前編の「愛に惑う二人」から読み進めてきて、この後半の「哀しみの宮殿」まで、長編で読み応えがありました。
前編の冒頭では、劇的な出逢いをして、お世辞にもお互いに良い印象を持たなかった二人が恋に落ち、やがて夫婦となるまでを描いた「愛に惑う二人」。
今回は夫婦として幸せに暮らす二人が、夫サウルが突如とし
...続きを読むて大公位に即位しなければならなくなり、「子供は作らない」という夫婦の確固としたルールを変更せざるを得なくなったところから始まります。
ヒロインの戸惑いと哀しみが克明に描かれ、そんな中での予期せぬ妊娠に更に事態は混迷を極め、、、
どのような事態になろうとも、「大切なのは君だ」と言い切る夫の頼もしさ、優しさによって、果たしてヒロインは危機を乗り越えられるのか?
ヒロインが頑なに子供を持たないと決めいる背景には、幼い頃の悲惨な事故がトラウマとなっているからに他なりません。
自分もかつての母親のように、我が子を殺そうとするのてはないかという恐怖心です。
他人から見れば、心配のしすぎなだけではと思う恐怖も、彼女の幼い日の体験を考えれば、仕方ないことなのかもしれません。
夫婦で大きな危機を乗り越えたラストは感動的でした。