楡周平のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
抜群の営業成績をあげ、さらに顧客を伸ばそうと次々と新しいプランを立ち上げてきた運送会社に勤める主人公。実績からすると昇格しても良いはずなのに程よく窓際部署へ追いやられる。そこは新規事業開発室で能無しの呼び声高い部下がひとり、さらに年間4億円を稼ぎだす新規事業を立ち上げろというノルマ付き。折り合いの悪い上司の仕業ということに気づきつつもなんとしてもノルマを達成しようと知恵を絞る。
そんな中、目をつけたのがオフィスへの文具宅配の分野。ある一社が頭抜けているが、あるものを開発し、業界では常識のサービスをやめることで大幅コスト削減ができることを売りに業界下位に甘んじている会社へアプローチ、さらに一般消費者向けへのサービスも描き、十分にビジネスとして採算が取れると思った矢先、上司にプランを潰される。
そこで禁じ手を繰り出し、正式に会社からGOが出たところで、ある社員から提案を受けさらに大きなプロジェクトとして成長させる。
仕事が好きで世の中のためになることを常に考えているサラリーマンの奮闘記。
最初に思ったのはよくこんなビジネス思いついたなということ。まぁ、最初にこのビジネス有りきで周辺環境などを調整して行ったのだと思うが、それが現実とズレがなくてリアリティがある。
主人公の人となりは好きではないが、彼の描くビジネスには非常に引き込まれる。
もう少し能無し部下の成長過程やその他のメンバーたちのエピソードがあっても良かったのかなとも思ったが、あっさり触れる程度でプロジェクトの進行にフォーカスしたほうがやはり良かったのかも。 -
Posted by ブクログ
戦艦大和の生き残りの主人公は戦後の闇市で薬を売って財を成す。特攻の生き残りである相棒と出会い、彼の戦略に乗って安売りの薬屋を開店し、さらに大儲けする。その後、当時は新しい業態であったスーパー経営に乗り出し西日本を制覇、東京へ進出する。スーパーからさらに大掛かりなショッピングセンター構想を掲げ計画通りに進んでいたが、土地を世話してくれた人が乗っ取り屋だったり相棒の裏切りに合ったり絶体絶命のピンチに立たされるが、ツキもあって切り抜ける。
そして主人公の最晩年、悲願の大型ショッピングモール完成を目前に様々な私的な難題が降りかかる。
戦後から近年まで、スーパー経営を生きがいとして駆け抜けた男の半生の物語。
なんとなくダイエーの中内さんを彷彿とさせる話。
一代で大きな企業を作り上げた創業者、人が考えないことをやってのけ、消費者のためという信念を曲げず、時には出店地域との軋轢もありながら巨大化を推し進める。時代に合った戦略をとる柔軟性もある経営者の話。
でも最後はとてもさびしい。 -
Posted by ブクログ
前半部分はオラオラなおっさんがもがき苦しむ様を書いている感じで全然読み進まなかったが、半分少し手前、蓬莱という若手社員と出会った頃から物語が一気に加速して指数関数的に面白さも上がって行った。
所々に刺さることが書いてあり、例えば本書によく出てくる『頭に汗をかけ。脳みそに錐を刺して、血が出るまで考えろ』という言葉。どうしても楽をしたがり、同じサービスを同じクオリティで提供し続けようと考えてしまうが、それが停滞を招き結局クオリティは下がってしまう。血が出るまで考え続けることは難しいが、今より少しでも良い仕事をしようとすることはできる。
この本を読んで明日からの仕事に火がつかない人は少ないだろう。 -
購入済み
痛快ヒューマン小説
老後の余生をどの様に暮らすかという問題を上手く捉え、且つ町の財政問題を解決する策に繋がった内容で、とても面白い内容でした。ただ、土地の活用に関して議員との問題が起き、それを解決する展開を期待していたので、少し残念でした。
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プロサラリーマンの目からみても、かなりのリアリティを感じさせる楡周平の引出しの多さは凄い。本作は、リストラ狂想曲とシルバー世代と現役世代の心ある人々の隠れた活躍というテーマだが、金融であれ経営戦略であれ貿易であれ、よく書けるものだと驚く。リストラについていえば、もちろんエンターテインメントにも属する小説なので大げさに戯画化されているが、江間のような言動をちらちらと覗かせる人物は、大企業の管理部門や上級マネジャーには潜在的にはかなりいる(と感じていた)。普段は常識と体面を気にして覆い隠してはいるが、なにかの拍子にその狂気を覗かせるヤツには、思い当たるふしもある。
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Posted by ブクログ
かつて人口減に悩んでいた地方自治体の緑原町は、元商社マンの山崎町長がリーダーシップを取り、巨大老人定住施設「プラチナタウン」を開設。老人とその家族を定住させることで、町は人口増、雇用回復、活気を取り戻す。これで、緑原町は大丈夫、町長も一安心・・・、は束の間だった。
