【感想・ネタバレ】ラスト ワン マイルのレビュー

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本当に客を掴んでいるのは誰か──。暁星運輸の広域営業部課長・横沢哲夫は、草創期から応援してきたネット通販の「蚤の市」に、裏切りとも言える取引条件の変更を求められていた。急速に業績を伸ばし、テレビ局買収にまで乗り出す新興企業が相手では、要求は呑むしかないのか。だが、横沢たちは新しい通販のビジネスモデルを苦心して考案。これを武器に蚤の市と闘うことを決意する。

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2023年08月22日

Posted by ブクログ

再生巨流で楡周平さんの作品に出会い朝倉恭介シリーズを読みこの本はしばらく積読にうもれてしまっていた。ん?再生巨流と同じ物流ネタ??少し読む意欲を削がれそうになったが、物流とネット販売そしてテレビ媒体を巻き込んでいくストーリーに引き込まれます。楽天のテレビ局買収、ライブドアの球団買収など急成長をとげたIT起業の時代を題材に書かれたと思いますがテンポとリアリティ、斬り込む角度が秀逸です。17年前の出版ですが今読んでも色褪せない作品だと思います。

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2023年07月09日

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ネタバレ

【感想】
楡周平は、相変わらずカッコイイおっさん達を描かせたら一流だ。
こんなにも頭をフル回転させてビジネスを考えているおっさん達。
感動ではなく連動。読んでいて幾度となく心が震えてしまった。

現実はどうだろうか?
考えてみれば、ウチの会社でも部長などの上役たちは、途方もないくらいエゲツないノルマに対しても、決して怖じ気づかずに何とか突破しようと頭をフル回転させていると思う。
上に行けば行くほど過酷になる数字と終始向き合って、決して逃げず、そして最終的にはいつもしっかりと結果を残していると思う。

だが、課長以下のいわゆる末端構成員達ともなると、どうだろう?
途方のないノルマに対して尻込みするだけではなく、不平不満を口にし、若い者は転職という名の「鞍替え」を行ない、おっさん連中は現状維持のまま会社にしがみついている人が多い。
勿論それぞれ今まで歩んできた人生や経験があるので、一概にそれが悪い事だと断定できないが、要するに会社を発展させていこうという責任感が少し欠けているんだろうなぁ。
要するに目の前の数字を如何にして突破するかという「覚悟」が、末端までには充分行き届いていないんだろうなと、自分の会社の人たちを見てて思ってしまう。
(かくいう自分も、会社と己の立場に甘えてしまっている人間の一人である。。。)

この本の登場人物たちは、そういった人たちではない。
自分の今いる極限状況からも誰一人逃げ出そうとせず、「どうすればこの困難を突破できるのか?」「どうすれば楽園にたどり着けるのか」という事に対し、悪戦苦闘を繰り返しつつも日々試行錯誤を重ね、非常にバイタリティに満ち溢れた毎日を送っている風に見えた。
既存のビジネスを根底から覆すなど、余程の度胸や緻密な計算がないと出来ないだろう。
なのに、現状打破の為にそういった戦略を立て、実行する。
そうした数々の苦労の末に手に入れた「果実」は、間違いなくとてつもないくらい美味しいモノなんだろうなぁ。
「どうせフィクションなんだから…」と甘えた事も少々感じはしたが、これこそプロフェッショナルとして目指すべき姿だなと読んでいてとても胸が熱くなった。

同著者の「再生巨流」でもあったが、「頭に錐を刺して、血が噴き出るくらいに考えろ」という言葉は、こういった物語を読むたびにパワーワードとなって自分の頭の中を駆け巡る。
自分にも、もう少し改善の余地があるのではないか??そういう気持ちにさせてくれる1冊でした。

最後に・・・
寺島の上司の苦労を語る台詞が心に刺さった。
「横沢よ、ノルマを課せられてんのは、何もお前ら最前線で汗水垂らして客先を回ってる人間たちばかりじゃない。
お前が課員のケツを叩くように、俺もまた本部長から、本部長は社長から、社長は株主から、常に厳しいノルマを課され監視され続けてるんだ。
お前らにしてみれば、俺たち管理職は下の奴等のケツをひっぱたくばっかで、でかい椅子に腰掛けてさぞやいい身分だと愚痴の一つも言いたいだろうが、現実はそんな甘いもんじゃねえ。」

