楡周平のレビュー一覧
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初期の楡周平作品のような国際謀略小説。
これまでに読んだ小説の中で、これほどエンディングで驚いたのは余り記憶にない。もしかしたら全のストーリーは、このエンディングのためにあったのかも知れないと思うほど。過去に読んだ小説で、エンディングで驚かされたのは、フィリップ・マーゴリンの『黒い薔薇』、安孫子武丸の『殺戮にいたる病』だろうか。
アメリカの刑務所に殺人の罪で収監されていた由良憲二はCIAの超法規的処置により、刑務所から出獄し、CIAのスパイとして北朝鮮の外貨資金調達を担当する高官と接触する。現代の国際情勢の表と裏がリアルに描かれ、ストーリーは驚愕のエンディングへとひた走る。 -
Posted by ブクログ
とてもリアルに、世界のエクセレントカンパニー、コダックの終焉を描いています。司馬遼太郎が、先にエバンジェリストが立つとも、時代の変化を後戻りしないものに固定するのは、技術、テクノロジーであると、花神の後書きに書いていました。その変化の中では、資本力、規模、人材、伝統を持つ大企業が有利とは限らない。寧ろ、余りに確立した収益モデルがある場合には、そのモデルへの執着、慢心が自らの変化を遅らせる可能性もある。
誰がこの巨象の命を奪ったのか?企業競争は日常であり、そこに収益があれば必然。ところが変化の大きい場合、その決定的な刺客は、競争の意識さえなかった。1992(アルベールビルオリンピック)から20 -
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久しぶりに読書。
知人に作者を勧められて適当に選んで読んだんですが、アタリでした。
こういうことって嬉しい。
ギリギリ、当時写真撮ったりしていた世代なので読み進めながらそうだったなって思い出したり、そんな背景があったのかって初めて知ったり、当時をトレースできたので比較的読みやすかった。
デジタル化社会が人々に便利な生活を与えていることには間違いないけれど、それが幸せなのかは少し考えるようになりました。
便利さを追い求め続けていてもキリがないものね。まだ足りない、もっと便利にできる、って、そういうの幸せなのかな。
でもそれが技術の発達に繋がっているのも事実。
もやもや(まとまってない)。
変化 -
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携帯電話で 急激に伸びた IT企業の 芦野 そして 亮輔。
電子書籍リーダー ミネルバを無償で配布する。
その狙いは 携帯電話のシェアーを高めるための
方策であり、そして 活字を読む人のプラットフォームを
支配する事にあった。
様々な試練をくぐり抜けて 極東グループのトップの渋沢。
87歳という高齢にも関わらず、戦略的な思考は極めて優れている。
活字離れではなく、紙離れであると亮輔にいわれて、
はじめて 何が 問題なのかを 理解する。
コンテンツを供給する側でなく、
プラットフォームを握る事が大切だと物の本質をつかむ。
そして、大手出版会社6社とアメリカの本の翻訳をする事で、
出版をまとめ、 -
Posted by ブクログ
初めて楡氏の小説を手にしましたが、期待以上の面白さでした。おそらく結末はこうなっていくんだろうな、という予感はあるものの、それでもドキドキしながら読んでしまう。
起業家としてビジネスライクに徹することは決して非難されることではなく、それが社員を抱えて利益を上げなければ存続価値がないとなればそれも経営者として当然かもしれません。
ただ法を犯さないことと、企業として遵守すべき倫理観は違うのではないかという問題を敵対的買収という行為を通して提起しているように思いました。
そして、時価総額1兆円という表向きはきらびやかなベールを纏っていた蚤の市が、物販の最下層として上から見ていたはずの暁星運輸に形