楡周平のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
興味深いテーマである上に文体が大変読みやすく、さらにストーリーがよく練られていたため、それなりのボリュームでしたがあっという間に読み終えました。
最大のテーマは安楽死ですが、それを取り巻く介護、認知症、延命措置、後期高齢に備えるお金、現代の医療制度など、考えさせられることばかりの1冊です。
かつて内科医だった藤枝久は85歳で認知症を発症。
妻には先立たれており、前もって用意されていた事前指示書には一切の延命措置を拒むこと、また認知症になった場合は速やかにしかるべき施設への入所を望む旨が記載されていた。
久の長男・輝彦は指示書に従い、父を専門施設に入所させるが入所間もなく久は心不全で突然死する。
父親を突然失ったショックを受けながらも、輝彦と弟の真也は人格まで変わってしまった父が認知症と長く闘うことなく死を迎えられたことに安堵する。
だが、その幸運とも言える死期に違和感を感じた人間がいたー。
本書では自らが治癒不可能な病に冒された場合、もしくは認知症を発症した場合はなるべく早い死を望む医師達が、互いを安楽死させる盟約を結んでいます。
それは単に苦痛から早く逃れたいという利己的な理由からではなく、愛する家族にかかる負担や自己をコントロールできなくなってまで生きることの意味などを考えに考えた結果から生まれたもの。
私自身も、もしそういう状況に陥ったら早く死を迎えたいと思うでしょう。
ですが、それが家族だったらどうなのか。
考えても考えても、今は分かりません。
非常に難しいテーマだけれども、考えておかなければならないこと。
その時に備えて家族で話し合っておくべきことだと改めて感じました。
さて、この小説の素晴らしい点はテーマだけではなくストーリーにもあります。
真也の妻・昭恵が義兄夫婦との経済的格差からの嫉妬と羨望から義父の死に疑問を抱く流れ、久の考えを知った輝彦と真也の兄弟が取った行動、物語の結び方、難しいテーマにも関わらず小説としてのエンターテイメント性もあり、この先どうなるんだろうとページを繰る手が止まりませんでした。
身内が元気な今でなければ読めなかったでしょう。
同年代の友人におすすめしたい1冊です。
2020年26冊目。 -
Posted by ブクログ
ちょっと重厚な本を読まないと行けなかったので、
気分転換に楡さんの最新の文庫本を読んでみました。
コロナ真っただ中に、「予言の書」と話題にもなった(らしい)小説。
コロナ前の話ですが、新種のインフルエンザウィルスが出現し、
日本中が大混乱に陥ってしまった際の、国の対応について書かれている。
楡さんの他の書籍からも感じることだが、
強烈な日本に対する著者の危機意識と課題・解決策の提示を感じさせてくれる本になっている。
純粋に小説を楽しむだけでなく、
日本の将来についても自ずと考える機会をくれる本である。
小説内では、人為的にインフルエンザが作られた設定になっているが、
実際のところはどうであれ、今回のコロナも同じようなことが起こってしまった可能性も
十分あり得るなと思わされるような設定だった。
(真実は、我々一般庶民は、知る由もない訳ですが…。)
命の重さや危機の際の対応など、考えさせられることが多かった小説。
(でも、普通に面白いです。) -
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◎コンビニ業界の闇を暴き世に問う名著。だってコンビニのとこだけはノンフィクションだもん。消費財メーカーの営業をしているので小売流通業のビジネスについてもいささか知ってはおりますが、ほんとコンビニはえげつない。NHKをぶっ潰す政党の次にできるのはセブンイレブンをぶっ潰す政党だとすら思う。
◎相葉と同じ立場のプロ経営者が率いる組織で仕事したことがあるけど、イカリ屋のように外部から後輩引き連れてやってきて、生え抜きは経営層に皆無になりました。ただ下降気味の業績もちゃんと戻して社員にボーナスで還元したし、経営判断が悉く実績を上げたし、平社員だったこともあるけど周囲の評判は良かったんだよな。ただしその代わり祖業に近い事業であっても客観的に評価してバッサリ切り捨ててたなぁ。その中に本文にもあるチェーンストアが含まれていて、店舗限定発売だったはずの商品をEC向けに開放したりして顰蹙買ってたことを思い出して少し切なくなった。時代に合わせて形を変えて経営をしていかなきゃいけないのは本当だし、そのために涙を流す人がいるのも本当。どんなに滋味に溢れるものを食べようが必ずうんちは出てしまうものなんです。ちと違うか。
◎それにしても自分や家族ではなく社会のために仕事を成した人はやっぱり人生のステージがひとつ違うね。就職試験さえくぐり抜ければそのステージが手に入るかもしれない総合商社ってやっぱりすごい。待遇にも勝る経験が手に入るね。
