シティブックス作品一覧
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3.0官僚組織である警察庁において、唯一、事件を捜査する権限を持つ宮之原警部は、妻の真由子とともに、信州飯田市に嫁いだひとり娘の津玻紗の家を訪ねることになっていた。ところが、妻は姿を現わさない。不審に思っているところに、「要求はなにもございません」という奇妙な電話がかかり、誘拐されたことが判明した。妻は生存証明のためにその電話口に出て、自分を恨む者の仕業かという警部の問いに対し、「違います。これは不運な偶然なのよ」という言葉を残して電話は切られた。これはいったい何を意味しているのか。最愛の妻を誘拐された宮之原警部は、知力と経験のすべて注ぎこみ犯人と対峙する。はたして、妻を無事救出できるのか。宮之原警部シリーズの中でも傑作との呼び声の高い、感涙の作品!
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4.0《まえがきより》 近年の日本人は、世の中が理想通り動くのが当たり前、と思うようになった。ところが、戦前の日本の現実を知っている世代の私などは、いつの時代だって現世は思い通りにならなくて当たり前、と思って来たのである。これが大きな違いだ。 思い通りにならない世界だから、文学も絵画も映画も生れるのだ。(中略)絵画も映画も、皆作品にこの悲しみの世の一部を必ず切り取って埋め込んで来たのだ。 その悲しみや不運をどう処理してきたかが、個人の歴史そのものなのだ。(後略) 悲しみや苦悶を抱えながら、人はどうすれば清らかに生きていけるのか。真面目な人生のための道標となる貴重な一冊。
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-銀座高級クラブのバーテンダー、稲瀬谷健太郎にはもう一つの顔がある。裏の仕事は〝いかせや健太郎〟と呼ばれるコールボーイ。 健太郎は特異な体質で、腋の下のあたりから発する独特のフェロモン〝牡の匂い〟が女性たちを欲情させるのだ。 たとえば。 清純アイドル歌手として売り出し中の江見夕子はまだ18歳だが、本性は病的な淫乱娘。事務所社長に「金で買える男を世話して」と要求し、思い通りにならないと仕事はしたがらないし、マネージャーに当たり散らしたりと手が付けられなくなる。そこで夕子のガス抜きのために〝いかせや健太郎〟に指名が回ってきた。 アイドル歌手から、コメンテーターとしてテレビに登場する人気評論家、政治学者、有名ファッションデザイナー婦人、世界的ロックシンガー、外国人プロゴルファーから65歳のおばあちゃんまで、性的な欲求不満を抱える女性たちを、性技と誠実さで心底満足させていく。
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5.02030年ごろ、世界は大きく変わっていた。 ことに日本は、東京が多民族都市となり、各地で自治区ができ、東北は福島を除く5県が自治区として独立してしまった。 ジャーナリスト丸谷は取材で訪れた山形で古代の遺物と思われる直径2メートルはあろうかという石の球体を見る。 多民族化した東京は古代文明に興味のある丸谷は再度、東北自治区への潜入を試みようとする。 自治区から逃れてきた生化学者を匿った上司が殺されたことから、東北自治区の企みが見えてくる。 古代文明の技術を超えた球体の存在は神の意思なのか宇宙からの技術なのか、思いあがった人類に何を警告しようとしているのか。 30年後の日本の状況を示唆する伝奇小説の傑作。
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-日本三名山に選ばれている立山でドラマの撮影中だった主演の女優・串田加緒里が殺害された。 めきめきと人気の出てきていた加緒里は長野県警大町署の刑事・串田正義の妹だった。 正義は山行中に何者かに突き飛ばされて身の危険を感じていたことが二度もあった、と妹から聞いていた。 正義はかつての同僚で豊科署の刑事・道原に相談をしていた。そんなさ中の事件だった。 何人かの容疑者が浮かび捜査が難航するうちに、彼らの父親・串田光正も殺害されてしまう。 事件は串田家への怨恨か? 捜査すればするほど、真相は深い謎の中に封じ込められるかのように思えた。 だが、執念の刑事・道原伝吉はわずかな手がかりから犯人を追い詰めていく。 長野県警の人情刑事・道原伝吉シリーズ。
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-郷田健一は杉並で開業した歯科医。結婚して8年になる貞淑な妻と幸せな家庭を持っているが、学生時代からの女遊びは止められない。 29歳の美しいOL由利にも偽名を使い旅行ライターをかたって口説き落とし、一夜限りの情交を楽しんだ。 その場限りのはずだったが、新宿のデパートで偶然再会したことで、由利の旺盛な性欲と奔放な性戯に「三度は会わない」という自らの禁を破ってしまう。 スリルを楽しみつつ、甘美な肉体に溺れたあげく、「好きだよ、由利」と囁いてしまう。 そんなことがあっても、何事もなく過ぎていくはずだった。 ところが、由利が彼の歯科医院に患者として現れて……。 美しくも淫らな描写と、男と女の愛憎の心模様が、読者を官能の世界にいざなっていく。
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-北八ヶ岳の山々の一つ、縞枯山は各地で桜の便りがきかれるようになった春先でも、まだ雪が舞っていた。 そんな中、行方の分からなくなった若い女性の捜索を始めた。 警察の捜索隊を中心に、登山パーティや山小屋の主人も加わった大規模な捜索にもかかわらず、行方不明の女性の発見には至らなかった。 かわりに右目を錐のようなもので刺され凍死したと思われる男を見つけた。その後、女の遺体が見つかったが、それは、行方不明になった女とは違っていた。 長野県警諏訪署の刑事、道原伝吉と貞松らが捜査を始める。 無関係だと思われた二つの遺体の関連性が次第に明らかになるにつれて事件は複雑で意外な展開を見せ始める。 道原と貞松の二人の刑事は、東北から関西に至る広域捜査で犯人を追う。 道原刑事の山岳ミステリーシリーズ初期の刮目作!