はい。
自分ひとりの小さなノルマだけを取り上げて、あーだこーだ文句を言うのはやめにして、とことん数字と向き合おう。
そして、凄まじいくらいの実績を残して、勝利の美酒に酔いしれることの出来る人間になろう。


【あらすじ】
本当に客を掴んでいるのは誰か──。
暁星運輸の広域営業部課長・横沢哲夫は、草創期から応援してきたネット通販の「蚤の市」に、裏切りとも言える取引条件の変更を求められていた。
急速に業績を伸ばし、テレビ局買収にまで乗り出す新興企業が相手では、要求は呑むしかないのか。
だが、横沢たちは新しい通販のビジネスモデルを苦心して考案。これを武器に蚤の市と闘うことを決意する。



【引用】
1.もちろん営業マンにとってノルマの達成が絶対的なものであることは十分に承知している。
ノルマは達成して当たり前、未達の営業マンは責任を厳しく追及される。
「横沢、お前新規の客をものにするために、これまでどんだけの努力をしたってんだ」
寺島の容赦ない言葉が胸を抉る。自分の営業スタイルに、油断や慢心がなかったと言えば嘘になる。

2.「確かに郵政は強敵だ。だがな横沢、やつらの行なっているサービスには一貫したパターンがある」
「何ですそれは?」
「オリジナリティがないってことだよ。つまり俺たち民間がやっているサービスをそのまま踏襲しているってことだ」
肯いた横沢に向かって寺島は続けた。
「要するに、連中には新規ビジネスを考える頭なんかありゃしねえんだ。ここに俺たちが生き残るチャンスがある」

3.「私が狙っているのは蚤の市でもなければ、ガレージ広場でもありません。我が社が独自でネット上にショッピングモールを開発するんです!」
「部長。もしも、もしもですよ。ウチが新たに開発した出店者に加えて、蚤の市、ガレージ広場の既存顧客を一気に総取りできるとしたらどうでしょうか?」

4.金か・・・そんなことしか思いつかない人間は、一生かかっても大金を手にすることはできないな。
金は女と同じだ。追い求めれば逃げる。能力のある人間が力をフルに発揮すれば黙っていてもついてくるものさ。
走ることをやめた創業者などただの豚だ。
人の一生はあまりにも短い。その中でも、全力疾走できる期間はわずかだ。
限りある時間をどう生きるか。それが人間の価値を決めるんだ。

5.横沢よ、今更話して聞かせるまでもねえことだが、業績にノルマを課せられてんのは、何もお前ら最前線で汗水垂らして客先を回ってる人間たちばかりじゃない。
お前が課員のケツを叩くように、俺もまた本部長から常に業績を監視されてる。本部長にしたって同じで、あの人は社長から、そして社長は株主から、常に厳しいノルマを課され監視され続けてるんだ。
お前らにしてみれば、俺たち管理職は下の奴等のケツをひっぱたくばっかで、でかい椅子に腰掛けてさぞやいい身分だと愚痴の一つも言いたいだろうが、現実はそんな甘いもんじゃねえ。

6.「安定は情熱を殺し、緊張・苦悩こそが情熱を生む。私の座右の銘は変わっちゃいませんよ」

7.武村vs寺島
はっきり申し上げて、宅配業者のサービスは行き着くところまできている。
どこの会社を使っても、差なんてありはしない。そういうビジネスの行き着く先は決まってます。
最後はどこの会社が安い料金を提示できるか?その一点にかかってかます。これがどれだけ惨めなことか分かりますか?

もう、我々はこりごりなんです。頭を使わないビジネスに汲々とし、ノルマ達成のためにどこよりも安い料金を提示するための稟議書を書くだけの日々を送ることにね。



【メモ】
ラストワンマイル


p27
もちろん営業マンにとってノルマの達成が絶対的なものであることは十分に承知している。
ノルマは達成して当たり前、未達の営業マンは責任を厳しく追及される。

「そんな先があるならとっくに営業をかけてるって言うがな。横沢、お前新規の客をものにするために、これまでどんだけの努力をしたってんだ」
寺島の容赦ない言葉が胸を抉る。
自分の営業スタイルに、油断や慢心がなかったと言えば嘘になる。


p29
「確かに郵政は強敵だ。だがな横沢、やつらの行なっているサービスには一貫したパターンがある」
「何ですそれは?」
「オリジナリティがないってことだよ。つまり俺たち民間がやっているサービスをそのまま踏襲しているってことだ」
肯いた横沢に向かって寺島は続けた。
「要するに、連中には新規ビジネスを考える頭なんかありゃしねえんだ。ここに俺たちが生き残るチャンスがある」


p53
なるほどそれが資本主義の原理そのものだと言ってしまえばそれまでだ。ビジネスの世界は食うか食われるか、そこに一切の甘えも許されないというのも紛れもない事実というものだろう。

