【感想・ネタバレ】サリエルの命題のレビュー

あらすじ

少子化は正しい。問題は長寿だ。
突然発生した新型インフルエンザで、離島の住民が瞬く間に全員死亡。
そしてとうとう本州にも感染者が。頼みの治療薬の備蓄が尽きる時……。
助かる命に限りがあるなら、将来ある者を優先せよ。
迫真のポリティカル・サスペンス!
<内容紹介>
悪魔のウイルスの名は「サリエル」。医療に通じ、癒す者とされる一方で、一瞥で相手を死に至らしめる強大な魔力、『邪視』の力を持つ堕天使――。
日本海に浮かぶ孤島で強毒性の新型インフルエンザが発生し、瞬く間に島民全員が死亡した。それはアメリカの極秘の研究データが流出して人工的に作られたという疑いが。テロの可能性が囁かれるうちに、本州でさらに変異したウイルスの罹患者が現れる。ワクチンもなく、副作用が懸念される治療薬が政府の判断で緊急製造されるが、感染が拡大しても全国民にはとうてい行き渡らない。刻々と事態が変化していくなか、果たしてパンデミックは回避できるのか?

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Posted by ブクログ

2025.11.16〜12.01

考えさせらる1冊。新型コロナの前に書かれたとは思えない、迫力。すごい。

生産世代にまで、負の遺産を背負わせることに申し訳なく思っている。また、そんなに長生きをして何が良いのかとも思っている。誰かに責任を被せてまで生きていたくはない。が、現在の日本では、きっと、病に罹ったら、助かってしまうんだろうな。
命の重さに高乙はつけられないかもしれないけど、でも、このままでは良くないよね、と改めて思った。
この作家、発想が豊かだな。

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2025年12月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

感想
日本の医療問題について結構考えさせられること満載。医学の発達で、老先短い人をお金をかけて生きさせる意味があるのか?保険でカバーされるシステムについて無償で医療を受けるために犯罪を犯す外国人について保護するのか?などなど、お先真っ暗の日本社会の実態が分かり、暗い気分になると共に子供世代にも申し訳ない気持ちになる。

本校では政治家が比較的しっかりしており、パンデミックの危機も乗り越えることができたが、日本の現政権を見るとポピュリズム色が強く、上辺の政策ばかりしているのでとてもこのような見直しにはならないだろう。ため息が出るし、子供にも申し訳なく思ってしまう。

あらすじ
日本の医療制度の穴を懸念する政府関係者、ウィルス研究を学会の重鎮の八重樫に否定され職を失った笠井、ウィルス学の重鎮の八重樫に飼い殺しにされ、研究者として冷や飯を食わされた野原。

ある日、アメリカの大学から故意に作り出された突然変異型のウィルス、サリエルの情報が漏れた。自分の余命がいくばくもない野原はたまたまこの資料に出会い、似た境遇のレイノルズとこのウィルスを、拡散させるべく八重樫に送りつける。八重樫はたまたま地元の島に帰っており、嵐があったこともあり、島民は被害を受けたものの、サリエルが拡大することはなかった。

その後、宮城県の寒村で、自分で育てた鶏からサリエルの変異種が発生した。パンデミックは防げるのか?医療補償、薬の優先順位は?現代の医療制度の問題に大激論が巻き起こる。

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2023年12月07日

Posted by ブクログ

ちょっと重厚な本を読まないと行けなかったので、
気分転換に楡さんの最新の文庫本を読んでみました。
コロナ真っただ中に、「予言の書」と話題にもなった(らしい)小説。
コロナ前の話ですが、新種のインフルエンザウィルスが出現し、
日本中が大混乱に陥ってしまった際の、国の対応について書かれている。

楡さんの他の書籍からも感じることだが、
強烈な日本に対する著者の危機意識と課題・解決策の提示を感じさせてくれる本になっている。
純粋に小説を楽しむだけでなく、
日本の将来についても自ずと考える機会をくれる本である。

小説内では、人為的にインフルエンザが作られた設定になっているが、
実際のところはどうであれ、今回のコロナも同じようなことが起こってしまった可能性も
十分あり得るなと思わされるような設定だった。
(真実は、我々一般庶民は、知る由もない訳ですが…。)

命の重さや危機の際の対応など、考えさせられることが多かった小説。
(でも、普通に面白いです。)

