【感想・ネタバレ】Cの福音のレビュー

あらすじ

商社マンの長男としてロンドンで生まれ、フィラデルフィアで天涯孤独になった朝倉恭介。彼が作り上げたのは、コンピュータを駆使したコカイン密輸の完璧なシステムだった。著者の記念碑的デビュー作。

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Posted by ブクログ

グロい描写がちょっとつらかったが、スルスル読めるスリリングな一作。
私の中では、楡さんは経済小説のイメージが強かったが、今回はコカインビジネスの話と随分毛色が違った。
主人公補正が強すぎるきらいもあるけれど、説明的な冗長な部分は控えめで読みやすかった。

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2022年07月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【感想】
本当に面白いかった!!
もう、朝倉恭介というダークヒーローのカリスマ性に、終始痺れっぱなしでしたね~。
アーミーのように屈強で、悪魔のように非情で、ただのワルでは到底追いつかないような頭の回転の速さ。
・・・・白竜かよ!!!!
全6作のシリーズものなので、続編も早く読みたい!!

本作品は、主人公である「朝倉恭介」がどのような経路をもってダークサイドに堕ちてしまったのか。
彼が過ごしてきた生い立ちや留学生活、そして初めての殺人など、彼の人生の振り返りについても詳しく描かれていました。

また、彼自身の哲学や魅力、人生観について惜しげもなく描かれていました。
色んなものに恵まれたパワーエリートでありながら、両親の死によって世間の非情さ、「正義」というものの正体、そんな中で自身が生きていく道。
彼が辿ってきた人生で身に着けざるを得なかったそのハングリーさや野生味は、真山仁の「ハゲタカシリーズ」の主人公である鷲津政彦を彷彿とさせますね。
(ステゴロでは断トツで朝倉恭介が勝つでしょうが。笑)

一介のサラリーマンである私ごときでは、今後も朝倉恭介のような人間になる事は決してないとは思いますが、彼の金儲けへの貪欲さや知識の豊富さ、世の理についての情報量の多さなどは、見習わなくてはいけませんね。
アクション小説として、非常に面白い1冊でした!


【あらすじ】
商社マンの長男としてロンドンで生まれ、父の転勤に伴い渡米し、フィラデルフィアのミリタリースクールで聡明な頭脳と強靱な肉体を造り上げた朝倉恭介。
その彼を悲劇が見舞う。航空機事故で両親が他界し、フィラデルフィアで天涯孤独になってしまったのだ。
さらに正当防衛で暴漢二人を殺害。以来、恭介は、全身全霊を賭して「悪」の世界で生きていくことを決意する。
そんな彼が創出したのは、コンピューター・ネットワークを駆使したコカイン密輸の完璧なシステムだった。

「朝倉恭介VS川瀬雅彦」シリーズ第1弾。


【引用】
1.酒も女もドラッグも、程々にやればこんな楽しいものはない。
快楽を追求するのは人間の本能というものだ、それ自体は決して悪いものではない。
しかしそれに溺れてはいけない。そのいずれもが、一旦溺れてしまうと、そこから抜け出すには溺れる以上の苦労を伴うものだ

2.恭介は、世の中で「まとも」とか「正義」と言われるものの正体がいかに得体の知れないものであるか、そしてこの世の中が実のところそうした人間たちによってのみ動かされているという現実を、はやくも18歳にして垣間見ることになったのである。

3.「信じられるかね?最高の教育を受けた人間たちが知恵と汗のかぎりを尽くして稼ぎ出すよりも、遥かに大きな利益を最低な人間たちが産み出している現実を・・・」
ファルージオは言った。
「群の頂点に君臨していくためには、知性もさることながら、絶対的な指導力、財力、知力、そして恐怖の力、そのいずれをも持ち合わせねばならないのだ。」

4.キャンパスの生活は退屈なものだった。しかし、だからといって恭介は決して勉学を疎かにすることはなかった。
当時の恭介にはこれといった夢もなかったが、どういう道に進むにしても、ここで施される教育が将来役に立つものであることには違いなかったからである。
中でも恭介は、語学の習得により一層の時間を費やした。

