楡周平のレビュー一覧

  • スリーパー

    Posted by ブクログ

    初期の楡周平作品のような国際謀略小説。

    これまでに読んだ小説の中で、これほどエンディングで驚いたのは余り記憶にない。もしかしたら全のストーリーは、このエンディングのためにあったのかも知れないと思うほど。過去に読んだ小説で、エンディングで驚かされたのは、フィリップ・マーゴリンの『黒い薔薇』、安孫子武丸の『殺戮にいたる病』だろうか。

    アメリカの刑務所に殺人の罪で収監されていた由良憲二はCIAの超法規的処置により、刑務所から出獄し、CIAのスパイとして北朝鮮の外貨資金調達を担当する高官と接触する。現代の国際情勢の表と裏がリアルに描かれ、ストーリーは驚愕のエンディングへとひた走る。

    0
    2016年09月24日
  • 象の墓場

    Posted by ブクログ

    とてもリアルに、世界のエクセレントカンパニー、コダックの終焉を描いています。司馬遼太郎が、先にエバンジェリストが立つとも、時代の変化を後戻りしないものに固定するのは、技術、テクノロジーであると、花神の後書きに書いていました。その変化の中では、資本力、規模、人材、伝統を持つ大企業が有利とは限らない。寧ろ、余りに確立した収益モデルがある場合には、そのモデルへの執着、慢心が自らの変化を遅らせる可能性もある。

    誰がこの巨象の命を奪ったのか?企業競争は日常であり、そこに収益があれば必然。ところが変化の大きい場合、その決定的な刺客は、競争の意識さえなかった。1992(アルベールビルオリンピック)から20

    0
    2016年07月30日
  • 象の墓場

    Posted by ブクログ

    久しぶりに読書。
    知人に作者を勧められて適当に選んで読んだんですが、アタリでした。
    こういうことって嬉しい。

    ギリギリ、当時写真撮ったりしていた世代なので読み進めながらそうだったなって思い出したり、そんな背景があったのかって初めて知ったり、当時をトレースできたので比較的読みやすかった。
    デジタル化社会が人々に便利な生活を与えていることには間違いないけれど、それが幸せなのかは少し考えるようになりました。
    便利さを追い求め続けていてもキリがないものね。まだ足りない、もっと便利にできる、って、そういうの幸せなのかな。
    でもそれが技術の発達に繋がっているのも事実。
    もやもや(まとまってない)。
    変化

    0
    2016年07月15日
  • 虚空の冠(下)―覇者たちの電子書籍戦争―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    携帯電話で 急激に伸びた IT企業の 芦野 そして 亮輔。
    電子書籍リーダー ミネルバを無償で配布する。
    その狙いは 携帯電話のシェアーを高めるための
    方策であり、そして 活字を読む人のプラットフォームを
    支配する事にあった。

    様々な試練をくぐり抜けて 極東グループのトップの渋沢。
    87歳という高齢にも関わらず、戦略的な思考は極めて優れている。
    活字離れではなく、紙離れであると亮輔にいわれて、
    はじめて 何が 問題なのかを 理解する。
    コンテンツを供給する側でなく、
    プラットフォームを握る事が大切だと物の本質をつかむ。
    そして、大手出版会社6社とアメリカの本の翻訳をする事で、
    出版をまとめ、

    0
    2016年07月05日
  • フェイク

    Posted by ブクログ

    キャバクラや競輪を舞台に三流大学を出たばかりの主人公とその友人がお金に翻弄されながらもその本当の価値に気付くという話。月給15万から果ては億単位の金まで、物語の中で激しく浮き沈み金銭感覚も変わっていく。キャバクラの仕組みは興味深く、また競輪を使った復讐のやり方も常道ではなく面白い。エピローグできちんと気になる登場人物のその後を描いているのも好感。

    0
    2016年06月22日
  • 虚空の冠(下)―覇者たちの電子書籍戦争―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    電子書籍は見るもの、読書ではない。読んだなというじゅうそくかんを得たいなら紙媒体だ。実在とバーチャルの違いだ。

    0
    2016年06月13日
  • プラチナタウン

    Posted by ブクログ

    五十半ばの商社マンが故郷の町長となり、町の再建に尽力する話。地方自治体の財政や過疎化の問題、役所の意識などがよくわかる。また、日本人の老後についても具体的な金額で論じられていて勉強になる。ドタバタ劇が続き飽きないが、同時に自分たちの将来を思うと苦笑してしまう。

    0
    2020年10月26日
  • 宿命(下) ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京

    Posted by ブクログ

    「世界で最も貧しい大統領」を知った後だけに、真一郎、崇の2人は、最高権力を握った後、何をしたいのか。

    0
    2016年04月10日
  • 虚空の冠(下)―覇者たちの電子書籍戦争―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    昭和の前半のお話の時は、正直今の時代に読むには少し退屈というか、斜め読みしてしまう部分もあったけど、最後は軽く物事を考えていたベンチャー企業ではなくて、深くじっくり考えていた大企業が勝つというのが、なんとなく私には納得の結末だった。今の電子書籍もこんな風にできたのかなぁ・・・。

