作家生活50周年を飾る巨匠の新たな代表作!
巨匠、作家生活50年。
名作の開幕の時がきた。
暗い時代に自分が書ける楽しい物語とは何か?
帝王キングが出した答えが本書だ。
世界最強の想像力が生んだ、異世界の冒険がはじまる!
ぼくの住む町には〈サイコハウス〉と呼ばれる不気味な屋敷がある。そこに住むのは偏屈な老人がひとり、閉ざされた門を越えると猛犬が襲ってくるという。ある日、悲しげに鳴く犬の声に気づいたぼくは、屋敷の主が梯子から転落して苦しんでいるのを発見した。 これがぼくとミスター・ボウディッチ(と、犬のレイダー)の出会いだった。
怪我をした老人の世話をするため家の立ち入りを許されたぼくは、ボウディッチ氏やレイダーと心を通わせはじめる。噂とは裏腹に老人も犬も恐ろしくはなかった。だが、徐々にぼくは奇妙なことに気づきはじめる。家の裏手から妙な音がときどき聴こえてくるのだ。ボウディッチ氏が奇妙に裕福なのも謎だった。そしてある日ぼくは、氏が大量の黄金の粒を金庫に入れていることを知った――これはいったい何か? どうやって老人はこれを手に入れたのだろう?
謎が謎を呼び、ぼくは徐々にボウディッチ氏の秘密に近づいてゆくが――
絶望に閉ざされたコロナ禍に、巨匠は自身にこんな問いを投げた――
What could you write that would make you happy?
自分が楽しくなる物語。あるいは暗く先の見えない時代にみんなを元気にする物語。
さあ、自分ならどんな物語を書く?
その答えが本書である。
だから最後に待つのはもちろんハッピーエンドなのだ。
元々の原本は、2010年に刊行されているそうです。「FULL DARK, NO STARS」という、4本の中編が収められた一冊の書物として刊行され、そのうちの「ビッグ・ドライバー」「素晴らしき結婚生活」の二編が、日本では「ビック・ドライバー」という作品として発表された、と。残り二編「1922」「公正な取引」は、「1922」のタイトルで、日本では作品化されている、と。かなりのボリュームの中編4作を一冊にまとめると、日本では、ちょっと売れ行き心配なんで、、、ということで分冊化したんでしょうかね?文春文庫さんの判断なのかなあ?とか思ったり。
個人的には、原題の「フルダーク、ノースターズ」が、すっごく好きなタイトルですね。「漆黒の闇、星影も無し」ってな感じでしょうか。人間存在の暗黒面を、見事に表題化している感じ?って思いましたねえ。プログレッシブロックの超有名バンド、キング・クリムゾンのアルバム名でいうなら、「Starless And Bible Black(邦題:暗黒の世界)」って感じですよねえ。
この話、感じとしては、宮部みゆきさんが編集したアンソロジー集「贈る物語 Terror みんな怖い話が大好き」に収録されていた、ジョイス・キャロル・オーツの短編「パラダイス・モーテルにて」と近い雰囲気を、感じました。個人的には。ジョイス・キャロル・オーツ、全然詳しくはないんですが、、、ちょっと、スティーブン・キングと、共通点、、、あるのかしら?どうなのかしら?
「素晴らしき結婚生活」
これも本当に見事な中編だと思います。過不足なさすぎ。本当にまあ、見事にまとめたなあ、と。物語の造形がもう、、、完璧だなあ、と。キング、すっげえなあ!と。痛感する作品でした。まず「素晴らしき結婚生活」という邦題も素晴らしいし、原題は「A Good Marriage」ですがコレもグッド。なんという皮肉の効いたタイトルであることか。うむ、、、素晴らしいです。