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ある晩、内科医の輝彦は、妻・慶子の絶叫で跳ね起きた。元医者の父・久が慶子の入浴を覗いていたというのだ。久の部屋へ行くと、妻に似た裸婦と男女の性交が描かれたカンバスで埋め尽くされていた。認知症を確信した輝彦は、久が残した事前指示書「認知症になったら専門の病院に入院させる。延命治療の類も一切拒否する」に従い、父の旧友が経営する病院に入院させ、弁護士の弟・真也にも、事前指示書の存在を伝えた。長い介護生活を覚悟した輝彦だったが、ほどなくして久は突然死する。そこには医師同士によるある密約が隠されていた。――医師の兄と、弁護士の弟は、真相にたどり着けるのか? 命の尊厳と向き合う傑作長編。
...続きを読むPosted by ブクログ 2022年10月15日
認知症と安楽死、尊厳死にまつわる物語。
藤枝家長男が医師、次男が弁護士、父が元医師で、父が認知症を発症するところから、父が残した事前指示書に従ってとある病院に入院し、そして亡くなるまでが前半。義父の死に疑念を抱いた、看護師で次男の妻の友人から話が広がっていくのが後半。
裕福な長男家と、弁護士なのに信...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年09月06日
興味深いテーマである上に文体が大変読みやすく、さらにストーリーがよく練られていたため、それなりのボリュームでしたがあっという間に読み終えました。
最大のテーマは安楽死ですが、それを取り巻く介護、認知症、延命措置、後期高齢に備えるお金、現代の医療制度など、考えさせられることばかりの1冊です。
かつ...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年04月27日
有吉佐和子の「恍惚の人」を読んだときの衝撃に再びさらされた感じ。
登場人物皆いさぎよい(おそらく作者の死生観?)
わたしは認知症になったら殺してくれ、とは思えない。命にしがみついてしまう。……でも、子供とか大事な人たちができたらまた気持ちも変わってゆくのかも。
テーマは重いんだけど、登場人物の心情...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年11月06日
前半は、終末期医療を考え
後半は、持つ者と持たざる者の格差を思い知る。
読み終えて、重いため息をつく。
途中で、読み進むのはやめたい、と思う自分もいたが
そこは楡周平、読ませるのだ、やめられない。
人権派弁護士の真也が、自分の病気を知った時
妻昭恵に、出来るだけ多くのカネを残してやりたい
と、...続きを読む
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