ハーレクイン・ロマンス小説 - ハーレクイン作品一覧

  • 美しき侵入者
    3.0
    ■僕のベッドでいったい何をしてるんだ?その声に彼女はぼんやりと目を覚ました。■村の電子部品の工場が競合企業に買収され、閉鎖される――そんな噂を聞いてジョディは黙っているわけにはいかなかった。彼女は村の小学校の校長で、生徒の親の多くは工場で働いている。工場が閉鎖されれば従業員は村を出ていき、生徒数が少なくなれば小学校も廃校になってしまう。工場を買収した企業の社長レオ・ジェファーソンを説得すれば……。とはいえ、まともな方法では大企業のトップに面会できそうにない。ジョディはしぶしぶながら大胆な行動に出た。従兄の助けを借りてレオが滞在するホテルのスイートに忍び込み、部屋に戻ってくる彼を待ち伏せしようというのだ。学校を守るためよ。手段を選んではいられない!
  • さよならから始めて
    -
    ■別れを告げれば、彼は喜ぶはずだった。だが、その反応は思いもかけず……。■ビアンカの恋人チェーザレは、男らしく情熱的でハンサムな大富豪。多くの女性が夢見る理想の男だ。でも、ただ一つ決定的な欠点がある――チェーザレは女性と永続的な関係を築くのはまっぴらなのだ。大金持ちで、もてる男はいつだって不実。莫大な手切れ金さえ払えば、女は文句を言わないと思っている。女性は飽きるまでのちょっとしたお楽しみの対象でしかない。その証拠にビアンカの母は、そんな男――ビアンカの父親に捨てられ、かつて破滅の道をたどってしまった。恋はしても絶対に深入りしてはいけない男。なのにビアンカは絶望的なまでにチェーザレを愛してしまった。今日こそ別れを告げなくては。私たちは終わったわ、と。
  • 危険すぎる契約
    3.7
    ■わたしに着せ替え人形になれと言うのね。常識はずれの彼の提案に、彼女は当惑した。■倒産の危機に瀕しているケータリング会社を立て直そうと、若き経営者ミスティ・カールトンは必死だった。そんな彼女に救いの手を差し伸べる男性が現れた。イタリア系大企業の重役レオーネ・アンドラッキ。彼は支援の見返りとして驚くべき条件を提示する。「君に、恋人のふりをしてもらいたい」レオーネほどの男性なら女性には不自由しないのに、なぜ?「僕が用意する家に住み、僕が買う服を着て、僕に従う」奴隷同然の恋人になれということね。ミスティは困惑し、反発を覚えたものの、会社のために承諾する。そして大物経営者の恋人としての華やかな生活が始まった。だが、ミスティが選ばれた裏には恐るべき計画があった。レオーネは、彼女を自らの復讐の武器に使うつもりでいたのだ。■今作は若き経営者ミスティの物語です。愛してしまった男性は、実は復讐のために自分に近づいたことを知った彼女は……。二人の恋は運命を超えられるのでしょうか?
  • アラビアの花嫁
    3.0
    ■大事に育ててきた従姉の忘れ形見に、王家の魔の手が忍び寄っていた。■従姉のエリカと同居していたフレディは、遊び回る従姉に代わって、彼女の子ベンの面倒を見てきた。だが、エリカの事故死でそんな暮らしが一変する。フレディはベンを自分の手で育てたいと願うものの、定職を持たないので生計を支える手段がなく、ベン父親が送ってくる多額の養育費に頼る日々だ。思案に暮れるフレディの前にある日、見知らぬ男性が現れた。クアマール王国の皇太子ジャスパー・フセインなる人物で、ベンの父親の弟だという。「母親失格の君からベンを保護するのが僕の役目だ」驚くフレディに、皇太子は甥を国に連れて帰ると宣言した。わたしをエリカと間違えているんだわ。戸惑いつつも、ベンと別れたくないフレディはある奇策を思いついた。■ヒーローはアラブの王国の皇太子。ヒロインのフレディはハンサムな彼に一目で心を奪われますが、彼の傲慢な態度に反発を覚え……。エキゾチックな雰囲気たっぷりです!
  • 脅迫結婚
    3.0
    ■本当はまだ彼を愛している。だから、彼のとんでもない提案に従うしかなかった。■イモジェンは十八歳の時、ドラッコと婚約した。十歳年上で、亡き父の右腕とも言われていたドラッコは、子供のころからイモジェンの憧れだった。すばらしい男性、そしてやっと実った初恋。彼女は幸せを感じていた。だが結婚式の日、義母がドラッコとのただならぬ関係をほのめかし、それを否定しようともしない彼に失望して、イモジェンは教会から走って逃げた。四年後、一度は放棄した父の遺産がどうしても必要になり、イモジェンは弁護士と連絡をとって故郷に帰ることにする。待ち合わせ場所に現れたのは――ドラッコだった。とまどうイモジェンにドラッコは言い放った。「君と僕はまだ婚姻関係にある。妻として、君にはぼくの子供を産んでもらう……」
  • 過去があるなら
    -
    ■ずっと秘密にしてきたあのことを、彼には決して知られたくなかった。■ローラの出版社に送られてきた、ライリー・オーシェイなる新人作家の原稿を読んでローラは驚く。人気作家リーアム・オライリーの作品に間違いないわ!八年前、学生だったローラはリーアムと知り合い、半年後に結ばれた。その直後、彼は小説の映画化のためにアメリカに行き、連絡を絶つ。妊娠に気づいたときには、彼はすでに別の女性と結婚していた……。二度と彼には会いたくないと思いながらも、ローラはライリーの滞在するホテルに向かい、リーアムと再会する。抱き寄せられ、キスをされると、ローラの体に震えが走った。彼は言った。「また会いたい」頭では拒否しているのに、リーアムの唇の感触が忘れられない。彼のような男にどうしてこんな気持ちを抱いてしまうの?
  • キリアキス家の宝石
    4.0
    ■ギリシアの名門の男たちの、なんと残酷なことか。彼らに翻弄されて、エマは……。■レオン・キリアキスの婚約を知ったとき、エマの世界は音をたてて崩れた。わたしへの愛を誓い、愛を交わしているあいだにも、レオンは別の女性との結婚準備を進めていた。傷心のエマを支えてくれたのは、レオンの弟タキだった。一族の経営する銀行で役職についていたタキにプロポーズされ、エマは彼の妻となるが、幸せは訪れなかった。夫は強盗に襲われて命を落とし、その直後、銀行の不正が発覚。名ばかりの財務部長だったエマは、わけがわからないまま逮捕されてしまう。無罪を主張する彼女に、耳を傾ける人はいない。もちろん、レオンも。それどころか彼は、エマに向かって、とどめの一撃ともいうべき通告を口にした。
  • 彼の名は言えない
    -
    ■ただ一度きりのアバンチュールの結果、彼女は異国の地で囚われの花嫁に……。■恋人だと信じていた男性に裏切られたキャリンは、義兄夫婦の結婚記念パーティに出席するため、テキサスの実家エスパーダに帰った。傷心をアルコールで癒そうとしたためか、知らぬ間にパーティでグラスを重ね、笑いものになっていたところを、ひとりの男性が強くたしなめ、会場から連れだした。姉が引き合わせようとしていたブラジルの資産家ラフェだった。愛に飢えていたキャリンはいつになく奔放にふるまい、情熱に身を任せて彼とベッドを共にする。だが彼女はすぐに軽率な自分を恥じ、ラフェに冷たく接した。彼は憤り、翌朝、何も言わず祖国へ帰っていった。その九カ月後、キャリンは分娩室で生死の境をさまよっていた。
  • それぞれの罪
    -
    ■父に会いたい一心の彼女の前に、見知らぬ男性が立ちふさがった。■身勝手なボーイフレンドとの生活に別れを告げたジョディは、ニューヨークから父の住むイギリスへとひとり旅立った。一歳のころ両親が別居したため、ジョディは父の顔を知らない。六歳のときには母が亡くなり、彼女は家族の愛情に飢えていた。だから半年前に突然父親のサムから手紙が届いたとき、大喜びで返事を出した。ところがその後、父からはなんの音沙汰もなかった。やっと捜し当てた父の家には、モーガンという男性がいた。彼の態度は冷ややかで、ジョディからの手紙など一通も届いていない、サムに会わせることはできないという。娘から連絡がないことに絶望したサムは、右腕であるモーガンに、もう娘には絶対に会いたくないと言っていたのだ。そしてモーガンには、父と娘を会わせたくない別の理由があった。
  • 恋に落ちたシーク
    -
    地下牢に閉じこめるという手もあるな――シークの言葉に、彼女は身を震わせた。■兄のペントハウスの改装を手がけてみない?インテリアデザインの会社を立ち上げたばかりのアマンダは、親友ドーンの魅力的な提案に心を動かされ、さる王国の後継者、首長(シーク)ニコラス・アル・ラシードの家へ赴いた。ドーンは、改装プランは兄への誕生日プレゼントで、兄が帰らないうちに主寝室を下見してほしいという。その神秘的な容姿でゴシップ記事の標的となっているシークは、私生活をのぞかれることを極度に嫌っていたのだ。アマンダは仕方なく、シークの寝室にこわごわ足を踏み入れた。そのとき、男性の冷酷な声が背後で響いた。「人の寝室で何をしている?」アマンダの心臓は凍りつき、手から小型カメラが落ちた……。
  • ドクターは適齢期
    4.0
    ■ドクターに憧れても、無駄なこと。身分違いの、かなわぬ恋なのだから。■コーリーは、天才神経外科医トレイの手術チームの主任看護婦。手術室での彼との息はぴったりで、仕事ぶりも高く評価されている。だが最近、有能な助手としてしか見られていないことを、もの足りなく感じはじめていた。上流階級出身のトレイとでは、住む世界が違いすぎる。恋心をさとられたりしたら、愚かな女と見られるだけだ。そう思っても、彼への気持ちを抑えるのは難しかった。ある日、コーリーはふとしたきっかけで彼とキスを交わしてしまう。心を躍らせる彼女に、体を離したトレイは氷のように冷たい目で言った。こんなことをするべきではなかった。頼むから今のことは忘れてくれ。君とは仕事以上の関係になりたくないから、と。■ディザイアの人気作家バーバラ・ボズウェル。四十歳まで結婚するつもりがなく、しかも相手は家柄のいい女性と決めているドクターと、自分は彼にふさわしくないあきらめているヒロインのホットなロマンスにご期待ください。
  • もう振り返らない
    -
    ■暗い過去、出生の秘密、運命の男。すべてが複雑に絡まりはじめ……。■パロマは近づいてくる長身の男性の正体を知っていた。リオ・ブレイロック――パロマを育ててくれた老人ブーンと親交のあったブレイロック家の一員だ。彼女は十三歳のときに十七歳だったリオと出会い、野性的な魅力にうっとりした。だが、彼はパロマには目もくれず、次々と恋人を替えていた。一度など、草むらで女性とむつみ合っている彼を見かけたこともある。そのリオが、今、パロマを目指して歩いてくる。そして彼の目的が色恋沙汰にはまったく関係ないことだと、パロマにはわかっていた。これから私は彼と闘わなければならない。ブーンの遺産をめぐって。ただ一人、私を愛し、慈しんでくれたブーン……。リオがどんな手に出ようと、彼女は引き下がるつもりはなかった。■苦難の道を歩んできた主人公たちは、約束の地ジャスミンで愛を手にすることができるのでしょうか?