同時に恭介は、勉学に割いた残りの時間の殆どを、高校時代から続けていた格闘技の訓練に費やした。
道場を経営するのはデービッド・ベイヤーという男で、いろんな格闘技の達人であり本質的な意味でのエキスパートであった。
が、道場に通い始めて2年目あたり、実戦で鍛え上げてきたベイヤーでさえ敵わなくなるほど腕を上げ、同時にその体も鋼のように磨き上げられていった。



【メモ】
Cの福音


p23
人種の坩堝(るつぼ)といわれるニューヨークの社会は、実際のところその言葉が示すほど複雑なものではない。
そこで暮らす人間が置かれるレベル、つまりは成功の度合いによって、所属する社会があからさまに違ってくるからだ。
それはある意味では、近代社会が生み出した新たな階層社会が存在するのだと言っていい。

同列のレベルにある人間が集まれば、価値観や話題も自然とそれ相応のものになる。
こうしたパーティは新たな刺激を求める場というよりは、自分の置かれているポジションを確認し、時としてそうした場で得られるビジネスチャンスやコネクションを利用して、さらに上のクラスへのステップアップのチャンスを得る場でもあった。


p50
「シゲミ、吸い過ぎは体に毒だ」チアーザは冷たく言い放った。
「私の周りにもコークをやっている人間は何人かいるが、皆中毒にならない程度にうまく付き合っている」
チアーザはゆっくりとベッドから立ち上がると、
「酒も女もドラッグも、程々にやればこんな楽しいものはない。快楽を追求するのは人間の本能というものだ、それ自体は決して悪いものではない。しかしそれに溺れてはいけない。そのいずれもが、一旦溺れてしまうと、そこから抜け出すには溺れる以上の苦労を伴うものだ」


p58
「よりによってミリタリースクールでなくとも・・・どうしても手元から離すというのなら、全寮制のプレップスクールでもいいじゃありませんか」
優一朗に対しては滅多な事では異を唱える事のない妻が、この時ばかりは必死に食い下がった。
優一朗にしても、一人息子である恭介をもうしばらく手元に置いておきたい気持ちは同じであった。
それを許さなかったのは、優一朗自身が軍人家庭の一人息子として厳格な家庭環境の下で育てられたことに一因があった。
人格を形成していく上で最も重要な時期に、自由と個性を伸ばす事を尊重する文化や習慣に染まった教育を受けた駐在員の子女の多くが、日本に帰国したのち母国の社会と自己のアイデンティティーの狭間で苦しむものなのである。
組織の中で個を生かす術を身に付けることが、恭介の将来にプラスに働く。

そして恭介は、そうした環境に見事に耐え、聡明な頭脳と強靭な体力を身につけていった。


p59
一人息子の卒業式に参加するためにニューヨークからフィラデルフィアに向かった恭介の両親を乗せた旅客機が、悪天候の中着陸に失敗し、爆発炎上した。
しかし、全くプライベートな旅行で命を失ったというだけで、四半世紀にわたって仕事に文字通り生活の全てを捧げてきた男に対し、会社は冷淡であった。

あれほど会社を思い、身を粉にして働いた男に対する代償がこれか・・・
恭介は勤め人という立場にある人間の悲哀を、いやというほど味わう事になった。

また、恭介が手にした合計300万ドルの補償金額のうち、30パーセントという額を法律事務所は当然のごとく持っていった。
実際に命を失ったわけでも、愛する人間を失ったわけでもないただの法律屋が、単にその知識を活かして交渉代行したというだけで、である。

恭介は、世の中で「まとも」とか「正義」と言われるものの正体がいかに得体の知れないものであるか、そしてこの世の中が実のところそうした人間たちによってのみ動かされているという現実を、はやくも18歳にして垣間見ることになったのである。


p63
キャンパスの生活は退屈なものだった。しかし、だからといって恭介は決して勉学を疎かにすることはなかった。
当時の恭介にはこれといった夢もなかったが、どういう道に進むにしても、ここで施される教育が将来役に立つものであることには違いなかったからである。
中でも恭介は、語学の習得により一層の時間を費やした。

