青山文平のレビュー一覧

  • 本売る日々

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    医は一人では前へ進みません。みんなが技を高めて、全体の水準が上がって、初めて、その先へ踏み出すものが出るのです。そのためには、みんなが最新の成果を明らかにして、みんなで試して、互いに認め合い、互いに叩き合わなければなりません。

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    2025年09月01日
  • 本売る日々

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     江戸時代の後半、主人公・平助は本屋「松月堂」を営み、城下から在郷の名主らに本の行商に出ます。舞台が華やかさと無縁の村なのが特徴的です。
     平助は、人気の読み物などは扱わず、学術書にこだわる矜持をもっているのでした。異問や謎を、本を介して解き明かしていく3編の連作物語です。

     単なるエンタメやミステリーではなく、本が生活に根差し暮らしを支えていた情景が浮かびます。本を愛し知識を求める人々の個性が豊かで、当時の本を作る・売るという様子を知り、さらに本の世間への浸透や寄与を想像するよい機会となりました。

     作中に出てくる多くの言葉へも共感が多かったです。特に、「本は出会いだ。蔵書は出会いの喜びの記憶でもある」「本や人を信頼し切れるのは贅沢で豊かなこと」には唸りました。

     書店の激減、読書離れが叫ばれる中、これまでの本の歴史に想いを馳せながら、読書の喜びを多くの人に実感してほしいと願うばかりです。やっぱり、それは教えられるものではなく、自分で気付くものですよね!

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    2025年06月26日
  • 本売る日々

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    本屋で見かけて一度は手に取ったものの、(いやいや積読半端ないし)と諦めた。
    しかし、やっぱり気になる。
    えーい、今買わねば後では出会えぬやもしれぬ!と購入。

    買って良かった。
    惣兵衛さんの御新造さんの森と里の際の話、これは自分の場合はまさに子供と社会との関わりについても言えるし、名主がなぜ国学をやるのか、についても考えさせられた。他にもあるを信じられることで楽になる、というのは実感してるからなあ。諦めるわけでも見放すわけでもない。
    だけど、他があると思えることでちょっと楽になることはある。

    今の自分にとって、何か種を植えてもらったような、そんな本だった。

    気になったのも、このタイミングで読んだのも、
    本に呼ばれたのかもしれない。

    ホントに本は出会いだ。

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    2025年06月15日
  • 父がしたこと

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    とても読みやすく良質な作品である。ビックリした。が、御殿様の妄言とは何だったのか?? 作品内でヒントがあったのかな?他の方のレビューを読んでも考察などが見つからない。ということは私の読み方が浅いわけではなく、読者の想像に委ねられているということだろうか。
    私の頭に浮かんだのは、御殿様は元重さんを禁じられた意味で愛しており、元重さんもまた心の内で愛していた(それ故に彼の痛みを感じることができた)という説しかない…。

    元重さんは、心の深いところで家族よりも誰よりも御藩主を愛してしまったこと、それが痛みの共有という形で証されていることを畏れ悩み、また御藩主に立派になってほしい気持ちと、自分が彼の愛の対象になってしまったことにも深く罪の意識に苛まれていた。プラス家族への罪悪感、などなど。
    御藩主の「誰にも言わん」の内容は元重さんへの愛(;_;)
    しかしそれでも2人の愛は言葉にすらされない、2人の間での秘め事であった。
    が、麻酔時のうわ言で、それが向坂先生にバレてしまった。omg...

