と責任感につながる。だから、美ら海水族館は研究を進め、その成果を発表し、共有し、還元する。素晴らしい水族館の在り方だ。
この本から私が得た結論はこうだ。すべての「役に立たない」研究は、人間が地球上で生きていくために大切なのである。
Posted by ブクログ
ちょっぴりマジメな 美ら海サメ学への招待
佐藤圭一
ちょっぴり笑える 役に立たない最高のサメ研究 冨田武照
美ら海は夢とともに世界へ 松本瑠偉
美ら海の研究は本当に役に立たないか?
佐藤圭一
閉館している間、収入ゼロでもかかる莫大なランニングコスト、運営コストが群を抜いて高い水族館。そこでの研究者の方々の話しです。
砂の中からヒモムシ。
妊娠しているイタチザメの子宮。
川を遡上するオオメジロザメ。
この役に立ちそうな装置を使って、びっくりするほど役に立たない研究をしてやろう。私にはそんな野望がある。そんなに簡単に人の役に立つと思うなよ。
マンタの「ツボ」を押して動きを止める。
トラフザメの胸ビレや尾ヒレの先を少し握ると動きが止まる。
巨大なメスのジンベイザメから出てきた300匹以上の仔ザメたち。
ミツクリザメを調べる仲谷先生。の笑顔。
魅力的な写真とイラストがたっぷりあります
パラパラマンガが可愛くて、パラパラしっぱなしでした。
沖縄で学会の年会が開催されると、参加者が増えるのは、沖縄の夜の ゆんたく?効果?
面白かった❗
やっぱり人間が面白かった❗
ベルギーの研究者と美ら海の人達のサメ釣り
の顛末は、笑ってしまいました。
ホセ・カストロ氏とオモチャの冨田先生の話しには、クスッとしたりウルウルしたり。
国立自然史博物館。
行きたいなぁ~。