  • あなたには言えない
    -
    ■運命の声を聞き逃した私に、幸せは再び訪れるのだろうか?■今の私を救ってくれるのは、彼しかいない――イザベラは十歳年上のロンドンの友人、パウロの家を訪ねた。たった一度の過ちで妊娠してしまった彼女は、娘を誇りにしている父親に打ち明けることができず、母国のブラジルを逃げ出してきた。だがイザベラには、パウロに事実を告げるだけの勇気がなかった。物心ついたときから、パウロに憧れつづけてきたのだ。彼に軽蔑されるなんて耐えられない。イザベラは黙ってパウロのもとを去った。数カ月後、彼女を捜し出したパウロは、妊娠を知ってきっぱりと言った。「一緒に僕の家に行こう」イザベラは驚き、不安と希望が心の中で渦巻いた。運命はもう一度、私にチャンスを与えてくれるのかもしれない。
  • いとしさの行方
    -
    ■きみには会ったことさえないと彼は断言した。それならなぜ親身になってわたしの世話を?■「自分が誰かわかるか?」病室で目覚めたセリーナに鋭い質問が飛んだ。質問の主は、背が高くてたくましい、ハンサムな男性だった。同席していた医師の説明によれば、セリーナは交通事故にあい、しばらく意識を失っていたのだという。彼女に対して厳しい態度をとる男性はラファエルといい、どういうわけかセリーナを毎日見舞って面倒を見ようとする。あるとき、彼はトニオという名の男の赤ちゃんを連れてきた。その子のかわいさにセリーナは思わず口元をほころばせた。ところが、事故についてくわしく教えてと迫る彼女にラファエルは、セリーナが事故で一年間の記憶を失った、と驚くべき事実を告げる。さらに彼は、母親のいないトニオの世話をするために、自分の家に来て一緒に暮らしたらどうかと言いだした。
  • 秘密を教えて
    -
    ■妻を虐待していた乱暴者。そんな男に心を許すわけにはいかない。■キャリスタ・ベラミーは久しぶりにジャスミンに戻ってきた。幼い日、両親の愛情に恵まれなかった彼女にとって、ここに住むブーンの家で過ごした日々が唯一の楽しい思い出だった。しかし、そのブーンも亡くなった。今、ブーンの家に住むのは、ローマン・ブレイロックだ。ブーンの遺言執行人なのだと本人は言うが、彼の財産を乗っ取ろうとしているとしか、キャリスタには思えない。ぜったいにそんなこと許すものですか。しかも、ローマンは別れた妻を虐待していたような男だ。その現場に居合わせたことだってある。キャリスタはローマンの真の姿を暴き出してやろうと、今は空き家になっている彼の家に忍び込んだ。だが、そこで彼女は意外な真実を知ることになる。■苦難の道を歩んできた主人公たちは、約束の地ジャスミンで愛を手にすることができるのでしょうか?
  • あなたの声が聞こえる
    -
    ■運命を呪わぬように。幸せはすぐそこにある。■ジーナは弁護士。といっても、さっそうと法廷に立ったりはしない。地味な事務の下働きばかりだ。でも彼女は幸せだった。普通の暮らしもままならなかった以前に比べれば夢のようだから。かつてジーナは耳が聞こえなかった。いまだって障害がなくなったわけではない。皮下に埋め込んだ器具を外せば、すぐに聞こえなくなってしまう。ただ普段はなんの支障もないので、気づく人はほとんどいなかった。事務所の顧客、カースン・ペイジもそんな一人だった。なのに、出会ったばかりの彼にどうして話してしまったのだろう? 私に障害があると聞くとカースンは急に表情を硬くした。ジーナの心はふさいだ。彼もやはり偏見を持っているのだ。そのときジーナはまだ、この苦渋の表情の本当の意味を知らなかった。
  • 愛を命じた遺言
    -
    ■夫の浮気を目撃して別居中の彼女に、思いもかけない復縁の申し出がなされた。■「親父がアニーに財産を遺したんだよ。きみとあの子が半年間だけ家に戻ることを条件にね」別居中の夫マックスが、サマンサに驚くべきことを告げた。一年近く前、彼女は夫の浮気現場を目撃し、娘のアニーと家を出た。いまは秘書の仕事をして生計を立てている。娘の将来のためとはいえ、自分を裏切った男性と暮らすなんて、たとえ半年間だって耐えられない。サマンサはきっぱりと断り、彼を追い返した。しかし、マックスはアニーにとってはよき父であり、娘も彼と暮らすことを望んでいる。悩んだすえ、彼女はマックスの家に戻る決心をし、形だけの夫婦生活が再開された……。
  • エメラルド・ファイヤー
    -
    ■伝説の秘宝〝神の目〟をめぐって熱い闘いが繰り広げられた。■考古学専攻の大学院生ブリオニィ・スチュアートは伝説の秘宝を探し求める教授の助手としてペルーへやってきた。滞在している小さな町のホテルで、姿の見えない教授を捜すうちに彼女はロビーで一人の男性とぶつかった。よれよれのジーンズ、くたびれたブーツ、うっすら伸びた不精ひげ、汗とほこりのにおいと、どこか危険な香りのする男……。遺跡の発掘現場にまぎれ込み、貴重な出土品を持ち去るのがこういう男たちだということをブリオニィは知っている。ところが教授を捜してホテルのバーに足を踏み入れた彼女は居合わせた男たちにからまれているところをロビーでぶつかったスレイド・マクリントクに救われた。「ぼくの女だ」ブリオニィを見ながらスレイドが男たちに言った。おまけに彼は、唇まで奪って……。
  • 千一夜の夢
    -
    ■シェヘラザードのように機転をきかせて、謎めいた大公の正体をあばいてみせるわ!■突然、幸運がめぐってきた!ロンドンの一流カジノで、フランはルーレット台へと歩きだした。彼女は大金の絡むスキャンダルを得意とする金融ジャーナリストで、今夜の狙いはカマール大公国のシーク、アリ・ベン・サレームだった。その彼が、隣に来るよう、フランを呼んでいる。取材ぎらいのプリンスの秘密をあばく願ってもないチャンスだ。フランがアリの隣に腰をおろすと、今まで負けていたのが嘘のように、次々とアリの賭けた数字が当たりだした。「魔術だ。そして、きみは最高に美しい魔女だ」アリはフランのてのひらに唇を押し当てた。フランは反射的に引こうとした手を止めた。これも取材のためよ。でも、だめ。わたしのほうが彼の魔術にかかってしまいそう!■ミニシリーズ〈シークと見る夢〉。今作はルーシー・ゴードンが描く女性ジャーナリストとシークの物語です。砂漠にきらめくアラビアンナイトの世界を存分にお楽しみください。
  • 不実な噂
    -
    ■でたらめな噂を信じて彼は私を嫌っている。私も彼を嫌っている……はずなのに。■オーストラリアでもっとも富裕な一族であるデンジャーフィールド家。その広大な屋敷に、二十八歳の若さで世を去ったジミーを悼んで、大勢の弔問客が訪れていた。葬儀をとり仕切るのは、ジミーの義理の兄で当主のローガンだ。黒い礼服に身を包んだ彼を、デイナは遠くから見守った。デイナがローガンに初めて出会ったのは、彼女の従姉とジミーの結婚式の日だった。あれからすでに六年、デイナとローガンは冷戦状態を続けている。ジミーとデイナが愛しあっていたという噂が原因だった。夢に描いていた結婚生活と違っていたことに腹を立てた従姉が、執拗にその噂を流しつづけたから……。だが葬儀の終わった夕暮れ時、ローガンが驚くべきことを言った。「きみが使う女の武器にまいりそうになる」声に怒りがこもっていた。
  • 消えない蜃気楼
    -
    ■砂漠のプリンスとの恋なんて、誰に予測できたかしら?■カイロでツアーの添乗員をしているリオの滞在先のホテルに、黒塗りのメルセデスが停まった。護衛官に守られてロビーに現れた男性に視線が引き寄せられる。ゆったりとしたアラブの民族衣装をまとったその男性からは、高貴な雰囲気がにじみ出ていた。どこかの王族にちがいない。これまでそんな人物には会ったことがないにもかかわらず、どこか親しみを感じて、リオは胸が騒いだ。すると彼もぴたりと足を止め、リオのほうをじっと見つめた。その夜、リオが宿泊する部屋のドアがノックされた。訪ねてきたのはほかでもない、彼女がロビーで見かけた男性、中東の王国ダルモーンの王子、シーク・アミールだった。
  • プリンセスの秘密
    -
    ■再会した恋人の冷淡な態度に、プリンセスは打ちのめされ……。■赤ちゃん! プリンセス・エリザベスの母としての本能が、ふくらんだおなかを隠すように告げた。こちらに向かって歩いてくる彼は、私に会えてうれしいようには見えない。私のほうは、ずっと彼を捜していたというのに……。エリザベスは、おなかに小さな命が宿った夜のことを思い出した。彼女の家でもあるウィンボロー王国の城で開かれた舞踏会の夜、背の高いハンサムな男性に一目で惹かれ、どちらも名乗り合わずにそのまま一夜をともにした。だが、エリザベスが運命の恋人に出会えたと思ったのもつかの間、彼は翌日には姿を消していた。今、彼は自分を捜し出したエリザベスに烈火のごとく怒っている。赤ちゃんができたことなど、とても言えない……。
  • オークション・ブライド
    -
    ■女泣かせのプレイボーイが競り落としたのは、素朴で家庭的で……セクシーな女神。■マディソン・ホルトは、親友のたっての頼みで、チャリティーオークションの〝商品〟になった。〝商品〟の内容は、競り落とした人の〝雇われ妻〟として、一週間、家事その他のサービスを提供する、というものだ。彼女を競り落としたのは、町でも指折りの富豪で、プレイボーイとしても有名な、アレックス・ドナヒューだった。近々開くビジネスパーティのホステス役が必要だったのだ。一生結婚するつもりのないアレックスは、恋人にホステス役を頼んで面倒なことになるのを恐れていた。〝雇われ妻〟なら結婚を迫ってくることもない。純粋にビジネス上の関係だけだ。彼はそう考えた。ときおり、家庭的な女性らしからぬワイルドな面を見せる彼女に、こちらの体が熱くなるのを抑えられれば、の話だが。
  • 約束のプロポーズ
    -
    ■憧れの男性からのプロポーズ。けれどそれは彼女が夢見たものではなかった。■大牧場主として成功しているフォレスト・カニンガムは、最近、牧場を継ぐ子供を産んでくれる妻が欲しいと考え始めていた。だが、結婚したいと思うような女性が周囲にいない。そんなとき、かつて幼なじみのベッキー・サリヴァンに、彼女が三十歳まで独身だったらそのときは自分が結婚してあげよう、と約束したのを思い出した。友人としてもすばらしく、牧場の仕事も理解している彼女をおいて、僕の妻にふさわしい女性はいない。フォレストは意を決して、ベッキーにプロポーズした。「君もじきに三十で、このままでは売れ残り決定だ。そろそろあの約束を果たすべきじゃないかと思ってね」その言葉に飛び上がって喜ぶと思いきや、なんとベッキーは顔を真っ赤にして彼を怒鳴りつけた。■テキサス・キャトルマンズ・クラブという紳士専用のクラブの会員たちがヒーローです。ハンサムで裕福な彼らが、恋に事件に翻弄されるさまをお楽しみください。
  • 華やかな牢獄
    -
    ■この豪奢な屋敷の中には、愛と裏切りと陰謀が渦巻いている。■リチャードの目は、陰気な病室の中にいる女性に釘付けだった。女性は痩せ細り、かつては美しく輝いていた目にも生気がない。〝そのうえ、彼女は僕が誰だかもわからないんだ〟リチャードは、自分の妻を薬漬けにして、記憶を奪った病院に、怒りを抑えきれなかった。自分を見捨てて家を出た妻、レクシーに対しても。七カ月前、レクシーは事故で瀕死の状態にあったリチャードに、離婚と多額の財産分与を要求して姿を消した。少なくとも、彼の母はそう言っていた。だが、今、レクシーは記憶を失って怪しげな病院に閉じ込められている。いったい、七カ月の間に何があったんだ?そして、妻の裏切りに対する僕の怒りはどこに向ければいいんだ?
