矢崎存美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
このシリーズは、わりと気楽に読める(いい意味で)と思っててんけど、だんだん様相を呈してきたよな…(いい意味で)?
前巻、前々巻が長編やった(たぶん)ので、今回も長編かなとなんとなく思ってたら、短編やった。どれも面白かった。
一番ささったのは、やっぱり、潮くんの話よね…。
冒頭での彼の境遇とか、やたら「お母さんはがんばってる」とか繰り返すところとか、
「これはもしかしてアカンほうの母親か」
と、怖い気持ちでページをめくったよ~。
ぶっちゃけ、潮くんの環境ってうちの子に近いよな。近いわ。毎晩コンビニ、とかではまったくないけど、距離感がまさに…。
さらに潮くんのお母さんが
「メシマズではないけど味がない」
っていうのも、
わたしやーーーんッ!!
と、天を仰いだわ。わたし、家事のなかで料理が圧倒的にあかん。家族がいるから多少調理するけど、近い将来わたしがひとりで住むようになったら、たぶん、料理はしない…。
母親になったらみんな料理ができるようになるのかと本気で思ってたわ…。
わたしはともかく、潮くんのお母さんはほんまにがんばってる人で、泣きながらハンバーグを食べているシーンはわたしも泣きそうになったよ…。
食堂つばめシリーズ、淡々と、しかもさほど深入りせずに語っていくのに、確実に刺さる。毎日ハンバーグでもいいからっていうセリフに、この母子はすごくすてきやなって思った。あと、ふたりとも必死やし、まじめやし…。
つばめで料理を教えるっていうパターンは、思えば初めてやったね。
やっぱり潮くんは記憶をなくしていたけど、断片的に思い出せるところもよかった。
そしてノエさんの「やりたくないときは料理をしなくてもいい」っていうのが、最高にいいと思う。
みんなそんなくらいのテンションでもいいのに。
潮くんもこれからは、勉強はそこそこやって、余力のあるときだけ料理をして、お母さんと幸せに過ごしてほしいな。
彼にとって新しい選択肢が増えて、いいなあと思った。
それにしても、次巻で一旦の完結か…。
まさかつばめの住人(?)しかもノエさんについて、掘り下げていくとは…。
確かに記憶がないっていうのも、その理由も、深すぎるし闇の一歩手前やけど、そこはそれ、このシリーズの作風やからさらりと読めていたのに、わりと、次巻は重そうやなあ。(当然すぐにリクエストするけれども)
記憶は取り戻したほうがいいというのは、生きている証拠という言は、わたしも
「そ、そうなの…?」
とは、なった。笑
確かに、覚えていなくてもいいことも覚えてるし、そういうマイナスな記憶もわざわざ引っ張り出して反芻して落ち込むこともあるし。
そういうのがまるっとなくなったら、そりゃあさっぱりと過ごしていけるんかもしれへんけどなあ…。
果たしてあの川は、川の水はどういうことなんやろう。
白い荷物は…。
気になるわあ。
ほんで、潮くんがちらっと言うていたこと。
「一つでも悪いことがあるとダメになるんじゃないか」
と、いう考え方は、今の若い子たちの多くが感じていそうやな。
わたしの親世代、いわゆる団塊の世代は、まだ暮らしぶりはつつましかったのかもしれないけれど、人も多くて物は増える一方で、
「これがあかんくても、次がある」
っていう考え方をしている。景気もよかったんやから、そりゃそうよね。
わたしはぎりぎりその世界を知っていて、自分が成人するころに
「うわー、失敗できひんな」
っていう社会が始まった。それから30年ほど経って、ますます失敗はできなくなってる。
その理由はいろいろあるけれど、
「失敗できない」
と、思っている若手に対して、
「失敗してなんぼ」
と、思っている古手の言動がいい方向にはならんやろうなあとも思う。(だからってどうもしようがないねんけど…)
冒険ができないとかやる気がないとかではなくて、ほんまに、自分たちが
「失敗できひん」
って思ってるんやもんね。ほんで、そういう社会を作ったのはわたしたちなのに、
「今どきの若い子はやる気がない」
ってひとくくりにしていいんやろうか、とは、ほんまに思う。
ひとつ悪いことをしたら全部だめになるなら、そんなにやらんでもええか、ってなるやろそりゃ。
そこそこでええかってなるわ。わたしでもなる。っていうか、今はなってる。
でももう40代後半でそうなってもべつにいいねんけど(っていうか逆にそんなもんやろとも思う)、わたしより上の世代は40代こそ
「働き盛り」
って思ってたやろうし、わたしより下の世代は40代より若いけど
「ローリスクローリターンで堅実にいたい」
って思っていそう。
