楡周平のレビュー一覧
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前作では麻薬、本作では宗教…
日常に潜んでいて、牙を剥いてくる狂気
本当に恐ろしい。
自分のすぐ近くに実際あるのではと思えて
外の世界コワイ。コワイです。
コワイけど読みやすくて面白くて読んじゃう…
自分の国を守る為に出来ることとして
自衛隊の在り方の変更や核の保有を主張すると
日本では 戦争やりたいのか!戦争反対だ!
と非難されると思う。
日本で義務教育を受けていれば、そう思うのはわかる。
でも、その一辺倒じゃ1番平和は遠いのかな。
某首相が言ってたように
それらについて議論することを放棄してはいけないのかな、と思った。
国という概念がある限り、その微妙な均衡を保つ為には、出来ることをア -
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バルスといえば「天空の城ラピュタ」の滅びの呪文!
本書では現代社会に警告を鳴らすテロリストとして、登場します
本書で語られるテロはいつ起こってもおかしくないと思いました。
ストーリとしては、
収入格差が広がる社会に対して、物流の盲点を突くようなテロが発生。そのテロの犯人はバルスと名乗ります。
このテロにより、日本中の物流が大混乱へ、そして、経済全体にまで影響が。
現代社会で、この本で語られる手口でテロが起きてもおかしくないですし、もし起きたら、まさに本書で語られる事態に陥るのでは?と思います。
とても、怖い
そして、その背景にあるのが、派遣制度、非正規労働者、収入格差、二極化、効率性の追求 -
Posted by ブクログ
Cとはコカインの意味。
日本と海外の税関システムと運輸システムの盲点をつき日本へコカインを密輸、日本で麻薬を販売するという犯罪と、それを巡るマフィア同士の攻防、そしてコカインまたは麻薬自体の中毒性を主として麻薬の危険性を描いている。
本が発売されたのが90年代後期なので、もちろんここに書かれているシステムは当時と今とでは異なっているが、それにしてもいわゆるお役所仕事による仕事の杜撰さと、特に警備についての甘さについては犯罪を犯すという面にしては到底リスクと確実性が合っていないような気がする。個としてスリルを求めるならば結構だが、マフィアという集合体として動くのならばなおさらだと思う。
あ -
Posted by ブクログ
元商社マン。潰れそうな地方行政の建て直し。経済小説というか、町おこしプロジェクトの創作小説というか。初めての作家で癖が分からぬため、最後の最後まで、プロジェクト成功するのか失敗するのかが見えない。読書にそうした面白さがあった。
リバースモゲージ、高齢者介護、企業誘致、地元企業の活用、雇用確保。小説は、企業における企画書と同水準に緻密なプランを描き、登場人物の心理描写やそれによるリスクも表現しながらプロジェクトを進ませる。確かに、リアルは小説のようにピタピタとパズルは嵌らない。しかし、これはある種のシミレーションであり、フィージビリティスタディの変容とも見れるかも知れない。
と小難しい事も考 -
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楡周平『サリエルの命題』講談社文庫。
少子高齢化社会と社会保障制度、新型ウイルスの感染症のパンデミックに対する政府の在り方を問うポリティカル・バイオ・サスペンス。
事が起きてから右往左往し、理解不能の無策を連発する政府の対応の杜撰さは新型コロナウイルス感染症の拡大で既に明らかとなった。本作は一種のシミュレーション小説の形式でそんな情けない政府に問題提起しているようにも読み取れる。
面白さはあるのだが、現在進行形の新型コロナウイルス感染症に対する政府の無策ぶりの方が酷過ぎて、本作に描かれた内容が事実を超えていないのが非常に物足りない。問題の核心部分まで今一つ踏み込めていないし、新型インフル -
Posted by ブクログ
タイトルのバルスってのが何なのかも、
どんな小説なのかもよく分からず、
ただただ楡さんの小説ってだけで読んでみました。
ちょっと疲れ気味の自分にはライトでリラックスして読めるちょうどよい本でした。
読んでみて初めて気が付いたのは、
楡さんいつものお得意のビジネス小説かと思いきや、
得意の物流ビジネスの要素も少しあるものの、
派遣社員問題に切り込みながら、テロとの組み合わせたストーリーでした。
こんなテロ事件、起こるのか?と言いたくなりますが、
そこは楡さんらしくリアリティーを出来るだけ持たせた構成になっています。
同時に、「ハケン」という社会問題にメスを入れたり、
自分の選挙のことしか考え -
Posted by ブクログ
社会一般の円滑な消費活動を支える「エッセンシャル・ワーカー」は、身分不安定、低賃金の非正規雇用の労働者が多くを占めている。彼ら彼女ら自身は、どのようにすれば自分たちの状況が改善するのかを考えるいとますら与えられずに消耗している。
かといって、単純に彼らの経済状況を改善するには、ゼロサムの中で大規模な所得再配分の仕掛けと、供給サイドのコストアップが避けられない。いかにして政治のアジェンダに載せるのか、というテーマで楡は書いているようだが、それ自体がもちろんハッピーな解決策というわけでもない。ということで、社会派であることを見せようとはしているが、作家ならではの視点というほどでもなかったかな。