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3.5バブル全盛期、日本はその強大な経済力を持って世界を席巻しようとしていた。そんな時代に書かれた抱腹絶倒のコミカルなパロディー小説集。 表題作は日本に脅威を抱く各国は多国籍軍を組織して対抗し、日本は影響力をなくしていくその顛末を描く。 そのほか巨大化する力士のためか日本の伝統的スポーツ大相撲の滅亡を描いたり、車社会の「神」の存在や、受験教育のひずみなど、日本の社会が抱える問題は抉り出す。 バブル全盛期に書かれたものだが、21世紀、令和になっても、日本の状況はそれほど変わっていない、いや、もっと深刻になっている、と考えさせられる。 作家の想像力、創造力の偉大さを感じずにはいられない一冊。
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-短編集2冊、中編集1冊を合本にした読み応え版。 『白銀の暗黒』 読み応え十分の5つの中編ミステリーからなっている。 表題となった「白銀の暗黒」は、北アルプスの屏風岩で転落死した登山者のテントに別の登山者の凍死体が発見された事件が発端となった。 「潜伏」では、自分のミスから若い女性を死なせたこという思いから責任をとり辞職した元刑事が、数十年後、死の予感の中で、迷宮入りとなったその事件に、鋭い推理を働かせる。 『仮面の雪山』 手掛かりがなく、迷宮入りやむなしという、手掛かりのない3つの難事件に、豊科署の道原伝吉刑事が足を使い知力と執念で挑む。 表題となっている「仮面の雪山」。正月の北アルプスで遭難した大学後輩の救助に向かった中丸伊左男は、猛吹雪の中、捜索隊からはぐれ行方不明になってしまう。 二重遭難となったが、4日後、奇跡の生還を果たす。 しかし、そこには何かが隠されていた……。 「月の女神」は、大糸線穂高駅のホームで女性が倒れていたことが事件の発端。 おびただしい出血があり救急搬送されるが、病院に到着する前に亡くなった。検死の結果、銃弾による失血による死亡とされた。 数人しかいなかったホームでの銃撃だったが、銃声を耳にした者はいなかった……。 「絶頂の餓鬼」は、冬の北アルプスを山行していた4人パーティに悲劇が襲いかかった。 ストーブに使うホワイトガソリンが、水にすり替えられていた! 1人は生き残るが、3人が死亡。誰が何のためにそんなことをしたのか。 事件に潜む宿怨を、道原伝吉刑事が炙りだしていく。 『血の雪崩』 北アルプスの岳沢で、息子が雪崩に巻き込まれたとの報せを受け、冬山登山経験の豊富な父の中尾英助はただち救助に参加した。 夜になり、捜索はいったん打ち切りとなり、テントを張った。 翌朝、再開のはずだったが、中尾英助はテントの中で刺殺されていた。 捜索に参加した全員がシロとの判断が下される中、豊科署道原伝吉刑事は被害者のずさんな女関係に、事件の真相があるのではないのかと睨んだ……。 表題となっているこの「血の雪崩」のほか5つの短編からなる。 道原伝吉の、真実を見つけるための不断の努力、事件にひたむきに向き合う彼の姿に共感を覚えることだろう。
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-5月の長い連休が明けて、北アルプスに登った男が予定日を過ぎても戻らないという連絡が長野県警豊科署に入った。 県警から連絡を受けた山岳救助隊は、徳本峠小屋の近くで、絞殺された女と捜索願の出ていた男の転落死体を発見し、道原伝吉をはじめとした刑事たちが検死と現場検証に出向いた。 状況から推して、無理心中という見方があったが、道原は雪の荒れた跡の不自然さから他殺の疑いを持った。 関係者にあたるうちに、この事件の鍵は、ミズバショウで有名な尾瀬ヶ原にあると突き止め、19年前のある男の不審死にかかわっていることを見抜く。 複雑な人間関係を解きほぐし、意外な展開を見せる人情刑事・道原伝吉シリーズのスリリングな傑作。
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-上高地近くの、林道から外れた茂みの中で女の死体が見つかった。 10年ほど前に銀座でホステスをしていた女だった。その線から蕎麦屋の店主と娘を連れて駆け落ちをしていたことが判明する。当時2歳だった娘は中学生になっていた。長野県諏訪でひっそりと3人で暮らしていた。 同居していた元蕎麦屋店主の行方も知れなかった。 娘はいったんは殺された母親の福島の実家に預けられたが、出奔してしまう。 どうやら2人は行動を共にしているらしいと読んだ捜査員たちは行方を追い始める。 しばらくたって、女の新しい交際相手だと思われる諏訪の工場経営者が殺される。ますます元蕎麦屋店主への疑いを強くした道原たちは、長野から北海道への執念の追跡を始める。 大好評! 長野県警豊科署・道原伝吉刑事シリーズ。
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-長野県警の人情刑事・道原伝吉の山岳ミステリーの中から、「山脈」というタイトルを三作品集めた面白い企画の合本。 伝吉の執念の捜査手腕は、三作品いずれも嘆息するほど見事。 「地下山脈」 北アルプス・常念岳に登るといって出かけた豊科町に住む家具販売会社社長が行方不明になった。 翌日、稜線から大きくはずれた森林帯で、会社社長は遺体となって発見された。 凍死と思われたが、現場には複数の人間がいたことを示す足跡があり、遺体には殴られた跡なども見つかったことで、殺人事件となった。 捜査は難航したが、刑事・道原伝吉は、かつて銀座のクラブで働いていた実可子という女性の存在に辿り着く。絡み合った男と女の情念を、伝吉は丁寧にほぐしながら、捜査を進展させていく。 「崩壊山脈」 北アルプスから下山した岩佐は、都内の愛人宅に部屋のドアを開けたところで殺害された。 凶器は、ピッケルと思われ、登山経験者が疑われたが、手掛かりに乏しく、捜査は手詰まりになったあたりで、また登山用具を凶器とする殺人が起きた。 地道な捜査がつづけられたが、犯人どころか、犯人像さえ浮かばなかった……。 はたして、執念の捜査が実を結ぶのか。長野県警豊科署の道原伝吉刑事が、金と色の欲にまみれた犯行を暴く! 「死神山脈」 安曇野のホテルの一室で女性の遺体が発見された。 当然、部屋を予約し、チェックアウトして姿をくらませた日比野が容疑者とされた。 だが、刑事・道原伝吉は地道な捜査により、日比野をかたった真犯人がいることを突き止める。しかし、目的はわからなかった。 捜査がゆきづまりを見せはじめた頃、第二の事件が起きてしまう。 その事件も、日比野をかたった凶行だった。 捜査をすすめる道原は、穂高、安曇野、そして東京が、欲と保身によってつながっていることに気づいた。
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-「いいかい、独りでやるの……。いっぱい、いくんだよ」 あてずっぽうにダイヤルを回してセックスを録音したテープを流し、電話に出た相手の反応を楽しんでいると、受話器からは女性の押し殺した息づかいと、「アア、アン」という声が──。 いたずら電話で知り合った美人OL片桐敏子とのセックスにいつしかおぼれていく英次。敏子のセックスは奔放だ。「舐めたい、英次のこれ……」「めちゃくちゃにされたいの」「ひびくわ、英次。とってもいい」「コレはわたしだけのもの」とベッドでは欲望が止まることなく色情を漏らし続けた。そして、ひさしぶりのテレホンセックスの最中に、敏子が突然はげしく喉を詰まらせたような声を出し、殺害されてしまう。現場に駆けつけた第一発見者の英次は容疑者となり警察の取り調べを受けることに。敏子のレコード盤コレクションを手掛かりに殺人犯を探す表題作のほか、女性たちが秘める奥深い性を赤裸々にしていく。 「新宿はぐれ地図」「笑え、デスマスク」「リップ・テクニック」「ディスカバー・ワイフ」「怨み肌」「真夏の夜の狂乱」「蜜のパートナー」「甘い夜のダミー」の9編を収録する勝目梓ワールド炸裂の傑作集。
