【感想・ネタバレ】プラチナタウンのレビュー

あらすじ

大手総合商社・四井商事の部長・山崎鉄郎は、社員採用試験をめぐるちょっとした手違いで出世コースから外されクサっていた。そんな折、中学時代の同級生・熊沢から、故郷である東北の田舎町・緑原町の町長になってくれと懇請され、酔った勢いで承諾した。エリート商社マンの職を捨て故郷に戻った山崎は、みごと町長に就任したが、生まれ育ったその緑原町は、莫大な借金をかかえた財政破綻寸前の自治体だった。私腹を肥やそうとする町議会のドン、さらに田舎特有の悪弊・非常識と闘いながら、山崎は町の再生を期して仰天の計画を案出する。それは老人施設を中心にした巨大テーマパークタウンの建設だった……。鋭い社会分析と卓抜のアイデアで評判を呼び、WOWOWでもドラマ化された傑作小説が待望の電子化!高齢化ニッポンに生きる現代人必読の1冊!

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Posted by ブクログ

石破茂内閣が地方創生のマニュフェストを抱える中で非常に興味深い地方創生のモデルであったように感じる。もちろんフィクションの要素が強い部分もあるがこの本をヒントに色々と考えることができると感じた。

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2025年01月04日

Posted by ブクログ

大手総合商社の部長である山崎は突然不合理な左遷人事を言い渡される。泥酔した結果、地元の友人の誘いを受け故郷の町長になることに。前市長の公共事業による借金は150億円、また過疎化も進んでおり財務破綻寸前。
現在の状況を打開するべく老人介護施設を中心とした画期的仕組みを作る。

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2023年07月07日

Posted by ブクログ

まず、すごくわかりやすい!
町長として商社マンのノウハウで大成功!という筋書きと、大きな障害と多くの登場人物を使わずにしたストーリーでここまで読み応えと満足感を得られる構成、文章は他では味わえない。

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2023年02月05日

Posted by ブクログ

ここに書かれたことは、10年が経っても、
多くの自治体が課題としている高齢化を如何に、
転換させていくかというテーマである。
もちろん、民間企業が高齢者向け施設を作り、
それをベースとして町に活気があふれるというのは絵空事かもしれない。
ただし、どうにかして貯蓄を持つ高齢者層を安心させることで、消費を誘導するかは2022年に置いても大きなテーマである。
目先のことばかり志向する議会を変えるためにも、分別ある首長が必要不可欠というのは、この作品から学べる最大のポイントではなかろうか。

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2022年02月07日

Posted by ブクログ

楡周平のビジネス小説として、実話を元にしていない作品を初めて読んだ。
この構想はとんでもない。
まさしく、近い将来に起こり得るであろうビジネスモデルになると感じられた。
このようなアイデア、というかアイデアを飛び抜けた着想ができる作者の凄さ、小説家の枠を突き抜けた作品である。
本当に素晴らしい。

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2019年07月29日

Posted by ブクログ

【感想】
続編の「和僑」から先に読んだので、まぁまぁネタバレな箇所も多かったが、それを差し引いてもとても面白い1冊だった。
やはり読んでいて感じるのは商社マンのビジネスセンスと目敏さかな。
現実的な目線を損なわずに、しっかりとビジネスチャンスを活かすノウハウと嗅覚を持っており、それを実行に移して実現させる能力は読んでいて痛快だった。
同じビジネスマンとして、やはり商社マンは能力が違うのかも・・・・

結末が分かっていたから少し興ざめな箇所もあったが、出てくる登場人物のキャラもとても立っていて、台詞ひとつ取っても本当に面白い。
なんてゆうか、登場人物みんな頭が良すぎる。笑
月並みな感想だが、自分もこれくらい嗅覚・商才・そしてセンスに溢れた人間になりたいものだ。