同時に恭介は、勉学に割いた残りの時間の殆どを、高校時代から続けていた格闘技の訓練に費やした。
道場を経営するのはデービッド・ベイヤーという男で、いろんな格闘技の達人であり本質的な意味でのエキスパートであったが、道場に通い始めて2年目あたり、実戦で鍛え上げてきたベイヤーでさえ敵わなくなるほど腕を上げ、同時にその体も鋼のように磨き上げられていった。


p71
「信じられるかね?最高の教育を受けた人間たちが知恵と汗のかぎりを尽くして稼ぎ出すよりも、遥かに大きな利益を最低な人間たちが産み出している現実を・・・」
ファルージオは、火を見ながら静かに言った。
「君はカラスの習性を知っているかね?カラスの習性は実に我々の世界に似ていてね、知能が極めて高い上に、悪食で生命力に満ち溢れている。
仲間同士の結束も強いように見える半面、弱った仲間は決して見逃さず、寄ってたかってそいつを共食いしてしまう。
カラスの死体が滅多に見つからないのはそのせいだ。」
「群の頂点に君臨していくためには、知性もさることながら、絶対的な指導力、財力、知力、そして恐怖の力、そのいずれをも持ち合わせねばならないのだ。」


p77
「勝負は相手が完全に戦闘能力を無くした時に初めて決まる」
恭介の脳裏に、ベイヤーの教えがよぎった。

人を殺めるのは初めてのことだったが、不思議なほど恭介は落ち着いていた。
「しがらみ」のすべてから解放された恭介にとって、如何なる事態がその身に降りかかろうとも、すべては自らの責任に帰結し、自らの力をもって解決するしかないのだ。


p192
島国という日本の地理的条件は、ドラッグの国内の持ち込みを非常に困難なものにしていた。
日本の税関はきわめて優秀である上に、南米や東南アジアの一部の国とは違って職務に対するモラルも高く、密輸を行う際に官吏を買収してお目こぼしを願うといった状況を作る事は絶望的だった。
空路でコカインを日本に持ち込むのは発覚する確率があまりに高く、よしんば持ち込めてもその量はあまりにも少ない。最も合理的な方法は、やはり海路で純度の高いコカインを持ち込み、日本国内で増量して販売することだ。


p255
厄介な事になったと恭介は思った。
恭介にとって一番恐るべき事は、「鸚鵡」の暴走だ。
なにかの拍子でコカインが切れ、禁断症状に陥った「鸚鵡」が不測の行動に出る事は、ネットワークの存在そのものに重大な影響を及ぼす。
こういう事態が発生した場合、直ちにコカインを届ける事は、選択の余地がないことは確かだ。

しかし問題は、稲田がアクシンデントと呼ぶ事態が果たして本当に起きたことなのか、恭介には確かめる術がないことだ。

(中略)

恭介の腹は決まった。
やはり危険は冒すべきではない。稲田の住居は都内だ。
速達で送れば、遅くとも明後日には稲田の元に当面十分な量のコカインが届く。あと2日の我慢だ。恭介はそう判断した。

それは、自らが麻薬を使用したことのないドラッグディーラーが犯した、大きな間違いだった。


p285
「いいんですか、やつをそのまま帰しても」
しかし朱は、明らかに気分を良くしていた。
「驚いたな、よく考えたものだ。奴らがコカインを日本に運び込む方法は」
「コカインを運び込む方法ですって?」
葉は眉を少し上げ、驚いた口調で聞いた。
「おそらく稲田が流しているシッピング・インフォメーションの中のコンテナに紛れて、コカインは運ばれてくるに違いない。裏で糸を引いているのは、おそらくアメリカのマフィアだろう」
朱は言うと、そのからくりのあらましを、自らもまた納得するためであるかのように、訥々と喋り始めた。

