楡周平のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2016年6月23日
新米新聞記者の渋沢が取材に赴く途中に事故に遭い、その真相を黙っておく事を条件に、政治部のエース記者として出世コースを進む。渋沢は紆余曲折ありながらも新聞、テレビ、ラジオ、出版を手掛ける巨大な複合メディアの会長となり、最後にはベンチャー企業との戦いを征して電子書籍の覇権も握る、という話。
楡修平の作品を読むといつも思うことだが、この人は時代をほんの少し先どった話を作るのがとても上手いと思う。
この作品を読んでいると、本当にもうすぐ電子書籍の波が来るような感覚に陥りそうになってしまった。
しかし、個人的にはやはり出版物は紙で読みたいと思うし、実際自分も本や雑誌は書店で自分の目で見て購入している。自分の場合何となく書店にいって気に入った物を購入するのが好きなので、この作品のように、電子書籍が主流になってしまうと困るな、と思った。
ただ、作中では電子書籍専用の端末「ノア」を無料で配布して電子書籍を流行らせたが、タブレットの下位互換でしか無いような端末が、例え無料だったとしても普及することは無いように思う。電子書籍を普及させるためにはスマホやタブレットを上手く利用する必要があるだろう。
そもそも活字離れの原因は本や雑誌よりも楽しい娯楽が身近に増えたことに起因すると思うので、わざわざ電子書籍専用の端末を作るよりスマホやタブレットの中に取り入っていかなければならないように思う。
最後の場面で鳩を飛ばすのだが、幸造の気持ちと渋沢の気持ちの両方がわかるだけに切ない気持ちになった。
上手い終わらせ方だと思った。 -
Posted by ブクログ
「朝倉恭介」Vs「川瀬雅彦」シリーズ第2段。
日本の国防についてメッセージ性が強い物語です。
朝倉恭介が出てくるかと思いきや、出演はありませんでした。
ただ、朝倉恭介が起こした事件がちょっと紹介されており、かろうじてリンクが保たれている感じ。
シリーズということで、朝倉が悪の主人公なら、川瀬は善の主人公になると勝手に思っていたので、川瀬は警察側の人間なのかと思っていたら、カメラマン(ジャーナリスト)でした。
なので、ジャーナリストとの戦いになるんですね。
それはさておき、本書のストーリは、表題のとおり、クーデターを企てるストーリ。その首謀者が新興宗教団体。
その武装集団が織り成す攻撃にあたふた対応する日本政府といった構造です。
新興宗教団体が企てるクーデター、テロというとあの事件を思い出します。
なので、ある意味リアリティがある物語と感じました。
麻生幾さんの「宣戦布告」や安生正さんの「ゼロの迎撃」同様、有事の際の自衛隊の課題、日本政府の課題を浮き彫りにします。やはり、国防について考えさせられる強いメッセージを含んでいる物語です。
しかし、本書ではその事案が発生するまでが長い(笑)
物語の後半まで引っ張られます。
そして、その事案のクローズがまたあっけない。ちょっと尻すぼみ間があります。
後半あれよあれよと手仕舞いになってしまい、そこはちょっと残念。
ま、それはそれとして、とても楽しめた(?)物語でした。
おりしも、沖縄問題や憲法の問題、中国軍艦の領海侵犯など、今そこにある危機が現実実を帯びています。さらには、アメリカ大統領選挙の行く末は?
今まで見ようとしてこなかった問題に本気で取り組む必要があると強く感じます。 -
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再読!
ずいぶん昔に一度読みましたが、「朝倉恭介Vs川瀬雅彦」シリーズを全6作を読破しようと思い、再読しました。
コンピュータネットワークを駆使したコカイン密輸の話ぐらいしか覚えていなかったので、再読しても新鮮でとても楽しめました。(たんに物覚えが悪いということですが..)