だが、ビジネスは健全な社会があって初めて成立するものだ。真っ当に働いている人間たちの生活基盤までを奪うようなものであってはならない。
規模が大きくなればなったで、そこに連なる企業には正当な利益をもたらす義務が生じるものだ。
自分の夢を実現するためなら、もぎ取れる果実はすべて自分のものにするようではならない。


p67
寺島は小首を傾げ、少し考えているようだったが、
「お前が言いたいことはこういうことか。我が社が全国に持つ支店網、営業力を駆使してまだ一般には流通していない地方の食材や名産品を発掘し、それをネット上のショッピングモール、つまり蚤の市に出店させる。その開発実績と引き換えに、蚤の市との現行取引条件を維持しようってわけか」
些かの失望の色を浮かべながら、考えは読めたと言わんばかりの口調で言った。
「私が狙っているのは蚤の市でもなければ、ガレージ広場でもありません。我が社が独自でネット上にショッピングモールを開発するんです!」

「部長。もしも、もしもですよ。ウチが新たに開発した出店者に加えて、蚤の市、ガレージ広場の既存顧客を一気に総取りできるとしたらどうでしょうか?」


p78
「一定の株式を握ったところで、株価を時価以上で極東テレビに買い取らせ、金を掴んで手じまいする。そう踏んでいるだろうな」
「極東テレビの連中だってそう思っているだろうね。我々の目的は、金以外にないって」

「金か・・・そんなことしか思いつかない人間は、一生かかっても大金を手にすることはできないな。金は女と同じだ。追い求めれば逃げる。能力のある人間が力をフルに発揮すれば黙っていてもついてくるものさ」

「走ることをやめた創業者などただの豚だ。人の一生はあまりにも短い。その中でも、全力疾走できる期間はわずかだ。限りある時間をどう生きるか。それが人間の価値を決めるんだ」


p162
蚤の市が躍進を遂げるきっかけとなったオンラインショップはネット上での架空の商店街だし、相次ぐ買収で手に入れた証券や金融会社にしたところで、換金できる資産を持っているわけでもない。
IT産業はアイデア一つ、後はサーバーさえあれば十分に成り立つ点が最大の強みであり、逆に規模が大きくなればなるほど弱みになる。

ネットビジネスは、常に新しい技術によって駆逐される危険性を孕んでいるのだ。
人間が開発した技術というものに、未来永劫に亘って使い続けられるものなど存在しない。


p234
「部長、よく考えてください。いま我々は大きなチャンスを掴もうとしているんです。下請けに過ぎないと思われていた物流業が、実は全ての産業の生命線を握っている。まさにラストワンマイルを握っている者こそが絶対的な力を発揮することを世に知らしめる絶好の機会を目の前にしてるんです!」


p262
「横沢よ、今更話して聞かせるまでもねえことだが、業績にノルマを課せられてんのは、何もお前ら最前線で汗水垂らして客先を回ってる人間たちばかりじゃない。お前が課員のケツを叩くように、俺もまた本部長から常に業績を監視されてる。本部長にしたって同じで、あの人は社長から、そして社長は株主から、常に厳しいノルマを課され監視され続けてるんだ。お前らにしてみれば、俺たち管理職は下の奴等のケツをひっぱたくばっかで、でかい椅子に腰掛けてさぞやいい身分だと愚痴の一つも言いたいだろうが、現実はそんな甘いもんじゃねえ。」


p267
「安定は情熱を殺し、緊張・苦悩こそが情熱を生む。私の座右の銘は変わっちゃいませんよ」
「フランスの哲学者、アランの言葉やったな。お前あん時も同じことを言ったで」
ついに真壁は白い歯を見せて明らかな笑みを堪えた。


p338
・武村vs寺島
「はっきり申し上げて、宅配業者のサービスは行き着くところまできている。どこの会社を使っても、差なんてありはしない。そういうビジネスの行き着く先は決まってます。最後はどこの会社が安い料金を提示できるか?その一点にかかってかます。これがどれだけ惨めなことか分かりますか?」