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2019年10月18日

Posted by ブクログ

最後までスムーズに。
仕事は手際よく。

こういう人はやっぱり、裸にガウンでシャンパン片手。

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2012年06月10日

Posted by ブクログ

会話シーンがやたらと多いのもどうかと思うけど、やたらと説明ばかりなのもなかなか。しかもどこぞのブランドの服を着るだのいっては、いちいちブランド名を並べ立てて、でもお手入れも大事なのよ、っていうトリビアまで仕込んで、いやこれは完全にバブルの香りですよ。主人公の成金っぷりというか、できる自分に酔いしれる俺すごい感が、バブル期の調子に乗ったオッサンそのもの。いやバブルはやっぱりスゴイわ。
後はニフティサーブのセキュリティに対する信頼感がすごいよ!ここまで慎重なのに、ニフティサーブに甘すぎないか。と思ったけど、しかしこれもまた時代であろう。

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2023年05月03日

Posted by ブクログ

なかなかハラハラされられた。
ちょっとグロいシーンもあったし、結末は若干読めたけど、話の展開や表現が分かりやすく、一気に読むことができた。

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2022年08月28日

Posted by ブクログ

人が死んだり、グロい描写(麻薬に侵されていく様子等)は苦手なのだが、
のめり込んで読んでしまった。
おもしろい!
物流の仕組みを使った犯罪なんだけれど、
物流に詳しくない読者にも理解できるよう
ちょうどよい説明を加えてくれている。
これ、ほんとにフィクション?
終わり方もおしゃれ。

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2022年02月10日

Posted by ブクログ

親の死をきっかけに悪の道へ進んでいく恭介。
ただ生きていく中で時に悪の感情を必要とする瞬間があるんじゃないかと思わせてくれた作品。
この人の作品は面白い

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2021年03月29日

Posted by ブクログ

夫の友人からお借りしました。

普段自分からはあまり手に取らないハードボイルド系エンタメ小説でした。
面白かった!
ただ、終盤、台湾マフィアと差し向うシーンは「手に汗握る展開」のはずでしたが、主人公がカンペキ過ぎるダークヒーローだったので安心感が勝ってしまい、イマイチ緊張感が出ませんでした(笑)。

それと、コカイン中毒による副作用が強烈でゾッとしました。
作中でマフィアに利用されるエリート商社マンは「マリファナなら遊びでやったことがあるし大丈夫」という気持ちから手を出してしまうのですが、その思考回路がとてもリアルでコワイなと。
と同時に、芸能界で時々逮捕される人たちは、自制心をもってバレない程度の量での使用を続けていたのか、と思うと複雑・・・
止める自制心はないけれど、一見して中毒者と分かるほどには踏み込まないでいたの?そんなことが可能なの?!

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2020年07月27日

Posted by ブクログ

友人に勧められて楡周平を知るきっかけになった本。
ハードボイルド作家と言われる所以がこの本にある。
朝倉恭介シリーズは全て買い揃えたが、まだ1作目しか読んでいない。。

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2018年11月08日

Posted by ブクログ

「悪役の主人公カッコイイ!」的な。
だけどマジで恭介はカッコイイ!!
このシリーズ読むことにする。

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2016年01月26日

Posted by ブクログ

・あらすじ
俺は自由で悪でかっこいいんだぞ!
・かんそう
こういうの探してた。時代のずれ気になるけど。ダークサイドの完璧型主人公っていいね。いいの見つけた。

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2014年12月09日

Posted by ブクログ

ドラッグを巡る中国系マフィアとの対立…という話は他にもいくつか読んだ記憶があるが、相手がヤクザでも警察でもなくダークヒーローというのが面白い。一昔前のハードボイルドという感じのクサさ、でもそれが良かった。続編も読もうっと!

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2014年02月09日

Posted by ブクログ

プラチナタウンの作家の出世作。これは面白かった。麻薬シンジケートもの。小説ながらかなり手に汗握る描写が凄い。

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2012年09月08日

Posted by ブクログ

アメリカでコカインの密輸法を思いついた朝倉恭介は足がつかない方法で日本での取り引きを始めるが、台湾マフィアに見つかる。

恭介はマフィアを返り討ちにし、しばらくナリを潜めることにする。

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2024年08月09日

Posted by ブクログ

Cとはコカインの意味。

日本と海外の税関システムと運輸システムの盲点をつき日本へコカインを密輸、日本で麻薬を販売するという犯罪と、それを巡るマフィア同士の攻防、そしてコカインまたは麻薬自体の中毒性を主として麻薬の危険性を描いている。