  • ミスター・ロンリー
    -
    ■いまわしい思い出の地で、彼は真実の愛にめぐり合った。■レイフは生まれ故郷のテキサスに向かっていた。もう二度と戻ることはないと思っていた、いやな思い出ばかりの地。だが、ダンが助けを求めている。何があったのかわからないが、親友を見捨てるわけにはいかない。十四歳で、暴力的な父親のもとを飛び出し、ダンの父親の経営する牧場で暮らしたレイフにとって、ダンは唯一の親友だった。そしてダンの妹、マンディ……。あのころ、マンディは彼に恋していることを隠そうともしなかった。その恋心が彼を十二年間も故郷から追いやることになったのだが……。でも、もうマンディもおれのことなど忘れているだろう。おれはダンを助けることだけに集中していればいいんだ。そう考えていたレイフをテキサスで待ち受けていたのは、ダンの失踪の知らせと、美しく成長したマンディだった。
  • 恋はテキサス・ルールで
    3.5
    ■遊び慣れた大人の男のはずの大富豪が、世間知らずの秘書に振り回されるとは!■テキサスの石油王と呼ばれるハンク・ラングリー。今まで結婚をあまり真剣に考えずにきた彼だが、年齢的にも、そろそろ身を固めるころだと思いはじめた。ハンサムで大富豪とくれば、花嫁候補に不自由はしない。いろいろ考えた末、ようやく、洗練されて、妻として申し分のない女性二人に候補を絞った。だが、それでもまだ、ハンクは結婚に踏み切れないでいた。そんなある日、幼いころからハンクを知る秘書のマニーが入院することになり、マニーは自分の代理として、兄の孫娘のコーリーを連れてきた。コーリーは不格好な眼鏡をかけた、子供のように若い女性だった。世間知らずの彼女を、はじめは厄介者扱いしていたハンクだったが……。
  • トスカーナの誓い
    -
    ■これからどうすればいいのだろう。私に残された手段はこれだけだ。■シエナは人生で最悪の年を過ごしていた。アロマテラピストとして働いていた美容院がつぶれてしまい、愛していた男性には裏切られた。そして、母親は多発性硬化症という病気に苦しんでいる。そのうえ、住んでいるフラットまで立ち退くように言われていた。でも、すべてを解決する方法がないわけではなかった。亡き父親の遺した、莫大な遺産を相続すればいい。ただ、それには一つ条件がついていた。彼女が結婚していなくてはいけないのだ。シエナは知り合ったばかりのキアに、夫になってくれるよう頼んだ。彼の会社を救うための資金援助を報酬にして。キアは承知したが、意外なことを言い出した。
  • デイジーの小さな願い
    -
    ■彼女にはなぜか心引かれる。どうと言うところのない、平凡な娘なのに。■デイジーは、控えめで物静かな目立たない娘。海辺の小さな町で、父親の骨董店を手伝っている。初恋に破れ、悲しい気持ちで浜辺を散歩していた彼女は、すてきなオランダ人の医師ユールス・デル・ホイズマに出会った。彼は数回店を訪れ、デイジーはひそかに恋心をいだいた。ある客の買い上げた品をオランダまで運ぶことになった彼女は、夜のアムステルダムで偶然ユールスと再会した。ただし……運河に落ち、助けを求めた彼女の手をユールスがつかんでひっぱり上げるというさえない状況で。その後も重なる偶然に、デイジーは胸の思いを抑えようと必死だった。一方のユールスは、わがままな婚約者の相手をしながらも、デイジーのことばかり考えていたのだが。
  • 侯爵家からの招待
    4.0
    ■すてきな侯爵から誘いを受けたけれど、彼は友人の恋人らしい。■過労が原因で肺炎にかかり、一週間ほど入院していたグレースは、大学時代の友人ジュリアが声をかけてくれたのをさいわい、休養のため、イタリアのリゾート地を訪れた。彼女がジュリアのアパートメントでひとりくつろいでいると、魅力的なイタリア人男性がジュリアの荷物を届けに来た。あとで聞かされた話では、彼はマッテオ・ディ・ファルコ侯爵といい、ジュリアは、彼の子供を身ごもっていると自慢げに打ち明ける。妊娠を理由にマッテオに結婚を迫るつもりだと語る友人に、グレースは、危ない賭に出るつもりなのではないかと心配になった。ところが数日後、マッテオはグレースに誘いの電話をかけてきた。親密につきあっている女性がいながら、その友人に声をかけるとは。グレースは即座に断るが、マッテオは外出先でも近づいてきて……。
  • 二つ目の間違い
    -
    ■最初の間違いは、十九のときの愚かな結婚。そして今また、手痛い間違いを……。■わたしは妊娠している。では、人工授精は成功していたんだわ。ジェドと結婚して一週間目の朝のこと、エリナは予期していなかった事実に直面し、呆然となった。子供を熱望していた彼女は、三カ月ほど前、友人だったサムの提案で、人工授精によってサムの子供をつくることにした。だが、エリナが医学的処置を受けてから間もなくサムは世を去った。彼女は人工授精も失敗したと思いこんだ。葬儀に参列し、サムの兄ジェドをひと目見て恋に落ちたとき、エリナはサムの死を悼みながらも、突然の愛に有頂天になった。でも今、この驚くべき現実に、ジェドの愛は耐えられるだろうか?エリナはついにサムの子供を身ごもっていることを打ち明けるが、ジェドの怒りは予想をはるかに超えて激しかった。
  • 誘惑の落とし穴
    -
    ■親友の敵討ちのために立ち上がったが、恋の炎に焼かれ、彼女の決意は揺らいだ。■陶磁器の絵付けを専門とするケリー・ハリスは、中世の面影を残す美しい町で陶磁器ショップを営んでいた。店の経営が軌道に乗り始めた矢先、共同経営者のベスが正式な婚約を目前にして相手のひどい裏切りに遭い、深く傷つくという事件が起こる。憤慨したケリーは、仲間のディー、アンナとともに、結婚詐欺師まがいのその男、ジュリアンへの復讐を誓う。彼女はディーの計画に従って莫大な遺産を相続したふりをし、あるパーティでジュリアンをあからさまに誘惑する。だが、そのパーティでブラフ・フロビシャーに出会ったケリーは、彼に強く惹かれ、魔性の女を演じることが苦痛になっていく。一方、ブラフは疑惑を抱きながらも美しい彼女に魅せられていた……。■ペニー・ジョーダン四部作〈美しき報復〉財産目当てに女性を渡り歩く男に罰を下す四人の美女の物語。
  • プリンスの贈り物
    -
    ■私が妊娠しているなんてあり得ない!この四年間、そんな相手もいなかったのに。■ニコルは打ちのめされた気分で病院をあとにした。妊娠……。ここ数年、男性のベッドに近づいたこともなかったのに。なぜ? いつ? どうして? もし、そんなことがあったとしたら、シャンペンを飲みすぎて記憶のないクリスマス・パーティしかない。だとすると相手は会社の男性ということになる。奥さんに離婚されたジョンをなぐさめて……?まさか。彼は年上すぎるし、兄のようにしか思えない。ハンサムなレイフと思わず……?いいえ、彼は仕事と遊びをちゃんと分けている。となると、あとはミッチしかいない。彼は背が高いし、セクシーだけど、私とはまったく気が合わない。それに、たしか真剣につき合っている女性がいたはず。ああ、もしミッチだったら、なんて言えばいいの?
  • ポーシャの二都物語
    3.0
    ■複雑にからみ合ってしまった運命は、ある日、突然あなたへと近づけてくれた。■「ホワイトフライアーズ不動産です」ポーシャはオフィスにかかってきた電話に答えた。「明日パリを発って、おたくの物件を見に行くつもりだ」声の主は男性でフランス人。ひどく横柄な感じがする。ポーシャはどの物件が見たいか尋ね、その返事に凍りついた。タレット・ハウスですって……? かつて彼女が住んでいた屋敷。不意に、屋敷のキッチンから立ち上る黒い煙が脳裏に浮かび、遠い昔に失われた、いまわしい事件の記憶の断片がよみがえる。そこはポーシャが、二度と足を踏み入れたくない場所だった。「もちろん、きみが一緒に来てくれるんだろうね?」このときからポーシャは、謎めいた男へと確実に近づいていった。彼もまた、その屋敷にまつわる出来事で、大きく人生を狂わされた一人だと知ることもなく……。
  • ダーリンと呼ばないで
    -
    ■結婚に幻想なんて抱かない。でも、子供は結婚の理由にならないわ……。■エイミーの気分はどん底だった。五年も同棲していたスティーヴに捨てられてしまった。それも、彼の浮気相手の金髪美人に子供ができたので、これまでの独身主義を撤回して結婚するというのだ!エイミーはこんな精神状態のまま、仕事に行くのが怖かった。ボスのジェイクの前では精いっぱい隙を見せないようにしないと、プレイボーイで鳴らす彼の犠牲者の一人になりかねない。個人秘書になって二年、スティーヴを裏切らないようにしてきたのに。でも捨てられた今、もう彼を防壁にはできない。そしてエイミーは、なすすべもなくジェイクの手に落ちた。しかも、思いもよらない事態が彼女を襲う。まさか妊娠してしまうなんて!