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2021年12月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

命を選択する際の基準とは、、、を考えさせてくれる作品でした。
自身の職業が医療関係なだけあってとても小説とは思えなく恐怖を感じました。
実際、医療費を特に気にせず病院を地域の交流の場みたいに利用している高齢者は多くそんな人達にも税金が利用され財政が圧迫されていると背筋が凍る思いでした。
国民健康保険が小説では主題になっていましたが、他にも介護保険制度の利用も年々増加していくため現実の財源はもっと深刻な状況なのでは?と考えました。
今後益々少子高齢化が進んでいるためいつか道徳的な考えができない時が来るかもしれません。そんな時に自分は将来的にどう生きるかを考えさせられる作品でした。
楡さんの小説はエンタメとしてわかりやすく日本の抱える問題を浮き彫りにしてくれるため今後も読み続けたいです。

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2024年05月13日

Posted by ブクログ

新型インフルエンザにからめて、日本の健康保険制度の問題点を提議していて、考えさせられたし、勉強になった。

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2023年05月04日

Posted by ブクログ

突然発生した新型インフルエンザで、離島の住民が瞬く間に全員死亡。そしてとうとう本州にも感染者が。頼みの治療薬も全国民にはとうてい行き渡らず…。

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2023年04月20日

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コロナの前にこれ書いてたんやな。
楡周平君て予言者か。
しかし、政治家のワクチン接種は笑うたわ。リアルでも同じような事してるんやろなあ。

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2021年12月26日

Posted by ブクログ

この作品のすごいのは、新型コロナが流行する前に書かれたことだ。
まるで予言したかのように。現実と違うのは治療薬の存在。
オチは笑える。我先にワクチンを打った政治家たちが副作用でバタバタと倒れていく。

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2021年12月18日

Posted by ブクログ

★★★
今月1冊目
今のコロナの時に同じような話。
ただしこれはそこまで拡散する前に効く薬があった。ただし150万人分。
日本人人口に間に合わない。その時にだれの命を優先するのか、そもそもの健康保険制度を見直そうって話。

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2022年12月02日

Posted by ブクログ

202110/変異ウィルスを扱っているけど上梓はコロナ禍前、社会保障制度の警鐘。どのテーマでも先見の明ある楡周平、さすが。面白さも間違いなく一気読みさせられる作家の一人だけど、研究者側をもっと読みたかったこともあり今回は少し物足りなさも感じた。制度の欠陥を何度も語る描写や、最後に入れたワクチン顛末に作者の主張を強く感じた。フィクションならではの面白さと、リアルな現実とのリンクの恐ろしさ、今回も見事。

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2021年11月24日

Posted by ブクログ

楡周平『サリエルの命題』講談社文庫。

少子高齢化社会と社会保障制度、新型ウイルスの感染症のパンデミックに対する政府の在り方を問うポリティカル・バイオ・サスペンス。

事が起きてから右往左往し、理解不能の無策を連発する政府の対応の杜撰さは新型コロナウイルス感染症の拡大で既に明らかとなった。本作は一種のシミュレーション小説の形式でそんな情けない政府に問題提起しているようにも読み取れる。

面白さはあるのだが、現在進行形の新型コロナウイルス感染症に対する政府の無策ぶりの方が酷過ぎて、本作に描かれた内容が事実を超えていないのが非常に物足りない。問題の核心部分まで今一つ踏み込めていないし、新型インフルエンザウイルスを拡散した犯人への言及も無いという点で消化不良を起こしているように思う。

学会での権力に人生を翻弄され、癌で余命幾ばくもない学者が『サリエル』と名付けられた新型インフルエンザ人工ウイルスを日本海の孤島に滞在していた自身の人生を台無しにした日本科学会の重鎮に送り付ける。ウイルスは瞬く間に島内に広がり、島民は全員死亡する。感染力が非常に強く、致死率100%という悪魔のようなウイルスの出現に日本だけでなく、海外各国も震撼する。

やがて変異した『サリエル』の感染者が本州の宮城県の過疎の町でも見付かり、周辺にも広がりを見せる。政府は僅か150万人分しか無い治療薬トレドールの投与の優先順位を決めようとするが……

最後にワクチンを巡る蛇足のようなエピローグは不要にも思うのだが。

定価1,089円
★★★

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2021年10月25日

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