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98歳を超えてなお、旺盛な制作意欲を持って絵画に取り組む著者が、若き日の懊悩や時代に翻弄される人生について、ウィットと哀しみにあふれる文章で綴る日々のかたち。
福岡県飯塚市、筑豊の炭鉱を経営する家に生まれた著者が、東京美術学校めざして一人上京し、地下鉄銀座線の開通にわく東京で、「エカキ」となっていく自分を振り返った自伝的読み物。
戦争へと向かう日々の中で、藝大生として送る日々の暮らしののどかさ、藤田嗣治や今西中通との交流、坂本繁二郎の想い出。戦争のまっただ中にあっても、想いを告げる苦しさと憧れの女性への思慕にもだえる悩みは変わらない。27歳までの青春の懊悩を綴る。
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Posted by ブクログ
平素で素朴な文体なのに、深みが感じられるエッセイ集。
前半は、友人や先輩などとの交友回想録。フランス在住中に出会ったかなりの奇人たちとのやり取りが、ドラマさながらに語られている。後半は1976年に地方新聞の夕刊で連載したコラム。こちらはユーモアとペーソスを交えた自叙伝と言った風だ。
読んでいても決して「文才がある」という印象を受けるわけではないのに、深みがあって心に残る。画家ならではの視点で語られる話ももちろんあるのだが、深みの理由はおそらくそれだけはない。
軽い書きぶりの中、時折り顔を出すハッとさせられるような指摘。それが物事の本質、人間の本質をかなり突いていることがその理由だろう。軽い文体で油断していると、友人たちの持つ一面を冷酷なまでにあぶり出してくる。ユーモアあふれるエッセーの次に、持論をきっちり展開するエッセーが続く。読者をハッとさせ、読ませてしまう。そんな魅力あふれるエッセイ集だ。
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