  • 愛しい人の二つの顔
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    ■他人に見せるジキル博士と私に見せるハイド氏、どちらが本当のあなたなの?■アビーは、整形外科医イーサンのクリニックで受付として働いている。恋人の裏切りで獄中生活を強いられた彼女は、男性不信に陥っていた。そしてイーサンのほうも、なぜか女性に嫌悪を抱いているようだ。そんなある日、イーサンが、泊まりがけの医学会議に恋人として同行してほしいと頼んできた。多額の報酬つきで。いつもハイド氏のように冷酷な彼を見ているアビーは、即座に断った。何か事情があるらしいけれど、あんな人と旅行するなんてまっぴらよ!だが、その翌日、予期せぬ事件が起こった。アビーが母とも慕う恩師の家で盗難があり、大金が盗まれたのだ。嘆き悲しむ恩師を前に、アビーは心を決めた。イーサンの頼みを受け入れよう。その報酬を恩師に渡せばいい。アビーはこうして旅立った。大きな不安を抱きながら……。
  • プリンセスに変身
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    オーストラリアの難民収容所で、ハニはつらい暮らしをしていた。ハニと名乗ってはいるけれど、実の名は知らない。しかし、彼女が見る夢の中ではほんとうの名前があり、人々に愛情をこめて、プリンセスと呼ばれていた。バジェスタンの聖杯番シャリフは、ハニのいる収容所を訪れた。行方不明の王女シャキラを捜せと、スルタンに命じられたのだ。ハニの顔立ちは、スルタンとの血縁を感じさせたが、彼女はどこから見ても少年だった。だが、シャキラの写真を見せたとたん、ハニの頬を涙がつたった。★日ごろのご愛顧に感謝し、シルエット・ディザイアではお楽しみ企画をご用意しました。『砂漠の王子たち』関連作短編「シークの至宝」を三カ月連続で巻末に掲載。来月はD-1120にてお読みいただけます。★
  • 罪深い肖像画
    3.0
    ■天にも昇る心地でプロポーズを受けた。それが地獄の始まりだった。■エミリーは家族から愛をそそがれずに育ったため、内気で自分に自信を持てず、容姿にも劣等感をいだいていた。だからポルトガルの名門モンテイロ家所有の屋敷で働いていたとき、銀行家である当主のデュアルテから求婚されたときは心から驚いた。予想に反し結婚式はごく簡素で、自分が二人目の妻だったことも判明する。ポルトガルの本邸に移り住んだエミリーを待っていたのは、屋敷じゅうに飾られた前妻の肖像画と前妻の母の反感に満ちた目だった。孤独と惨めさに打ちのめされていたある日、エミリーは夫から、あらぬ不倫の疑いを受ける。彼は離婚を望んでおり、子供が生まれたら引き離されると聞いて、エミリーは妊娠中の身をおしてイギリスに逃げ帰る。もう二度とポルトガルには戻らず、故国で暮らすつもりだった。
  • 契約関係
    -
    ■過去に置き忘れてきた恋の相手と、突然、新しい関係が始まるなんて!■レベッカは女子寄宿学校の教師。だれからも慕われている彼女のもとを訪れる生徒は多かった。でも、まさかエミリー・パーから悩みを打ち明けられるとは!エミリーは教師に相談するようなタイプではなかった。反抗的で、転校してきて以来起こした問題は数えきれない。しかも、その告白が妊娠しているという内容では驚きもひとしおだ。父親を呼び出したものの、なんと伝えればいいのだろう。「ミスター・ナイトがみえました」彼の到着を知らせる校長の秘書の言葉に、レベッカは不審を抱く。ミスター・ナイトですって? エミリーと姓が違う。ナイト……。それは、かつてレベッカが思いを寄せた人の姓だった。校長室の扉が開き、父親が姿を現したとたん、レベッカは息をのんだ。ニコラス・ナイト! 十七年前の記憶が彼女の心によみがえった。
  • 運河の街の恋
    -
    ■いつまでたっても〝ミス・ポンフリー〟彼はわたしを他人と思っているんだわ。■アラミンタ・ポンフリーは子供たちの施設で働きながら、学問に没頭する両親のために、家事を切り盛りしている。そんなある日、知人から思いがけない仕事が舞い込み、数週間オランダへ行くことになった。独身の医師がしばらく六歳の双子の甥を預かることになり、子供たちの世話係を探していたところへ、彼女が推薦されたのだ。ドクター・ファン・ダ・ブローというその医師は予想外に若くハンサムで、アラミンタはひと目で好意を抱いた。胸おどる外国生活、かわいらしい子供たちとの充実した日々。だが、アラミンタに対するドクターの態度はどこかよそよそしく、彼を愛しはじめたアラミンタは、人知れず苦しむ。彼の胸にも、愛が芽生えかけているとも知らずに。
  • 侯爵と見た夢
    -
    旅行代理店で働くポリーは、顧客の要望でナポリへ飛んだ。だが、到着したホテルで彼女を待っていたのは、かつての恋人サンドロだった。顧客である夫人はサンドロの親戚で、今回ポリーを連れてこさせたのも、すべて彼の計画だったという。しかも、ホテルの従業員だとばかり思っていた彼が、実は名家の侯爵だったなんて……。だから彼は三年前、手切れ金を提示して私を切り捨てたのだろう。でも、どうして今さらおびき寄せたりしたの?ポリーの心に、言いようのない不安が芽生えた。
  • 噂の関係
    4.0
    エイヴァリーは小さな町でリフォーム店を営んでいる。父親のいない過去や都会で負った心の傷を乗り越え、今では穏やかな日々を送っていた。ある日、実業家のジョナスが仕事で町へやってきた。バーで偶然出会った彼から、思いがけずデートを申し込まれて、エイヴァリーは久しぶりに心がときめくのを感じた。いつも男性を遠ざけていたエイヴァリーと、裕福な実業家との付き合いは、町にさまざまな噂を巻き起こす。でも、決して深入りはしないと彼女は心に決めていた。私には、誰とも結婚できない大きな秘密があるのだから。★イマージュ1800号記念号を飾るのは、大人気のキャサリン・ジョージの作品です。歴史ある小さな町を舞台に、裕福な実業家とつらい過去を持つ女性のスキャンダラスな恋が幕を開けます。記念号に寄せたキャサリンから皆さまへのメッセージつきです。★
  • ブラック・ベルベット
    -
    いくら彼がセクシーでも、マダムXの正体は明かさない。■シャイで地味なアマリー・ダヴにはもう一つの顔があった。彼女はマダムX――過激な描写で男女の欲望を綴った官能小説『ブラック・ベルベット』の著者なのだ。唯一公表した顔写真も友人のレイシーのものを使ったので、マダムXのほんとうの姿は誰にも知られていない。ところが、出版社の要請でパーティに出ることになり、やむなくアマリーは再度レイシーに代役を頼んだ。もちろん、アマリー自身はマダムXのアシスタントとしてレイシーから離れないつもりだった。駆け出しの女優であり、ゴージャスなブロンド美人のレイシーは、完璧にマダムXを演じて、皆がそれを信じた……と思った。そう、たしかにジェリコと名乗る記者だけは私たちを疑っている。できるかぎり彼を遠ざけ、秘密を守らなければ。でも、彼のたくましい太腿が……ああ、官能小説家の血が騒ぐ!
  • 失恋の後遺症
    -
    ■“歴史は繰り返す”という――だったら、私はまた捨てられるの?■三年前、メアリーは恋人に手ひどい裏切りを受けていた。結婚式の前夜、彼は昔の恋人のもとに去ったのだ。男性に対して、二度と夢は見ない。彼女は固く心に決めた。だが、ビデオ制作の仕事を依頼してきたグレッグを見たとたん、メアリーの胸は高鳴った。なんてハンサムでセクシーなの! 独身かしら?そう、確かにグレッグは独身だった。けれども別れた妻は彼の共同経営者で、今も付き合いがある。そんな人に恋をして捨てられて、また傷つきたくはない。常に自信ありげなグレッグは、メアリーにとって脅威となった。「僕らはなにもしていない……今のところは」そう言いながら、彼はメアリーにキスをした。「でも、この先なにが起こるかは断言できない」■傷ついたメアリーのかたくなな心を、少しずつ癒していくグレッグ。穏やかで、しかも性急な愛が彼女に新たな夢と強さを与えることに……。リタ・C・エストラーダが送るロマンスの真骨頂!
  • 愛の海へ再び
    -
    ■苦しみと悲しみを乗り越え、もう一度あなたと愛の海へ。■救急処置室で看護婦として勤務するテリーは、重傷を負って運ばれてきた夫マイケルの横たわるベッドを呆然と見つめていた。二年前、息子のジョシュを事故で亡くして以来、ふたりの間に埋められない溝ができた。そして、マイケルは突然、一年前に家を出ていってしまった。あれから、どこで何をしているのかまったくわからなかったのにこんな形で再会するなんて……。マイケルに捨てられたという事実を受け入れ、一人で新たな人生を歩もうとやっと決心したこのときに。ところが、奇跡的に回復したマイケルが最初に口にした言葉はテリーがまったく予想していないものだった。「僕は天使に助けられ、この世に戻って君を救えと言われたんだ」
  • 令嬢と騎士
    -
    ■屋敷も車も、財産はすべて奪われたローレル。彼女は今、エドワードにすがるしかなかった。■ここに来たのは間違いだったかしら?もう何度めかわからないが、ローレルはあらためてそう思った。エドワード・ホワイト弁護士の事務所の控え室は、ダラスの町の高級な一郭にふさわしく、とても贅沢な内装で、彼の有能ぶりがうかがえる。これまで六人もの弁護士に断られ、彼が最後の頼みだった。祖母の死後、財産を管理していた弁護士は、別れた夫とともに態度を一変させ、彼女が財産を相続できる時期を、いつまでもあいまいにしている。ローレルは代々住んだ屋敷から、無一文でほうり出され、食堂のウェイトレスをしながら、やっと暮らしを立てている。わたしひとりなら、このままでも生きていける。でも、幼いバリーのことを思うと、この先、満足に育てていける自信はない。彼に裁判で、財産のいくらかでも取り戻してもらえたら、報酬もきっと支払えるはず…。だけど、こんな条件で彼ははたして弁護を引き受けてくれるだろうか?ローレルはすがる思いで、彼の部屋の扉が開くのを待っていた。
  • カナダ傷心旅行
    -
    ■彼はモデルにしたいような騎馬警官。なのに、なぜ孤独に暮らす人間嫌いなの?■「あの人よ!彼にしてください」ジュディは騎馬警察隊の隊長に向かって叫んだ。さっき、ハイウェーで彼女にスピード違反の切符を切った警官だ。フォトジャーナリストのジュディは、騎馬警官を取材するために、カナダの北の果て、ノースウェストの小さな町までやってきた。この地を訪れたとたん、夏を前にしたすばらしい自然に魅せられ、そこで働く騎馬警官の姿を早く撮りたくてうずうずしていた。ジュディは町の警察隊の支部で見つけたその警官を、さっそくモデルにしたいと隊長に頼み込んだ。違反切符を切る間も、不愛想で、見るからに不機嫌そうな顔をしていた彼に、持ち前の好奇心が刺激されたのだ。あんな人でもほほえむことがあるのかしら?彼が見かけどおりの、こわもての警官かどうか確かめてみよう。だが、当のポール・モンローは優秀な警官ではあったが、同僚の誰とも付き合わず、町から離れた一軒家に暮らす孤独な男。ジュディがどんなに陽気に話しかけても、決して心を許そうとしない、頑固この上ない男だった……。
  • 裸足のジュリエット
    -
    ■わたしを大胆に変える魔法は、彼だけが使うことができる。■“彼は本心がつかみにくい”“彼は女性の扱いがうますぎる”まじめなジェシカはなんでもリストにしてしまう。でも、どんなにマイナス要素をあげてみても、イタリア人パイロット、ニックへの思いは募るばかり。誕生日を祝おうと、連絡もせずローマを訪れてみると、彼の別荘の寝室にはネグリジェ姿の先客がいた。さらに二人の女性も鉢合わせ!ジェシカは失恋した二人とトレビの泉に願いをかけた。ニックを嫌いになって、早く忘れられますように……。ところが、その夜ホテルで気分が悪くなり、翌朝になって病院を訪れた彼女は衝撃に襲われた。妊娠していたのだ――もちろんニックの子を。■同じ男性に失恋した三人はトレビの泉に誓いを立てた。もう男なんて信用しない! でも、本当はすてきな恋人が欲しい。