本が発売されたのが90年代後期なので、もちろんここに書かれているシステムは当時と今とでは異なっているが、それにしてもいわゆるお役所仕事による仕事の杜撰さと、特に警備についての甘さについては犯罪を犯すという面にしては到底リスクと確実性が合っていないような気がする。個としてスリルを求めるならば結構だが、マフィアという集合体として動くのならばなおさらだと思う。

あと疑問に思ったのだが、コカインの副作用を隠すために髭を蓄えているような記述があったと思うが、私のイメージとしてはちょび髭程度のものではなく沢山の立派な髭をイメージしていたのだが、外資系に働く人にとっては勝手に流れる鼻水を隠せるほどのその立派な口髭があるというのは、普通のことだったのだろうか?

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2021年12月01日

Posted by ブクログ

発刊された当初に読んで以来の再読。
インターネットがまだ今ほど身近でなかったり、諸々の描写が時代を感じさせる。
当時ほどの高揚感はないが、今読んでもやっぱり面白いと思える作品。

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2021年11月03日

Posted by ブクログ

朝倉恭介VS川瀬雅彦シリーズの1作目。

ちょいちょいブランド名のようなものが出てきて、朝倉恭介が一般庶民とは異なることがわかる。

Nifty-Serveは懐かしかった。
ネットネイティブの人たちにはピンとこないかもですね。

「ドッグファイト」を読んで楡周平さんに興味を持って読んでみた。
エンタメ小説として楽しめはしたのですが、このシリーズの2作目以降を読むのはだいぶ先になりそう(-_-;)

払ってもいい金額:250円

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2021年05月04日

Posted by ブクログ

知人から紹介され手にした一冊で
先に評価をみてしまい
その先入観から読み始めてしまったのであまり期待してなかったのですが面白かったです!
ただ、物語の盛り上がりまでが長い!
シリーズ物との事で続きも読んでみようかなと思います。

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2024年09月21日

Posted by ブクログ

コカインの密輸入から販売まで1人で取り仕切る朝倉恭介のシリーズ1冊目。今作では、コカインをめぐる裏社会や、コカインに取り憑かれ、破滅していく人々の様が描かれると共に、頭脳明晰な上、ミリタリースクールで鍛え上げた強靭な肉体を持つ朝倉恭介というダークヒーローの誕生から活躍を魅力たっぷりに披露してくれる巻でもある。次巻は反対に善のヒーロー登場とのことで、こちらも楽しみ。これから少しずつ、このシリーズを楽しみたいと思います!

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2018年01月20日

Posted by ブクログ

 大藪春彦を読みふけっていた時代があったけど、久しぶりにその時の感覚を思い出した。どちらかというと救いのない悪党の話なのだけど、文章がすっきりしていて余分な感傷が入ってこないためか、不快な気持ちよりもむしろ爽快な気持ちで読むことができる。ハードボイルドのひとつのパターンだと思う。

 確かに大藪春彦を思わせる雰囲気なのだけど、実際のところはむしろフォーサイスのような緻密な犯罪計画が読みどころになっていると思う。味わいはまったく違うけど、「ジャッカルの日」に近いのかもしれない。

 最後にもう少し派手なドンパチを期待してしまったから、やや拍子抜けした感じがないでもないけど、その分リアルなのだろうとも言える。主人公があまりにも圧倒的すぎで、逆に物足りない。シリーズものの第1作、主人公の顔見せ的な印象は否めない。

 だが、おもしろく読み進められたのは事実。実際に自分がこの物語に登場するとすれば、ゴミのように殺される方の人間だろうけど。

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2016年11月06日

Posted by ブクログ

計算されて組織に組み込まれてしまったら、それに気づいたとしても抜け出しないな、きっと。
そのポジションからいかにはみ出さないか
にかかってきそう。
相手が望まない状況になったら切り捨てられる
ということだもの。
しかし、よく考えられている話だった。

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2016年06月14日

Posted by ブクログ

再読!
ずいぶん昔に一度読みましたが、「朝倉恭介Vs川瀬雅彦」シリーズを全6作を読破しようと思い、再読しました。

コンピュータネットワークを駆使したコカイン密輸の話ぐらいしか覚えていなかったので、再読しても新鮮でとても楽しめました。(たんに物覚えが悪いということですが..)

