青山文平のレビュー一覧
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派手でダイナミックな戦国の世を舞台には選ばず、小難しいイメージのある「経済」をテーマにした時代小説ということで、読む前はお堅い地味な作品なんじゃないかと不安だったのですが、心配は杞憂に終わりました。とても面白かったです。藩札という恐らく誰も取り扱ったことのないであろうものを主題に据えた作者の勝利だと思います。
美点はいっぱいあって、抄一郎が現代でいうところの敏腕コンサルタントとなっていくまでの成長過程も良かったですし、最貧藩の立て直しにかける清明の命懸けの覚悟がもたらす緊張感も読みごたえがありました。現代の経済政策への批判的視点があるのもいいですね。馬鹿の一つ覚えのようにお札をじゃぶじゃぶ刷ればいいとしか思っていない政治家は、すぐに本作を読むべきでしょう。
これだけの内容をこのページ数に収めつつ、なおかつ書き急いだような印象が残らなかったあたり、すごく上手にまとめているなあと感じました。個人的には直木賞受賞作の『つまをめとらば』よりも本作のほうが出来は上だと思います。
ただ、女性絡みの部分は別に無くても良かったんじゃないかな、という気もしました。ラスト1行も、それで締めていいんですか青山さん、という感じで正直納得できませんでした。続編への布石なのかな? -
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未来の展望が開けない青年たちの夢をかけた、切なくて苦しい青春時代小説。悪政で有名な田沼意次の時代から、松平定信の時代に移り始めた頃の江戸が舞台。御家人の村上登は、道場仲間と貧しいながらも、清浄な武士への鍛錬に勤しむ日々を暮らしていた。そんな時手にした一振りの名刀が大きく三人の運命をかえていくことになる。。本作品、友情と反目、はかない恋など時代に翻弄された士分たちの心の機微を巧みな言葉とともにあぶり出しつつ、辻斬り犯を巡るミステリアスな面など多彩な要素を含む。がすべての要素は、天下泰平の時代に巣くう”貧困”の一点に集約されるよう区切りなく物語は進んでいく。それにしても精緻なロジックと貧困がもたらす悲劇を余すことなくつまびらかにする切れ味抜群の筆力が凄すぎ!筆者の時代小説にかける真摯な想いを強く感じる秀逸な作品です。
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先日読んで良かった青山さん。これもなかなかです。
田沼政治が終わった頃、流行の竹刀剣道ではなく木刀による型中心の剣術道場に通う三人の若い剣士を描いた作品。
時代小説で三人組といえば、武闘派、頭脳派、癒し系の仲間が力を合わせて事態を打開して行くというのが王道です。しかし、この作品で描かれるのは剣の道に邁進するがゆえに壊れて行く若者たちです。
爽やかな感動のようなものはありません。妬みや破滅があります。しかし、それは道を究めようとする清冽さが、誤った方向に流れた結果です。
純文学を目指いしていた著者の再デビュー作と言える作品。その主人公の一人の名前が青木昇平。著者のペンネームに模した名ですが、何か思い入れがあるのでしょうか。 -
購入済み
語り口は相変わらず良いが
藤沢周平を思わせるような落ち着いた物静かな語り口はこの作品にも十二分に生かされている。しかしながら、ストーリー展開の方はやや冗長な感じで、特に7割方進んだところの記述に繰り返しが多く戸惑ってしまった。題名には納得できるところはあるのだが。サスペンス物として楽しむには、伏線やトリックがなさすぎる。
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★3の中。上でもいいかなー?
なんだかんだで青山文平さんの四作品目。
「つまをめとらば」方式。
特に縛りもまとまりもない時代物短編三編。
・機織る武家
芸(手に職)は身(家)を助く。
・沼尻新田
清くて不純な開発は。
・遠縁の女
俺も別嬪の幼馴染が欲しいぞー。
この人のこういう自由な短編はおもしろいわー。
「半席」とか「泳ぐ者」みたいな固定主人公の連作短編も悪くはないけど、特に説明も何も要らないこういう方があってるのかも。
三編とも、どうということもない。
何か大事件が起きるでもなく、歴史的な何かが起きるでもない。
不思議もない。
殺人もない。
種も仕掛けもない。
少しはあるか(笑)
俯瞰してみるとその時代の中でよくありそうな話なのにじわっとくる。
でも、よくある人情譚でもない。
なんだろう?
文芸かなぁ?
いやエンタメだな。
これが文章力ってやつなのか、すいすいいける。
なんでもいいか。おもしろいんだから。
それにしてもこの人、よく調べてるなー。
機織りの織り機だの。着物だの。模様だの。野方衆だの。武者修行だの。
こんなの上っ面をなぞっただけでは書けないだろうに。
表紙は単行本よりこっちの文庫の方がいいね。 -
Posted by ブクログ
★3の下かな。
江戸物ミステリー成長物語。
下手人は既に挙がっている。
なぜそんなことを、という動機を解き明かします。
若者の青い心で爺様たちをオトシまくり。
・半席
なぜ、筏の上を走った。
・真桑瓜
瓜に罪はないけれど。
・六代目中村庄蔵
名前。
・蓼を喰う
どぶさらい。
・見抜く者
剣に生きた。
・役替え
知りたくなかった。
ストンと納得できない話が多い。
それは、私には武士の心情が未だつかめていないということだろう。
ミステリー色は弱め。
心情に重きを置いている。
通じて主人公が成長していくさまも悪くない。
ただ、ちょっとだけ時代物に付き物の説明が長いかな。
短編のせいか深みも少々足りない。
それは次作の長編「泳ぐ者」に期待しようか。
「半席」という意味や詳しいレビューはみんみんさんの方を見てください。
(((((((((((っ・ω・)っ ブーン
ヒートマカセ~、カーゼマカセ~♪ -
Posted by ブクログ
幕末、豪農の次男として生まれ
“当代きっての日本美術の目利き”と言われるまでになった下垣内邦雄。
昭和初期にかけ芯を持って生き抜いた。
その身の上を新聞記者に語る。
家を継ぐのは長兄の昌邦。
幕末江戸の混沌とした背景や
下垣内家の内情も少しずつわかってくる。
つましく生きる兄が人を斬った。
その訳を探るため邦夫は旅に出る。
出会った縁がその先へ、前に進むことを促す。
皆さんが書かれているように前置きが少々長い。
読破している青山文平さんのご著書なのだから
おもしろいことはわかっている。
邦雄が人を斬る旅に出たところから引き込まれていった。
青山文平さんのお陰で、また新たにその時代を知ることができました。