「もう、我々はこりごりなんです。頭を使わないビジネスに汲々としぎら、ノルマ達成のためにどこよりも安い料金を提示するための稟議書を書くだけの日々を送ることにね」

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2019年09月25日

Posted by ブクログ

IT産業のきらびやかさ
『蚤の市』がわずかな期間に ネット販売の勝ち組となった。
物流業者の 暁星運輸の横沢は、蚤の市のスタートから、協力した。
しかし、物流費のバックマージンを要求された。
額にして 8億円近い。そのことは、利益を吐き出すことになる。
基本的には 拒絶、そして 取引停止になる。

その前には コンビニが 値下げ要求してきた。
大きな要因は ゆうパックが 進出してきたからだ。
コストは 明らかに違い コンビニも撤退しなければならない。

物流業者は どう展開したらいいのか?
それを 宮城の妻の実家の トウモロコシとトマトを
食べたことで、新しいビジネスモデルを思いついた。

ラストワンマイルもっている物流業者は、
いつも頭を下げ 下請けのイメージが強い。
それが、上流まで 確保したら 
安定した物流業者になるのではないか?

IT会社は 物流業者になれないが
物流業者ならば ネットショッピングモールはできる。

横沢は 現在抱えている ネットショッピングの問題点を洗い出す。
一般の評価が 当てになるのか?
専門家が 評価するしくみをつくったら。
大学の先生、どうもイメージは 小泉武夫先生だが。
テレビによくでてくる シェフ。

蚤の市は 極東テレビを買収して メディアとネットの融合
それは、文字情報への広がりとなるという趣旨だったが
物流とテレビ会社が組めば、新しいビジネスモデルになる。

ここでの 上司 寺島の決断が 実に早くすばやい。
人的ネットワークも確実にできている。
黄昏的な テレビ業界 そして 物流業界
あらたなる ビジネスモデルが 確立できるのか?

安定は情熱を殺し、緊張、苦悩こそが情熱を産む。
いい言葉ですね。

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2016年05月09日

Posted by ブクログ

「ラストワンマイル」を握るものがビジネスの肝を握るという話が印象的。ビジネスのボトルネックを見つけ、そこにチャンスを見出すというやり方。
巨大な仮想敵と、それに立ち向かう主人公達。視点が交互に変わって描かれていたのが面白かった。

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2013年06月23日

Posted by ブクログ

おもしろかったぁ!
ラストワンマイルを握るものが強い。窮地に追い込まれたときのひらめき、読んでいてワクワクできました。

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2012年11月11日

Posted by ブクログ

2009/10/3 ジュンク堂三宮本店にて購入。
2018/2/2〜2/3

楽天、ライブドアを彷彿させるIT 通販業者とヤマトとフジテレビを彷彿させる宅配便、既存マスコミの闘い。いやいや、超絶面白いビジネス小説だ。ラストワンマイル、というタイトルも見事。この商売ほんとに出来ないもんかな。最近の運送業界の人手不足もあって難しいか。

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2018年02月03日

Posted by ブクログ

相変わらず楡さんの本はページを捲る手が止まらない。
ただ単に一物流会社として今の立ち位置に甘んじるのではなく、新規ビジネスに打ち込んでいくところがカッコ良い。
主人公がビジネスと全然関係ない場でアイディアを思いつくところも、そのアイディアがいろんな人と話すうちにブラッシュアップされていくところも、最終的に上層部や他会社にも認められていくところも、爽快感があっていい。

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2022年10月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ


『税金で作り上げられた』郵政の民営化によって更なる値下げ競争に巻き込まれた運輸会社をはじめ、信念を持って変化をし、受け入れ、情熱を生み出す数多くの人間たちを描いた2009年発売の「ラストワンマイル」

コロナ禍で変化を恐れてしまう貴方にこそ今手に取って欲しい。


急激に成長したネット通販会社『蚕の市』と、創業から安値で世話をした結果裏切られる『暁星運輸』

資本主義では当然の原理。ただ果たして下請け最下層の運輸、物流業であるからこそ仕方ないことなのか。

いや、最下層の物流業であるからこその発送、いや発想で光を見いだす。それを頭ごなしに無理だという上司。新しいことをするには突き進む信念が大事だということが丁寧に書かれている。