今は元気な老人たちだが、やがては介護が必要となり、それを子が担うようになる。働き手が少なくなる緑原町は再び、活気を失うだろう。そして、プラチナタウンは町の不良債権となる。
そんな未来を心配する山崎町長が選んだ次なる政策は、プラチナタウンの拡大ではなく、緑原町特産物の海外販売だ。
新ビジネスや次なる町長選挙の展開があまりに都合良すぎるストーリーだが、成功に安堵せず、自分の次の時代にツケを残さないよう、行動を起こす山崎町長は、現代に求められるリーダー像だ。
世の中に永遠不滅のビジネスモデルなどは存在しない。変わり続ける世の中に対して、常に対応し続けなければならない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ(上下巻合わせてのレビューです。)
ちょっと疲れていたので、本棚に残っていた気軽に読める小説をチョイス。
今夏のテーマは、寄生虫。
ミャンマーの未開の地に生息する寄生虫に人がどんどん感染していくというバイオサスペンス的な話。
それに楡さんらしく、お得意の国際情勢や諜報活動の味付けを加えています。
ちょうど今、コロナウイルスが流行していて、
ウイルスと寄生虫で異なるとはいえ、
パンデミックの恐ろしさを感じながら読み進めることができました。
さらに自分が1か月間生活していたミャンマーにこんな場所があったなんて衝撃。。
(自分はほとんどの時間をヤンゴン(つまり、都会)にいたというのもありますが。。)
感染者がゾンビのように噛みつく症状が出たり、
かなりSF的な話の展開ですが、
さすがの楡さんらしく科学的要素もきちんと取り入れて、
話に現実味を帯びさせる工夫をしてくれています。
この小説を読んで、バイオハザードを思い出した。
バイオハザード的な話が好きな人には、打ってつけの小説かも!? -
ネタバレ 購入済み
医学の進歩の裏には
子どもが欲しい。でもできない。 そんな思いにつけこむ男たち。 ニーズがあるからやらなくてはならない。 お金になる、必要としている人がいる。だからやる。プライドを持って。 ・・・それが思い上がりなんに。。。 警察を抱き込んでの大きな犯罪は、いまでも途上国である問題やと思う。 卵子って今も結構高く売れるらしいしな。 物事のウラを知らずに過ちを犯してしまうってことを暗に示している話でもあると思う。
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Posted by ブクログ
【感想】
デジタルカメラというテクノロジーの普及や進歩に目を背け、「フィルム(銀塩)産業への固執」によって破綻したコダックがモデルの小説。
コダックの破綻はフィルムからデジタルへの写真産業の劇的なテクノロジーの推移・変化によってというよりも、結局は大企業ならではの腰の重さが大きな原因となったようだが、これはどの業界のどの会社にとっても決して「対岸の火事」と思えない出来事だろう。
当たり前にあったものも、いずれはイノベーションによって技術や市場は刷新される。
そしてその「進化」裏側には、必ずしも既存事業の「象の墓場」というものは存在する。
そう考えると、どの業界の人でも背筋が冷たくなるのでは?
個人的には、途中で「プリクラ」の企画の話になった時、「ああ、新しいビジネスモデルを見つけてこうして一件落着するのか」と読んでいて安心したのも束の間。
大企業ゆえの決断の遅さ、そして動きの鈍さに首を絞められて、自分たちで見つけた新しいビジネスモデルにさえ手出しする事できないところに「大企業が抱える病」を読んでいて感じた。
作中にあった「そもそもこの製品って本当に市場が待ち望んでいるものなのか?」という最上の問いは、正直自分も感じたことがある。
「寄らば大樹の陰」と、自分の組織の大きさに胡坐をかいて営業しているのではないか?と思ったり、自社製品への信頼を営業が見失ってしまうことは自分も経験したことがあるので・・・
作中の「ソアラ社」が次々と犯す手数の失敗を見ていて、「いつの日にか自分の会社もこんな感じになって首が絞まってしまうのではないか?」と危機感を抱いた今日この頃。
巨大さゆえに自分の会社の方向転換が出来ず、「沈みゆく船」と分かりつつも心中する人の心の中を描いた、後味の悪い1冊でした。
個人も法人も、既存のモノにずっとすがりついているようじゃ駄目なんでしょうね。
定年まで時間がある年代のビジネスマンは、日々変革しつつあるテクノロジーやイノベーションを受け入れなくちゃ、墓場に直行だよ。
くわばらくわばら・・・・
【あらすじ】
まさにエクセレントカンパニー。1ドルで70セントの高収益を得るといわれる世界最大のフィルム会社、ソアラ社。
パソコンがまだ高嶺の花の1992年、働き盛りのソアラ・ジャパン社員、最上栄介は新事業のデジタル製品の販売戦略担当を命じられる。
大企業ゆえのジレンマ。全く読めぬ消費者のニーズ。急速に一般化されるデジタル技術。
次々と降りかかる難問に最上は立ち向かう―。
【引用】
1.『大手が乗り出しゃ、中小は黙っていてもついてくる。間違いなく市場はできる。それって、大企業の発想ですよ』
何か、俺たちは根本的なところで間違っているんじゃないか。
そもそもこの製品って、本当に市場が待ち望んでいるものなのか?