【あらすじ】
出世街道を外された総合商社部長の山崎鉄郎は、やけ酒を呷り泥酔。
気がついた時には厖大な負債を抱えた故郷緑原町の町長を引き受けることに。
だが、就任してわかったことは、想像以上にひどい実情だった。
私腹を肥やそうとする町議会のドンや、田舎ゆえの非常識。
そんな困難に挫けず鉄郎が採った財政再建の道は、老人向けテーマパークタウンの誘致だったのだが…。


【引用】
p5
・最初の一文
「ラーメンからミサイルまで」とは総合商社のビジネスを表す時に用いられる表現としては、随分手垢がついたものだが、売れるものなら人体・臓器以外はなんでも売る。
それが総合商社だ。


p38
総合商社が世界中に支社、あるいは駐在員事務所を置いているのは、単に新しい商売を拾うためばかりではない。
生の情報をいち早く掴む。それが利益を上げることに直結しているからだ。

そう、情報。
メーカーが力をつけた今の時代においても、商社があらゆるビジネスに介在していられるのは、世界中に張り巡らせた情報ネットワークがあるからに他ならない。


p84
「へえ、そうかな。ゼロからのスタートなんてもんは、企業にだってありゃしねえぜ。」
「どういう意味だ?」
私は牛島が何を言わんとしているのか、理由が分からずに問い返した。

「入社して給料もらい始めた時点から、俺たちゃ皆会社に借金抱えてんだよ。その金利は決して安くはない。その借金と金利を支払って余りある稼ぎを生み出したやつが上への階段を昇れる。それがサラリーマンってもんだろ。」
牛島は、そこで私をじろりと見ると、
「山崎、受けろよその話。俺たちゃ世界を相手に切った張ったの商売をしてきたんだ。そこで培ったノウハウを生かせば、赤字に転じた地方の町の財政を建て直すくらいのプランは必ず思いつく。地べたを這いつくばって商売を拾ってくんのが商社マンだろ。儲けを産み出すのが俺たちの仕事だろ。赤字でどうしようもない会社を再生させた例なんて、なんぼでもあるじゃねえか。田舎に籠って小さな町しか見てねえやつには、到底思いつかねえネタがきっとあるはずだ。」

「これは商売なんだ。借金を返せるだけの商売をお前が生み出しゃいいんだよ」


p168
・オリンピックについて
国家レベルの事業でも、規模が大きくなればなるほど、そこから生じる利権という甘い汁を吸おうとする人間が出てくるものだ。
オリンピックなんて、その典型的な例と言えるだろう。

誘致のために何十億という公金を使い、派手なプレゼンを繰り広げた上に視察に訪れたIOCの理事を接待する。
確かに開催地になれば経済的波及効果は計り知れないものがある。しかし問題はその後だ。
分不相応な施設をぶっ建てたら最後、今度はその維持費に莫大な金が食われていく。数週間の開催期間が終われば、街はまた元の静けさを取り戻す。

結果潤うのは、立派な施設の建設を請け負った建設業者と、その裏で蠢くウジ虫のような政治家とは名ばかりの斡旋屋ばかり。
地元の経済にしたって一時は潤うだろうが、これまた祭りが終われば元に戻るだけ。
いや、一旦甘い蜜の味を知った分ら反動は大きいら、

真の公共事業とは、一時のカンフル剤であってはならない。
恒久的に利益を生み、雇用を確保するものでなければならない。
だからこそ、終身型老人ホームの建設は何が何でも成功させなければならない。

カマタケ、おまえにはびた一文、銭はやらねえ。


p229
「リバースモーゲージってのはさ、いま住んでいる住宅を担保にして、毎月一定額の融資を受けるシステムのことを言うんだ。」
牛島は言った。
「早い話は、持ち家を借金のカタにするってわけだ。ただし、大抵の場合借りる方は、金を返済する必要は全くねえ。」