一方、急激な成長と共に極東テレビ買収を試みる蚕の市。古い考えの重鎮たちを敵に回し新たなビジョンで黙らせていく。

どちらも新しいことに突き進む信念と、変化に対する肯定感が非常に気持ちいい。どちらを応援したらいい?どちらに感情を入れればいい?お互いがやり合うのでなく別々のストーリーから最終対峙することになるのだが、信念は同じなのだ。それを裏付けする、哲学者アランの言葉「緊張と苦悩が情熱を生む」

極東テレビ、暁星運輸、蚕の市。三者三様の動きから時には手を取り、時には駆け引きに出たりと息詰まる攻防に休まるところを見せない。


「下請けに過ぎないと思われていた物流業が、実はすべての産業の生命を握っている。まさにラストワンマイルを握っているものこそが絶対的な力を発揮する事を世に知らしめる絶好の機会を目の前にしているんです。」


 上司部下の関係がまあ上手く現実味を持って書かれている。上司像と部下像。自分達ができるところまで、上司ができるところまで。ここがわかった気がする。ただ部下に気に入られる上司がいい上司じゃない。とサラリーマンとして勉強させてもらった。

結末はここまでくればそれほど重要ではないとさえ感じた。

復讐劇とも下剋上とも違う、明日に向かって熱くなれる一冊だ。

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2021年01月24日

Posted by ブクログ

私にとって久々の楡周平

時代は今から10年以上前の日本!
IT企業による企業買収問題、郵政民営化、下請け企業へのダンピングなどを題材とした作品!

今現在、本作品を読む事で作者が今の時代を予見していたかのような予言書のような作品に仕上がっております。



物流大手の暁星運輸はかつて無いほどの窮地に立たされていた、大手コンビニとの専属契約解消に近い契約変更と、ネット通販会社『蚤の市』からの事実上の値下げ指示の取引条件の変更!!!
このままでは会社が・・・
という状況下で主人公の広域営業部営業課長の横沢哲夫が立ち上がる!

物語中の『ラストワンマイルを握っている我々が一番強い』という言葉に何故か込み上げてくるものがあります。

ノルマをこなす為に働くサラリーマン必見です!

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2020年07月23日

Posted by ブクログ

書かれた当時とIT業界が置かれている環境は大きく異なっているが、虚業と実業というのは今も変わらないかも知れない。そういったことへの警鐘だったのかも知れない。
しかし、現実の物流事業者の苦戦は続いている。ラストワンマイルを武器にした新たな展開、まだ何か隠れているかも知れない。

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2020年07月21日

Posted by ブクログ

ラストワンマイルを握る会社が商流を握る!流通業でお願いサービスで荷受けをしてきた会社が、発想の転換により、新規事業に乗り出す話。
テンポよく、感情移入もでき、素晴らしい作品。この作家を追い続けたい!

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2020年02月28日

Posted by ブクログ

初めて楡氏の小説を手にしましたが、期待以上の面白さでした。おそらく結末はこうなっていくんだろうな、という予感はあるものの、それでもドキドキしながら読んでしまう。

起業家としてビジネスライクに徹することは決して非難されることではなく、それが社員を抱えて利益を上げなければ存続価値がないとなればそれも経営者として当然かもしれません。
ただ法を犯さないことと、企業として遵守すべき倫理観は違うのではないかという問題を敵対的買収という行為を通して提起しているように思いました。

そして、時価総額1兆円という表向きはきらびやかなベールを纏っていた蚤の市が、物販の最下層として上から見ていたはずの暁星運輸に形勢を逆転される様はとても痛快でした。蚤の市の社長はIT企業の社長らしく切れ者で、決して大企業のもつポテンシャルを侮っていたわけではないようですが、切れ者であるがゆえ生じたある種の驕りが自分の計画を過信してしまい、あの結末を迎えたのだなぁという感想を待ちました。

株価や資本家にばかりフォーカスを当てたIT企業が消費者に最も近いところ、つまりラストワンマイルを握る運送屋にどのように対抗されるかが見どころだと思います。

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2016年03月08日

Posted by ブクログ

ラストワンマイルという言葉は初めて聞いたが、それを小説でうまく表現している。
商流の末端(ラストワンマイル)を握っている物流業が一番強いということ。

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2014年10月28日

Posted by ブクログ

面白かった。
とてもわくわくして読めました。

再生巨流、プラチナタウンとさまざまなビジネスプランを紹介してきた楡さんですが、本作では、流通企業と通販とのビジネスについての物語です。
時の話題をベースに、よくも、こんなにビジネスモデルを考えることができるのだろうと思います。

本作では、郵政民営化、楽天のTBS株取得などをベースとしたプロットとなっており、「蚤の市」から取引条件の変更を求められた暁星運輸の課長が新しい通販のビジネスモデルを考案し、蚤の市と戦うストーリ展開となっています。
「ラストワンマイルを握っているものが支配権を持つ」
うーん、すごい。
ちなみにIT系のラストワンマイルとは違うので要注意(笑)

当時よく言われていた「ネットとメディアの融合」について楡さんとしての具体的なイメージを「蚤の市」の社長や暁星運輸の課長に語らせているところもすばらしい。そしてネットの欠点をどう補うかもしっかりと語られている。すごい!!

