楡周平のレビュー一覧
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少子高齢化の行き着く先とAIの進化がもたらす影響を考察した小説。
人口動態が経済を予測する上で最も蓋然性の高いデータであることは周知の事実である。それを真剣に考えると日本の産業の先細り、高齢者増加に伴う社会保障負担の増加は避けられない。ならそれに対してどのように産業を変革していくことが日本を豊かに維持できるのかについて真剣に考えさせられる本だった。本書で取り上げられていたプロジェクト単位の人材採用やSNSを用いて世界から人材を探しにいくという考え方には納得感があった。いまだに新卒一括採用を行い、足元の身になるかわからないような人材育成をする大企業で働いていても目に目えない速度で成長している経済 -
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『サンセット・サンライズ』
この言葉の真意を知った時に、人の想いの温かさを感じることができた。
映画視聴後に文庫版を読んだのですが、より細かな描写と登場人物たちのありのままのキャラクターが心地よくて没頭して読み進めることが出来ました。
人と深く関わることは幸福と不幸が隣り合わせで不安定なもの。それが人間関係であり、私が深い人間関係を恐れるのはこのことが理由だったと感じました。
でもその恐怖があるとしても人の出会いというのは運命的で、数少ない友人たちには感謝してもしきれないほどの幸福を貰っています。
人間関係の喪失と新たな繋がりを抱えていけるように、自分も少しでも人と深く関わって行ける -
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『象の墓場』楡周平
危機感と変革の必要性
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【物語】
ベストセラー小説家、楡周平さんの『象の墓場』は、2012年に経営破綻したアメリカのコダック社をモデルにした経済小説です。
※作中は、ソアラという社名です。
コダックは、デジタル化の波に乗り遅れ、巨大な帝国を失いました。
この小説が優れているのは、単に大企業の失敗を描いているのではなく、その失敗の裏にある組織の病巣と、変革の難しさを浮き彫りにしている点です。
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【コダックの教訓:なぜ巨人は滅びたのか】
コダックはフィルム事業で莫大な利益を上げていました。しかし、その成功体験こそが、彼らの未 -
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年金制度の崩壊、歯止めの効かぬ少子化、高齢者ばかりの政治家、経営者。気になるワードがいっぱい出てくる。
小説だから、経済書よりも大胆な処方箋とかわからないかなと思って読み始めた。若い人に期待する話しの流れで,仮装通貨や、NFT(デジタル証明書)の話題は勉強になった。
しかし20年後30年後の事さえまともに考えている指導者がいないと言う指摘は、その通りだろうと思うが、日本人は、幕末や第二次世界大戦の後も、大きな歴史の転換点で、鮮やかに再生した事ある・・・!本を最後まで読んで若者に対して出来るのは、「日本どころか世界情勢も刻一刻と激変する真っ只中に身を置いている事を知らせるくらい」と書いてあるが、 -
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戦後間もない混乱期、天涯孤独になった貴美子は、焼け野原になった横浜で以前家庭教師をしてくれていた清彦と偶然出会う。
2人は生きるために闇市のバラックで、簡素な食堂を営む。
ある日、貴美子が1人で仕込みをしているところに若い米兵2人が入ってきて襲われそうになる。
そこに清彦が仕入れから戻ってきて、2人を相手に格闘となり、近くにあった包丁で2人を刺し殺してしまう。
貴美子は、清彦の身代わりになって逮捕されることを主張する。
その代わり、服役中の間に清彦は新たな2人の生の地盤を作ってくれと頼む。
清彦は渋々貴美子の提案を受け入れ、その間にしっかりと将来のために自立の道を立てようと決意するのだが⋯。 -
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楡周平『雌鶏』集英社文庫。
終戦間近に艦砲射撃を受けた岩手県釜石市や岩手県南が登場するのは楡周平が岩手県南の出身であるからだろう。余談になるが、自分が釜石市の小学校に2年ばかり通っていた頃、小学校の裏山に艦砲射撃の砲弾による窪みが多数あったのを思い出した。
人間というのは一度手にした権力にしがみつき、金さえあれば、その権力は永遠に保てると勘違いしている向きがある。
本作は戦後の日本を舞台にした長編小説である。判然としない結末には少し納得出来なかった。前半こそ、松本清張のサスペンス小説にも似ているのだが、人間の愚かさや数奇な運命に翻弄される男女の姿を描きつつ、日本の高度経済成長期に登場した -
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トップレベルの私立大学に通う百瀬陽一の就職戦線は冴えなかった。名の知れた大企業への就職に囚われていた陽一は、再チャレンジする為に就職留年を決める。留年のあいだ派遣会社を通じて世界最大のネット通販会社《スロット》の物流センターで非正規労働者としてアルバイトをすることに。
そこで見たのは、派遣労働の過酷な職場環境、さらに膨大な商品の運送業務に忙殺される大手総合物流企業の厳しい現場だった。
社会で派遣やアルバイト、パートが重用されるようになったのは何時からだっただろう。
多くの主婦たちや学生にとっては短時間のパートは働きやすかった。
けれど、そのシステムは働きたい人々、働かなければならない人々にま