「問題は、このシステムを利用できるのは、大抵の場合ローンが終わった持ち家、れも一戸建に限られる。マンションはまずダメと見ていい。」
「マンションを買う際、大抵が目一杯の長期ローンを組んでいるもんだ。最長で35年、それだけの時間が経ちゃ建物の価値はゼロだ。その点、戸建は違う。こっちも上物こ価値は15年もすりゃあゼロになっちまうが、土地は別だ。更地にすりゃすぐに買い手は現れる。つまり、リバースモーゲージによって融資される金額は土地代、査定価格のよくて7割ってとこだ。」

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2019年04月30日

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ビジネス小説はヒヤヒヤドキドキして面白い。
山あり谷ありがあっていいし、会話ややり取りもなかなかコミカルで良かった。

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2024年03月14日

Posted by ブクログ

商社で出世の道を歩んでいた四井商事の山崎は、些細なことがキッカケで出世の道を断たれる。

山崎は地元の財政破綻寸前の町の町長になることになり、町の再建を託される。

彼が考えた再建構想は、老人を集めた町造りだった。

町議会議員のカマタケがもう少し強敵になるかと思ったが、大きな波はなく、堅実にプラチナタウンが建った。実地に沿っていて結構面白かった。

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2023年03月03日

Posted by ブクログ

ビジネスと公共事業の違いがおもしろかった。
ビジネスは、利益を追い求め、公共事業は利益は後回しになりがち。
寂れた田舎が大型介護施設によって人の波を取り戻す様が、おもしろい。
ただちょっととんとんでいったなという印象。

