【感想・ネタバレ】底惚れのレビュー

あらすじ

2022年、柴田錬三郎賞と、中央公論文芸賞をW受賞!
伊集院静氏は「この作品の価値は冒頭の数行にある。五両と小作農という仕事は江戸期の経済に通じる作家の視点がある。…事件、物語があり、さらに色気がある。これほどの作品を柴田錬三郎賞に迎えられたのは、選考委員として喜びである」とまで評価。
大沢在昌氏は「一読、参りましたといいたくなった」、村山由佳氏「文章は、その人の歌う旋律でありリズムであり呼吸である」、林真理子氏「もはや完成形といおうか名人芸といおうか、『うまい』ととうなるしかない」と高評価。
浅田次郎、桐野夏生、篠田節子、逢坂剛ほか、各選考委員も大絶賛した時代小説の傑作!

村に染まれず、江戸に欠け落ちた男たち。当時の江戸は一季奉公の彼らに支えられていた。主人公は四十過ぎのそんな男のひとり。根岸にある小藩の屋敷で奉公中、訳ありのお手つき女中の道連れを命ぜられ…男の運命が変わる。純愛とビジネス成功譚!

一作ごとに進化し続ける青山文平の語り口に酔いしれる!
女への思いをつのらせながら、はぐれ者だった男が、一途に自分を刺した女の行方を求める。女を捜す方便として、四六見世という最底辺の女郎屋を営みながら、女が現れるのを待つ。その仕儀を薦めてくれたのは、路地番の頭・銀次だった。ビジネス成功譚の側面と、女への思いを貫く純愛を縦線として、物語はうねり、意外な展開をみせ、感動の結末へ。魅力的な時代長篇。

蜂谷涼 (北海道新聞2021年1月30日付)
「『底惚れ』なんとすごみのある言葉だろう。恋い焦がれて、惚れぬいて、首っ丈になっても、まだ及ばない。魂をひりひりさせる言の葉だ。」

細谷正充 (東京新聞2021 12月11日)
「ラスト一行にたどり着いたとき、いい話を読んだという満足感を得られるのだ。タイトルそのまま“底惚れ”してしまう作品である」

大矢博子 (小説すばる 2022年2月号)
「痺れた。
何に痺れたって、主人公だ。自分を刺した女を探す男だ。その思いに、生き方に、そして何よりその語りに、痺れた」

縄田一男 (日本経済新聞 1月27日)
「ラストで「俺」を襲う虚脱感がジワジワと比類無き感動へ変貌していくさまに接し、主人公の幸せを願わずにはいられないだろう」

「この場末のどこがいい?」
「ここはどこでもねえからね。なにしろ岡場所だ。あるはずのねえ場処さ…」

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

良い終わり方です❣️人情噺のサゲのように。ほぼ1人語りなのが他人によって合わない人が居そうな感じ。その合わない感じがサゲ間際に一気に会話で終わりになるのが素晴らしい❣️ぜひぜひ一度お読みください。

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2024年07月23日

H

購入済み

「俺」の一人称で最後まで続きます。
芳と俺との行き違いで、事件が起こり芳が行方不明となり、その後、俺の自省を中心とした心理描写、銀次の心理描写、信の心理描写が抜群です。江戸時代の時代小説ですが、いつの時代でも通用するのではと思います。
一読に値する小説です。

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2024年05月21日

Posted by ブクログ

最初から最後まで一貫しておもしろかった。いい人も悪い人も出てくるが、それぞれの事情が納得できるかたちで書いてあり、心情がよくわかる。本当に人の人生を生きた気持ちになる秀作だと思う。

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2024年05月31日

Posted by ブクログ

本作品の最初の方を読んだ時、「また、やっちまったな!」と思った。以前に読んだ覚えがあって、気付かずに同じ本を買ったんだ、と思ったのだ。しかし、それにしては、なかなか話が終わらないし、主人公の出世話みたいな展開になっていくし、やっぱり別の話なのか?と思っていたら、解説を読んで解った。解説を読むまで解らなかったとは、チコちゃんに叱られる。

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2024年05月26日

Posted by ブクログ

終始ひとり語りで進む、異色の作品。
なにせ最後まで主人公「俺」の名前が出てこない(笑)

自分を刺して消えた女性を探し求めるうちに
冴えなかった主人公の人生が変わってゆく

軽快な語り口が絶妙

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2025年11月12日

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