青山文平のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
なんだか青春恋愛物みたいなタイトルですが、れっきとした武家物の時代小説です。しかも主人公は致仕した老人だし。
主人公の心の声を鋭く短い文章で書き連ね、言わば点描画の点を短い線に置き換えたように、物語が形作られて行きます。文章は短いけれど、次々にミッチリと打ち出されるので、ある種の饒舌感もあります。また、時に対象を直接描くのではなく、周りを描くだけのところもあり、置いてけぼりを食いそうになります。
ひとことで言えば時代サスペンス。最初からグイグイと読ませます。
かつて城下の鉢花という桜の名所で藩主自らが佞臣達を討った大政変。後に武神とあがめられ、藩領の育成・繁栄にも力を発揮した藩主の政変を支援した「鉢花衆」の孫であり、若い頃に非情な鍛錬を強いられた主人公とその友人が、分家当主の暗殺事件の謎を追う。「いるかいないかもわからぬ(鉢花衆の残りの)一人」は誰なのか?
最後に埋まったミッシングリングは少し飛躍しすぎで、その前にもう一つ二つ、回収ネタを作って置くべきだった気がしますが、非常に印象的なエンディングでした(ただ、サスペンス色が強いという意味で私の好みからはやや外れてしまいます)。