楡周平のレビュー一覧
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ネタバレ主人公は大手総合商社で部長職にある山崎鉄郎。ひょんなことから退職を余儀なくされ、多額の負債を抱えた生まれ故郷 緑原町の町長として、財政再建に取り組むことになる──。
物語が進むに従い、山崎は主人公というよりやや語り手のポジションにシフトし、財政再建の決定打となる「プラチナタウン」のプロジェクトが主人公のようになっていく。地方の高齢化と人口減少、箱モノ行政による財政赤字、都市部での老後生活支援の不足、進まぬ介護職への処遇改善…。本作が世に出たのが平成20年。それから15年以上経った今でもほとんど解決の目処が立たないこれらの問題を、大胆な発想と実行力で一気に乗り越えていくプロジェクトだ。とても痛快 -
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新聞広告で知った本。著者のことも初めて知った。
日本の人口減少問題を取り上げた本である。日本の将来に暗澹たる気持ちになる。都市への集中が進むと、全体としてますます社会の高齢化に拍車をかけるようになる。
政治家は老若男女問わず、この問題に真剣に取り組むべきだと思う。
本文中、登場人物同士で次の会話がある。
「一生懸命勉強して、ええ大学に行くのも結構やけど、これからの時代を生き抜くためには、世の中の流れを読む力、何があっても食うていける能力を身につけなならんと思うんです」
「それは分かるけど、親の世代の経験則や価値観って、そう簡単に変わるもんじゃないわよ?」(p.99)
これはまさにそのと -
Posted by ブクログ
『20年、30年先の日本がどうなるかを調査してほしい』、財界のフィクサー・前嶋から依頼を受けた、コンサルティング会社『LAC』。
調査を始める津山と神部。
少子化、高齢化、AIによる技術革新…
日本はどうなると、結論を導き出すのか…
20年、30年後…
20年後も30年後も、生きてないかも…
と、考えると思考は停止する…
ただ我が子の時代に先送りをしてはいけないと思う。
バブル時代に花形だった家電業界。
見る影もない、三洋、シャープは外資に。
液晶テレビはほとんどが外資。
都銀も13行が合併,合併で、メガバンク3行に。
自動車もこの先…
今がよくても、20年,30年先は…
やはり自分でや -
Posted by ブクログ
コロナ禍のリモート勤務をきっかけに
大好きな釣り三昧の生活ができる!と
三陸地方の小さな漁村に移住した晋作。
借りた物件は格安で家具家電付き。
そこは、オーナーである
役所勤めの百香と漁師の父親が
震災で亡くした家族と住むはずだった家で…。
いやぁ、たまにはこんなお話もいいですね!
話の運びが、最初は都会からの移住者に対する
当たりのキツイこととかありつつも
これは絶対にハッピーエンドだなって
なんだか安心して読める感じがしました。
もちろん、そんなふうに
うまくいくケースばかりじゃないというのも
本編中に書いてはあるし
実際そうなのでしょうけど
この町と、主人公たちが協働する姿に
元気を -
Posted by ブクログ
東日本大震災が残した傷跡、コロナ禍での警戒心、地方の過疎化に伴う空き家問題。
本書に出てくるテーマは、どれも簡単には語れない重いものが続く。
けれど、主人公の晋作や、晋作の会社の社長・大津のポジティブさが、全体の雰囲気を明るくしてくれている。
新しいことにチャレンジすることを推奨する大津社長の懐の深さ広さと、自分の楽しみのために思い切ったことができる晋作の行動力に見惚れてしまう。
一見不便な田舎暮らしを自ら望んで楽しみ、そこで新しいビジネスの種を見つけて、その土地で協力者を作っていく。
そんな晋作の生き方が羨ましいと感じる一方で、「自分も本気でやろうと思えばやれるかも」と思わせてくれる親近