楡周平のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ダークヒーロー朝倉恭介が作り上げた、完全な麻薬密輸犯罪を描いた作品。
確かに周到で完璧な麻薬密輸だが、いかんせん細々とした貿易の話とあって、帯やあとがきで言われているようなスリルやカタルシスは感じられないと思う。加えて、貿易の話を長々と説明されるのも、勉強にはなるかもしれないが、エンターテイメントとして考えると少し辛かった。密輸の仕組み自体も巧妙に作られたとは言え、結局はコンテナを破って荷抜きして、夜中にボートを漕いで空巣まがいの事をする訳だから、鮮やかさに欠けるなあと思ってしまったのは自分だけだろうか。アクションシーンもラストに少しだけなのが残念。日本の警察を動かして、それを鮮やかに切り -
Posted by ブクログ
基本的に書いてある内容にはほぼ同意します。
マスコミのレベルの低さやFXのレバレッジの異常さなどは感じます。
しかし、残念なのはところどころで配慮に欠ける論調があること。
「エコノミスト、投資コンサルは車券売り場の予想屋やギャンブル氏の予想欄に◎とか▲とかつけている人間と、何の違いもない。」
車券売り場の予想屋やギャンブル氏の記者の方に失礼です。
彼らはギャンブルを謳って結果で判断されるので。
また、老後が見えない日本を課題としていますが、本来未来はどうなるかわかりません。
老後といえる歳まで生きているかもわからない。
だからこそ、今にフォーカスをあてるべきであり、老後を語るのは逆に無責任 -
Posted by ブクログ
読みごたえをブンブン感じました!
後半が少し自分には合わなかったようですけど・・・
すごい題材の切り口を見せているのと
上手いです!
圧巻の文章力と構成で惹き込まれます
さすがと思いますが、自分的には少し足りず。
ですが、フィリピン事情や医療事情は
ものすごく沸沸と伝わってきました。
日本は平和でいいっす
これも先祖のおかげか?国民の力か?
よくわかりませんが
フィリピンは、大変なんですね
フィリピンのある一面を把握するのにもいいんでしょうね
あんど
けっこう
リアルにダークに描かれている国と医療が
怖かったです
☆3ですが
良い作品であることは間違いないですね。 -
Posted by ブクログ
バブル絶頂期日の丸半導体として世界を席巻した日本企業。僅か10年でコスト競争に晒され厳しい生き残り競争を強いられる。時代背景は90年代。国際競争力が弱くなった日本企業の問題点及び強いメッセージを作者の深い洞察力によって小説に託す。主人公は大手家電メーカーに勤める海外帰任者。リストラと企業再生。時代に翻弄され正義感溢れる主人公が邁進した先は−−。テーマは企業の現地化に伴う生産拠点の海外シフトと国内製造及び経済の空洞化に伴うジレンマ。現在の日本企業の苦悩を予告したかのような作品。小説同様日本企業の再生に貢献したいものだ。そういえば「孫正義の二乗の法則」に記述されていた結果を出す為の組織のあるべき姿
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Posted by ブクログ
―――父の転勤に伴い渡米し、フィラデルフィアのミリタリースクールで聡明な頭脳と強靱な肉体を造り上げた朝倉恭介。
その彼を悲劇が見舞う。航空機事故で両親が他界したのだ。さらに正当防衛で暴漢二人を殺害。
以来、恭介は、全身全霊を賭して「悪」の世界で生きていくことを決意する。
彼が創出したのは、コンピューター・ネットワークを駆使したコカイン密輸の完璧なシステムだった。
「朝倉恭介VS川瀬雅彦」シリーズ第1弾。
だいすけからのオススメ
楡周平のデビュー作
警察など屁にも思わない「悪vs悪」のエンターテイメント
「悪役にも実はいいところが…」とか
「最後にはあいつも改心して…」と -
Posted by ブクログ
ネタバレアメリカで養父にレイプされ続けた移民少女を救うため、養父を殺害した日本人少年の裁判。「Cの福音」「巨流再生」などをイメージするとちょっと違う。
「裁判員制度」が導入される時はいろいろな議論を巻き起こしたが、そこが日本、導入されてしまえば無条件で従い、修正議論もおこらずマスコミも忘れたかのように何も言わない。この作品は導入以前で当時のテーマとしてはホットだが、「なぜ、法律知識のない一般市民に陪審員として判断を求めるのか」を「情」で結論づけるだけでなく、事件に興味を持たない陪審員が徐々に関心を示し、最語にはひとつの結論に辿り着くのは”楡らしくない”視点。御用本みたいになっている。楡ならば逆の結論