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-「病は気から」とは、なんと言い古された言葉だろう。しかしそれに「科学」が付くと趣きはちょっと違ってくる。 心が体に及ぼす作用をしっかりと見極めて生活することは、ストレスに対する負担を軽くしたり、生活を楽しくしたり、人との付き合いを円滑にしたりする。 本書では日本の幕末の偉人たちの「気」の持ち方を紹介し、多くの研究者の患者たちへの丁寧なアプローチで「心」と「体」と「脳」の関係を解説する。 そうしたことから「安心感」「精神状態」が健康にどう影響するかを検証していく。加えて、高齢化社会の「病」「心」「老」を考える。 健康生活を送るための知恵と心がある。
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3.0好評、宮之原警部シリーズ。 松山駅近くの繁華街の駐車場でホームレスの他殺死体が発見された。 真っ黒に汚れた衣類、生ごみのような悪臭を放っていた。死体からは、トカレフ、胴巻きからはタレントの戸籍謄本が発見され、事件はセンセーショナルな様相を見せ始める。 半年ほど前に同じ管内の殺人事件を鮮やかな推理で解決に導いた、愛媛県警松山中央署留置所の看守、大鷹鬼平は、刑事の藤森とともに捜査を始める。 実は鬼平には頼る後ろ盾があった。 警視庁遊撃捜査係の宮之原警部だ。 捜査線上には、ホームレスの最後の目撃者、屋台のラーメン屋の親爺、専門学校の用務員、連れ込み旅館の仲居などが参考人として挙がる。 そこへクラブの美人ホステスから「ホームレスに尾けられた」という電話が入る。 鬼平は、ホームレスの身元が事件のカギと睨み、東京・代々木公園のホームレスの群れに潜入しようと試みる。
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4.098歳を超えてなお、旺盛な制作意欲を持って絵画に取り組む著者が、若き日の懊悩や時代に翻弄される人生について、ウィットと哀しみにあふれる文章で綴る日々のかたち。 福岡県飯塚市、筑豊の炭鉱を経営する家に生まれた著者が、東京美術学校めざして一人上京し、地下鉄銀座線の開通にわく東京で、「エカキ」となっていく自分を振り返った自伝的読み物。 戦争へと向かう日々の中で、藝大生として送る日々の暮らしののどかさ、藤田嗣治や今西中通との交流、坂本繁二郎の想い出。戦争のまっただ中にあっても、想いを告げる苦しさと憧れの女性への思慕にもだえる悩みは変わらない。27歳までの青春の懊悩を綴る。
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3.6道教は中国三大宗教の一つで、二千年を超す歴史を持つ。 その考え方の中には不老不死を願う神仙思想、陰陽五行説による男女の交わりなどがある。 こうした考えをもとに「房中長生術」が生まれた。 房中術というと、セックスをどう楽しむかだと解釈しがちだが、そうではなく、セックスという男女の交わりを通じて、病を治し、健康な生活を維持し、長生きをし、場合によっては不老不死の生命を得ようというものだ。 本書では、それらを現代に移し替えて男女の交わり・性技巧について微に入り寨を穿って解説をする。 男女、互いの気持ちを高め、十分に気持ちを通じ、過度にならぬセックスが、体も心も癒し、長寿に導くと説く
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-風光明媚な熊本・天草の島々、休暇で訪れていた大鷹鬼平はバス乗り場で八尋雪枝と知り合いになる。 誘われて御所浦島の同じ旅館に泊まることになる。 雪枝は同じ島内に住む友人を訪ねる予定で、夕食後、友人の夫からの呼び出し電話で出かけていくが、その夜は戻らず、翌朝、溺死体としてフグの生け簀に引っかかっているのが発見された。 時間をおかず東京で、農林水産省の審議官という高級官僚が西銀座の地下駐車場で刺殺された。 まったく関係のない事件だと思われたのだが……鬼平は疑問を抱いた。 美しい海で、真珠貝とトラフグの二つの養殖事業を巡る問題が起きていたことが、どうやら事件にかかわっているらしいと鬼平は睨み、警察庁の宮之原警部に連絡を取る。 社会問題を含んだ壮大なスケールで描く宮之原シリーズの快作。
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-長野県安曇野の秘湯、中房温泉の宿から泊り客の行方不明が報告され、翌日転落死体で発見された。 死体で発見されたのは同じ長野県の南信州の標高1000メートル以上の山村に東京から移り住んだ男だった。 男は妻と次女を東京に残し、問題を抱えた長女を山村の「寮」に“留学”させていた。 転落事故死かと思われたが、偽造された遺書、不思議な記号が書かれた地図らしきものなど、不審な遺留品が見つかった。 安曇野署の刑事・道原伝吉は殺人の疑いを強くし、記号はラブホテル、巨大な歓楽街・新宿歌舞伎町ではないかと目星をつける。 新宿署の協力を得て捜査を開始するうちに、歌舞伎町を舞台にしたドロドロとした人間関係や、東京と信州を結ぶ因縁が見え隠れしてきた。
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-熱海の錦ヶ浦に少女の絞殺死体が打ち上げられた。 発見したのは、元関東管区警察局監察官の飯森であった。 彼は、横浜の警察署の捜査係長だった宮之原の手腕を見込み、警察庁直属の捜査係に引っ張ったその人である。 そうしたいきさつもあり、錦ヶ浦の絞殺死体の捜査を、宮之原警部が担当することとなる。 公開捜査によって絞殺された少女の身元が判明するが、なぜ、彼女は産んだばかりの我が子を、関わりのまったくない有名女性デザイナーの自宅の前に捨てたのか。そして、捨ててすぐに殺されなければならなかったのか。 この事件の裏にひそむ哀しく切ない人間の業を、若々しい宮之原があらわにしていく。
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3.0結婚、家庭、健康、病気、老い、死……。時代が移り、社会が大きく変わっても、これらは私たち人間にとって容易に解決できない永遠のテーマである。一日一日を生きていくなかで、常に壁となって行く手を阻み、私たちを苦しめる。それでも人間は歩み続ける。うまくいかなくても、挫けそうになっても、信念をまげず上を向いて。天空に輝く星に自分自身を重ねるように。 一生はよくも悪くもなくただ続くものかもしれない。そんな日々過ぎて行く時間を、少しでも楽しく、目的を持って費やすならば、人生はみじめであるどころか、その人にとって眩い光彩を放つものになる。作家曽野綾子の数多くの著作には、そんなメッセージが散りばめられている。 妻として、夫として、子として、親として。誰もが拠って立つ位置それぞれの、様々な場面で指針となる希望のことばがここに詰まっている。人生に悩み、闇夜に彷徨うあなたを厳しく、そして優しく照らしてくれる珠玉の箴言集。
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-私立探偵・伊賀光二。ハードな事件によって左右の手の小指を落とされるという報復にあう。 ある日、趣味の裏ビデオの鑑賞をしていた。画面には、切れ長の目で長い睫毛の女が本番を繰り広げていた。 その時チャイムが鳴り、仕事の依頼が飛び込む。依頼人は今まさに“鑑賞”していた本番女優だった。 坂部順子と名乗る女は「父親を捜してほしい」という。元刑事で伊賀と同業の私立探偵の父親は、調査中に別の事件に巻き込まれたらしい。 話を聞いた直後、すぐに手を引けという脅迫電話があり、行方不明になっている坂部の探偵事務所を訪れた帰り、三人組に襲われる。 またハードな事件に巻き込まれる予感を感じながらも、伊賀は若くて美しい女の頼みは断れない……。官能色豊かなハードボイルド探偵小説。
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4.3これはSFなのだろうか、歴史のパロディなのだろうか。 90年にわたるテーマパークの歴史の物語なのである。 双子の天才的な若者によって創設された[下高井戸オリンピック村]は奇抜なアイディアのアトラクションが人気を呼び、次第に大きなものとなっていく。 組織としての基礎も固まった時に双子は突然その才能を失い、その上、異常な科学者によって連れ去られてしまう。 残された幹部たちは集団指導体制で組織を運営することになる。 様々な才能が現れ、以前にもまして巨大で、奇抜で、危険で、グロテスクなアトラクションやモニュメントが次々と作られ、[村]は[ゼウスガーデン]と名称を変え巨大化する。 果ては国家をも超える存在にまで成長する。 反面、内部の抗争は激しくなり、腐っていくことになる。 元老院だ、執行部だ、皇帝派だと、さまざまな勢力が構想を繰り返す。そして次第に衰退をしていく。 1984年に兄弟によって作られたテーマパークは2075年内部から派生したテロ組織によって壊滅させられ、そのご細々と営業は続けられるが2089年過激派グループによって徹底的に破壊され、その歴史を閉じることになった。