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2023年01月13日

Posted by ブクログ

1.著者;楡氏は、大学院卒業後に写真用品の大企業に入社。在職中に出版した「Cの福音」で作家デビュー、当書はベストセラーとなりました。その後、退社し執筆に専念。「クーデター」を始め、6連作のシリーズはすべてベストセラーとなり、6作合計で当時250万冊を突破したそうです。「再生巨流」はテレビドラマとなり、ATP賞ドラマ部門の優秀賞を受賞。本書の「プラチナタウン」もテレビドラマになりました。氏の著作は、スリラーとハードボイルドとアクションを取り入れた作品群が特徴でした。しかし、『再生巨流』を発表してからは経済小説をメインに執筆しています。
2.本書;出世の道を外された商社部長の山崎(主人公)は巨額の負債を抱える故郷の町長を引受け、第二の人生を送ります。町は大赤字を抱え込む一方で、公共事業を請負った土木業者と政治家は大儲けという理不尽。そのような状況で、工場誘致を狙って整備した3万坪の土地に定年退職後の人達の住める町作りに挑戦し、成功するという話です。
3.私の個別感想(気に留めた記述を3点に絞り込み、感想と共に記述);
(1)第二章より、「生きるか死ぬかのビジネスの最前線でしのぎを削ってきた身からすると、・・・絶対潰れやしない。仕事でヘマをしでかしても刑事罰の対象にさえならなければ、一生涯安定した収入を得られると踏んでいる公務員の発想そのものである」
●感想⇒私が学校を卒業した時代には、公務員志望がかなりいました。就職理由は、「倒産しない・収入安定・・・」が多かったと思います。私は民間に就職しました。会社は、社員の頑張りを尻目に景気に左右され、業績は波を打ちました。業績が急激に悪化した時には、ボーナスや昇給に多大な影響を及ぼします。公務員ならではの仕事の厳しさはもちろんあるでしょう。しかし、ボーナスが出ない会社がある反面で、役所では一定水準の支給があり、危機感の欠如に唖然としたものです。
これに関連した独り言です。私は愛知県の某市に住んでいます。庁舎は、清潔感はあるものの、建屋・トイレ等の設備は陳腐です。近隣の市庁舎に比べ、劣っていると思います。財政はそんなに逼迫していません。環境に重点投資しているのです。充実した公園遊具、公園トイレは毎朝清掃等々、また民間企業と意見交換会を行い、市長参加で良い事を学ぼうという姿勢。こうした市民目線の施策を推進している市政もあるのです。トップの“公僕”という考えが浸透し、民間に匹敵する仕事をしていると思います。知る限りでは、このような市町村は少ないでしょう。応援したいと思います。
(2)第三章より、「老後をどう過ごすか、人生最後を迎えるまでの介護をどうするかは、何も都会の人間だけの話じゃねえ。万人の共通した問題なんです」
●感想⇒推計では、65歳以上の高齢者比率は、2021年29%⇒2065年には38%に上昇するそうです。定年後は自分の時間がタップリあり、現役の時に出来なかった好きな事を存分に出来ます。但し、年金だけでは心細いので、ある程度の蓄えが必要です。若い人にはまだ先の事で、他人事かもしれません。老婆心ながら、自分の夢や愉しみの為に、ある程度の貯蓄をした方が良いと思います。月日の流れは思いの他早く、光陰矢の如しです。また、現役リタイアした方々は身の丈に合った生活を前提にした生甲斐作りですね。
(3)第四章より、「今回のプロジェクトの基本コンセプトは、生活資金に限りのある高齢者に、いかに安心して豊かな老後を送って頂けるかというところにあるんです。そのためには、施設の運営においては、無駄は絶対に許さない、かと言って質を落とすことなく、どれだけ基本コストを落とすことが出来るか。成否の鍵はその一点にかかっているんです」
●感想⇒民間企業出身者ならではの発想です。私は企業で企画部門を担当したことがあります。色々な企画に携わりました。中でも、施設等の箱物作りにはかなり入念な検討をしました。まず、社内からメンバーを選抜し、検討チームを編成します。企画は、建設目的・利用者意見等の多角的な条件を設定し、最適解に向けたシュミレーションを重ね、上程しました。ポイントは、存在意義とLCC(ライフ・サイクル・コスト)だったとと思います。無用の長物は禍根を残します。品質を落とさずに費用対効果を最大にする事は大変難しく、関係者の協力なくしては成功しないでしょう。
4.まとめ;本書は、山崎(主人公)が活き活きとした老後を送れる町“プラチナタウン”の建設という夢プロジェクトに挑戦し、成功を遂げる話です。これは、民間発想のある山崎だからこそ出来たと思います。高齢者への福祉投資の大きい町は、財政が苦しく、現状維持で四苦八苦しています。所で、新聞によれば、「政府調達の布マスク8,000万枚115億円が余剰、8カ月間の保管費が6億円、厚生省幹部は、『調達に問題があったとは考えていない』とコメント」という記事です。庶民感覚の希薄な人達のやる事には厭きれるばかりです。以前に、役人を民間企業に出向させ勉強させたことがありました。しかし、官庁トップの意識改革が先でしょう。幼児から高齢者の各世代に必要な施策の費用対効果を十分検討し、優先順位付け出来る人材の出現が待たれます。資金は有限です。借金を先送りすれば、子々孫々までの足かせになります。昨今のバラマキで票田作りする政治家には閉口します。(以上)

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2021年10月30日

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面白かった。
もっと利権が絡むとかバタバタするところがあれば面白いかも。
あと後日談もうちょっと読みたい

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2021年07月16日

Posted by ブクログ

ひょんな出来事から、大手総合商社を 辞職して、田舎町の 町長に就任した 主人公。

地方の 過疎化や、日本の 高齢者問題を 解決するヒントが、この物語には あるように思う。

個人的には、物語 結末に、辞職の原因となった 上司との、その後の因縁を 期待したが…
… それについては、「もう、どうでもよい事」としか 書かれてなくて、少々がっかり した。

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2020年07月16日

Posted by ブクログ

建築系の学科の友達に勧められて読んだ一冊。
都市計画を専攻している子だったから、小説としての面白さはそこまで期待していなかっただけに、面白さにびっくり。
画期的なアイディアのまちづくりに引きこまれる。
難しい言葉もちょいちょい出てきたけど、その辺は少し読み飛ばしながら楽しんで読めた。
人にも勧めたい本。