  • 緋色の記憶
    -
    ■あなたとは結婚できない――そう告げたのは正しかったはず。■デヴォンは突然婚約の解消を申し出た。刑事だった父が殺害されてから見るようになった悪夢。それはフィアンセのメイスが殺される夢だった。メイスの仕事も父と同じ刑事だ。いつか夢が現実になるかもしれない。その恐怖に耐えきれなかったのだ。それから一年後、デヴォンは衝撃的な事実に気づいた。これまで、父が殺害されたとき、自分は眠っていたと思っていたが、実は殺害を目撃していたということに。恐ろしさのあまり、部分的な記憶喪失に陥っていたのだ。いまでは犯人の顔まで、はっきり思い出すことができる。恐怖と戦いながらも、デヴォンは証言しようと決意する。だが、父の事件を担当しているのはメイスだった。そして、彼の心の傷はいまだ癒えておらず……。
  • 招かれざるナイト
    -
    フロリダ沖をしばしば襲うハリケーンさながら、デイビッド・デネムはいつもアレックスの人生をかき乱す。海洋冒険家デイビッドとの短い結婚生活が破綻して一年――リゾート地で働くアレックスの傷心はようやく癒えつつあった。海を見るたび彼の瞳を思って恋しくなるものの、美しい島でのおだやかな日々は何物にも代えがたい。ある日、アレックスは浜で女性の死体を発見する。ところがその直後、死体は忽然と姿を消し、時を同じくしてデイビッドがリゾートの客として現れた。なぜ今になって? まさか、彼はあの死体と関係が?彼の不可解な登場に、アレックスの心は乱れた。★ニューヨークタイムズ・ベストセラー作家ヘザー・グレアムの最新作。美しいリゾート地で殺人事件が発生。疑わしい人物たちが次々と現れるなか、ヒロインは最愛の男性のために謎解きに挑みますが……。★
  • 呪われたウエディング
    3.5
    “マンダ・マンローの呪い”は、終わっていなかった。すべて、私のせいだわ。マンダはショックに打ちのめされた。彼女の最初の婚約者は事故死し、二人目の婚約者は殺害された。やはり私は一生、恋愛も結婚も望んではいけなかったのだ。デートを楽しんだだけで、またその相手が病気で倒れるなんて。妹の身に連続して起こる不幸の原因に疑問を抱いた兄のペリーは、親友のボディガード、ハンターにある依頼をした。マンダは十七年ぶりに再会した初恋の人――ハンターを前に激しく動揺していた。悪い予感がする。だが、彼は平然と言った。「僕が三人目の婚約者だ。君を呪いから解放するためのね」★全米マスコミ各紙が最大級の賛辞を贈るビバリー・バートン。日本でも大きな反響を呼んでいます。『狼たちの休息』第十一話は、結婚直前、二度の悲劇に襲われたマンダのため、ハンターが命がけの真相究明に乗り出します。★
  • 沈黙の大富豪
    -
    威圧的な男性だわ。しかもひどく不機嫌そう……。孤児院の院長職に応募したアリッサは面接官のコナー・クインを前にして、緊張に身を震わせた。施設のオーナーである彼は、盲目ながら天才発明家として巨万の富を築いた人物だ。だが開口一番、彼はアリッサを追い返そうとした。以前、モデルとして働いていたアリッサに偏見を抱いているらしい。食い下がる彼女に、コナーは冷ややかな声で告げた。「試してみよう。きっかり一カ月だけだぞ」なんて傲慢な人! かならず私の能力を証明してみせるわ。★政府の遺伝子実験で生まれ、直後に引き裂かれた天才児たちの数奇な運命を描く『闇の使徒たち』。盲目の天才発明家と孤児院育ちのヒロインに芽生えるせつないロマンスは必読です!★
  • 消された一夜
    -
    三年前ペイジはCIAの新米エージェントとして、ジョシュア・ストーンとともに東欧の小国に潜入した。憧れの男性との任務に胸をときめかせたものの、プロに徹する彼がペイジを女として見ることはなかった。ところが、あの夜だけは違った。間一髪で危機を逃れた安堵のためか、ジョシュアはペイジを誘惑し、激しく愛を交わしたのだ。そして翌朝、何も告げずに戦場へと消えて行方不明となった……。時をへた今、ペイジは涙をこらえて彼と対峙していた。まさかジョシュアが生きていたなんて。しかし彼の表情は冷たかった。「人違いじゃないのか?」★RITA賞を二度も受賞し、リンダ・ハワードもその実力を讃えるゲイル・ウィルソン。人気連作『孤高の鷲』第六話では、最強のエージェントが不死鳥のごとくよみがえります!★
  • トパーズの瞳
    4.0
    アンディは五年前、ニューメキシコの居留地に移り住んだ。ほどなくして部族警察の警部だった父が汚職を告発され、自殺した。父を告発したのは、彼の部下でありアンディの恋人のジョーだった。ジョーが父を殺したのも同然よ!絶対に許すわけにいかない。彼は言い訳することもなく、黙って彼女の前から立ち去った。あれから五年。まさかこんな形でジョーと再会するなんて……。しかもまた、事件がらみとは。アンディの異母弟とジョーの甥が指名手配されたのだ――殺人犯として。焦るアンディにジョーが冷たく言った。「きみにいてもらう必要はない。邪魔なだけだ」★全米マスコミ各紙が最大級の賛辞を贈るビバリー・バートン。日本での人気も急上昇中です。『狼たちの休息』 の第十話は、父を死に追いやった元恋人を憎みながらも待ち続けるアンディの物語。読み応えのある作品です。★
  • 裏切りの一夜
    3.5
    ■マフィアに命を狙われることよりも、彼に秘密を知られることのほうが恐ろしい。■殺人事件を目撃したためマフィアに脅迫されているデボラは、現れた専属ボディガードを前にして驚愕した。アシュ・マクローリン――わたしが愛した最初で最後の人。デボラは幼いころからアシュに恋いこがれていたが、別の女性を思っていた彼が振り向くことは決してなかった。たった一度のあの夜をのぞいては。十一年前のあの日、恋人にさげすまれて動揺したアシュは、若いデボラの差しだす愛と純潔を受けいれた。だがその直後、彼は町を出て二度と戻らなかった。そして今……。こちらを見つめるアシュの瞳に激しい憎悪を認め、デボラは自らの抱える秘密を思い、身を震わせた。■あのリンダ・ハワード絶賛の全米大人気ミニシリーズがついに登場! 警備会社〈ダンディー・エージェンシー〉所属のヒーローたちが、愛する女性を命がけで守ります。
  • あの夜をさがして
    -
    ■束の間、身分の違いを忘れられた幻の一夜。その代償は彼女に重くのしかかった。■十八歳の誕生日、ダニーは一夜限りのシンデレラになった。しがない厩務員であることを隠し、上流社会の夜会に出席したのだ。髪の色を変え、初めての化粧をしてきらびやかなドレスをまとい、カロライナ出身の令嬢ダニエル・デヴリスと名乗って……。令嬢と紳士たちが甘い言葉をささやきかわす舞踏会を、手の届かない生活を、ダニーは味わってみたかった。そして、運命の人に出会ってしまった。ケンタッキーきっての名門ハミルトン家の御曹子リードに。ダンスフロアを横切ってきて手を差し伸べたリードの、南部一と謳われた微笑みにあらがうことなどできなかった。夢のような夜をともにした翌朝、彼女は身分を恥じて姿を消した。ダニーはすべてを忘れるため遠く離れた地で競走馬の世話に励む。だが五年が経った今、残酷な現実が彼女に襲いかかろうとしていた。■青い空とはてしない草原が広がる遙かなる大地。けれど、そこには決して越えることのできない階級の壁が存在して……。お届けするのは、サラブレッド競馬界に渦巻く陰謀とからめて展開される珠玉のラブストーリー。感動のラストには思わず涙を誘われます。
  • 偽りの求婚者
    -
    ■とても信じられない。あなたがアラビアの王子だなんて。■未婚で妊娠したために教職を追われたアビーは、夏のあいだ、友人ジェシカの牧場に身を寄せることになった。今後のことをじっくり考えなければ……。空港に着き、ジェシカがよこしてくれた迎えの男性を見てアビーは仰天した。彼こそ、おなかの赤ん坊の父親だ!去年の十二月、出会ったその夜に一度だけベッドをともにして、名前も告げずに別れた相手。まさかこんな偶然があるなんて。相手のマックも、驚きながらも再会をとても喜んでいる。ところが、実はあの夜に子供ができたと告げたとたん、マックの顔から笑みが消え、激しい怒りがみなぎった。「そうか、最初からこういう計画だったのか」■権力闘争に巻きこまれ、テキサスに逃れたアラビアの王子たちの波乱に満ちた運命を描く四部作『テキサス・シーク』。第三話は前作のヒーロー、ケイドの双子の兄マックが主人公です。
  • プリンスの決断
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    ■王女の花婿はすり替わっていた……。偽物が真のプリンスになれる日は?■中東の一国バラハールの王女セレナは、美しい衣裳をまとい、花婿の待つ広間へと向かった。その先には隣国ソラジーのマキン王子が待っている。王子は幼いころ亡くなったとずっと信じられてきたが、今になって、テキサスの牧場で暮らしていたとわかったのだ。まさか、このわたしがカウボーイと結婚するなんて!自ら望んだ結婚ではないが、王族なら政略結婚も仕方ない。セレナは沈む心を奮いたたせ、王子の前へ一歩踏み出した。そのとたん、身動きできなくなった。まるで王子の強いまなざしに絡めとられたように。彼なら、緊迫する二国間の状況をなんとかできるかもしれない。そのときのセレナはまさにマキンの魅力の前に屈していた。その王子が実は別人であるとも知らず……。■『テキサス・シーク』の第二話をお届けします。今回は双子の兄弟の一人ケイドが、双子ゆえのトラブルに……。自ら招いた窮地に彼がどう立ち向かうのか。楽しみな一作です。
  • 汚れなき誘惑
    -
    ■一夜の夢でもかまわない。わたしのすべてを奪ってほしい……。■獣医として父親の診療所を手伝うハンナ・クラークは、父の留守中に往診依頼を受けた。連絡してきたのは牧場主のアレックス・コールマン。雌馬が難産で危険な状態だと、助けを求めてきたのだ。ハンナはすぐに牧場へ駆けつけ、迅速な処置で馬を救った。だからといって、アレックスがお礼に何かしたいと言いだすとは!ずっとあこがれてきた男性の申し出に、ハンナの心は激しく揺れる。こんなチャンスは二度とないわ。さあ、勇気を出して頼むのよ。二十八歳になる今日まで捨てられずにいる、わたしのバージンを奪ってほしい、と……。■ついにケイシー・マイケルズがラブ ストリームに登場です!陰謀の魔の手を逃れて、テキサスに身を隠したシークたちの波瀾に満ちた運命の行く末を、たっぷりとお楽しみください。
  • 花嫁を誘拐?
    -
    ■結婚式の当日、花嫁は誘拐された。ブーケを教会に残したまま……。■結婚式を間近に控えたケイトは、ある日、婚約者と一緒に町の広場を歩いていた。法外な場所に駐車しようとする車に遭遇し、運転手に注意した。「ちょっと! 道の真ん中に車をとめないで」すると突然、車の中から銃を持った人間が飛び出してきて、ケイトに向かって発砲しはじめた。危機一髪のところを救ってくれたのは、彼女の婚約者ではなく、たくましい腕と琥珀色の瞳を持つ、見知らぬ男だった。ろくに話もせず、彼はケイトの前から姿を消してしまう。ところが結婚式の当日、その男がふたたび現れ、教会からケイトをさらっていった。■カリフォルニア州の町グレーザーズ・コーナーズを舞台にしたわくわくはらはらの結婚物語をお見逃しなく!