ニフティサーブをつかったメッセージの送受信は、今となってはずいぶんと時代を感じさせます(笑)
また、本作のポイントとなっている日本の関税システム、貿易システムの盲点を突いた貨物のすり替えですが、残念ながら、それがどれほどすごいのか、または、大変なことなのかピンときませんでした。
さらに、最後の戦闘シーンはもうチョイどきどき感をあおってほしかったところがあります。
とはいえ、完璧な主人公の悪役ヒーローというキャラを引き立たせるにはそれでよいのかも。

いずれにしてもハードボイルドエンターテイメントとしては十分楽しめました。

また、日本の関税システム、シッピングの仕組みなど勉強になるところも多かったです。
(楡さんの作品はすごくそういった事実が調べれられているので、とても勉強になります)

さて、本作では、「川瀬雅彦」は出てこないのですね。シリーズとなっていたので、本作から少し出てくるのかなと思っていました。
それがちょっと残念。

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2016年06月05日

Posted by ブクログ

楡周平の処女作。
にしては、筆の運び方が 着実でもある。

朝倉恭介は、優秀な成績であり、同時に
肉体的にも 鍛えられている。

そして、友人との出会い。
その父親のダークな世界にふれることで、
自分の進むべき道を決める。

二人の暴漢に襲われた時に、
正当防衛として 殺してしまうことで、
更にすすむべき道が 明らかになった。
自分の中に 存在している なにか が
行動に駆り立てているのだ。

そして、日本という 海に囲まれているが故に
密輸入の困難さを 打ち破る ビジネスモデルを考案する。

いくつかの前提で
税関での検閲が 全量検査ということと
ロットナンバーが違うことで、それを保管することと
保管庫が 簡単に 空き巣のように入ることができると言う前提が
少し、弱そうだが、まぁ。
それは、大目に見ても、密輸の手段のブレークスルーは、
可能だった ことが、この物語の 構成になる。

実に 淡々として 物語が すすんでいく。
そこには、激しさなどもない。
死に対する 恐れも 殆どないのが 印象的だ。

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2015年01月24日

Posted by ブクログ

ダークかダークじゃないかと言われれば、ダークだ。ヒーローかヒーローじゃないかと言われれば、ヒーローではない。運命によってダークサイドに落ちていった人間の作り上げたシステムによって、人が一人贅沢な暮らしと、時々殺しをさせるだけだ。あとは黙々とした作業の繰り返し。目立たず、大衆の中に紛れ込む。
せっかくの技術、能力、知力を最大限に活かせるところが裏稼業だっただけで、別に最初から表世界で働こうとも考えていなかったと思う。そのように仕組まれていったことが運命と呼ぶのなら、彼は純朴な運命信者であり、初志貫徹するブレない生き方と冷静な判断のみを神に捧げる。

ただコカインで一儲けすることが彼のやりたいことではなく、おそらく、死んでしまった友人の代わりに親孝行をするくらいの気持ちでやっているにすぎない。もっと悪いこと、もっと汚いことを人にさせるのか、させることができるのか、この後の展開に期待。

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2014年08月12日

Posted by ブクログ

ソフトボイルド的な。この方の本はストーリーに加え
教科書的な要素があるので好き嫌いが出ますよね。
どっちなの?ビーフ?orチキンカツ?(カツ?)

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2013年07月27日

Posted by ブクログ

コカインの話。
軽快なテンポでズンズンといっちゃうね!
日本に密輸でコカイン・ビジネスを構築した男「恭介」
若いのにスゲーな。
ちょっとハードボイルドなアンダーグラウンド。

ライトだけど、なかなか面白いっすね。
続編も楽しみです。

コカインを途中にやってみたい?なんて
思ってしまったけど
読んでいくと・・・
やはり怖いなぁと
ん~ドラッグ怖し!