◎いやでもほんとコンビニは酷い。コンビニは酷いわ。コンビニは酷いよ。一消費者にそれに抗う術が見つけられないってとこまでセットなのが酷い。不買運動したところでどうしようも無いし、、、くそー -
Posted by ブクログ
(上下巻合わせてのレビューです。)
仮想三国志を思わせるような物語。
小学生のころ難しい漢字の人名だらけの三国志に挫折して以来、
中国の歴史小説は敬遠していたけれど、
そんな自分でもあっという間にのめり込んでしまうお話でした。
間違いなく楡さんの最高傑作の一つになりそう。
楽天という5つの国の中では最小・最弱に生まれた主人公が、
純粋なまでに国(皇帝)のために命を捧げようと奮闘する物語。
どんな困難・ひどい仕打ちに遭遇しても清く美しい心を忘れず、
ただ純粋に国のために働く姿はちょっとわざとらしいけれど、
それでもいやらしくなく思わず「負けるなー!」と応援してしまう。
こういうアツい小説は大好きです。 -
Posted by ブクログ
(上下巻合わせてのレビューです。)
楡さんの文庫最新刊を年末に読みました。
今回は、エリート官僚・大物政治家・病院の会長たちが、
婚姻や大金を用いて、日本の中枢にまで上り詰めるべく画策するドラマ。
(予想できると思いますが、)かなりドロドロです。
エリート官僚と政治家の娘の結婚を巡り、
昔の女がでしゃばって邪魔をしたり、
政治家と病院の会長の若かりし頃の過去がクローズアップされたりと、
盛り沢山の内容です。
ちょっと関係者の繋がりがあり過ぎて、現実味はないのですが、
そこはまぁフィクションの小説なので仕方ないでしょう。
その部分を差し引いても、
先の展開が気になって仕方ないドラマ仕立てになっています。
予想通り期待を裏切らない大作でした。
続編もハードカバーで出ているので、
早く読みたいところです。。 -
Posted by ブクログ
楡さんお得意のビジネス小説のど真ん中とも言えるコンテンツ。
これぞ、楡ビジネス小説!
東芝を彷彿させる不正会計と原発ビジネスで大赤字の会社と
大・中の自動車企業を絡め、
電気自動車・燃料電池の開発をめぐるビジネス上の戦いと
各企業で働くサラリーマンの奮闘、
役員の思惑が交差したスリリングな企業小説。
この産業にあまり知見がなかったですが、
それなりに産業構造やビジネス特性について勉強になりつつ、
ストーリー自体の面白さにのめり込んでいきます。
まさか、小説内でイギリスのARMの話が出てきたり、
京都のベンチャー企業を彷彿させるようなモデル企業が
出てきたりするとは思ってもいませんでした。
毎度ながら楡さんのリサーチ力というか、
興味・関心の領域の広さには驚かされます。
久しぶりに楡さんの骨太小説に出会えて、大満足の1冊でした。 -
Posted by ブクログ
成功した外食チェーンうめもりの社長梅森は、銀行に騙され全てを失った時に築地の仲買人たちに助けられた恩を忘れていなかった。その音頭をとってくれた桶増がビルを買ってくれと言う。テナントが入らない麻布のビルを。金沢の老舗料亭万石の料理人ジュンペイは、店主から娘がイタリアンの店を出したいと言われ困っていると相談される。女子大生由佳は就職で悩む。米系企業から誘いがあったが被災地で頑張っている親を捨てることになってしまう。うめもりでバイトしていると…
いやいやいや。こりゃ面白かった。ベリー面白かった。
外食産業のノウハウや、(私の大好きな)デパートの物産展の裏側、不動産業のインチキ等蘊蓄が面白い。だけでなく、人物描写もストーリー展開もラストもある種の理想の小説の形だった。 -
購入済み
おもしろかった
大学の課題のために読んだけど、半日くらいで読み切りました。次々と事業が拡大されていって、問題が発生して、解決策がでてってずっと頭を働かせるのが楽しかったです。勉強になるなぁと思いました。
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購入済み
やはりウィルスは怖い
コンピュータ社会への警鐘ともいうべき作品。時代背景は少々古いが、本作のような
サイバーテロは十分起こりうる。
飛行機に関する専門用語が多く、最初は少し読みづらかったが、後半あたりから、
がぜん面白くなった。
航空業界のみならず、金融機関や製造業など、全産業で使用されているコンピュータ
がウィルスに感染し、データやOSが消去されてしまったら社会は1日で崩壊する。
いかに損害を最小限に食い止め、打撃から早く立ち直れるか。
非常事態に問われるのはまさに国家の危機管理能力だ。コロナウィルスが世界中で
猛威をふるう中、政府の対応をみるかぎり、日本は終わったなと感じざるを得ない。
本作のような災厄が現実にならないことを祈るばかりである。