もしかして、わたしら中間層がもっと間をとりもてないとあかんかったんかな。笑
どうやろ、わたしらは、
「失敗してなんぼ」
の行動をする人を見てはいるけど実際に自分たちはやってない。
むしろ自分が大人になってからは
「失敗するなら最小限に」
の、行動をとるように心がけているので、どっちかっていうと、若い人より(の考え)な気もするな…。
いや、そんなんどうでもいい話やねんけど。笑 -
Posted by ブクログ
今回は「食卓」ということで、お店やおうちの食卓でぶたぶたさんが料理を振る舞ったりレシピを教えたり、レシピを残そうと奮闘したりする話が主だった。しかしそれだけではなく、「変わるものと変わらないもの」というテーマがどの話にも共通して見られた気がする。心の病やリストラ、不景気…物語を取り巻く環境も中々シビアでぶたぶたさんも含め、苦しい最中もがきながら生きている人が多かった。
特に印象的だったのは『ここにいてくれる人』だ。
心を患ってしまうと、好きだったものをなんとも思えなくなった自分の姿を人に見せたくなくなる。そんな時
「元の自分に戻ることばかり考えていたら繰り返しになるだけなんだよ。少しでもいいから、自分を変えるの」
「本当に好きなものはきっとずっと好き」
という言葉を思い出すと少しでも気持ちがほっとする、肩の力が抜けるのではないだろうか。
無理に元に戻そうとするのではなく、少しずつ形を変えつつ元に近い状態になるようにするというのはいい心構えになると思った。
まさかぬいぐるみ警部の作者の西澤先生が解説を書いていると思わなくてビックリしたのだが、さらに矢崎先生からすごく大きいぶたぶたさんをもらっていて、しかもぬいぐるみの写真もあってさらにビックリした!
解説でぶたぶたさんについて深く考察されていて、さすが西澤先生だと思った。
「『メビウスの輪』を共にさ迷うぶたぶたさんとの交流から生まれる物語が私たちの贈り物となっているとすれば、しんどいと思う人生も誰かからの贈り物だと考えても差し支えがないだろう。」ぶたぶたさんの物語から与えられる「癒し」は厳しい現実を生きていることを踏まえてのものだとすれば、頑張って厳しい世の中を生きているからこそぶたぶたさんの物語に癒されるということ。それがぶたぶたシリーズの根底にあるメッセージじゃないかと夢想せずにいられなかった。
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Posted by ブクログ
アンソロジーで読んで気になっていたぶたぶたさん。
新刊を発見してGet。
ぶたぶたさん、素敵だー。
出張料理人としての腕前はもちろん、出掛けていった先の人の心を救う温かさ。
心身ともに疲れ切った時、あんなふうになんでもやってくれちゃう存在ってどれほど救いになるだろう。
何でもない日にこそありがたい。
「妖精さん」って呼んじゃう気持ち、分かるわー。
紹介しか受けないほど人気があって忙しいのも納得。
誰か、私にもぶたぶたさんを紹介してー。
ぶたぶたさんシリーズ、すごくたくさん出ているのね。
少しずつ読んでいこう。
しかし、おじさんでスーパー家政夫って、某ドラマを連想しちゃうw -
Posted by ブクログ
ネタバレ表紙のリースから花の色鮮やかさや柔らかさが伝わってきそうで素敵でしたが、開いてみると挿し絵までついていた!!
挿し絵つきのぶたぶたさんは初めてだったのでちょっとびっくりしました…!
今回は花がテーマとなっており、ぶたぶたさんはお花屋さん(時々パティシエも兼ねたり)、ぬいぐるみ職人、アイドルのボディーガード、妖精さん(?)として働いています。
「いばら屋敷」は虐待、育児放棄にあっていた女の子を助ける話なのですが、怒号を浴びせ暴力を振るおうとする再婚相手、再婚してから育児をするどころか一緒になって女の子をぶつ母親に憤りを覚えました。ぶたぶたさんに会わなかったら女の子はどうなっていたかと思うと怖かったし、現実では助けが及ばないケースもあることを思うとやるせなかったです。
そのビーズの目を見てしまうと隠し事を白状せずにいられない不思議な魅力を活かしてアイドルをストーカーから守る話は手に汗を握りました。
ですが「BLUE ROSE」で夢を見ることの功罪を感じたことが一番大きかったです。「見果てぬ夢」を見ることは夢を叶える途上にある時は周囲の言葉や状況に苦しめられてしまうけれども、夢を叶えるために努力したことは心を強くすることに繋がったり、努力して得た力が違う場面で活きてきたり、何より夢を叶えたときの達成感も大きい…人生の目標をもって何かを頑張ってみるのも悪くない、と思える物語でした。