日野瑛太郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
日野瑛太郎『フェイク・マッスル』講談社文庫。
第70回江戸川乱歩賞受賞作。
今の時代にありそうなことが様々盛り込まれており、非常に面白かった。ストーリーも予想外の展開が幾つも続き、最後には納得のいく結末が待ち受けているのだ。
人気アイドルの大峰颯太が僅か3ヶ月間のトレーニングで肉体改造に成功し、ボディービル大会で3位に入賞する。そんな大峰にネットではドーピングを指摘する声が持ち上り、ネットは炎上する。しかし、大峰は疑惑を否定し、六本木に自らがカウンセラーとトレーナーを務めるパーソナルジムをオープンする。
文芸編集者を志しながら『週刊鶏鳴』に配属されて、余り仕事に熱の入っていなかった入社2年目の新人記者である松村健太郎は、編集長から大峰のドーピング疑惑についての潜入取材を命じられ、大峰のパーソナルジムに入会することになる。
最初はベンチプレスもままならなかった松村は馬場智則というベテラン会員の指導を受け、大峰のパーソナルトレーニングを受講する資格を得るまでに成長する。
松村は初めての大峰のパーソナルカウンセリングの場で、ドーピングの事実を認める発言を引き出そうとするが、完全否定されてしまう。僅か3ヶ月で人間はこれほど筋肉を付けることが出来るのか。松村はある大胆な方法で大峰をドーピング検査にかけるが、結果は陰性だった。
本体価格830円
★★★★★ -
Posted by ブクログ
ネタバレかなり面白かった
「新しい法律ができた」と言う話を軸に
・AIに絡んだ近未来
・全く関係ない未来
・過去から法律ができたことにより、現代になる
・新しくできた法律の内容が分からない
といった様々な進め方を楽しめた
舞台装置としてのAIの便利さ(我々に身近だが未知のもの)と、法律はルールの為それによって話の土台を作れる万能さに驚いた
〜特にお気に入り〜
矢野帰子先生→おとなも英語を学ばせる話。「英語介護」という考え方が面白かった
潮谷験先生→人々は、作品を楽しむときに作品の裏にいる作者と交流している。AIが作った作品だとその交流ができなくて孤独を感じる。新しい視点だな。オチも良かった。
大沼紀子先生→一番好きだった。人を殺したらokな国(=SFちっく)が、人を殺しちゃ駄目になる(=現代)という逆転の流れ。斬新な視点から、現代を揶揄してて面白すぎた。
五十嵐律人先生→過去から現代に。当たり前だけど憲法も作られたときがあったんだよなぁと。
-
Posted by ブクログ
全ての社畜たちへの福音。まさに啓蒙とはこれだ!
脱社畜ブログの中の人が、会社にありながら脱社畜的生き方をするための技法を語ったもの。
鬱屈した相互監視体制の敷かれた職場をどのように変えていくか。遠大なテーマですが、これこそ人生をかけて追求すべき生き様の問題です。
「キャラ」ということが繰り返し語られ、いわく「定時帰宅キャラ」「飲み会出ないキャラ」「仕事ができるっぽいキャラ」などなど。高等技術として社畜派=残業美徳派に抵抗するための備えも語られます。
これらを受けて極論すれば、「定時を超えてまでこなすべき仕事など存在しない!」と言い切ってよい、と思います。
【本文より】
◯本書では、定時帰宅する会社員のことを「エリート」と呼ぶことにします。…そうやって会社と距離を取って働ける人のほうが、エリートの名にふさわしいと僕は考えています。
◯定時帰宅ができない最大の原因
定時が過ぎても誰ひとりとして帰る素振りを見せずに、みんなが黙って仕事を続けるような職場に心当たりはありませんか?上司も当たり前のように定時後に仕事を振り、定時が存在することからみんなが目を背けているような職場です。
◯部下にできない量の仕事を振る上司は、部下の業務量を正しく把握していません。本来、部下の業務量や能力を正しく把握するのは上司の大事な職責のひとつなのですが、この職責を放棄している上司は日本の会社には数多くいます。この手の悲劇は、そういう上司によって引き起こされます。
◯そもそも、我慢と成長には直接の関連性はありません。成長に必要なのはあくまで適切なトレーニングであって、理不尽に耐えることではないのです。
…成長のためにらまず我慢・忍耐だ、という考え方は時代遅れの精神論にすぎません。これからの時代はもっとスマートに、なるべく努力しないで成長する方法を考えましょう。
◯プライベートより大事仕事なんて存在しない。
「プライベートを取るか、仕事を取るか」なんて問いがありますが、これはナンセンスな問いです。なぜなら、100%プライベートのほうが大事に決まっているからです。 -
Posted by ブクログ
作者さんが同じコミュニティの方ということで手に取った作品。
筋トレやボディビルディングに全くの無知な私はタイトルからして縁のない世界の話かと思って実は1年ほど読まずにきたのだが、私のように専門的な筋トレのことがわからない登場人物が出てくるので、知られざる筋トレ業界の光と闇を一緒に学ぶことができた。そして、職種は違えど、日々仕事に向き合っている人が励まされる内容になっていると思う。
筋トレし始めると薬を使って時に健康を損なってまで肉体改造を目指す人たちが後を絶たないようだが、ダイエットでも似たような話を聞く。
簡単に成果が得られた代償がどんなに重いかは想像でしかないが、そういった怖さを発信するのもまたマスコミや週刊誌の役目なのではないかと思った。