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3.0カント哲学の専門家であり、闘う哲学者と言われる著者の日々、ひたすら思考する。 「私が存在するとはいかなることなのか」「善悪とは何であるのか」「私は死後どうなるのか」と自らに問う。 デカルトの「これらの問いをまったく発しない人は稀であろう。では、それにもかかわらず、なぜほとんどの私は思惟する、よって私は存在する」という命題に疑問を持ち、『純粋理性批判』などのカントの著作をもとに答えを見つけようとする。 問い続けることは苦しみだが、それが哲学することだという。 「このすべてを認めた上で、それでも問い続ける人がいる。 その内の多くは、岩のような問いをほんの僅かでも自力で熔解していくことが無性に楽しいからである。 究極的真理には達しなくとも、真理に一ミリメートルでも近づくことが他の何にも換えがたい喜びだからである。」という言葉に、哲学者としての著者の実像がある。
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3.0女性の死体について著者は語る。 女の生き様同様、女の死に様も多種多様である。 怨念を感じさせるような死体もあれば、哀れを誘う死体もある。 東京都の監察医だった著者は、亡くなった方が存命だった頃の、喜びや辛さ、せつなさにまで想いをはせる。 女の死体は、男の死体と明らかに違うことが見えてくる。
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4.5駅の構内放送、電車や新幹線内の放送、デパートやスーパーマーケットをはじめとする商業施設、商店街、個人商店、行政のスピーカーから流れる放送、そして車からの警告音などなど。街には機械音、肉声を問わず、スピーカーを通じて様々な音が流れている。そうした音、騒がしい状況を日本人は何の抵抗もなく受け入れている。だが、それに耐えられない人たちもいるのだ。抵抗なく受け入れられる人をマジョリティとするなら、耐えられない人はマイノリティとなる。闘う哲学者として問題提起をしてきた著者が、ここでは「騒音社会」で、静かな空間を求めると同時に、悪露に対する少数派の権利をどう考えるか、という問題について展開をしていく。ことに音は単に数値で測定をして「大きい」というだけではなく、個人差や状況によって「嫌悪」を感じるものなのだ。それは性的なマイノリティや、趣味や趣向の少数派差別にも通じるものだという。
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-阪神淡路大震災から2カ月半ほどたった頃、愛媛県松山市のホテルで絞殺死体が見つかった。 その背中一面に桜の刺青があった。 暴力団同士の抗争かと思われたが、殺されたのは退官した高級官僚だった。 ひとり娘の話から、父親は西行法師に傾倒し、その足跡、事蹟を訪ねることが退官後の趣味だったといい、持ち物から肌身離さず持ち歩ていた西行の歌集「山家集」がなくなっていることがわかった。 娘の契は婚約者とともに捜査に同行する。 西行と桜の刺青と高級官僚、これらのキーワードによって事件は複雑になっていくが、次第に解き明かされる。 警察庁の宮之原警部が活躍する社会派ミステリー。
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-長野県警豊科署の人情刑事・道原伝吉が直面する3つの難事件。 「岩稜の記憶」 鶴田家の長女・左蓉子の結婚式当日、新婦の父・晴良が溺死体となって上高地梓川上流のダムで発見された。 晴れの日に自殺などするはずもない。が、他殺と断定する証拠もなかった。 所轄の豊科署刑事・道原伝吉は、晴良がなぜ、長女の結婚式当日の朝、ダムに行くことになったのかを推理し、地道に捜査をつづけると……。 「氷雨の感染」 長野県穂高町で、宅配業者が見つけたのは、玄関に溜まっていたおびただしい量の人血だった。 この失血量ではとても生きてはいられないはずだが、人はどこにも倒れていなかった。 死体なき殺人事件の様相を呈するなか、捜査を進める道原伝吉は、その家に、殺意が潜んでいるのを読み取った……。 「高峰の掟」 豊科署長宛に、「宮坂刑事の妹は『変態教室』というAVに出演している」といった内容の手紙が送られてきた。 名指しされた刑事とその妹は実在し、妹は現在、行方がわからなくなっていた。 刑事課次長から相談を受けた道原伝吉は、東京に出向き、AVの制作会社を訪ねることからはじめた。 思わぬ展開に向かうなか、人情刑事・道原伝吉の胆力は見事であった。
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-東京都監察医務院の元院長の「死体は雄弁に語り、そして嘘をつかない」を信念に2万体の死体と向きあっててきた“法医学”エッセイ。 病気による“変死”や“突然死”からはじまり、殺人、事故、自殺……。その裏には様々な人間模様がある。 保険金殺人、子供同士のいじめ、老人問題、貧困、親の子殺し、バラバラ死体、毒殺、溺死、放火など、死体を見つめてきたから見える社会の本当の姿。 社会を騒がせた様々な事件を例にとって、犯人像に迫っていくその方法は、ミステリーを思わせる。 なお、本書は「死体との悲しい約束」を改題したものです
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3.7まるで、朝食のテーブルを挟んで前に夫婦が語り合っているかのようだ。 丁々発止のやりとりは、スリリングであり、エキサイティングだ。 日々の生活、子育てから始まり、日本と日本人、国際社会で生き抜くこと、安全保障の危うさ、戦争はいかに人を作るか、キリスト教、イスラム教、仏教、神道―宗教は人生とどうかかわるか、夫婦の在り方と幸福とは、などとさまざまに展開していく。 義務や責任をないがしろにし権利だけを主張しがちな現状を憂い、このままでは日本は危ういとまで言い切る。 日本人はどうあるべきか、どう生きるべきかを、長い人生経験と独特の価値観、50年以上の夫婦生活の経験から語る珠玉の言葉の数々。
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3.5哲学は難しい、哲学者は何を考えているのかわからない――。 一般人には、哲学も哲学者も雲の上の存在である。本書を読むと、哲学者は日々こんなことを考えているのかと知ることができるが、驚愕もしてしまう。そして同時に、多くのことを学ぶ。 この本は、カント哲学の学者であり、闘う哲学者として多くの著作を持つ著者の、講演やインタビューや対談をまとめたもの。 考えるための素材に満ちている。 哲学を志す原点となった、小学生のころの「明日死んでしまうかもしれない」という恐怖は「そんなに一生懸命生きても明日死んでしまったら何にもならない」というところへ向かう。 ウィーン留学で考えた「ヨーロッパ」「国際化」。哲学を学ぶことは「死」と「時間」と「言葉」と向かい合うことであり、「理不尽さ」を知ることであるともいい、真摯に哲学的に「生きる」ことのたいへんさを語る。
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-白バイで暴走車を追跡中だった諏訪署交通課の浜中良秀が亡くなって一年半あまり経ったある日、妹の久絵が旅行先の北海道で消息をたった。 連絡がとれないだけなのか、行方不明なのかわからない段階だったが、不安になった浜中家の父は、良秀がかつて警察学校で同期だった一色昌平刑事に相談した。 しかし一色は、浜中家を出た直後、何者かによって射殺されてしまう。豊科署における初めての刑事射殺という大事件となった。 捜査本部が置かれ、専従となった道原伝吉刑事は、幾重にも重なり、見えなかった事件の深層に、少しずつ近づいていくが、そこには、想像を超える驚きの事実の連続があった!
