楡周平のレビュー一覧
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面白かった!
ハードボイルド&サスペンス作品
本作は、基本的にはミステリーではないですが、叙述トリックに「あっ!!」と驚いて、それまで、ちょっと引っかかっていたところが、すっきりしたので、自分の中ではミステリーに分類。
ストーリーとしては、青色発光ダイオードの特許訴訟を思わせる水素自動車関連の特許訴訟。特許権が発明者か会社かという判決に渦巻く黒い影。その謀略の結果、発明者が殺されてしまい、その息子が真相解明にのりだし、犯人を突き止めていくといったストーリ展開です。
楡さんらしく、特許訴訟、水素自動車関連の経済的影響、背景がしっかり語られるとともに、日本の裁判制度やマスコミ、メディアの考え -
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ネタバレハードボイルド系ミステリー小説?? になるんですかね。
舞台はクラブで、若くして栄光を掴んだホステスのママによって、犯罪に巻き込まれていくクラブのボーイが主人公。
彼は、三流大学の出で、普通の就職もできなくて、なんとかクラブのボーイとしての正社員の口を見つけたのだけれど、当然、女の人とは比べ物にならないくらいの安月給で、日々の生活をやっていくのがなんとか、という状態。
そこに現れたのが、とんでもない儲け話で、一にも二にもなくその話に飛びついてしまう。
けれど、一旦うまくいくと思った儲け話が、いろんな人がいろんなことを「自分のために」やろうとしていくうちに、どんどん歯車が狂ってくる。
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日本におけるメディアの成長要因をビジネス視点で体感できる良作。
テレビを普及させるにあたり、政治的な動きはもちろんあるのだが、将来を見据え出版をも巻き込み、コンテンツのマルチユースを考えていたとなると、当時の人たちって本当に頭がよかったのだなぁ。
未だに日本においては新聞の電子化は十分に進んでいるわけではない。
折り込みチラシに変わるものが見出だせず、電子版は広告収入モデルではなくなっているので、その絵が描ける人材がいないのかもしれないし、短期的な視点で販売店を如何に守るかと言うことにまだまだ囚われている気がする。
近未来と思ってたことがどんどん実現されてくる世の中。
そのまた先を予測して -
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電子書籍戦争という言葉に惹きつけられ手にしました。
予想を裏切り冒頭は終戦直後のGHQ支配下における日本が舞台。
その後時代を経て現代へ。
新規ビジネスモデルをアメリカより輸入し展開しようとする男たち。
孫さんがモデルとも思える電子書籍端末を無料でばら撒いてでも採算が取れるという絵を描く。
実際には日本においてまだまだ普及しているとは言い難い状況ではあるが、新聞購読者が激減している、ハードディスクレコーダーの普及によりCM飛ばしが横行してTVもビジネスとしては厳しい状況になっているなど旧来のビジネスモデルでは通用しなくなってきているので、書かれているような世界はすぐそこに来ているのかもしれな -
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まだ漁業が元気であった頃の日本を舞台にした海に活きる男の物語。海洋小説といった感じなのだが、家族小説としての色合いが強い。
主人公の関本源蔵は遠洋漁業の機関士を生業にし、妻子を内地に残し、遠洋漁業に向かう。真面目であり、真っ直ぐであるが故、順調に出世していく源蔵と少しずつ成長する二人の息子。家族の団欒も儘ならず、長男の進路さえ慮る事が出来ないでいた源蔵は、或る事をきっかけに長男との間に深い溝を作ってしまう。
物語のヤマ場は、後半の南氷洋での捕鯨。一等機関士となり、南氷洋での捕鯨に向かった源蔵は新米船員の枝川敏雄と共に過酷な体験をする事になる。
源蔵が示した人生の羅針とは…
源蔵と長男の間 -
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面白かった!!
今度は電子書籍でのビジネスについての物語です。
いよいよ下巻です。
下巻では、電子書籍ビジネスについてさらにブラッシュアップされ、課題が深堀されています。
書籍が電子書籍に変わっていくであろう事が避けられない中、その電子書籍ビジネスでの課題が物語を通して、いろいろ検証されています。
自分の電子書籍ビジネスの考えの浅はかさがよくわかってしまいます(笑)
さらに、下巻では、渋沢が出版とテレビのメディアミックスを成功させ、真のメディア王となるいきさつ。そして、その渋沢が電子書籍ビジネスを進めようとしているIT企業と連携するのではなく、独自に電子書籍ビジネスを構築し、出版、ラジオ、 -
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面白かった!!
今度は電子書籍でのビジネスについての物語です。
楡さんのビジネス系の小説にははずれがありませんね!!
でも、いきなり、戦後のGHQ管理下の時代から話が始まります。このときの海難事故の秘密を引き換えに後のメディア王となる渋沢の出世の物語?
っと思いきや、一気に現代の情報通信企業での電子書籍ビジネスの話に話が振られます。
昭和の時代からの新聞、ラジオ、テレビの総合メディアが立ち上がるまでの話しと、現代IT企業が電子書籍ビジネスを立ち上げていこうとする話がうまくリンクしていきます。
あっという間に上巻をよみきってしまいます。
上巻では、電子書籍ビジネスを牛耳るのはプラットフォーム