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2020年06月12日

KK

購入済み

痛快ヒューマン小説

老後の余生をどの様に暮らすかという問題を上手く捉え、且つ町の財政問題を解決する策に繋がった内容で、とても面白い内容でした。ただ、土地の活用に関して議員との問題が起き、それを解決する展開を期待していたので、少し残念でした。

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2020年05月03日

Posted by ブクログ

出世の望みが絶たれた大手総合商社の部長職にあった主人公は故郷の同級生から頼まれた町長就任をうっかり引き受けることに。しかし故郷の町は巨額の負債を抱え過疎化も進み、さらに立場を利用して私腹を肥やすやっかいな町会議員もおり、一筋縄ではいかない様子。でも町民からは痛みのない改革を求められ、にっちもさっちも行かなくなったところで、今までにない高齢者向けの施設を作りそれを起死回生策として、古巣の商社と作り上げていく奮闘記。
展開にスピード感があり、話自体にも現実味がある。主人公の右腕となる人物が誰しもが思うネガティヴな疑問を常に投げかけるのも読者視点で良い。奮闘記としてはアイデアを思いつき実際に着工が始まるまでを描いたもので、それ以降の施設のお披露目までは端折られており、またトラブルなども描かれておらず大円団な感じで終わっているのが物足りないが、読後感は良い。

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2019年10月22日

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主人公は商社で順調にキャリアを積んでいたのだけど、とあるキッカケから退職し、生まれ育った地元の町長となる。
町長として赴任した街は、とんでもない財政難に陥っており、その建て直しのために超巨大介護施設を作ろうとするのがこの物語の核。

ただしこの小説には起伏がない。大きな山もなければ谷も無い。
ただただ順調に物事が進んでいく。

個人的には、地方の複雑な人間関係とか、事業を邪魔しようと躍起になる勢力が描写されるのかなと思ったけど、そういっためんどくさいことはほとんど起こらない。
役場には協力的で有能な同僚がいるし、街には眠っている資産が沢山あり、もともと所属していた商社はすんなりと介護事業に協力する。

500ページもの大作なのに、物語はただただ順調に進んでいく。
だから、ドロドロとしためんどくさいものを期待したいすると拍子抜けするかも…w

あくまでこの小説は「仕事小説」に振り切っており、物語の主眼は財政難に陥った地方自治体とか、商社の仕事の進め方とか、そういった現実的なものの描写に終始する。
読書の醍醐味である、普段知ることのない世界を知ることができたという意味では、十分楽しめたし、財政と福祉の問題について考えさせられた。

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2018年11月11日

Posted by ブクログ

楡さん三部作の第一部

類に漏れず面白かった。
大企業からの左遷や、しがらみだらけの市政など、第2部に比べれば、かなり政治色の強い本編だったが、そこを毒づきながら乗り越えていく主人公はカッコよかった。

ただ、黒狸役のカマタケが、ずっと厄介な存在で、最後になんかしてくるかをヒヤヒヤしていた。

主人公というより、周りの人とのコミュニケーションでどんどんプランが拡大+ブラッシュアップされてく姿も良かった。

過疎化が進み死にかけてる地方を再生するというテーマも素晴らしい。こんな大きなテーマを扱える人間になりたいとワクワクした。

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2018年05月03日

Posted by ブクログ

五十半ばの商社マンが故郷の町長となり、町の再建に尽力する話。地方自治体の財政や過疎化の問題、役所の意識などがよくわかる。また、日本人の老後についても具体的な金額で論じられていて勉強になる。ドタバタ劇が続き飽きないが、同時に自分たちの将来を思うと苦笑してしまう。

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2020年10月26日

Posted by ブクログ

一流商社のエリート/幹部が、東北の故郷で公務員となった中学の同級生から頼まれて、破綻寸前の町の首長に転身、財政再建に前向きに取組むお話。

すごいな、商社の人は。こんなに頭が冴えて自信に満ちているものなのかあ、と圧倒されるなあ。

テーマとして扱われている、民間プロジェクトの導入によって都市部の団塊世代の貯蓄を地方に投資させて核となる持続可能な「エンジン」を作り、雇用、税収を拡大させるというストーリーは、当小説で描写されるとおりに実現させるかどうかは別として、崩壊寸前の地方を延命させるために基本となる考え方なのだろう。

