楡周平のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『バルス』楡 周平著
働く世界の厳しさ ☆☆☆☆☆
将来の不安との闘い☆☆☆☆☆
資本主義とは? ☆☆☆☆☆
主人公/大学生が派遣アルバイトを始めます。理由は、就職浪人をしたため、学費を稼ぐためです。派遣先は、グローバル通販企業の物流センターです。
彼の派遣アルバイトという世界を通じて、読者は下記のテーマを考察する機会に出会います。
・厳しい就職活動。
・正社員と派遣社員の環境の違いと格差。
・資本主義とはなにか?
【厳しい労働環境。その背景は?】
派遣先のグローバル通販の物流センターでは、徹底したコスト管理が実行されていました。たとえば、作業員1名あたりのピッキングする点数は、1分あたりのノルマが定められています。それが常時計測され、下回ればワーニングが出る仕組みです。
なぜ、そこまでコスト管理をするのか? それは、部流センターに発注をする個人客からの請負単価自体が安いからです。たとえば「配送料無料」というサービスを実行しても利益を出すには、徹底したコスト管理が必要となるからです。
【同窓との再会。つかのまの安らぎ】
厳しい労働で体力ならびに精神ともに消耗する毎日。そんな中で、彼は高校の同窓と会います。ミュージシャン志望だった同窓は、結局その道を断念し、彼と同様に派遣で働く生活でした。
彼と同窓は、同じ派遣の現場を体験した仲間として食事をともにすることになります。
その席で、彼は同窓にある考えを伝えたのでした。
「もしも、グローバル通販に一矢を報いたいならば、いい考えがある。」
【事件?事故?爆発が・・・。】
その食事会からしばらくの期間が過ぎたあと、事件が起こったのでした。
その事件がグローバル物流センターから出荷された荷物の「爆発」です。
爆破した犯人の名前は「バルス」。
アニメ「天空の城ラピュタ」で描かれた破壊の呪文の名前です。
「バルス」の犯行声明に記載された要求事項はお金¥ではありません。
派遣労働に関する法律の是正と、派遣労働者に対する権利の是正です。
【読み終えて】
読者側で、爆破事件/テロの動機、そしてその犯人を推察することは容易です。したがって、ミステリー小説としては、多少の消化不良を起こすかもしれません。
この小説は、ミステリーというよりも、資本主義、正社員・派遣社員の構造、そして就職氷河期世代の迫りくる未来を考えては・・・?という示唆を与える小説となっています。 -
Posted by ブクログ
テレビのコメンテーターや司会者の発言を聞いていると頻繁に頭の中がハテナマークだらけになる。確かに自分の知らないウイルスや海外のニュースの内容なら、へぇなるほどと感じる事もあるが、何でもかんでも騒ぎ立てるだけのコメンテーターを見ていると見るに耐えず、怒りすら覚える。つい先日までは擁護する様なコメントを偉そうに話していたのに、世論が逆方向の批判に転じるや否や、あたかも自分は初めから反対していたの如く、徹底的に真逆のことを主張し始める。つい数日前と逆ですが、一体貴方の本当の考えは何なの?と問いかけたくなる。単なる世論を面白半分に騒ぎ立てるだけならいっそ、いない方が害はない。まぁ、それ位なら我慢すればいいしその番組その局を避ければ良いだけ。怖かったのは災害発生時の緊急避難にも関連する様な内容で、司会者がこんな時はどうすれば良いの?とウェブミーティング越しに専門家に質問した際の回答だ。私でも一瞬「違うよ」と声が出てしまったが、どちらに逃げたら良いかの判断を明らかに間違えさせる回答を即答していた。恐らく見栄えだけで呼んだのかと思う様な、綺麗な方で、恐らくは医師という難しい職業とのギャップを狙った、あたかもバラエティ番組の様なキャスティング、更には司会者の質問に躊躇なく科学的にも真逆の回答。質問された側のプライドもあってか一か八かの即答には驚いた。コマーシャル明けに、番組キャスターが逆だった事を簡単に謝って済ませていたが、もしコマーシャル前で番組を回してしまった人が居たら、もし今後それが真実だと信じたまま、災害現場で逆の行動を取ってしまったら。そこまで考えの及ばないのか、単に無かった事で済ませようとしてるのか、局の品位を激しく疑う。
そんな事もあってか、私も筆者同様言いたい事は山ほどあるから、えらくすんなり読み終わる。こうしたレビューの機会がなければ、そうした日常のストレスな出来事を敢えて表明する事もないので、そのちょうど良い機会になった(万が一このレビューを読む様な方居たらごめんなさい)。
まぁ、出るわ出るわ、世の中こんなにも不条理といい加減、取り繕いに溢れている。筆者は政治やメディアや国民意識に対しても、相当の憤りを感じているだろう。いや、そう感じながらも普段は冷静に対処する術を知り自身の中で処理できていると思うが。筆者もせっかくのこの様な執筆機会を得て、世の中に溜まった汚れや澱みについて次々と吐き出してくれる。見ている方は、そうだよな、よくぞ言ってくれました、やっぱり本質的にはそこか、といった相槌を打ちながら読むパターンになる(1番ストレス解消になる)。
教育にしても、雇用にしても、社会政策にしても、簡単に職を転々とする若者(若者全部が悪いとは言わないが、社会の勉強は明らかに必要だ)にしても、時代・世界が変わったとか、技術が変わったとかではなく、本来人が備えていなければならない、考える、我慢する、義務を果たしてから権利を主張するなど、生きていく中で当然持ち合わせる考え方や力が落ちてきた事を危惧している。同感だ。
また、今月も辞めていく20代後半の社員がいた。彼は次は決めてないという。何をやりたいか自分探しをするという。自立できていないのか。30歳目前で自分探しも良いが、いい加減見つけたほうが良いだろう。これまで何を目指していたのか、成人して10年過ぎてまだ探すのも良いが、これでも生きていけるのだから、世の中甘い。