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3.6電話男とは何者であるか。小説内では、こう書かれている。 「電話男はなんの報酬も求めませんし、逆にあなたに向ってグチを言ったりすることも決してないのです」 電話男は、以下のような存在らしい。 「どんな話にも耳をかたむけることになっています。だから話がつまらないからといって途中で電話を切ったり、話の内容に非難がましいことを言ったりすることは決してありません」 どうすれば、こんな素敵な電話での話し相手が得られるか。 「電話男の電話番号さえ入手すればいい。それだけです」第三回海燕新人賞を受賞した、小林恭二の記念すべき第一作である。 1984年に書かれた当時、「現代人のコミュニケーションを求める姿を暗示している」などと評論され、絶賛された。この時の現代の姿は、何十年と時が過ぎた「現代人」にも当てはまるのではないか。 つまり、この小説が発表された当時、時代を先取りした小説であったが、それは今も、時代を先取りした小説ということなのだ……。 あなたは、この小説をどのように読み解くだろうか。
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-【紹介は著者から】 Googleが提供しているGoogleドキュメントでは、Excelと互換性のある「スプレッドシート」も提供されています。 これはGoogleアカウントがあれば、誰でも無料で利用できる表計算ソフトです。 本書は、このGoogleスプレッドシートを使う上で、仕事を効率化し、時短につながるさまざまなテクニックをまとめた活用ガイドです。 Googleスプレッドシートは、ブラウザで利用する表計算ソフトのため、アプリケーション版の表計算ソフトとは若干異なる操作が必要になります。 しかし、Excelに代表される表計算ソフトを利用したことがあるユーザーなら、少し使ってみるだけで、これまでと同じように表計算ソフトの高度な機能を活用し、美しい表を作成し、グラフを作り、表をもとにデータを抽出し、数値分析や統計なども行えるようになります。 これらの操作を行うとき、どのようなメニューや機能を使えば効率よく作表が行えるのか。また、スプレッドシートで利用できる関数やピボットテーブル、マクロ、それにアドオン機能などについても説明しています。 プライベートからビジネスまで、手軽に表計算ソフトを活用したいユーザーに最適な一冊です。
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-札幌のホテル経営者の朋恵は経営のことで悩み、ひとり気持ちを整理するために襟裳岬を訪れた。 海霧が迫る岬で、朋恵は女性の殺人死体と遭遇する。 翌日、日高山脈を挟んで反対側の然別温泉で男の自殺と思われる死体が発見された。二人はともに郵政年金福祉事業団の企画課に勤務していた。 地元の目撃者や新聞記者の話から、単純な痴情のもつれによる殺人ではないと感じた朋恵は、大学の同級生の峡子に相談する。 峡子は警察庁に入庁し警視正というキャリアだ。そして紹介されたのは警視庁広域捜査官の宮之原だった。 宮之原の捜査で、事件は北海道と東京の二点を結び思いもかけないような広がりを見せ、複雑な人間関係が浮かび上がる。 著者の代表作「宮之原警部シリーズ」注目の一冊。
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-巨大企業となった道浦食品では、創業家の道浦家と叔父で社長の多岐川濤一郎とで、後継者を巡る派閥争いが静かに勃発していた。 その大きな原因は、道浦家のひとり娘・碧が、家業を継ぐべき立場にもかかわらず、工業デザイナーになるといって、3年前イタリア・ミラノにひとりで勝手に行ったためだった。 そんな折、母であり道浦食品会長の真佐子が末期ガンに冒されていると、ミラノまでわざわざ知らせに来た者があった。 そして間もなく、母の死を知らせる電話が日本から届いた。 ところが、死因はガンではなく、毒殺の疑いが濃厚ということだった……。 碧は急きょ、帰国したが、数々の罠が待ち受けていた。
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3.5現代人は「きたない」「くさい」「きもちわるい」などを排除してしまう。 しかし、こうしたものがないと、本来人は生きていくことができなないという。 うんこ博士と言われ、自らの体内に寄生虫を飼い、感染免疫学の専門家であるの著者は、身の回りの「きたないもの=ばっちいもの」とむきあう。 ウンコ、おしっこ、おなら、げっぷ、汗といった人の体から出るもの、細菌、ダニ、寄生虫、カビなど、嫌われものとのつきあいを通じて、アレルギーにも負けない免疫力の高い体作りを考える。 そして、殺菌、滅菌、消臭、無臭などを指向する「超清潔社会」に警鐘を鳴らす。
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3.0長野県豊科駅の近くでおきた、立てこもり事件が無事解決した。 ほっとしたのも束の間、あろうことか事件解決にあたっていた機動捜査隊の隊員が、コンビニのトイレに、拳銃を入れていたウエストポーチを置き忘れてしまう。 大失態だ。 長野県警はこの失態を挽回すべく、拳銃発見に総力をあげるが、遠く離れた石見銀山の見学坑道内で、その拳銃を使った事件が発生した。 急きょ、道原伝吉刑事は、事件となった島根の地に出向くことになるが、第二の発砲事件が、今度は長野県の白鳥湖でおきてしまう。 一見、ふたつの事件に関連はないように思われたが、道原伝吉の執念の捜査によって、遠い過去から複雑に絡み合う宿怨、悔恨がふたつの事件の元になっていたことを突き止める……。 人の善意と欲得が織りなす協調と背反を、見事に描ききっている。読み応え十分。
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5.0東京都の監察医として30年以上、2万体もの死体と向き合ってきた著者、さまざまな原因で死んでいった人たちの最後の祈りを汲み取るは何だったのか。母親の子への虐待、老人の自殺、男女の愛憎、過労死、交通事故、餓死、過労死、そして自然死……。死んだ者たちの無念さを汲み取る。いずれ死ななければならない、そのときまで私たちはどう生きていけばいいのか、を考えさせられる。