ニフティサーブをつかったメッセージの送受信は、今となってはずいぶんと時代を感じさせます(笑)
また、本作のポイントとなっている日本の関税システム、貿易システムの盲点を突いた貨物のすり替えですが、残念ながら、それがどれほどすごいのか、または、大変なことなのかピンときませんでした。
さらに、最後の戦闘シーンはもうチョイどきどき感をあおってほしかったところがあります。
とはいえ、完璧な主人公の悪役ヒーローというキャラを引き立たせるにはそれでよいのかも。
いずれにしてもハードボイルドエンターテイメントとしては十分楽しめました。
また、日本の関税システム、シッピングの仕組みなど勉強になるところも多かったです。
(楡さんの作品はすごくそういった事実が調べれられているので、とても勉強になります)
さて、本作では、「川瀬雅彦」は出てこないのですね。シリーズとなっていたので、本作から少し出てくるのかなと思っていました。
それがちょっと残念。 -
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フィクションと言うよりは限り無くノンフィクションに近い作品だった。
コダックについての話だが、100年以上続く大企業であるが故に上手く業務転換出来ないところを非常にリアルに描いていた。
フィルムメーカーのような、ほとんど完璧と言える集金システムを確立してしまったら、それが通用しなくなった時にはどうしようもなくなる。
デジタル化の流れがこれからさらに加速すれば今までのやり方は全く通用しなくなるのは必然の流れだと思うので、どんな状況になったとしても生きていけるように自分の実力をしっかりとつけないといけないと痛感した。
今は時代の流れも早くなっているので一つの会社に身を置き続ける事を当然だと思わず常に自分を磨いて、時代の流れについていけるようにしたい。 -
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日本の家電メーカーで海外マーケット部門の部長を勤め、順当にキャリアアップを果たす主人公に降りかかった母親の介護という負担。そこから、彼の人生の転落がはじまる。進行する母親の症状、介護負担で倒れてしまう妻、没頭できない仕事、社内での信頼悪化。そして、閑職へ異動させられ、プライドを失った彼が選んだのは、退職だった。
同じサラリーマンとしては、なんとも衝撃的。これはホラー小説に分類されるべき作品だ。介護のために、将来を諦めてしまった人がニュースなどで報道されるが、ストーリーとして目の前につきつけられると、他人事ではない恐怖しか感じない。高齢化する社会では、主人公のような立場に誰もがなりうるのだ。
本小説は意外な助け舟によってめでたしめでたしで完結するが、実際、そんな都合よく行かないはず。不本意な「介護退職」を選んだことを死ぬまで後悔しながら、ローンの払えなくなったマンションを売り払い、息子に進学を諦めさせ、妻と母の介護に余生を費やす。それが現実だろう。そうはなりたくないと誰もが考えるが、本人の努力ではどうしようもないことがなんとも恐ろしい。 -
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話の展開からすぐにK社であることが分かり、結果も分かっていたせいか、常に暗い展開が予想されたため、ページを捲る手も自然と重いものになってしまいました。
現実をこれでもか!というほど突きつけられ、気分が重くなりましたが、そういう意味ではリアリティはあったのだと気づきます。
主人公が途中で転職しては事の顛末が描けないからいつまでもソアラ社にい続けたのは仕方のない話ですが、ここまで将来の展望を見通せるのならば、自分ならば最初にデジタルから撤退した時期に退職しているだろうなと思いました。ただ実際問題として、まさかこの巨大な船が沈むはずがないという楽観は誰の心にもあるのだと思います。
歴史が教えるように、レコードはCDに、ビデオテープはDVDにあっさり取って代わりました。なぜ銀塩カメラだけは大丈夫だと考えたくなってしまったのでしょうか。茹でガエルの例えではないですが、巨大な風呂釜に浸かっていると、ジワジワ周りから危機が迫ってきていても自分は大丈夫。まだ大丈夫だと思ってしまうのかもしれませんね。
「強い者が生き残るんじゃない。環境に適応した者が生き残るんだ」という生物学の命題はここにも当てはまるようです。 -
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介護で退職したエリートのある意味サクセスストーリ!
こんなにうまくいくはずがない。
介護の実態についてはかなり不十分な記述内容と思われます。しかし、ここで書かれていることは、まさにいつ自分自身におきてもおかしくないことです。
そんなとき、この本の主人公のようにサクセスストーリのような展開ができるのか...