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2018年10月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

主人公は大手総合商社で部長職にある山崎鉄郎。ひょんなことから退職を余儀なくされ、多額の負債を抱えた生まれ故郷 緑原町の町長として、財政再建に取り組むことになる──。
物語が進むに従い、山崎は主人公というよりやや語り手のポジションにシフトし、財政再建の決定打となる「プラチナタウン」のプロジェクトが主人公のようになっていく。地方の高齢化と人口減少、箱モノ行政による財政赤字、都市部での老後生活支援の不足、進まぬ介護職への処遇改善…。本作が世に出たのが平成20年。それから15年以上経った今でもほとんど解決の目処が立たないこれらの問題を、大胆な発想と実行力で一気に乗り越えていくプロジェクトだ。とても痛快!
ほんとうにこんな街が出来たらいいな〜。

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2025年10月29日

Posted by ブクログ

ビジネス小説を読みたくて読んだ本。
全体的な話がうまく進んでいく。それはこの本が読みやすい要因であり、ビジネス小説の緊張感が今一歩である要因でもある気がする。
高齢化社会というテーマで、親の老後とか考えなきゃと思った。

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2025年03月08日

Posted by ブクログ

財政危機に瀕する過疎地で高齢化、過去の負の遺産となっている公共施設などを逆手にとって高齢化社会に資する街作りに邁進するサクセスストーリーは心地よいし、よく練り込まれていて実現できるのではと思わせる。ただあまりにも説明調の内容には辟易する。

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2023年04月30日

Posted by ブクログ

紛れもなく、地方創生大臣に読んで欲しい本だった。 そろそろ、本気でそう遠くない年金生活や介護が必要となる将来の事を考えないといけないな〜。 プラチナタウンが現実になればいいんだけど・・・。

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2023年04月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

相変わらずこの筆者の作品は読みやすい。

高齢化が進む今、田舎に丸ごと高齢者の町を作るというビジネスモデルはすごく画期的であるし、実際に出てきてもおかしくなさそうや気がする。

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2022年12月04日

Posted by ブクログ

誰にでも切実な問題となる老後の人生をどこで送るかを考えさせられる作品。
ネタとしても内容としても面白かったが、平板で盛り上がりに欠ける感じは否めない。これが例えば池井戸潤ならプロジェクトがほぼアウトというピンチに追い込まれ、読書は「この後どうなるんだろう」とハラハラするが、この作品はそういう大きな起伏もなく割とサラ〜っとめでたく終わる。
ネタと発想は良かっただけに残念。

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2022年11月15日

Posted by ブクログ

元商社マン。潰れそうな地方行政の建て直し。経済小説というか、町おこしプロジェクトの創作小説というか。初めての作家で癖が分からぬため、最後の最後まで、プロジェクト成功するのか失敗するのかが見えない。読書にそうした面白さがあった。

リバースモゲージ、高齢者介護、企業誘致、地元企業の活用、雇用確保。小説は、企業における企画書と同水準に緻密なプランを描き、登場人物の心理描写やそれによるリスクも表現しながらプロジェクトを進ませる。確かに、リアルは小説のようにピタピタとパズルは嵌らない。しかし、これはある種のシミレーションであり、フィージビリティスタディの変容とも見れるかも知れない。

