青山文平のレビュー一覧
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購入済み
語り口は相変わらず良いが
藤沢周平を思わせるような落ち着いた物静かな語り口はこの作品にも十二分に生かされている。しかしながら、ストーリー展開の方はやや冗長な感じで、特に7割方進んだところの記述に繰り返しが多く戸惑ってしまった。題名には納得できるところはあるのだが。サスペンス物として楽しむには、伏線やトリックがなさすぎる。
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★3の中。上でもいいかなー?
なんだかんだで青山文平さんの四作品目。
「つまをめとらば」方式。
特に縛りもまとまりもない時代物短編三編。
・機織る武家
芸(手に職)は身(家)を助く。
・沼尻新田
清くて不純な開発は。
・遠縁の女
俺も別嬪の幼馴染が欲しいぞー。
この人のこういう自由な短編はおもしろいわー。
「半席」とか「泳ぐ者」みたいな固定主人公の連作短編も悪くはないけど、特に説明も何も要らないこういう方があってるのかも。
三編とも、どうということもない。
何か大事件が起きるでもなく、歴史的な何かが起きるでもない。
不思議もない。
殺人もない。
種も仕掛けもない。
少 -
Posted by ブクログ
★3の下かな。
江戸物ミステリー成長物語。
下手人は既に挙がっている。
なぜそんなことを、という動機を解き明かします。
若者の青い心で爺様たちをオトシまくり。
・半席
なぜ、筏の上を走った。
・真桑瓜
瓜に罪はないけれど。
・六代目中村庄蔵
名前。
・蓼を喰う
どぶさらい。
・見抜く者
剣に生きた。
・役替え
知りたくなかった。
ストンと納得できない話が多い。
それは、私には武士の心情が未だつかめていないということだろう。
ミステリー色は弱め。
心情に重きを置いている。
通じて主人公が成長していくさまも悪くない。
ただ、ちょっとだけ時代物に付き物の説 -
Posted by ブクログ
幕末、豪農の次男として生まれ
“当代きっての日本美術の目利き”と言われるまでになった下垣内邦雄。
昭和初期にかけ芯を持って生き抜いた。
その身の上を新聞記者に語る。
家を継ぐのは長兄の昌邦。
幕末江戸の混沌とした背景や
下垣内家の内情も少しずつわかってくる。
つましく生きる兄が人を斬った。
その訳を探るため邦夫は旅に出る。
出会った縁がその先へ、前に進むことを促す。
皆さんが書かれているように前置きが少々長い。
読破している青山文平さんのご著書なのだから
おもしろいことはわかっている。
邦雄が人を斬る旅に出たところから引き込まれていった。
青山文平さんのお陰で、また新たにその時代を知る -
Posted by ブクログ
ネタバレ目付の永井重彰視点で語られる静謐な物語。
蘭方が認められ、発展し始め、漢方医からの反発が強まるなかで行われた藩主の外科手術。執刀医の向坂は重彰の息子の恩人だった。藩主の信頼厚い小納戸頭取永井元重は、失敗したときに孫の恩人を守るため、策を巡らし、息子と二人だけで藩主の手術・療養を乗り切ることにする。
医師を志したことがあり、世の中の流れにも敏感で、思慮深く、柔軟な思考をもっている元重。先進的な考えを持つ英明な若き藩主。父と同じく医師を志したことがあり、息子の療養に際しても妻を守り、夫婦協力することを当然と思う重彰。芯の通った聡明な母と妻。良心的な名医向坂。
どこをとっても悲劇になりそうもないの -
Posted by ブクログ
「本売る日々」が面白くて続けて手に取った青山文平の短編集。
砂原浩太朗の作品を読んだばかりだったからか、同じ江戸の時代物でも文章の硬さにサラリとは読めなかった。
作者あとがきに「常温の日常をリアルに描く小説を書きたい」とあるように短編それぞれの主人公は華々しい活躍をするわけでもない。むしろ、扶持の少ない武家の厄介叔父であったり、部屋住みの武士であったり、今後をどう生きていけばいいのかと思い煩う武士の姿がリアルに描かれる。
どの時代にあっても人はその生まれる境遇を選べず、その環境も平等ではあり得ない。それでも、定められた環境で迷いながら、悩みながら歩みを進めていくのだということ。それが命を賭