台湾マフィア、中国マフィア、ヤクザ。
いろいろいるんですね。
台湾マフィアは、知りませんでしたけど。

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2013年07月12日

Posted by ブクログ

 ダークヒーロー朝倉恭介が作り上げた、完全な麻薬密輸犯罪を描いた作品。
 確かに周到で完璧な麻薬密輸だが、いかんせん細々とした貿易の話とあって、帯やあとがきで言われているようなスリルやカタルシスは感じられないと思う。加えて、貿易の話を長々と説明されるのも、勉強にはなるかもしれないが、エンターテイメントとして考えると少し辛かった。密輸の仕組み自体も巧妙に作られたとは言え、結局はコンテナを破って荷抜きして、夜中にボートを漕いで空巣まがいの事をする訳だから、鮮やかさに欠けるなあと思ってしまったのは自分だけだろうか。アクションシーンもラストに少しだけなのが残念。日本の警察を動かして、それを鮮やかに切り抜ける恭介の姿なんかを描いて欲しかった。
 一方で、主人公の姿を丁寧に造形しているので、この主人公の話をまた読んでみたいなあと思わせてくれる。麻薬の密輸や、ダークヒーローものに興味があるならシリーズを通して読んでみても良いのかもしれない。

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2013年07月09日

Posted by ブクログ

―――父の転勤に伴い渡米し、フィラデルフィアのミリタリースクールで聡明な頭脳と強靱な肉体を造り上げた朝倉恭介。
その彼を悲劇が見舞う。航空機事故で両親が他界したのだ。さらに正当防衛で暴漢二人を殺害。
以来、恭介は、全身全霊を賭して「悪」の世界で生きていくことを決意する。
彼が創出したのは、コンピューター・ネットワークを駆使したコカイン密輸の完璧なシステムだった。
「朝倉恭介VS川瀬雅彦」シリーズ第1弾。

だいすけからのオススメ

楡周平のデビュー作
警察など屁にも思わない「悪vs悪」のエンターテイメント

「悪役にも実はいいところが…」とか
「最後にはあいつも改心して…」とか
そんな生っちょろいやつはここにはいない

俺この人のハードボイルドさ好きやわ

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2012年12月30日

Posted by ブクログ

「主人公の造形は、伊達邦彦(野獣死すべし/大藪春彦)の劣化コピー」という酷評もあるけど、元の「野獣死すべし」を読んだことがないので、ハードボイルド系エンターテイメントとしてまぁまぁ楽しめた。しかし、見事に反社会的な主人公を非常に美化しているところがちょっと反感覚えたけど。小市民的良心のわたし的には、最後は何らかのしっぺ返しが欲しかったかな^^;

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2012年09月10日

Posted by ブクログ

“C”とは“スノー”=“コカイン”の意味。
マリファナでも覚醒剤でもないコカインをテーマに、アメリカ企業に詳しい著者が書き上げた「悪の帝王朝倉恭介シリーズ第一弾」です。

親友の死がきっかけで、親友の父親でマフィアのボスのもと、日本で通関システムの盲点をつき麻薬密輸を行う「朝倉恭介」。中毒者にした売り子たちをアメリカから日本に帰し、彼等からの発注をネットワークで受けて取引を行います。しかし、その麻薬売買のネットワークの一端が露見したため、秘密を守るために今までの客を惜しげもなく殺害します。

この作品は1996年に発刊されたものです。
15年程前からこういう問題があったというのに、相変わらず薬物中毒者は増加傾向のようです。小説の中で芸能人の女の子が薬物中毒になり、コカイン欲しさに秘密情報を日本側の売人にもらしてしまう場面がありました。その結果として、彼女は永遠の眠りにつかされ、海の底へ沈められてしまいます。似たような芸能人の薬物関与事件もありましたっけ。
今や芸能界ばかりか、一般市民、学生の間にまで浸透しているといわれる薬物…。
危険な薬物事件は、小説の中だけにして欲しいと心底思いました。

コカインの怖さ、入手情報、アメリカ社会の裏のワナ
そんなことが一度にわかってしまうのが、この小説です。
著者の圧倒的な格闘技描写や緻密な企業知識にも圧倒されます。

久しぶりに没頭して読んだハードボイルは、
主人公が悪人であるけれど、その頭のよさには脱帽でした。

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2017年11月09日

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