と小難しい事も考えるが、娯楽としての軽めの読書。

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2021年11月23日

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日本は2008年をピークに人口減少社会にシフトし、少子高齢化が加速度的に進んでいる。昨年度の高齢化率は28.7%だった。また新型コロナウイルス感染症の影響で出生数も80万人を割込み、この数字は人口減少へ一層拍車がかかるか、緩やかな回復となるのか大きな社会問題となっている。
今後確実に日本の社会保障制度の維持は困難になり、数年単位で行政サービスの維持が難しい自治体が出てくる。人口5万人以下の市町村はその変化が顕著だろう。
人口減少社会である事を悲観的に捉えているわけではないが、この小説を読んで、定住自立圏構想等を推進している自治体が100人定住者を増やしたら凄いことかもしれないが、民間企業の誘致で法人税収入を期待するならやはり5000とか8000規模の人の流入が見込め、維持出来ないと誘致は難しいのだろうと思った。民間企業は投資を回収し、収益を見込める事が大前提だから当たり前である。
また、行政組織が内部から変革するのは、昨年の給付金やコロナ禍の対応を見ていて難しいのだろうと思う。
デジタル社会が世の中を変えるというのは、安易だ。昨年の給付金やCOCOA、予防接種のシステム不具合の話を聞いていれば市町村には情報システムに明るい人材が乏しいことは理解に難くない。
本書は最終的に未来へ期待を持てる話であったが、私達はもっと真剣に住んでいる地域や行政サービスに目を向け、税金がどのように使われているか声を挙げる納税者となるべきではないか、と思いました。

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2021年05月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

絵にかいたような順風満帆のサクセスストーリーで物語としてはちょっと物足りない。
伏線も回収せずヒールが小物なせいか勧善懲悪もあっけなく、消化不良気味。池井戸潤ならもう少し盛り上げてくれそうな気がするなぁ、なんて。

とはいえエンターテインメント小説としては良いとは思います!

つーか現実になんでこんな施設ないんだろ。定年迎えたら入りたいけど。

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2020年02月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

作品が平成20年に刊行されたもの。当時は高齢化社会を通り越して高齢社会になって、そろそろ超高齢社会だぞって時代。そして地方自治の在り方が問われていた時代。

そこに、高齢者向けの街を地方に作ってはどうだと一つのアイデアを投じたような作品。

面白かった。
現実そううまくはいかないだろうけど、面白かった。

でも…街づくりにあたっての描写も細かく、相当に練られた作品ではあったと思うけど…。確かにビジネス的なアイデアはおもしろいけど、人物描写、人間関係の描写があっさりしてる気がした。

もっと語れる部分はあっただろうし、現実はもっと複雑。
人間同士の利権をめぐる争い、価値観の相違による弊害はもっとあるはず。家族との描写や家族自身の描写もちょっと中途半端感は否めず。中盤以降家族の存在が一切消えて、最後まで出てこなかったんですけど。人物描写よりはビジネスモデルとしてのアイデアを見せたかったんだろうね。

超高齢社会の日本と地方自治というテーマはかなり根深い問題があるし、だからこそもっと色んな角度からいろんな人の視点から描けたんじゃないかな。そういう描写が少なかったからこそ、「事はそう簡単に進まないだろー」という感が最後まで拭えなかった。それはあれば最高に面白い本だったし文句なし星5つ。

もっと長編ですればいいのに!

でも本当にアイデアは面白かった。

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2018年09月17日

Posted by ブクログ

商社を辞めて出身地の町長になり、街の再興を図る話。発刊当時には、石破さんも地方創生モデルとして高く評価したとか。逆転の発想から過疎と高齢化に向き合う作品。
会社リタイヤしたらどうしようかな?という時期に読むと良いかも(^^;;

個人的に田舎暮らしには憧れる。
集団就職や進学で田舎から出てきた世代と都会で生まれ育ったその子供の世代では、地元感に違いがあると感じた。

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2018年08月15日

Posted by ブクログ

出世街道を外された総合商社部長の山崎鉄郎は、やけ酒を呷り泥酔。気がついた時には厖大な負債を抱えた故郷緑原町の町長を引き受けることに。だが、就任してわかったことは、想像以上にひどい実情だった。私腹を肥やそうとする町議会のドンや、田舎ゆえの非常識。そんな困難に挫けず鉄郎が採った財政再建の道は、老人向けテーマパークタウンの誘致だったのだが…。

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2018年06月17日

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