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-手掛かりがなく、迷宮入りやむなしという、手掛かりのない3つの難事件に、豊科署の道原伝吉刑事が足を使い知力と執念で挑む。 表題となっている「仮面の雪山」。正月の北アルプスで遭難した大学後輩の救助に向かった中丸伊左男は、猛吹雪の中、捜索隊からはぐれ行方不明になってしまう。 二重遭難となったが、4日後、奇跡の生還を果たす。 しかし、そこには何かが隠されていた……。 「月の女神」は、大糸線穂高駅のホームで女性が倒れていたことが事件の発端。 おびただしい出血があり救急搬送されるが、病院に到着する前に亡くなった。検死の結果、銃弾による失血による死亡とされた。 数人しかいなかったホームでの銃撃だったが、銃声を耳にした者はいなかった……。 「絶頂の餓鬼」は、冬の北アルプスを山行していた4人パーティに悲劇が襲いかかった。 ストーブに使うホワイトガソリンが、水にすり替えられていた! 1人は生き残るが、3人が死亡。誰が何のためにそんなことをしたのか。 事件に潜む宿怨を、道原伝吉刑事が炙りだしていく。
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-著者の数多くの著作や新聞・雑誌コラム、対談といったものの中から選りすぐった言葉、文章。 生真面目すぎる生き方よりも、笑って過ごせる粋な人生を生きたほうがいいのではないかという。 ささくれだった心や複雑化した人間関係を和らげることや、荒れる子供たちをどう考え、国家を愛することとはどういうことか、と著者の意識は広がっていく。 そして誰もが迎える「老」と「死」について考えることは大切なことで、それが後悔のない人生、明日を信じて歩むことにつながっていくと提言する。 一読だけでは乱暴に思えるかもしれないが、その裏にはキリスト教者としての人々に対する無償の愛がある。 含蓄深い言葉の数々だ。再読、再々読すべき箴言集。
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-登山者の少ない北アルプス霞沢岳で、顔面を無惨に切り裂かれた死体が発見された。 ポケットにはコスモスの花びらが一枚入っていた。 八日後、遠く北海道警旭川東署から、旭岳で同じように顔面を刻まれて殺された死体が見つかったとの報告を、長野県警豊科署の道原伝吉刑事は受けた。 ポケットには同じようにコスモスの花びらがひとつ。 地道な捜査をつづけるが、連続殺人の輪郭を描けず、被害者に共通することは何も見つけられない。 捜査本部に行き詰まり感が漂いはじめた頃、第三の殺人の報が入った。 宿怨を抱く犯人とは誰か。 そして、殺された者たちに共通する行いとは何だったのか……。 刑事の鬼気迫る執念が、男たちの闇をあぶりだしていく。
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-読み応え十分の5つの中編ミステリーからなっている。 表題となった「白銀の暗黒」は、北アルプスの屏風岩で転落死した登山者のテントに、別の登山者の凍死体が発見されたことが事件の発端となった。 「潜伏」では、自分のミスから若い女性を死なせたことから責任をとって辞職した元刑事が、数十年後、死の予感の中で、迷宮入りとなったその事件に、鋭い推理を働かせる。 「弱味」は、6千万円を持ったまま行方不明になった不動産会社社長の行動を追ううちに、忌まわしい過去をあぶり出していく。 「岩尾根の告発」では、ピッケルを間違えてられた若者に悲劇が襲いかかる。 「雪の蝶」では、記憶喪失になった男が、蝶を描くことだけはできるということを知った長野県警豊科署の道原伝吉の見事な推理が冴え渡る。 「避難命令」では、雪山の小屋から署に犯人移送をはじめた伝吉たち刑事の危機を描く。 梓林太郎が、巧みで、力強いことをあらためて知らせている。読後感は清涼だ
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3.4「法医学者は死体の専門医だ」と自負する東京都監察医務院院長を務めた著者が、死体から社会や世相を見る。 二万体を超える死体と対面し、死体の発する声を聞く「逆の発想」で現代日本の抱える病理まで探っていく。 殺人、事故死、自殺といわゆる「外因死」と病気による「内因死」が、社会や残された者たちにどういう影響を及ぼすか。 身近な者の死は悲しみだけではなく保険金や相続の問題も引き起こし、少年犯罪や子殺しといった弱いものが犠牲になる殺人はいじめや育児放棄の結果でもある。 「死とは脳、心、肺の停止した結果で、その原因が重要なのだ」と「死体」論を結論付ける。
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-超一流の流行作家だった藤原審爾が放った動物小説集だ。 読み応え十分の中編が4作品。 狼が主人公で傑作との評価される「狼よ、はなやかに翔べ」、サーカスの目玉だった黒豹を描いた「黒豹よ、魔神のごとく襲え」、熊の哀しみと人間の無慈悲な凶悪ぶりを対比が見事な「赤い人喰熊」、そして、飼い犬として可愛がられた犬たちが野生化し、野犬となり、人間たちの憎悪の対象となっていく様に迫った「山犬たちが吠える雪夜」。 評論家の中島河太郎は、文庫版の解説でこうつづっている。「著者の動物小説の特色は、主役となった動物の側から描かれて、その心情と行動を見事に捉えている。人間との係わりもあるにしても、かれらの視点から人間の信頼と不信、ないし不可解さを導きだしたたしかさに驚嘆させられる」と。 必読である。
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-【著者の言葉(図々しい自己宣伝)】 この小説は私の処女作です。87年に初版が出てからすでに30年余。豊田商事事件を扱ったという事実が独り歩きして、「事件小説」として受け取られている感がありますが、じっさいは出版当時のポストモダンの思潮の中で、どのような小説が書けるのか? 思考の実験を試みる気分でいろいろ試行錯誤しながら書いた覚えがあります。 だからかどうか、現在、80年代後半のバブルを先駆的に扱った小説として、注目してくださる向きがあることを、少々面映ゆく、しかし、いくぶんか誇らしげに感じる自分がいます。 小説は抜きがたく時代や世代に結びついたものですが、当時を知らない若い人たちが興味を持って紐解いてくれるとしたら、こんなに嬉しいことはありません。最近の小説の味わいとはまた違った当時の小説状況を振り返ったり、確認するためにも案外と有意味かもしれない――と、ここではせいぜい気張って自己宣伝したいと思います。どうぞ、よろしく!
