楡周平のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ダイエー創業者の中内氏のストーリーをかなり加工して、
フィクションにした小説。
安定の楡さん。
正直、主人公に共感は出来ないし、好きになれないけれど、やはり面白いです。
戦後の混乱期から主人公が顧客ニーズに目を付け、
スーパーマーケットを日本に浸透させていく様は流石としか言えません。
そんなビジネス視点に痴漢冤罪という小ネタをはさんでくるところが楡さんの面白いところ。
痴漢冤罪なんてテーマ、基本的には興味がないので、
こういったところで小説に盛り込んでくれることで、
自分の幅も広がって、有難い限りです。
ちょっと残念だったのが、話の落ちが何となく読めてしまったところ。
某登場人物がいきなり -
Posted by ブクログ
夫の友人からお借りしました。
普段自分からはあまり手に取らないハードボイルド系エンタメ小説でした。
面白かった!
ただ、終盤、台湾マフィアと差し向うシーンは「手に汗握る展開」のはずでしたが、主人公がカンペキ過ぎるダークヒーローだったので安心感が勝ってしまい、イマイチ緊張感が出ませんでした(笑)。
それと、コカイン中毒による副作用が強烈でゾッとしました。
作中でマフィアに利用されるエリート商社マンは「マリファナなら遊びでやったことがあるし大丈夫」という気持ちから手を出してしまうのですが、その思考回路がとてもリアルでコワイなと。
と同時に、芸能界で時々逮捕される人たちは、自制心をもってバレない -
Posted by ブクログ
私にとって久々の楡周平
時代は今から10年以上前の日本!
IT企業による企業買収問題、郵政民営化、下請け企業へのダンピングなどを題材とした作品!
今現在、本作品を読む事で作者が今の時代を予見していたかのような予言書のような作品に仕上がっております。
物流大手の暁星運輸はかつて無いほどの窮地に立たされていた、大手コンビニとの専属契約解消に近い契約変更と、ネット通販会社『蚤の市』からの事実上の値下げ指示の取引条件の変更!!!
このままでは会社が・・・
という状況下で主人公の広域営業部営業課長の横沢哲夫が立ち上がる!
物語中の『ラストワンマイルを握っている我々が一番強い』という言葉に何故 -
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抜群の営業成績をあげ、さらに顧客を伸ばそうと次々と新しいプランを立ち上げてきた運送会社に勤める主人公。実績からすると昇格しても良いはずなのに程よく窓際部署へ追いやられる。そこは新規事業開発室で能無しの呼び声高い部下がひとり、さらに年間4億円を稼ぎだす新規事業を立ち上げろというノルマ付き。折り合いの悪い上司の仕業ということに気づきつつもなんとしてもノルマを達成しようと知恵を絞る。
そんな中、目をつけたのがオフィスへの文具宅配の分野。ある一社が頭抜けているが、あるものを開発し、業界では常識のサービスをやめることで大幅コスト削減ができることを売りに業界下位に甘んじている会社へアプローチ、さらに一般消 -
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戦艦大和の生き残りの主人公は戦後の闇市で薬を売って財を成す。特攻の生き残りである相棒と出会い、彼の戦略に乗って安売りの薬屋を開店し、さらに大儲けする。その後、当時は新しい業態であったスーパー経営に乗り出し西日本を制覇、東京へ進出する。スーパーからさらに大掛かりなショッピングセンター構想を掲げ計画通りに進んでいたが、土地を世話してくれた人が乗っ取り屋だったり相棒の裏切りに合ったり絶体絶命のピンチに立たされるが、ツキもあって切り抜ける。
そして主人公の最晩年、悲願の大型ショッピングモール完成を目前に様々な私的な難題が降りかかる。
戦後から近年まで、スーパー経営を生きがいとして駆け抜けた男の半生の物 -
Posted by ブクログ
前半部分はオラオラなおっさんがもがき苦しむ様を書いている感じで全然読み進まなかったが、半分少し手前、蓬莱という若手社員と出会った頃から物語が一気に加速して指数関数的に面白さも上がって行った。
所々に刺さることが書いてあり、例えば本書によく出てくる『頭に汗をかけ。脳みそに錐を刺して、血が出るまで考えろ』という言葉。どうしても楽をしたがり、同じサービスを同じクオリティで提供し続けようと考えてしまうが、それが停滞を招き結局クオリティは下がってしまう。血が出るまで考え続けることは難しいが、今より少しでも良い仕事をしようとすることはできる。
この本を読んで明日からの仕事に火がつかない人は少ないだろう。 -
購入済み
痛快ヒューマン小説
老後の余生をどの様に暮らすかという問題を上手く捉え、且つ町の財政問題を解決する策に繋がった内容で、とても面白い内容でした。ただ、土地の活用に関して議員との問題が起き、それを解決する展開を期待していたので、少し残念でした。
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Posted by ブクログ
プロサラリーマンの目からみても、かなりのリアリティを感じさせる楡周平の引出しの多さは凄い。本作は、リストラ狂想曲とシルバー世代と現役世代の心ある人々の隠れた活躍というテーマだが、金融であれ経営戦略であれ貿易であれ、よく書けるものだと驚く。リストラについていえば、もちろんエンターテインメントにも属する小説なので大げさに戯画化されているが、江間のような言動をちらちらと覗かせる人物は、大企業の管理部門や上級マネジャーには潜在的にはかなりいる(と感じていた)。普段は常識と体面を気にして覆い隠してはいるが、なにかの拍子にその狂気を覗かせるヤツには、思い当たるふしもある。
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Posted by ブクログ
かつて人口減に悩んでいた地方自治体の緑原町は、元商社マンの山崎町長がリーダーシップを取り、巨大老人定住施設「プラチナタウン」を開設。老人とその家族を定住させることで、町は人口増、雇用回復、活気を取り戻す。これで、緑原町は大丈夫、町長も一安心・・・、は束の間だった。
今は元気な老人たちだが、やがては介護が必要となり、それを子が担うようになる。働き手が少なくなる緑原町は再び、活気を失うだろう。そして、プラチナタウンは町の不良債権となる。
そんな未来を心配する山崎町長が選んだ次なる政策は、プラチナタウンの拡大ではなく、緑原町特産物の海外販売だ。
新ビジネスや次なる町長選挙の展開があまりに都合良 -
Posted by ブクログ
ネタバレ(上下巻合わせてのレビューです。)
ちょっと疲れていたので、本棚に残っていた気軽に読める小説をチョイス。
今夏のテーマは、寄生虫。
ミャンマーの未開の地に生息する寄生虫に人がどんどん感染していくというバイオサスペンス的な話。
それに楡さんらしく、お得意の国際情勢や諜報活動の味付けを加えています。
ちょうど今、コロナウイルスが流行していて、
ウイルスと寄生虫で異なるとはいえ、
パンデミックの恐ろしさを感じながら読み進めることができました。
さらに自分が1か月間生活していたミャンマーにこんな場所があったなんて衝撃。。
(自分はほとんどの時間をヤンゴン(つまり、都会)にいたというのもあります