ストーリとしては、年収一千万以上のエリートビジネスマンの主人公の母親が田舎で骨折。一人暮らしのため、自分のマンションに呼び寄せるも痴呆が始まる。献身的に奥さんが介護するも、奥さんもくも膜下出血で入院。結局、会社を辞めて母親の介護を行うことに。この状態を抜け出す起死回生の策を思いつき、さらには再就職先は前の会社の数倍のサラリー!結局はハッピーエンド。
みたいなご都合主義的なストーリ展開です。
そんなうまくいくわけないし、そんなにお金もあるわけないし。ということで、ちょっといまいち。
そして何よりいまいちなのが、楡さんのこの手の小説で出てくる奥さんがなによりもすごい人。そんな奥さんいないよって思います(笑)
ということで、それなりにハッピーエンドで終わるのですが、自分自身に同じことが起こったら、間違いなく大変な状態が永遠に続くことになるだろうと思います。そして、自分が老いたときに、自分の子供が自分を介護するときになったらどうなるんだろうと頭を悩まします。
ストーリ展開がどうこうといちゃもんもつけられますが、問題提起には確実になっている物語です。
でも、今からなにか手を打てるのか?と思うと気持ちが落ち込みます。結局そのときが来るまでなにもできないのでは?
すごく考えさせられる物語でした。 -
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三洋電機をモチーフにしたビジネス小説
残念ながら、上下巻あわせてちょっといまいち。
しかし、下巻は盛り上がります。
主人公はさらに門外漢の営業へ!厳しい人事です。
そして、結局は転職を決意しますが、MBAを持っていながら転職が難しい!!
これは、正直びっくり。
本書の中では、会社の危機がわかっていながらも転職しなかった決断力の甘さが指摘されています。
そして、会社に甘えていた姿勢が糾弾されています。
なるほどと思いました。
さらに、そもそも会社の従業員、役員たちの会社に対する甘えが会社を傾ける原因になっていること。
また、会社は人で成り立っていることをおざなりにしていること。
そういったことを警告する物語となっています。
自分たちはどうなのか?考えさせられます。
日本企業に警告を鳴らしている感じです。
主人公は、結局は転職し中国で働き始め、最終的には元会社の建て直しに携わることに。
この辺はいかにもって感じですね。
ということで、下巻はかなり動きがあって面白いですし、メッセージ性もあり、楡さんの本領発揮なところが多いです。
ただ、上下巻ということでは、ちょっと期待値をしたまわります。
小説というより警告として読むべき本なのでしょう。 -
Posted by ブクログ
三洋電機をモチーフにしたビジネス小説
しかし、残念ながら、上下巻あわせてちょっといまいち。
正直、暗い気分に落ち込んでしまう物語。
上巻では、MBAホルダーの主人公が(同期の)人事本部長にいじめられるような人事を受け、それでも結果を出すべく奔走する姿が語られています。
具体的には工場閉鎖というリストラ業務を命じられ、単身赴任でそれを全うする姿が語られています。
リストラするほうもされるほうも大変なことです。
ビジネスマンのつらさがひしひしと伝わる物語です。
明日はわが身を考えてしまいます。
楡さんの小説はあまりに現実的、具体的で、ほんと身につまされる思いです。
そういった意味では、上巻は特にハラハラドキドキもなく、淡々と物語がすすんでいくかんじ。
ということで、下巻に続く。 -
Posted by ブクログ
だんだんと テンポが良くなってくる。
筆運びが うまくなっているというべきか。
スリリングな 展開。
朝倉恭介の ビジネスモデルが ほころびがでてくる。
金髪のヤンキーなタシロの オンナアサリから
ほころびが 生まれる。
小料理屋のおかみさんが、岡村の嫁さんだったとは。
そこからもほころびる。
そして、雅彦は コカインの調査にいくことで
ギャレットと 知り合い 朝倉とフロリダの襲撃が
わかることに。
このように 朝倉恭介を 追いつめていく
物語の作り方は 実に うまいのである。
そして、台風によって、コンテナーが 破損し
大量のコカインが 見つかることに。
絶対絶命の 朝倉恭介に、
包囲網が 作られるが、
朝倉恭介は 暴走族を なぎ倒し
追跡するパトカーに 手榴弾を投げつけて
逃げまくるのであるが。
戦争であれば、警察も暴走族も関係なく
敵として叩き潰す。
警察官を殺すのは 敵であれば 当然という
ことでしょうね。
川瀬雅彦との運命的な 出会いをする。
ふーむ。
うまいねぇ。