    ということで元重さんは向坂先生をも犠牲にして、秘密を墓場まで持っていくことにした。
    すべては御藩主のため…。

    という究極のプラトニック・メンズラブ…かな…。

    幻肢痛の話も何か象徴的に見えるけど、何を表しているのか。あと、御藩主が麻酔から覚めた時に元重さんがはばかりに行ってたのも何かを示していそうだけど…。たんに重彰との会話の描写の都合上、そうなっただけなのかな。

    とにかく、最終的に、メチャメチャ切なかった小説。

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    2025年06月07日
  • 伊賀の残光

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    2025.04.19
    謎解きの要素も味わいながら、なおかつ、最後にも謎が残るところがよい。
    隠密働きの詳細をいろいろ想像してみた

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    2025年04月19日
  • 半席(新潮文庫)

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    2025.04.16
    人間の「青くささ」はいつまで許されるのか、あるいは、いつまでも「青くさく」いるべきなのかを考えながら読んだ。

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    2025年04月16日
  • 春山入り(新潮文庫)

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    2025.04.11
    いずれの作品も終わり方が良い。余韻と謎を残しつつ終わるイメージ。
    特に「約定」は良い。人にとって「覚えておくべきこと」と「忘れること」「忘れるべきこと」こういった差異について考える機会となった。

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    2025年04月11日
  • 下垣内教授の江戸

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    正史には残らない市井の幕末。あれだけの混乱期、それはそれは色々あっただろう。幕府は倒れるべくして倒れた事が腑に落ちたし、混乱を乗り越え我が道を進んだ美術家もいたんだ。阿片戦争、アロー戦争のイギリスの非道ぶりに「よくもあれだけの不正義を抜け抜けとやるものだ」NHKの映像の世紀見たあとだけに驚かないが、今まさにアメリカが傍若無人に…なのに皆マヒしつつある…

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    2025年02月20日
  • 下垣内教授の江戸

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    三人の人を斬った兄の気持ちを知るため、下垣内教授は手練れ浪人を探す旅に出るのだが…彼が出会った剣の手練男と白根山の絵画との奇縁に心を打たれた。美しさと哀愁を帯びた物語。

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    2025年02月17日
  • 下垣内教授の江戸

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    目には入っていても、見てはいない。何につけ、見落として見ていないと、何も見えてこない。
    何より大事なのは、今を生きることだ。死んだ者への高校は、生きているものの将来を損なわいやすい。後ろに引かず、前へ進め。気持ちの持ち方次第で景色がガラッと変わって見えることがある。

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    2025年01月31日
  • 鬼はもとより

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    主人公(抄一郎)と準主役(清明)の人間性が深堀して描かれていて、物語に引き込まれた。藩札を通した経済小説の一面もあり、人としての筋を通すという生き方を表現している部分もあり、とても良い作品。

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    2024年12月17日
  • 父がしたこと

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    ネタバレ

    印象的な言葉が出て来る。『褒められたいのだと思う』藩主が親同然の家臣に求めたものは褒められたいであった。領民の為の良政は、シンプルに褒めてもらえそうというところから来ていた。妙に納得がいった。私も仕事しながら、褒めてもらいたいと素直に思ってるのを得心したら、笑ってしまった。あぁそうか褒めてもらいが根本の本音だ。カッコよく社会の為とか、そんなんじゃない。好きな人がいたら、尊敬する人がいたら尚更だ。分かるぞ。
    もうひとつ、躾についても言っていた。躾とは気持ちが動かずとも身体が動くようにするのが躾だと。
    そのままの言葉を引用する。『人なら、疲れ果てもするし、塞ぎ込みもするでしょう。目の前の用に、手が出せなくなるのもめずらしくありません。それでも気がつくと、ひとりでに身体が動いて、やらねばならぬもろもろをやっている。そういう者に育つように仕込むのが躾なのです。なんで、そうするのか、わかりますか?当人が楽になるからです。生きていく、ということは、日常の用をこなしていくということです。人です。獣ではないのです。汚れたままの皿で物を食べるにはゆかぬのです。誰かが皿を洗わなければなりません。自分で洗わなければ、何者かが洗ってくれているのです。もろもろな事情で、その何者かがいなくなるさのはいくらでもあることです。そうなったとしても躾られていれば、なんの痛痒も感じません。日常の用を、自分で苦もなくこなせるというのは、それだけで縛られるものがなくなるということです。自由になるということなのです』