2.技術力は確かに群を抜いている。だが、このプリンターもまた、消費者のニーズを完璧に満たすものではない。
「革新的な技術には欠点はつきものだ。新しいテクノロジー、ハイクオリティを享受するからには、多少の不便には目を瞑れ。」
まるで、消費者にそういっているような代物だ。
しかし、それでは駄目なのだ。商品は常に完璧、完成品でなくてはならない。
たとえ些細なことでも消費者に不便を強いるようなものであってはならない。
それなくして、成功はありえない。
ソアラには、その意識が決定的に欠けているのだ。
3.便利になった、効率性が上がった。身近でそう感ずるもののことごとくが、そこに介在していた何かを排除した結果だ。
そして、その多くは間違いなく人だ。
4.大抵の人間は、前例のない仕事に直面した場合、まず最初に否定的な要素を探し出し、如何に困難であるかを口にする。
しかし、有能な人間は違う。否定的見解を口にするところまでは一緒だが、必ず代替案を提示するものだ。
5.退職するデンプシーとの会話
企業において、採算性に乏しい事業や未来への投資はやる意味がないと判断される。
好調な他の事業の足を引っ張る邪魔者以外の何物でもないとね。
そんな事業を継続しようものなら、株主の追求は、ひいては会社のトップへと波及する。
となれば、結論は明らかだ。好調を続ける銀塩ビジネスに力を集中させるしかない。
6.、巨大な組織というものが、いかに変化に対して弱いものか。
過去のビジネスモデル、栄光の記憶から逃れられないものであるかをまざまざと見せつけられた思いがした。
【メモ】
p16
・1992年
「プロの世界じゃソアラが圧倒的シェアを持っている。なのに、ソアラはデジタルカメラなんて代物を開発している。仮にあんたの言うように、こいつの性能が上がってさ、フィルムに勝るなんてことになったら、それって自分の首を絞めることにならねえか?」
島の指摘はもっともである。
フィルムの収入源は、フィルムの販売、現像、プリント処理にまつわるプロセスにある。
しかし、デジタルカメラの性能が飛躍的に進歩すれば、これらのプロセスはことごとく不能になる。
何故、ソアラは自ら進んでデジタルカメラを普及させようとしているのか?
それは、日本の家電メーカーが、実用性には到底堪えない代物ながら、デジタルカメラの販売に踏み切ったことに端を発する。
p131
『大手が乗り出しゃ、中小は黙っていてもついてくる。間違いなく市場はできる。それって、大企業の発想ですよ』
ふと、草野の言葉が脳裏を過った。
何か、俺たちは根本的なところで間違っているんじゃないか。
そもそもこの製品って、本当に市場が待ち望んでいるものなのか?
