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こんな風に生きてみたい。
還暦を迎えた実直な勘定方の武士である井戸平左衛門がかの有名な大岡忠相より石見銀山代官を引き受ける。江戸時代の還暦である。かなりの高齢者だと思うのだが代官となって切腹するまでの数年の間「領民の命を守る」という一途な想いで飢饉と戦っていく小説である。度重なる苦難と戦っていく平左衛門のバワーにはただただ頭が下がる。飢饉の対策として薩摩の国から「唐芋」を買い根付き領民の食糧となるのを平左衛門は見ることなく亡くなってしまうのである。「いも殿さま」と呼ばれその功績をたたえる碑が中国地方に500基以上にもなるという。碑は別にして平左衛門の生き方の爪の垢でも煎じて飲みたい人が多いのではないだろうか。