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    2024年10月23日
  • 父がしたこと

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    ネタバレ

    ある御藩主と名医、そして家臣たちの物語であると読み始めるが、最後に予想しない結末が待っていた。

    蘭学や漢方医、時代背景など、細かな情報が精確に著され、表現も会話も、そして物語も武家社会そのものを感じさせる、独特の世界。
    「跳ぶ男」「本を売る日々」を読んで3冊目の作者。どれも一分の隙もなく、時に非情でさえある。しかし、どの人物も人としての魅力に惹かれる。

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    2024年08月19日
  • つまをめとらば

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    江戸時代が背景で、お役が回ってこない下級武士たち。

    それでもなまじ身分があるゆえお上と民衆に挟まれるような立場の苦悩があり、反対に、民衆はといえば身分の低さの苦労が描かれた短編時代小説です。

    形や程度に差はあれど、現代にも通ずるものを感じます。

    それぞれの章には救いのヒントになるような人物がおり、だいたいの話は出口が見えたような、薄日が差したようなラストになっていたように思えました。

    個人的に
    『乳付け』
    ・初産で乳が出なく、自身の子どもに乳をあげられない母親が「乳付け」に悋気しながらの葛藤しつつも、その乳付けや夫、まわりの人情を描いたお話。
    『逢対』
    ・武士とは何かを識りたいもの、武士を地でいくものが「逢対」にてそれぞれの道を立てるお話。

    の2話が特に好きな話でした。

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    2024年06月12日
  • 底惚れ

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    最初から最後まで一貫しておもしろかった。いい人も悪い人も出てくるが、それぞれの事情が納得できるかたちで書いてあり、心情がよくわかる。本当に人の人生を生きた気持ちになる秀作だと思う。

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    2024年05月31日
  • 父がしたこと

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    ネタバレ

    漢方と蘭方の関係の描写が興味深い。人間宣言する前の天皇というものの記憶を語るものがまだ大勢いた昭和の終わりに天皇の体にメスが入ったとの報道に、医者の気持ちというものは如何なるものかと想像した時のことを思い出す。思想信条の違う人々があれこれ申していたことも同時に思い出す。漢方から蘭方に移る過渡期について、さる藩の出来事を通じて描く。家族の物語であると同時に、流行りの言葉で言えば「イノベーション」の歴史を書いているとも言える。

    ミステリーの部分についてはなかった方が良かったと思うが、泉鏡花の「外科室」を思い出した。

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    2024年05月28日
  • 底惚れ

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    本作品の最初の方を読んだ時、「また、やっちまったな!」と思った。以前に読んだ覚えがあって、気付かずに同じ本を買ったんだ、と思ったのだ。しかし、それにしては、なかなか話が終わらないし、主人公の出世話みたいな展開になっていくし、やっぱり別の話なのか?と思っていたら、解説を読んで解った。解説を読むまで解らなかったとは、チコちゃんに叱られる。

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    2024年05月26日
  • やっと訪れた春に

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    今回も青山文平、楽しめました。
    年老いた親友2人の互いに思いやる姿が好ましいと思って読み進めていたら、2人の親友たり得たかもしれない犯人が最後に現れ、2人の人生の影の様に生きていたことが判明。
    ミステリー仕立てで現代的な匂いのする時代小説だと思いました。
    九曜紋の鮫鞘の刀、梅仕事などの詳細な描写も物語りに彩りを添え、登場人物も夫々が真摯に生きていて魅力的。

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    2024年05月26日
  • 白樫の樹の下で

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    青山文平の出世作である。
    ある武士の生き方、剣の道を通して、武士とは、そして人間とは何かを考えさせられる。
    結末は、複雑なメソッドが絡み合ってファイナルに向かう。手の込んだ小説である。

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    2024年04月29日
  • 春山入り(新潮文庫)

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    初めて青山文平さんの著作を読んだ。藤沢周平さんの小説を彷彿とさせる。江戸時代の下級武士の信条のようなものがじわりと重みを持って感じる。他の作品も読みたくなった。2024.4.8

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    2024年04月08日