プレーヤーだけじゃなく、アートCDそのものが、本当に必要とされる製品なんだろうか。
p136
またかよ・・・最上は胸の中で毒づいた。
技術力は確かに群を抜いている。だが、このプリンターもまた、消費者のニーズを完璧に満たすものではない。
革新的な技術には欠点はつきものだ。新しいテクノロジー、ハイクオリティを享受するからには、多少の不便には目を瞑れ。
まるで、消費者にそういっているような代物だ。
しかし、それでは駄目なのだ。
商品は常に完璧、完成品でなくてはならない。
たとえ些細なことでも消費者に不便を強いるようなものであってはならない。
それなくして、成功はありえない。
ソアラには、その意識が決定的に欠けているのだ。
p166
「効率いいオペレーション、ユーザーに便利。それってさ、とどのつまりは中間流通に依存して生計立てている人たちを排除するからそうなるんだろ」
言われてみれば、その通りだ。
便利になった、効率性が上がった。身近でそう感ずるもののことごとくが、そこに介在していた何かを排除した結果だ。
そして、その多くは間違いなく人だ。
p302
「このままじゃ銀塩市場は崩壊する。デジタルに行くしかないことは分かってはいても、売り上げは落とせない、利益率も確保しなければならない。
かといって、既存事業の陣容に負荷はかけられない。
しかし、収益が上がらない部門に人は割けないじゃ、打つ手なしじゃないですか」
p349
大抵の人間は、前例のない仕事に直面した場合、まず最初に否定的な要素を探し出し、如何に困難であるかを口にする。
しかし、有能な人間は違う。否定的見解を口にするところまでは一緒だが、必ず代替案を提示するものだ。
p355
フィルム不要の時代が先か、それより早くこちらが新しい市場を開拓できるか。
ソアラの社運は、まさにその一点にかかっている。
p445
・退職するデンプシーとの会話
「企業において、採算性に乏しい事業はやる意味がないと判断される。好調な他の事業の足を引っ張る邪魔者以外の何物でもないとね。そんな事業を継続しようものなら、株主の追求は、ひいては会社のトップへと波及する。
となれば、結論は明らかだ。好調を続ける銀塩ビジネスに力を集中させるしかないじゃないか。」
溜息が漏れそうだった。
これじゃ、破滅を覚悟で戦いに挑むドンキホーテだ。
「ソアラはね、生き残る時期を逸してしまったんだよ。事態はあのレポートに書かれていたように推移していることは間違いないんだからね」
p495
違う!と最上は思った。
いま市場で起きているのは、消費者の写真に対する概念の変化だ。
写真の撮り方、使われ方、楽しみ方、目的のことごとくが根底から変わってしまったのだ。
なのに、今に至っても尚、それに誰も気が付いてはいない。
その現実を目の当たりにして、最上は愕然とした。
同時に、巨大な組織というものが、いかに変化に対して弱いものか。過去のビジネスモデル、栄光の記憶から逃れられないものであるかをまざまざと見せつけられた思いがした。
p527
「最近つくづく思うんだが、永遠に存在し続ける技術や産業なんて、ありゃしねえんだ。
そうだろ。学者、技術者、新しい物を開発しようって人間たちは、既存の製品よりもより優れた便利なものをと考えて、新技術の確立に心血を注いでいるんだ。
フィルムの歴史はソアラの歴史。130年以上もの間、俺たちは存在して当たり前と思っていた技術の上で商売をやってきたんだ。
だけど、考えてみりゃ銀塩写真なんて不便な点だらけだ。それを解消しようと考え始めたら。。。
そして、デジタルカメラはその不便を解消した。 -
Posted by ブクログ
面白かった。
仕事を頑張ろうと思える本だった。
主人公の吉野が 、1つの仕事を成し遂げるために、あらゆる人・知恵・力を総動員する姿に、今の自分の仕事に対する姿勢を改めさせられた。
自身が複合機メーカーやオフィス通販の代理店とやり取りすることも多く、内容をイメージしやすいこともあり、楽しめた。
社会人2年目くらいの、なんだか仕事がつまらないと思って いる人におすすめ。
基準
★ 二度と読み返すことはない
★★ 好みじゃない、いつか面白さがわかる時が来るかも
★★★ 楽しめるが人に薦めるほどではない
★★★★ 手元に保管したい
★★★★★ 周りの人に薦めた -
Posted by ブクログ
プラチナタウンの続編。
大手商社の部長だった主人公が故郷の町長になり、財政破綻と過疎化対策として介護付き高齢者住宅を誘致して起死回生をはかったのが前作。
今回はすでに町長も2期目、プラチナタウン頼りの町の現状や農業の担い手不足がテーマ。高齢者は増えたが若者がやってこないと町の存続が危ない。それの解決策として農家が安定収入を得られる仕組みを作る。しかも販路は海外へ。アメリカで飲食業で成功を収めている町出身者と組んでB級グルメをアメリカで販売、テストマーケティング後、本格的に冷凍食品として輸出する。それらの材料は全て地元のもの。
農業と食、今後の世代への新しい選択肢、これらが相互に作用して物語が構成されている。
町が生き残るにはどうしたら良いか、根本のテーマはここ。創業者というのはこういう疑問を常に持っていてそれを解決したいと思っている人たちなんだろうなと思う。
話全体はおもしろかったのだが、残念なのは和僑という考え方がそこまで深く語られていないこと。個人的には非常に共感する考え方なので、華僑というものに良い印象を持っていない人たちの考え方を変えるぐらいインパクトのある取り上げ方をして欲しかったので、タイトルが和僑なのがちょっと違和感ある。