しかし、話がとんとん拍子に進んでしまうので、もうちょっと苦労があってもいいのかなとも思いました。んが、そのスピード感で逆に心地よく読みきることができます。
ビジネスにこういったスピード感ってとても重要。

再生巨流が楽しめた人であれば、本作はお勧め。
ビジネス創造のストーリに熱くなれます!!

安定は情熱を殺し、緊張、苦悩こそが情熱を産む!

これまたお勧め!

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2014年10月12日

Posted by ブクログ

営業の仕事の困難さ、そしてやりがいが垣間見えるような作品。本作では起死回生のアイデアがタイミングよくなされたことで極東テレビや運輸が救われたが、常に時代を先読みする能力と運が備わらねば企業は大変であるとつくづく思う。

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2014年09月17日

Posted by ブクログ

学生時代に読んだが衝撃的だった。
物流の仕組みをうまく構築し、巨大企業と戦う。現代のITを取り巻く環境を反映していて面白い。

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2013年09月14日

Posted by ブクログ

読んだきっかけ:同僚に借りた。

かかった時間:4/29-5/3(5日くらい)

内容:かなり珍しく、企業モノ。初めてということはないと思うけど(思い出せない)、なじみのないジャンルです。でも、昔から興味はあったんですよね。もちろん、楡周平さん、は初めてです。

物語は、運送会社がコンビニやネットモール大手を相手に、一方的な値下げ強制に反発して奮闘する話です。(ちょっとニュアンスおかしいかもです)

とても面白く、すぐに読み終わりました。
導入部、とてもいいです。ぐっと引き込まれます。
その後、大手コンビニから引導をわたされ……。
主人公とともに、手に汗握る展開です。

この後、あっと驚く一大プロジェクトをたちあげ、ネットモール大手に痛恨に一撃を加えます。溜飲が下がるラストシーンです。
アイデアもいいですし、なるほど、と思えるプロジェクトですが、「本当にこんなにうまくいくものか?」といった疑問が、最後までつきまとってしまいました。
実際に運送会社はやってみてほしいなぁ。あ、提携するメディア企業が必要なのか…。

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2013年03月31日

Posted by ブクログ

私も営業マンなので(一応)営業のむなしさみたいのはわかる。
そこから、新たなビジネススキームを生み出すようなことができたら。。。
のお話。
非常に面白い作品だった。

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2015年07月14日

Posted by ブクログ

かなり面白い!
経済小説です。

ベンチャー企業であったネット通販会社が今では大企業に!
ネット販売で最終消費者へ送り届ける運送会社の架け橋。
(本当に便利ですものねぇ)

企業が大きくなり、創世記から応援してきたネット通販会社に裏切りの契約条件の変更?!を突きつけられる。
重なるピンチ!同時期に郵政民営化に伴う郵パックなるコンビニ宅配業務への参戦。
どんどん追い込まれていく民間大手運送会社。

民間運送会社の新たなる挑戦が新しいビジネスモデルを構築していくアイデア。ワクワクします。

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2012年10月08日

Posted by ブクログ

会社の先輩に薦められて読んでみた。

今までビジネス小説は読んでこなかったけど、面白い!
全くのフィクションでなく、現実とリンクする部分があったし、
一人一人の想いや策略が交わるのが秀逸。

まさかの展開になるかと思いきや、予想通りに話が進むっちゃ進むんだけど、
逆襲劇が気持ちよい。

作中にもあるように、何事もラストワンマイルを握るものが、最終的には笑うのでしょう。

地道な日々の仕事にうんざりしてきたあなたを、きっと元気づけてくれる一冊。

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2012年08月15日

Posted by ブクログ

「郵政民営化」「楽天とTBSの買収合戦」をモチーフとした楡お得意のビジネスモデル転換の話。ネット市場大手「蚤の市」から要求されたあり得ない値引きに対し、起死回生のビジネスモデルで勝負をかける
「本当に客を掴んでいるのは誰か。」「下請にすぎないと思われていた物流業が、実はユーザーと直接繋がる全ての産業の生命線を握っている。まさにラストワンマイルを握っている者こそが絶対的な力を発揮する。」

