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■長い冬のあいだ春を待ち続けた今、きみを可憐な桜草で飾ろう■十四世紀なかばのイングランド――二年前に老齢の領主であった夫を亡くしたアレッタは、忠実な使用人たちの協力のもと、女手一つで荘園を管理していた。十五歳で嫁いで以来七年間、暴虐な夫から虐待を受けた彼女にとって、大変ではあっても、夢のように平和な日々といえた。その平安を打ち破るかのように、春の嵐が巻き起こる。長く不在だったという隣の荘園の領主、ジェロントが帰ってきたのだ。彼は初めて顔を合わせた瞬間から、アレッタを嘲り、挑発した。最初はアレッタの土地に、次いで荘園邸にも侵入し、彼女の心の中にまで横暴に踏み込んでくる。ジェロントがささいな弱みを突いて偽りの婚約を迫ってきたとき、アレッタは動揺を隠すことができなかった。わたしが過去の結婚に感じていた恐怖は、彼にはわからない。なぜ、ほうっておいてくれないの!
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最初のほうは傲慢な印象のジェロントですが、不遇な記憶を手放せないアレッタの事を気遣って頑なな彼女の気持ちが和らぐように愛情を示し続けます。
悲しい出来事もありますがそれを超えてのハッピーエンドは、ジェロントの深い愛情をアレッタが信頼とともに受け入れる内容で、心が温まりました。
お互いに愛しているのに、プライドや世間体から素直になれず、親密になっても不安定な関係がもどかしい。お話の後半は、過去が明らかになったりで引き込まれました。さっぱりして徐々に進む恋愛物ですがリズム良く一気に読めました。
ハッピーエンドは良かったのですが、その後のエピローグがあったらもっとよかった。
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