  • 危険なプロポーズ
    -
    「ぼくと結婚してくれ」ビッキーはジェイスの言葉に思わず耳を疑った。ウエイトレスとして働きながら大学に通うビッキーを、ジェイスはずっとデートに誘いつづけてきた。彼は名門の家に生まれ、自らも事業で成功をおさめている。そもそも私と、つり合うはずがないのに……。いぶかりながらもプロポーズを受け入れたビッキーは、ある男からの電話で地獄へと突き落とされる。やっと忘れかけていた過去。その過去を知られるぐらいなら、ジェイスの前から姿を消そう。★ヨーロッパの小国の王室を舞台にしたミニシリーズ『ロマンスは海を越えて』もいよいよ最終話です。次期国王候補となったジェイスは、婚約者ビッキーの思わぬ過去を知り、周囲を説得しようと試みますが……。★
  • 胸に秘めた思い
    -
    アニーは傷心をかかえ、故郷に戻ってきた。最近亡くなった父の遺してくれた牧場を継ぎ、この小さな町で平穏に暮らしていこうと決心したのだ。ところが町に落ち着いたとたん、隣人のトラヴィス・マッケイブがアニーにつきまとい始める。彼のことは、父が生前息子のようにかわいがっていた。だがどうやら、お目当てはアニーの牧場らしい。いいえ、だめ。父が守り抜いた牧場を、誰の手にも渡すつもりはない。たとえそれが、目を離せないくらいハンサムなトラヴィスであっても。★四カ月にわたってお届けしてきたミニシリーズ『恋が始まる町』も最終話です。今月のヒーローは、恋に臆病だったマッケイブ家の長男トラヴィス。隣人アニーとの恋の行方は?★
  • 忘れられない情熱
    -
    〈ダンヴィル財団〉の理事長であるマットは、一族の歴史を引き継ぎ、常に紳士であることを課せられてきた男性だ。だがペイトンが財団主催の催しの担当者となったとき、顔を合わせるたびに対立し、彼は感情を爆発させた。マットの妹の結婚披露パーティで、二人はダンスをするはめになり、思いがけず体が反応するのに気づいて驚く。反応したのは体だけ。そう思いこもうとしたが、運命は信じられない夜を用意していた。先の見えない情熱に惑わされたように、二人は“過ち”を犯したのだ。★ミニシリーズ『幸せを運ぶ人』の最終話です。ダンヴィル家の長男としての誉れ高いマット。恋に落ちたものの、なかなかその先に進むことができず……。★
  • 愛に目覚めるとき
    -
    まるでスコットランドの荒野に立つ若い領主みたい。リサは、家業のぶどう園を立て直すためにやってきた経営コンサルタントのサリバンにひと目で心を奪われた。情熱的な瞳、すべての女性を惑わすような笑顔。こんなに魅力的なのだから、きっと経験も豊富に違いない。バージンの私にも、すてきな体験をさせてくれるだろう。パーティのために美容院へ行き、新調したドレスを着けて、リサはサリバンの滞在するコテージへと向かう。「仕事と楽しみは一緒にしないと決めているんだ」ためらいがちに言う彼の前で、リサはドレスのボタンをはずし始めた。思わぬ出来事が二人を待ち受けていることなど想像もせずに。★名家ローガン家を中心に、人を愛することの尊さを描くミニシリーズ『ある運命の物語』が始まります。今月のヒロインは偶然自分の本当の父親を知ったリサ。真実の愛を知るにつれ、自分の出生にも興味を持ち始めます。★
  • 奇跡の恋人
    -
    ■二週間だけの気軽な関係を受け入れてしまってもいいの?■夫の死後、修道女のような生活を送ってきたステファニーにとってナッシュとの出会いはまるで突然訪れた嵐のようだった。彼女が切り盛りする朝食つきホテルに宿泊客としてやってきた彼に、これまで感じたことのない強い欲望を覚えたのだ。苦労した思い出しかない結婚生活のせいで、恋愛はこりごりなはずなのに、こんな気持ちになるなんて。思いが通じてしまったのか、ある日ナッシュが言った。「ぼくがここにいるあいだだけ、ベッドをともにしないか」はしたない女だと思われているんだわ!動揺したステファニーは、彼の前から逃げ出した。
  • 悪女入門
    3.0
    ■「悪女になるには魅力がなさすぎるよ」彼の目はそう告げていた。■もう、いい子でいるのは卒業するわ!牧師の娘として厳格に育てられたヘイリーは、自由を求めて家を出た。お酒も飲みたいし、悪いことだってしてみたい。そして、バージンを捨てることができれば……。そのチャンスを探しにヘイリーは怪しげなバーに入ったが、すぐに悪い男たちにからまれてしまう。窮地を救ってくれたのは、連邦保安官のケビンという男性だった。酔ってまともに歩けない彼女をモーテルまで送ってくれる。紳士的に振る舞う彼に感激し、ヘイリーは思わず言った。「ここであなたが誘惑しても、かまわないわ」
  • ボスは理想の花婿?
    4.0
    ■結婚しても夫に片思いなんてつらすぎるけれど……。■「解決策はひとつしかない。ぼくと結婚しよう」八年も思いを寄せてきたボスのブラッドに言われ、レイチェルは期待に胸が躍った。が、それも一瞬のことだった。彼女は最近ストーカーにつけ狙われていた。とうとう自宅にまで忍び込まれた痕跡を発見し、身を隠さなければならなくなったのだ。ブラッドが結婚を提案したのは、ひとえに私に辞めてほしくないからに決まっている。それでも、ボスがほかの女性たちとデートを重ねるのをやるせない気持ちで見守るよりはましかもしれない。自分の決心を狂気の沙汰と知りながら、レイチェルは申し出を受け入れた。"
  • 砂漠のシンデレラ
    -
    ■傲慢なプリンスにとって、愛は女性からの捧げ物でしかない。■「僕の子供を妊娠しているというのは本当か?」バハニア王国のプリンス、サディクにつめ寄られ、クリオは恐怖にのみ込まれそうになった。ああ、とうとうばれてしまったのだ。出会ってすぐに惹かれ合い、ベッドをともにしたが、貧しい生まれの自分は単なる情事の相手にすぎなかったと知り、傷ついたクリオは彼のもとから逃げ去った。いままでずっと連絡をくれなかったのだから、彼の目当てが王位継承権を持つ赤ん坊にあるのは明らかだ。「結婚しよう」サディクは一方的に告げたが、愛のない結婚を求めていないクリオにとって、それはプロポーズではなく、死刑宣告も同じだった。■『アラビアン・ロマンス:バハニア王国編』の第三話です。前作でヒロインだったザーラの妹、クリオが主人公。愛を求め続ける孤独な彼女の心を、プリンスが受け入れる日は来るのでしょうか?"
  • シークと幻の都
    -
    ■シークの慈悲を乞う奴隷――それがプリンセスの運命だった。■猛烈に吹き荒れる砂嵐に身を縮めながら、バハニア王国のプリンセス、サブリナは後悔に苛まれていた。父王の決めた結婚に反発し、伝説の地、盗賊の都を探しに出たものの、砂漠の迷宮に迷い込んでしまったのだ。サブリナが死を覚悟し始めたそのとき、遊牧民の一団が通りかかる。だが助かったと思ったのも束の間、リーダー格のたくましい男に捕らえられてしまう。彼女を奴隷にするつもりなのは明らかだ。サブリナはこの状況を切り抜けるために身分を明かすが、男はプリンセスを奴隷にするのも一興だと、まったく取り合わない。やがて一行は、見たこともない壮麗な都にたどり着いた。驚きに目をみはる彼女の気持ちを察したように、男は言った。「盗賊の都へようこそ。わたしはこの都の君主、カーダルだ」
  • ドクターは口説き上手
    -
    ■彼女が最も恐れるもの――それは恋。彼が恐れるものは――永遠の絆。■勤め先の郵便局を訪れたハンサムな男性に、エイプリルはすぐに反感を覚えた。ジミーというその男性は、彼女を見るなりいきなり口説いてきたのだ。女好きなお医者さまというわけね。こんなプレイボーイに、まどわされるわけにはいかないわ!妹を訪ねにこの町に立ち寄ったが、これほどの美人に出会えるとは。ジミーはほくそ笑んだ。ぼくのお世辞を少しも気に留めない、気の強い女性。口説き甲斐があるぞ。二週間もしたら出ていくつもりだが、それまで、彼女と気軽なつき合いをするのも悪くない。
  • 大富豪と淑女
    3.5
    ■テキサス中の女性が憧れる独身男性がどうして私なんかにかまうの?■スキャンダルに飢えたマスコミから逃れるため、レスリーはヒューストンからジェイコブズビルにやってきた。大学時代の友人が救いの手を差し伸べてくれ、彼のいとこ、マット・コールドウェルが経営する大企業の秘書に採用してもらったのだ。ところが、顔を合わせるやいなや、マットはレスリーを冷たい目でにらみつけて言った。「ここに来た本当の理由はなんだ?」レスリーはごくりと唾をのんだ。なんて怖い目……。きっと彼は私の過去を知っているんだわ!突然、底知れぬ恐怖に駆られ、彼女はマットのそばから逃げ出していた。
  • ためらいの夜明け
    -
    サバンナは、ノックスにけっして近づかないようにしていた。あえて冷たい意地悪な女を演じ、壁を築いてきた。なぜなら新聞社に入った日、一目で彼に惹かれてしまったから。上流階級の御曹子に、孤児のわたしが恋をすれば、傷つけられて終わるとわかりきっている。なのに彼と夫婦のふりをして、潜入取材をするはめになるなんて!しかも行き先は、古代インドの秘儀を伝えるあやしげなクリニック。数日間の官能的なワークショップに、多くのカップルが集まる。そんな親密な空間でも、この思いを秘めておけるだろうか?もしノックスに悟られたら、ガラスの心が砕けてしまう。★栄えあるRITA賞のファイナリスト、期待の新星ロンダ・ネルソンが日本デビュー!孤独なヒロインの姿が切なく胸に迫る作品です。アメリカでひそかなブームになっているという摩訶不思議な世界、古代インドで生まれたタントラの奥義を垣間見ることもできます。★
  • 秘密のセラピー
    -
    天才医師として名高いドクター・ウォーカーは、出勤するはずの時間にあらわれなかった。三カ月間、わたしのクリニックを手伝ってくれるはずなのに。アロマテラピーやハーブ療法をどんなに見下しているとしても、約束はきちんとはたしてもらわなくては。彼をたたき起こそうと意気込んで家へ向かったフェイスは、ドアを開けた男性の裸の胸をぽかんと見つめた。どうして誰も教えてくれなかったの?ドクターがたぐいまれな才能ばかりか、想像を越えたすばらしい肉体美の持ち主だということを。★主人公リュークは、人々から崇拝される優秀な医師です。人を癒すために生きてきた男が、初めて人に癒されるときとは……。★
  • 再会はスキャンダラス
    -
    ジェイミーは十五年ぶりに故郷ホウノーリアへ帰ってきた。女優になる夢をあきらめ、もう一度人生をやり直すためだ。ある日、プールで溺れていた子どもを救ったのをきっかけに彼女は初恋の相手と再会する。その人は十代のころと変わらず、すがすがしい魅力をたたえており、会った瞬間、甘ずっぱい思い出がいっぺんによみがえってきた。高校の体育館裏に彼を呼び出し、告白したこと。「僕たちは違いすぎる」と言われ、拒絶されたこと。ジェイミーは恥じらいを静かな微笑に変えて、彼と向き合った。もう一度、大人になった自分を見てもらうために。
  • ダブル・ファンタジー
    -
    ■心を開くことができないのに、どうして誰かを愛せるだろう?■人を信じれば、それが弱みになって誰かにつけ込まれる。そう母親から教わったレイーナは、いつしか利己的な愛しか求めないようになっていた。だから、彼女の生きかたを正面切って否定する男性が現れたとき、レイーナは恐怖を覚えた。グレイ・マスタースン――操ろうと思っても操れない男。深い湖のような瞳で、心のひだに分け入ってくる男。城壁のように厚い壁を、彼なら破ってくれるだろうか?そして、破られた先に何が待っているのだろう?レイーナは初めて“愛”という言葉を考えはじめた。