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4.3サナダ虫を自らの体内に飼っていた著者が、医師の立場から日本と日本人が抱える問題を考える。 増える医療過誤、患者の顔を見られない医者、医師の持病は「うつ病?」、病院格差、地域格差、研究医と臨床医など医療現場と医師の「ヘン」を鋭く指摘していく。 一方、日本人は清潔症候群ともいえる「キレイ好き」から生まれる様々な障害や病気、抗生物質はじめ薬に頼りすぎることは危険で、食事や生活で自然治癒力や免疫力を高めようと提案する。 未婚やセックスレスによる激しい少子化はやがて日本人さえ消滅させかねないと警鐘を鳴らす。
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-JR亀有駅北口交番に、「幼い頃、おもちゃ屋からダッコちゃん人形を盗んでしまった。二十数年経ったが、後悔は消えない。お詫びのしるしにお金を返したいが、かつてのおもち屋はないので探してほしい」との手紙と1万円が届いた。 心温まる美談として新聞記事になった途端、殺人が起きた。 作者によると、「この作品は、新聞に出ていた小さな記事がヒントになった」のだそうだ。 そして、次のようにつづける。 「私は毎朝、あるいは深夜、新聞を読んでいるが、ふと思考が、記事とはべつの方向へ流れてゆくことがある。映画を観ていても同じで、目はスクリーンを向いているが、脳は別の映像を映している。いずれも記事なり、映画の1シーンから起爆剤のようなショックを受けたためで、その一瞬が、長編小説の結末のヒントになる場合がある」。 いくつものどんでん返しがつづくが、驚きだけでなく、悲しくせつない想いにもさせらる超一級の作品だ。
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5.0「人間万事泣けば(相手より)下、腹を立てれば対等、笑えれば上。」 「自分を追い詰めないようにすること。その方法は、何にでも『たかが』をつけて考えることで。」 「何がどうあろうとも、私たちの望まぬ試練が、私たちを強めるということは真実なのである」……。 現代を透徹した目で見つめ、数々の作品を紡ぎ出してきた曽野綾子の珠玉の言葉を集めた箴言集。 漠然としていた惑い、モヤモヤしていた疑問について、力強い言葉で伝え、一歩前に進むための勇気を与えくれる貴重な一冊。 六章立て 人生に失敗ということはない 生きるということ 人生に完全はない 人間は運命を選び取ることができるか この悲しみの世に 死によって人は高められる よく死ぬことはよく生きること 死を意味あらしめるもの 愛は生命そのものである その人のために死ねるか 愛される資格 結婚とは、相手の総てをコミで引き受けることである 夫婦は、自分の未知の部分を相手によって発見する 許した時だけ人は本当に愛を自分のものとする “老年”は精神の完成期である 神は私たちひとりひとりの中にいる 神は人間を束縛するのではなく、解放する 信仰は報いられない人生を祝福する 生命に関することは総すべて神の仕事である 祈りの力 覚えたる罪と覚えざる罪 この世のすべては神の作品である 無力からの出発 強い人、弱い人 愚かで盲目だから可能性をもつ 完全な善人もいない。完全な悪人もいない 悪を認めることによって人間の深さを知る 断念は敗北ではない。新たな希望である 持てる能力を生かす 足し算の幸福、引き算の不幸 本当の自由を手にするには 苦しみが人間をふくよかにする 貧しさは神からの贈り物である 与える歓よろこび、損のできる強さ 昏くらいからこそ私たちは勉はげむ 責任をとるのは誰なのか “私”は人々の中で生かされる この世で不用な人は一人もいない 一生はひとと共に始まる 親は子供にとって土である 生活は自分で選びとるもの 本職とは書いてこそ作家、教えてこそ教師である 人間は国家によって生かされもするし、殺されもする
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-21世紀の新しい「知的食生活」を実践するために必要な考え方と具体的な食素材をわかりやすく解説。 著者はヘルスフードとは、予防医学的な効能を持つ食品、そしてQOL(Quality of Life)改善機能など健康と美の維持・増進を有する食品であると定義。 水産機能性物質(マリンビタミン)、脳機能障害予防食品としてのブレインフード、疲労回復に効果的な食品、QOL改善食品、美容食品、サプリメント、デトックス食品までを網羅。 体にいい食品やサプリンメントの有効性、そのメカニズムと効能を図表を使いながらレクチャー。 健康維持と疲労回復、生活習慣病の改善、予防医学的な観点など、現代人必読の食の教科書である。
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-山岳ミステリーの第一者の作家人生、充実期の山岳ミステリー集だ。意表をつく見事な展開を繰り広げる3つの中編からなり、いずれの作品も筆が冴え渡っている。表題の『虚線の山』は、槍ヶ岳から戻るはずの夫を待っていると、深夜、見知らぬ女から、衝撃の知らせを受けた。夫は、女の部屋で急死したという。夫の死の原因は何か、本当にその死は病死だったのか。悲しみに暮れる中、妻は動き出す。 『氷の密室』は、生活苦からやむなく自分の臓器を売ろうと決めた男にもちかけられた怪しいバイト。「臓器を売る気になったんだから」、どんなことでもできるはずだといい、100万円を振り込んできた。男はそれが罠と気づいたが、すでに抜けられなくなっていた……。 『殺人・クリヤ谷』は、母が亡くなる寸前、一人娘の浩子は金を貸していたと教えられる。その額、1500万円。借金をしている、下町で印刷会社を営む東川は、小狡かった。 返済する気がないとわかり、浩子はある危険な申し出を東川にしたのだった……。
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3.0ちょうどその日、冬の上高地で、カラマツの木に寄りかかるようにして立つ、氷に閉じ込められた遺体が発見された。いったい誰が、手間をかけた遺体をつくったのか。警察官の妻の射殺と関連ははたしてあるのか。稀にみる難事件に、長野県警豊科署の道原伝吉が挑む!一月下旬の朝、警視庁刑事の妻射殺事件のニュースで持ちきりだった長野県警豊科署に「妙な遭難者を発見」の通報が入った。現場は上高地の小梨平。遭難者は若い男性で、氷柱の中に閉じ込められた形で木の幹に添って立っていた。所持品から身元は割れたが、脇腹を二か所刺されていたため他殺と断定、殺人事件へ。手がかりも殺害動機も掴めず、捜査は難航。担当の道原伝吉刑事も、これだけ犯人像が浮かばない事件も珍しい―と。山岳ミステリーの第一人者・梓林太郎の渾身作。
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-さて、晩年とは何歳なのだろうか、という簡単な疑問から始まる。当人にはいつが晩年かわからないからだ。連載当時七十歳代半ばだった著者は、晩年をどう美しく生きるかを、人生の締めくくりとして考え始める。超高齢化社会に加速度的に向かう日本と日本人は様々な問題を抱えている。老後の生活の不安、ひとり残された暮らし方、老いた親のことなど。ボケを防止するという消極的なことではなく、自らを律し(自律)、自ら生活を立て(自立)積極的に老後を生きることを提案する。不幸な家庭と戦争という少女時代、貧しかった世の中、作家として生きることを決め、キリスト教者として「神の存在」を確信し「愛」で自らを見つめる。人みな老いていく中で、どう生きるべきか、どう人生を締めくくるか。 本書は考えるきっかけを、心に語りかけてくれる。