「安定は情熱を殺し、緊張、苦悩こそが情熱を生む」IT企業は攻め、既存大企業は守り・事なかれ主義、しかし、既存企業が自ら発想転換を果たせば、実は大きなビジネスチャンスが潜んでいるということ。

最近の楡さんの作品はアイデアに酔ってうまく行き過ぎ感があり、もう少し窮地に陥って欲しいが、なかなか面白かった。
再生巨流」「ラストワンマイル」で物流、「プラチナタウン」「介護退職(未読)」で福祉と地方再生、その時代のテーマに敏感に反応し取り組んでいるのはさすが。

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2012年06月10日

Posted by ブクログ

 ウエブサービスは無料で利用するのが当たり前な時代に、ショッピングモールのテナント料金を無料にするというアイディアに目をつける。稼ぎ頭はアナログな方法で収益を得、TV局も巻き込んでのビジネスモデルを構築する。ビジネスモデルを構築するまでの苦悩や、お互いの敵は味方なのだとTV局も巻き込んでの展開など。現実、ありそうな話である。最後までワクワクさせてくれた。

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2012年05月30日

Posted by ブクログ

「どんなビジネスでも商流の最後ラストワンマイルを握っている組織が絶対的支配権を持つ 」 楽天による TBS買収という現実におきた事を巧みに織り込む離れ業。インターネットショッピングモール最大手が仕掛けるメディア買収。同時に進む物流会社との手に汗握る攻防。主人公は物流会社の課長。受け身のビジネスモデルから自らがリードするために既成構造を打破するために打った起死回生の手は‥。唸るアイデア!因みに本著はマネージメントの参考書としてもお薦めですよ。 さて本文中で主人公の上司の座右の銘として紹介されたフランス哲学者アランの言葉。 "安定は情熱を殺す。緊張、苦悩こそが情熱を産む " 共感(^^ゞ。

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2012年04月20日

Posted by ブクログ

経済小説がこんなにも面白いなんて、思わなかった。
「安定は情熱を殺し、緊張、苦悩こそが情熱を産む。」
ここでもフランス哲学者アランの言葉は、胸に響く。

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2012年03月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

見習うべきは意思決定のスピード感。蚤の市社長があっさりと引き下がったけど、したたかなもうひと粘りがあっても良かったかと。
ラストワンマイル、、、覚えておこう。

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2021年05月29日

Posted by ブクログ

過日に読んだ「朝倉恭介」よりはピンと来る楡周平作品だった。宅配業界に通販業界やTV局 日本郵便まで絡めて展開するビジネス小説。話の発端は長年の取り引き先から誠意に反するビジネスライクな厳しい条件を突き付けられて苦境に陥る物流業者の逆襲案模索から。かなりスイスイと反撃策と逆襲劇が進行するので、ちょっと調子いい感が否めない。星3.5くらいかなぁ。

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2019年12月28日

Posted by ブクログ

本当に客を掴んでいるのは誰かー。暁星運輸の広域営業部課長・横沢哲夫は、草創期から応援してきたネット通販の「蚤の市」に、裏切りとも言える取引条件の変更を求められていた。急速に業績を伸ばし、テレビ局買収にまで乗り出す新興企業が相手では、要求は呑むしかないのか。だが、横沢たちは新しい通販のビジネスモデルを苦心して考案。これを武器に蚤の市と闘うことを決意する。

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2018年06月17日

Posted by ブクログ

非常にテンポが良く一気に読むことが出来た。上り調子のWebショッピングモール運営会社と運送会社とテレビ会社のタッグのぶつかり合いは読んでいて痛快ではあった。ただ、展開は面白いのだが話があまりにも上手く行き過ぎていて結果も予想通りと言うのは少し残念。この作家の作品は初めて読んだが、他の作品も読んで見たいとは思った。

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2016年08月31日

Posted by ブクログ

無駄の無さ感が気持ちよい娯楽ビジネス小説。
色々と程よく詰まっててまとまりもあってアハ
おれ仕事がまさにこれで!的でおもそろかったです。

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2013年04月13日

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