  • 薔薇色にときめいて
    -
    ■月光の下で織られた魔法のスカート。はけば、男心を虜にするという。■寝室の鏡に向かったケイトは思わずにっこりした。ついに噂のスカートを手に入れたわ。今まで男にいつもそっぽを向かれてきたけれど、もう大丈夫。それに、ついに本物の王子様を見つけた!ハイスクール時代からあこがれだったトッドは、会社を経営して成功をおさめ、まさに未来の夫にふさわしい。魔法のスカートをはいて彼を誘惑すれば、たちまち二人は恋に落ちるはず。でも……。彼女はふと顔を曇らせた。それにはまず、ベッドの下に隠したこの男性をなんとかしないと。■友人の結婚式で望みのスカートを手に入れたケイト。彼女はお目当ての男性の前でスカートをはくつもりでしたが、スカートが盗まれてしまいます。叙情性に富んだ新作家クリスティン・ガブリエルがミステリーの要素も織りまぜて、ほほえましい作品に仕上げました。
  • 月の光に抱かれて
    -
    ■月光の下で織られた魔法のスカート。はけば、たちまち男心を虜にするという。■友人の結婚式でブーケの代わりにスカートが落ちてきたとき、チェルシーはびっくり仰天した。でもスカートにまつわる伝説を聞いて、すぐに大喜びした。なんという幸運かしら。今まで男運に見放された人生を送ってきたけれど、これで解決ね。彼女は早速、スカートをはいてレストランに出かけた。すると、どうだろう、みるみるうちに男たちが寄ってくる。その驚くべき効果を見て、頭にひとつの考えが浮かんだ。スカートをねたに記事を書き、雑誌社に売り込もう。そうすれば夢みてきたコラムニストの職が得られるかもしれない。そのとき、スカートが銀色の砂を撒いたようにきらきらと輝き、編集部で執筆に追われる自分の姿が幻のように目に映った。ただし男も映っていた。冷たいブルーの瞳の、見知らぬ男が。■恋人よりもキャリアが優先のチェルシーのお話。ファンタジーあふれる作品に仕上がりました。
  • 火遊びの行方
    -
    ■霧に導かれて激しく燃え上がる恋。たとえそれが妖しい罠だったとしても。■アリアナは最新雑誌の特集記事に見入った。“サンフランシスコ流セクシーな都会の夜の過ごし方”夜の霧に紛れて大胆に愛しあう恋人たちの写真に思わず息をのむ。なんてスリリングで魅惑的なの!私も燃えるような恋がしたい。この貴重な休暇の間だけでも。だけど、誰と? マックス……彼しか考えられないわ。彼は大金持ちの権力者で、私とは住む世界がまるで違う。でも、運命が味方さえしてくれたら……。そんなアリアナに思いがけない誘惑のチャンスが訪れた。夜、霧、欲望――その三つが揃ったとき、二人は予想もつかない方向へ一歩踏み出してしまう。それが何者かの策略とも知らずに。■ヒロインはレストランを経営する自立した女性アリアナ。愛も仕事も手に入れたい彼女が人生の選択を迫られます。
  • 結婚しない関係
    -
    ■彼に惹かれてはいけない。魅力的な男性は必ず私を見捨てるのだから。■テスとブレイクは広告代理店の共同経営者だ。“ラバーボーイ”というコロンの広告制作の注文を受けた二人は、イメージモデルをさがして、あちこちに出張していた。モデルの面接に来る青年はみんな魅力的でセクシーだが、彼らに対してテスがときめくことはなかった。同行しているブレイクには、すぐ体が熱くなってしまうのに。どうしてだろう? テスはホテルの部屋に戻って考えた。私は彼にとって、からかいがいのある相手でしかない。だが私は彼が欲しいのだ。それも奔放でみだらな方法で。こんなことを考えてはいけない。仕事に集中しなければ。夜もかなり更けていたが、テスはブレイクに電話をかけた。すると打ち合わせの電話に、彼は意外な言葉を返した。「テス、君が今なにを着ているのか教えてくれないか?」
  • 恋は人違いから
    -
    ■彼が好きなのは魅惑的な女を演じている私。シャイで臆病な本当の私ではない。■洗練され、自信に満ちた、セクシーな美女。それが今のレイチェルだ。だが、昔は違った。地味で内気で、いつもいじめられていた。当時受けた心の傷が癒えない彼女は、三人のいじめっ子に復讐することにした。正体を偽って誘惑し、彼らがその気になったところで捨てる。そして自分が誰かを教えて、自尊心を打ち砕いてやるのだ。まずは一番ひどい仕打ちをしたカールから。彼はあっさりと誘いにのってきた。計画では、彼を欲求不満にさせて立ち去るつもりだったが、レイチェルは本気で熱くなってしまった。しかも翌朝、人違いをしたことに気づいて……。■復讐と情熱のあいだで揺れ動くヒロインと、彼女にどんどん本気になっていくヒーローが繰り広げるストーリーをお楽しみください。
  • 御曹子の恋人
    -
    ■玉の輿を狙ったわけじゃない。愛してくれた人が大金持ちだっただけ。■昼はルート六六沿いの時代遅れの食堂で働き、夜は大学に通って将来を夢見ている一介のウエートレス。サブリナはそんな自分に満足し、幸せだった。客は地元の人やトラック野郎たちだから、ロマンスなんて期待はできないけれど……。でも、人生は予想外の方向に進むこともあるのだ。初夏のある日、客もまばらになった午後の休憩時間、サブリナは店の裏口で壁にもたれてうとうとしながら、暖かな日差しを浴びていた。ふと明るさが遮られ、目を開けるとジーンズ姿の背の高い男が見下ろしていた。帽子についた会社名からすると、近くの油井で働く人?お互いが運命の相手だと気づかせるものは何もなかった。けれど、そのとき御曹子はウエートレスに恋をした!
  • ウィークエンド・ロマンス
    3.0
    密かに憧れていた社長ジャックが美人女優と婚約し、秘書のハンナは憂鬱な日々を過ごしていた。しかも婚約パーティで、その女優がとんでもない悪女と知ったのだ!なんとかして魔の手からボスを守れないかしら……そう考えていた矢先、ジャックが事故に遭ってしまう。慌てて病院に駆けつけたハンナは医師から、彼が過去6週間の記憶をそっくりなくしていると知らされた。もちろん、婚約者が誰なのかも覚えていないらしい。病院から彼を引き取る人間が必要になったとき、ハンナはとっさに口にした――自分が彼の婚約者だと。
  • レディに剣を
    -
    許嫁を宿敵サクソン人に殺され、以来八年独身を通してきたマズランは、弟の妻にうとまれ、意に染まぬ結婚を押しつけられそうになっていた。助けを求めにノルマンディーから、わざわざ海をわたってイングランドに住む従兄に会いに来たのに、彼はすべてを保留にしたまま戦地に赴いた。ただ一つ、辺境の地にいる身重の貴婦人の世話をしろと言い残して。しかも、マズランの警護を命じられたのが、憎きサクソン人の戦士。長い金髪、ほっそりした厳しい顔、たくましい長身の体―エドウィンは確かに魅力的だが、態度は傲慢このうえない。不愉快なのは、その敵とも言える相手に惹かれていることだった。大胆にも彼は率直にマズランを求めた。エドウィンはわたしを守ってくれる…でもエドウィンから、誰がわたしを守ってくれるの。
  • 強引な求婚者
    -
    ■好きなだけ逃げるがいい。ぼくは必ずきみを見つけ出す。■マリエッタは十八歳になっても結婚する気がなく、次々に現れる求婚者をことごとく断ってきた。継母のレディ・アリスは、そんなマリエッタにさじを投げ、十五歳になった実の娘エメリーンを先に結婚させようと考える。折しも、新しく獲得した荘園の隣に理想の結婚相手が……!ソースゲルド城の城主アラン卿の出現に、エメリーンとレディ・アリスは色めき立った。ところが、アラン卿が目をつけたのは、ほかならぬマリエッタだった。アラン卿は一目会ったそのときから、花嫁は彼女しかいないと直感したのだ。その直感に従って、彼は少々強引とも言えるやりかたで逃げるマリエッタに求婚しようとした。
  • 春を待つ騎士
    4.5
    ■長い冬のあいだ春を待ち続けた今、きみを可憐な桜草で飾ろう■十四世紀なかばのイングランド――二年前に老齢の領主であった夫を亡くしたアレッタは、忠実な使用人たちの協力のもと、女手一つで荘園を管理していた。十五歳で嫁いで以来七年間、暴虐な夫から虐待を受けた彼女にとって、大変ではあっても、夢のように平和な日々といえた。その平安を打ち破るかのように、春の嵐が巻き起こる。長く不在だったという隣の荘園の領主、ジェロントが帰ってきたのだ。彼は初めて顔を合わせた瞬間から、アレッタを嘲り、挑発した。最初はアレッタの土地に、次いで荘園邸にも侵入し、彼女の心の中にまで横暴に踏み込んでくる。ジェロントがささいな弱みを突いて偽りの婚約を迫ってきたとき、アレッタは動揺を隠すことができなかった。わたしが過去の結婚に感じていた恐怖は、彼にはわからない。なぜ、ほうっておいてくれないの!
  • 戦火に燃えて
    4.0
    一八一五年、ベルギー郊外で戦争の火ぶたは切って落とされた。世に言うワーテルローの戦いである。皇帝ナポレオン率いるヨーロッパの最強部隊を迎え撃つのはウェリントン公き麾か下のイギリス軍だ。ジェンナは戦場にいた。負傷した兵士の看病にあたるためだ。不意に見覚えのある青年将校の姿が目に入った。アンソニーだわ!熱い過去の記憶が呼び覚まされ、彼女は転がるように彼のもとへ駆け出した。★ゴールデン・ハート賞受賞作家ジュリア・ジャスティスの作品をお届けします。『馬上の密会』(HS-204)でヒーローをつとめたティーガン・フィッツウィリアムズも登場しています。★
  • 生きかえった花嫁
    4.0
    彼女は闇の世界から光が見えるほうへ這いあがろうとした。とたんに焼けつくような痛みが全身を貫いた。もう耐えられない。いっそ、目を閉じて死に神にこの身を任せようか。そのほうがどんなに楽だろう。「生きろ!」男の力強い声が聞こえた。誰が励ましてくれるのか、彼女は声のしたほうに耳をそばだてた。朦朧として、重いまぶたを開ける。「闘うんだ」光が射し、男の顔がぼんやりと視界に入った。まるで命綱のように、彼の声が彼女を生者の世界へと引き上げた。★HS-227『女伯爵の名誉』の関連作品です。前作でイングランド王子ジョンの部下だったウィリアム・デセヴェリンが、今回のヒーローです。★
  • 孤島の花嫁
    4.0
    ■一縷の望みをかけてやってきた絶海の孤島。この島の美しい自然は、私の味方になってくれるのだろうか。■両親が相次いで亡くなり、クリスティアーヌはただひとり、スコットランドの小さな町で迫害を受けていた。伯父の計らいでイングランドのビターリー島に嫁ぐことになったが、ここでも彼女は、島民から悪意に満ちた目で見られた。スコットランドとイングランドの両方の血を受け継いだ彼女は両国間の戦いが終わった今も、双方から目の敵にされてしまう。クリスティアーヌの居場所はもはやどこにもなかった。島の領主アダムも島民と同じく、私を花嫁とは認めないだろう。私を悪漢から守ってくれた勇敢なアダムに、私は心を奪われてしまったというのに……。
  • 竪琴を奏でる騎士
    4.5
    ■修道院から夢見た自由な生活はそこにあるはずだった……。■十三年間修道院で暮らしてきたエリザベスは、おじの出現に胸を躍らせた。おじは縁組を整えていた姪が別の男のもとへ逃げ出したため、もうひとりの姪である彼女に白羽の矢を立てたのだ。エリザベスにとっては願ってもないチャンスだった。修道院でのつらく冷たい日々から抜け出せるのなら、相手がどんな人であっても、結婚を成功させなければ。しかし、おじとともに城に到着した彼女を待っていたのは、誰からも恐れられる騎士、レイモンだった。首にはおどろおどろしい傷痕、しぼり出すようなつぶれた声、そして蔑むような冷酷な瞳……。ああ、また誰かに脅える日々を送ることになるのかしら?