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-大人の男女関係へと至る道は、きっかけさえあれば簡単なようで、じつは奥が深く、絶妙な大人力を必要とするものです。そこに「ちょいエロ」な大人力が加われば、まさに鬼に金棒、あなたのモテ度はさらにアップし、狙った女性のハートを鷲づかみにすることもけっして夢ではありません。本書は、「大人研究」の第一人者・石原壮一郎が放つ、まったく新しい大人力検定本。 男女関係に発展しそうな多彩なシチュエーションを用意し、その際にあなたがどんな対応をとるか、どんな選択肢を選ぶかで、あなたの「ちょいエロ度」を検定します。 問題は全部で69。それぞれの設問に3つの選択肢を用意し、各回答に点数と判定がついています。回答後、その設問と選択肢に関する解説を読めば、あなた自身の「ちょいエロな大人力」に関する弱点や問題点が鮮明に浮かび上がってくることでしょう。 どうぞ毎日お気軽に少しずつでも本書の問題にチャレンジし、あなたの「ちょいエロな大人力」に磨きをかけてください。あるいは、飲み会や合コンのネタとして本書の問題を提示し、みんなの回答を比べながら盛り上がってみるのも一興かもしれません
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4.0現代のビジネスパーソンの必須アプリともいえるのが、オフィスアプリのなかでもとくに利用頻度の高いエクセルです。このエクセルにはパッケージ版のほか、マイクロソフト社のサイトで無料で提供されているExcel Onlineがあり、いまやパソコンばかりかタブレットやスマートフォンで、会社や自宅だけでなく出先や出張先でさえも表作成が行える時代になりました。このエクセルを使った表作りは、会計や経理ばかりでなく、資料作りやプレゼンテーションにも役立つものだけに、効率よく作業を行いたいもの。本書には、エクセルを使った仕事を効率よく行うための、基本的なテクニックから裏ワザまで満載されています。パッケージ版エクセルだけでなく、Excel Onlineにも完全対応したエクセルの時短テクニックを、詳細に解説しました。
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4.0現代人の生活がどんどん抗菌化、清潔化されていく。匂いに対しても過剰な反応がある。便の臭いはもちろん、汗の臭い、体臭などは反清潔と、排除されている。果たして人の生活はウンコや臭いを、ただ「汚いもの」として排除してしまっていいのだろうか。 寄生虫学、感染免疫学の専門家である著者は、こうした清潔志向に警鐘を鳴らす。定期的にウンコをすることは健康維持のバロメーターだし、ウンコに細菌が住むことも臭いがあることも意味のあることだという。ヒトが無菌の中で暮らすことは、人類の存亡にもかかわることだという。不快生物としてゴキブリ撲滅も、化学物質のボディシャンプーで体を洗うといった「異常な不潔ぎらい」は本来必要なものまで排除してしまっている。O157の流行も、アレルギーの問題もそうしたことに起因していると言い切るのだ。 本書は健康のための「反清潔」「反抗菌」「反消臭」のススメ、である。
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3.4東京都監察医務院に監察医として勤務し、数多くの解剖を手掛けた著者が「解剖学」という学問を通じて、人の体、死と生について様々な角度から解き明かす。法医学は死んだ人間を対象とする医学だが、ここでは死体を通して生きた人間の体に迫る。細胞と体のしくみ、骨と筋肉と美男美女の関係、循環器・呼吸器・消化器・泌尿器・生殖器などの器官、男と女の体の違いとDNA、体のバランスを取る内分泌や神経や感覚器など。看護学校の解剖学の授業の副読本として書かれたものを、多くの例を加えて分かりやすく一般書として編集しなおしたもの。私たち自身の体のしくみや不思議を知る上でも楽しめる一冊だ。
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-「安心してはいけない」「世の中はもっと不安になる」「安心に暮らせる生活などない」。不安や悲惨さの中にこそ、希望や安心が残されている。学生時代からキリスト教者として生きてきた著者は、作家として社会を見つめる多くの問題作を生み出している。また社会的責任や発言力の大きい団体の代表などの役職も務めた。様々な立場から、欧米はいうに及ばず東南アジア、東、アフリカ、中南米など多くの問題を抱える数多く国々を訪問をしてきたなかで、否応なく「日本とは? 日本人とは?」という問題に直面する。このエッセイには私たちが見過ごし避けてきたものの本質が見えてくる。昭和ひとケタ女性の行動力と発言力が、次の時代を担う若者たちを刺激する!
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3.0免疫学者で寄生虫学の第一人者の著者が、アジアの子供の生活を通じて、現代人の健康と病気の関係について考える。 現代人は「汚い」と「清潔」に敏感になりすぎてはいないだろうか。 それは豊かになり、いつでもどこでも物が手に入るようになったことと関わっている。 豊かになった代償として、本来持っていた寄生虫や微生物との「共生」を捨て、バランスのとれた食事を止め、アトピーなどのアレルギーや生活習慣病に苦しみ、抗生物質をはじめとする与えられ「薬」や「抗菌グッズ」で生活している。 家畜化された動物ではなく、野生動物のようにたくましく生きることが、本来の意味での健康を取り戻すことではないか、という。 発展途上国の人たちとの付き合いの中で得た「自然治癒力」を取り戻せと現代日本人への警告、提言。
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-2千年以上に及ぶ中国の歴史の中で伝えられてきた性愛術。しかしそれは単なる快楽の追求ではなかった。 人には不可欠な性愛だが、中国のそれには時空を超えた知恵があったのだ。陰陽の二元が一つとなることで、新しい生命が生まれるだけではなく、病を克服し健康を保ち、和合を為す。
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4.0※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 鍋料理の歴史から、その醍醐味、日本各地の自慢の鍋を紹介。そして湯豆腐、寄せ鍋、ちゃんこ鍋、アンコウ鍋、鴨鍋、すき焼き、カキの土手鍋など、さまざまな鍋料理の作り方を解説する。
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3.3法医学の第一人者、元東京都監察医務院院長を務めた上野正彦さんが古今東西の名作に書かれた事件に迫る。 芥川龍之介『藪の中』では武士は誰にどのようにして殺害されたのか、谷崎潤一郎『鍵』で性交死ははたしてなぜ起きたのか、ポーの『マリー・ロジェエの怪事件』では、マリーは水死なのか……。 また戦後日本の事件史に特筆される二つの事件、青酸カリによる強盗大量殺人事件「帝銀事件」と旧国鉄総裁の轢死事件も残された資料から、アームチェア・ディテクティブよろしく、事件の様々な可能性を探る。 そのほか、森村誠一『精神分析殺人事件』と横溝正史『犬神家の一族』も取り上げている。 豊富な経験に裏付けられた斬新な検証と想像力が、物語の興味を一層深くしてくれる。
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