    0
    2016年04月03日
  • 象の墓場

    Posted by ブクログ

    201603/さすが楡周平。どのジャンルも読ませるな~。現実企業をベースにして、技術の進歩と産業の凋落が書かれてるので、わかってても沈んだ気持ちでグイグイ読み進んでしまった。随所で吐露される登場人物達の心情には、業種違っても、働いてる人(企業人・技術屋・商人問わず)なら深く頷いてしまうでしょう。

    0
    2016年03月21日
  • 象の墓場

    Posted by ブクログ

    コダックか? 銀塩写真が、ほぼ、あっという間に産業として事実上消滅したわけだが、そのプロセスの渦中にいたマーケッティング担当者に仮託して、イノベーションと企業の関係をビビッドに描いている。
    販売やアライアンス、規制当局との交渉に関して、かなりリアルなエピソードがちりばめられているようだ。

    0
    2018年10月19日
  • ラスト ワン マイル

    Posted by ブクログ

    初めて楡氏の小説を手にしましたが、期待以上の面白さでした。おそらく結末はこうなっていくんだろうな、という予感はあるものの、それでもドキドキしながら読んでしまう。

    起業家としてビジネスライクに徹することは決して非難されることではなく、それが社員を抱えて利益を上げなければ存続価値がないとなればそれも経営者として当然かもしれません。
    ただ法を犯さないことと、企業として遵守すべき倫理観は違うのではないかという問題を敵対的買収という行為を通して提起しているように思いました。

    そして、時価総額1兆円という表向きはきらびやかなベールを纏っていた蚤の市が、物販の最下層として上から見ていたはずの暁星運輸に形

    0
    2016年03月08日
  • 羅針

    Posted by ブクログ

    船乗りについての描写や説明はさすが楡周平と言ったところ。文章も重すぎず軽すぎず読みやすい。
    自分自身生きていればなんとでもなると思っているので共感出来た。不自由なことによって自由になるというのもまさに自分が思っていることだった。

    話全体を通してすごく納得する部分が多かった。明日もとにかく生きていこうと思う。


    船乗りに全く興味はなかったが、一度船乗りになってみたいと思ってしまったあたり、楡周平の文章力を再認識できた。

    0
    2016年02月29日
  • Cの福音

    Posted by ブクログ

    「悪役の主人公カッコイイ!」的な。
    だけどマジで恭介はカッコイイ!!
    このシリーズ読むことにする。

    0
    2016年01月26日
  • 介護退職

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    2016・1・7~1・10
    介護の問題、切実だな。総務部文書管理室長の言葉、「…老人介護が社会問題として論じられるようになって久しいってのに、今に至ってもこれかね。…根本的な対策は、いつになっても実行されない。…」に同感。安心して、年寄りになれない。
    でも、この人の作品、最後は希望を持たせてくれるから、好き。

    0
    2016年01月10日
  • レイク・クローバー(下)

    Posted by ブクログ

    201512/上下巻まとめて。さすがジャンル問わず一気読み必至の楡作品、面白かった!多少都合いい展開があるものの、そこが気にならないぐらいのハラハラ感とわかりやすい人物像で楽しめた。

    0
    2015年12月06日
  • レイク・クローバー(上)

    Posted by ブクログ

    201512/上下巻まとめて。さすがジャンル問わず一気読み必至の楡作品、面白かった!多少都合いい展開があるものの、そこが気にならないぐらいのハラハラ感とわかりやすい人物像で楽しめた。

    0
    2015年12月06日
  • レイク・クローバー(下)

    Posted by ブクログ

    下巻。人間を死に至らしめる未知の寄生虫の正体を突き止める鷲尾佑二だったが、極秘任務を帯びた米国海軍の原子力潜水艦内でも、同じ寄生虫による変死が連鎖していく。

    もっとハードな物語を期待したが、あっさりとした結末。未知の寄生虫、ミャンマーのマタン族、米国コングロマリット、米国海軍の原子力潜水艦と散りばめられた興味深いパズルのピースが今ひとつ噛み合わないままに結末を迎えたように感じる。

    0
    2015年11月19日
  • レイク・クローバー(上)

    Posted by ブクログ

    楡周平の作品としては異色のバイオ・サスペンスといった趣きの作品。上巻を読み限りでは、高野和明の『ジェノサイド』にも似ている。

    ミャンマーの僻地で密かに天然ガス探査を行う米国最大のコングロマリット企業のサイト内で社員が変死する。死因の調査のため、サイトに派遣された疾病予防管理センターの研究者・鷲尾佑二らは、変死の原因が未知の寄生虫であることを突き止めるのだが…

    米国政府に大きな影響力を持つコングロマリット企業の思惑と米国政府の隠蔽工作、その影で極秘任務を遂行する米国海軍の原子力潜水艦…果たして…

    まだまだ物語は謎だらけである。

    0
    2015年11月18日
  • フェイク

    Posted by ブクログ

    あの手この手の詐欺テクニック、生きるたくましさが痛快!
    オレオレ詐欺は許せないけど これは応援する。

    0
    2015年09月07日