  • 美酒の甘き香り
    3.0
    ■美酒の甘き香りに酔いし狂熱の一夜。■偉大な父と個性的な兄たちのもとで育ったトリスタンは真面目に武芸の腕を磨きながら、片田舎のウェールズなどではなく国王のいるイングランドの宮廷での立身出世を狙っていた。そのためにはノルマン人の有力貴族の娘と結婚するのが手っ取り早い。折しも父の城クレイグ・フォアーには、格好の客人が来ている。サー・エドワード・ドゥーローの娘レディ・ロザムンドなら美人だし、縁戚関係も完璧だ。ところが彼らを招いての祝宴のあと、トリスタンは城壁の陰で待ち伏せしていた女にいきなりキスをされた。その女は……メア! 最高級の酒を造る奔放な美女は、人違いでトリスタンに身を投げかけたのだ。一度燃え上がった欲望の炎は消せず、二人は情熱のまま愛し合うが……。
  • 愛あればこそ
    3.0
    ■愛さえあればいかなる苦難もものともせず。■ジュヌヴィエーヴはディラン・ディレイニアに恋をした。よりによって、婚約者のもとへ向かう旅の途中で……。父親ほど年の離れたまだ見ぬ婚約者と目の前の魅力的な若者とでは比べるべくもない。思いつめた彼女は、大胆にも夜中ディランのベッドに忍び込み、契りを結んだと主張した。その結果、計画どおりジュヌヴィエーヴの婚約は破談となって、めでたく彼女はディランの花嫁として迎えられた……が、現実は過酷だった。ディランは近隣でも名を馳せる放蕩者で彼女を口説いたのも、ただの戯れにすぎなかったのだ。もっとも、ジュヌヴィエーヴは知らなかった――ディランのなかで早くも彼女への愛がふくらみかけていたことを。
  • 気高き騎士
    -
    ■騎士たるもの、志は高く、正義を貫くためには命も惜しまず。■「婚礼の前に花嫁をさらうのはウェールズの風習なのだ」新しい主君キンヴェリンの説明に、ノルマン人ブライスはうなずいた。ウェールズの貴族にも風習にも詳しくない以上、たとえ意に染まぬ命令であっても納得するしかない。伯爵家の跡継ぎながら領地も爵位も失い、馬上槍試合の報奨金を糧に暮らしてきたブライスにとって、これは出世の機会でもあるのだ。彼が連れ去る花嫁はレディ・リアノン・ディレイニア。つい昨日の夜、ブライスのキスに応えた情熱的な貴婦人だ。彼女がキンヴェリンの花嫁だとは……。そしてレディ・リアノンの父親の前から彼女を奪ったとき、ブライスの不快感は強まった。いくら芝居だとしても、これほど彼女が抵抗するのは奇妙ではないだろうか?■『剣と竪琴』でディレイニア男爵とレディ・ロアンナが結ばれてから早二十年。いよいよ子供たちが運命の相手に巡り合うことに……。
  • 魔女に捧げる誓い
    4.0
    ■水鏡に映し出されし運命の相手。その名はディ・バラ……悩み多き騎士。■ディ・バラ家一番の女好きで酒好きのスティーブンは、神々しいまでの美しさに恵まれ、何ひとつ不自由なく暮らしていた。だが実際は、日々つのるむなしさのせいで酒も女も楽しめない。しかも父キャンピオン伯爵から、不愉快な仕事を言い渡された。この寒さ厳しい気候の中、レストランジュ家の姫君ブリードをウェールズの館まで送り届けろというのだ。美しい女の護衛ならともかく、ブリードは彼をいらだたせるだけの存在だった。頭巾で髪をすっぽり覆い、始終しかめっ面を彼に向けてくる。しかしのろのろと道中を行くに従って、逆に興味がわいてきた。まるで魔力に導かれるがごとく、彼はブリードに吸い寄せられた。好奇心と飽くなき欲望は、やがて抑えきれないほどに……。
  • 謎めいた後見人
    4.5
    ■虚構渦巻く華やかな社交界。運命の扉が今、開かれる……。■わたしに後見人が? もうじき二十歳になろうというのに?ある日突然、目の前に現れた謎の紳士に、アンは当惑した。幼いころに母を失い、その直後に寄宿学校に入れられた彼女は、ほとんど父に会わずに成長した。その父も亡くなり、母校の教師が自分の生きる道だとほとんど信じかけていた。陰のある美貌の紳士はイアン・シンクレアと名乗った。陸軍大佐の彼女の父親から、遺言で後見人に指名されたという。いったい父はなにを考えていたの? これからどうなるの?アンの疑問のひとつは、やがて答えが明らかになった。夫を探すため、彼女は社交界にデビューするのだ。だが、理想の男性はもう見つかった。夢見がちな彼女にとって、イアン・シンクレアこそ、完璧な夫となりうる人だった。■一つの遺言が二人の人生を変えた……残酷な現実とかすかな希望のはざまでイアンが下した決断は? 十九世紀のロンドン社交界を描くドラマチック・ロマンス!
  • 処女の泉
    3.5
    ■伝説の泉に身を横たえし乙女。果たして貴婦人か、娼婦か?■ギルクライストが“処女の泉”のほとりで助けた女は、彼に新たなわざわいの種をもたらした。下着姿で倒れていた彼女は記憶を失い、名前もレイチェルとしかわからない。ギルクライストはデヴィッドソン一族の長として一刻も早く花嫁を迎える必要あった。それなのに、素性も知れぬ彼女のことがどうしても忘れられなくなったのだ。漆黒の髪、透き通るような肌、薔薇色の頬――貴婦人のようだが、娼婦かもしれない女。レイチェルをわがものにすることは、確実に彼の地位を脅かす。しかも、右半身にひどい火傷を負った彼は、いまや剣を持つのもままならない。だが、何をするにしても遅すぎる。ギルクライストはまちがいなく恋に落ちていたのだから。■デブラ・リー・ブラウンが、風光明媚な中世スコットランドを舞台に描く美しくもせつない恋! 精神、肉体ともに傷ついた騎士と癒しの力を持つ治療師の物語です。
  • 呪われた誓約
    3.0
    ■六年の月日は、十五歳の可憐な乙女を強く美しい母へと変えていた。■ライオン・サザーランド! わたしの息子の父親!ロウィーナはかつての恋人との再会に動揺した。六年前、ライオンに去られ、呆然とする彼女に、ガン族の族長パドレイクが結婚を申し込んだ。妊娠していたロウィーナには、受け入れるしか道はなかった。何より彼は、おなかの子供を実の子として育てると約束したのだ。だが、夫が何者かに殺された今、彼女を取り巻く状況は変わった。新しい族長となった息子のパディはまだ五歳。しかも、その族長の地位をパドレイクの弟が狙っている。もしパディの父親がパドレイクでないと知れたら、パディもロウィーナも、間違いなく即座に殺されるだろう。一方ライオンは、そんな彼女の苦悩を知らず、決意に燃えていた。ロウィーナを取り戻したい。いや、なんとしても取り戻すのだ!■イングランドやフランスの干渉や、氏族間の抗争に揺れる十四世紀スコットランドで、次世代のサザーランドたちが活躍します。
  • 戦いの終わり
    3.5
    ■サマーヴィルの名のもとに生まれし者、ただひとりの人に愛を捧ぐという……。■ならず者の集団が、騎馬の兵士たちに突然襲いかかり、アリス・サマーヴィルの目の前で激しい戦いが繰り広げられた。気がつくと、護衛についていたレイナルフ卿とその家臣の姿はなく、アリスは囚われの身となっていた。しかもあろうことか、彼らを率いる人物はゴウェイン・フィッツウォレン!レイナルフに征伐されるはずの極悪非道の罪人ではないか。幸いにも彼らは地味な身なりのアリスを尼僧と勘違いし、アリスも誤解を解かずに、薬草の知識を生かして怪我人の手当てをした。それでも常にゴウェインの冷たい緑色の瞳が彼女の行動を追っていた。ところが彼らの隠れ家に向かう途中、ゴウェインは意外な優しさを見せた。足を痛めたアリスを抱きかかえて険しい山道を登ったのだ。どうも聞いていた話と違う……。ならず者たちの事情を知るうちに、ゴウェインに対するアリスの思いは熱く深い愛へと変わっていった。■英仏戦争さなかの十四世紀後半のイギリス。美しく成長したガレス・サマーヴィルの一人娘アリスは、運命のいたずらか、ならず者に身も心も囚われることに……。
  • 赤毛の貴婦人
    -
    ■鉄の意志を持つ戦士にも、赤毛の花嫁という弱点があった。■マイナはずぶ濡れのまま、モンモランシー城の大広間に入った。嵐の中ここまで来たのは、婚礼前夜の祝宴のため。それなのに、花嫁のわたし抜きで始めてしまうなんてどういうこと?そのとき、奥の一段高い場所から彼女を見つめる男に気がついた。冷たく傲慢そうだが、意外にも若くたくましく、見目もいい。あれが夫となる人ね! 強気なマイナは着替えもせずに上座に近づき、皮肉を込めて当主ロジェに挨拶すると、さっさとその場をあとにした。なんという生意気な女! 赤毛の女とあって頑固なことこのうえない!ロジェは初めて会った未来の妻に怒りと幻滅を覚えた。だが、濡れた服はマイナのすばらしい体をあますところなく見せつけた。彼は妻に一つのことしか――服従しか要求しないつもりだった。待ち受ける困難も知らずにロジェは一人、悦に入った。マイナ・チルコットはその見返りに、夢のような夜を経験する。百戦錬磨のわたしが技を駆使すれば、女を手なずけることなど簡単だ!■中世イギリスを舞台に、戦う男たちの愛と冒険を描く人気の『戦士に愛を』シリーズも五作目に突入! 前作『ウェールズは遠く』にも登場した独善的なサー・ロジェ・モンモランシーが赤毛の貴婦人相手に四苦八苦します。
  • 忘れ得ぬ微笑
    3.0
    ■セント・オーバン卿が微笑んだ瞬間、ジェネヴラは恋に落ちた。■十歳のときから十年間、修道院で暮らしてきたジェネヴラに、突然結婚話が持ち上がった。たとえ母が貴族でも、父を知らない私生児では縁談もないと思っていた。ところがなぜか有数の権力者であるノーサンプトン伯爵が、家臣の騎士を彼女の夫にしようと決めたのだ。相手が老人だろうが醜かろうが仕方がない――そう覚悟したジェネヴラだったが、花婿のセント・オーバン卿は数多くの戦地で武勲をあげた若い男爵で、馬上槍試合でも敵なしといった剛の者だった。そのうえジェネヴラの情熱を目覚めさせ、奔放な一面を引き出した。だが、すばらしいのは夜だけと知って、ジェネヴラは当惑した。なぜセント・オーバン卿はあんなによそよそしいのだろう?彼に求められていると思ったのは、錯覚なのだろうか?■妻への思いを抑えようとするセント・オーバン卿に、無邪気でひたむきなジェネヴラがとった行動とは……?サラ・ウエストリーが、イギリス人作家らしい、こまやかな筆致で中世貴族社会の結婚を描きます。
  • 永遠の炎
    -
    ■毎夜見る夢と同じだわ――端整な顔だちも、飢えたような瞳も。■ローレルは夢を見ていた。毎夜繰り返される黒い馬に乗った男の夢。「あなたは誰なの? なぜここに来たの?」彼女の問いかけに、鎧で身を固めた馬上の男が振り返る。「すべてを手に入れるためだ。おまえのすべてを」やめて!目が覚めたあともローレルの動揺はおさまらなかった。あのすみれ色の暗い瞳は、忘れたくても忘れられない。彼女の祖父が統治するエデンの谷は、近隣の賊たちに狙われている。あの夢の男は、賊の一人なのだろうか?やがてその男の正体が明らかになった。キアラン・サザーランド――この地を守るために雇われた傭兵、そしてローレルの夫となるはずの人物だった。夢が現実となると知って、ローレルは愕然とした。そうよ、彼はエデンの谷を乗っ取ろうとしているんだわ!■十四世紀のスコットランドを舞台にした愛と冒険の一大叙事詩〈サザーランドの獅子〉も、いよいよ最終話! 今月はライオンの忘れ形見キアランが放浪の末、本当の自分の居場所を見つけます。

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