青山文平のレビュー一覧
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「本売る日々」が面白くて続けて手に取った青山文平の短編集。
砂原浩太朗の作品を読んだばかりだったからか、同じ江戸の時代物でも文章の硬さにサラリとは読めなかった。
作者あとがきに「常温の日常をリアルに描く小説を書きたい」とあるように短編それぞれの主人公は華々しい活躍をするわけでもない。むしろ、扶持の少ない武家の厄介叔父であったり、部屋住みの武士であったり、今後をどう生きていけばいいのかと思い煩う武士の姿がリアルに描かれる。
どの時代にあっても人はその生まれる境遇を選べず、その環境も平等ではあり得ない。それでも、定められた環境で迷いながら、悩みながら歩みを進めていくのだということ。それが命を賭 -
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時代設定は江戸中期、太平の世というあたりです。
その時代の下級武士達と妻とか妻候補とを絡めた人情味豊かな短編集。短編6編で、どの作品も文章が柔らかで、つつがなく、平和の中の武士達の葛藤を面白く読みました。心情は、現代の会社員にも通じるものがあります。
共通するのは、登場女性達の、強かさ。比べて、男性陣の穏やかさ。
「つまをめとらば」は、高齢にさしかかった男二人が、しばらくの間、同居の形を取り、案外心地良いね、という事になる。結局、同居は解消して、一人は女性のところに行く。最後は女に頼ってみることにする、らしい。追い出されないか心配になるわ。
「乳付」これが一番好きです。この作品だけ女性の立場か -
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「能」の蘊蓄が9割方あり、難解な内容。
ただ、筋としては面白いので、難解な部分は読み飛ばして拾い読みした。
貧困で苦しむ弱小藩の道具役(能役者)の長男として生まれた主人公の屋島剛。母親が死亡し後妻に次男が生まれたことから後継を諦める。兄がわりを師と仰ぎ、野墓の原で「能」に励むが、師が事件を起こし自裁する。一旦全てを諦めるが、再度「能」を一人稽古する。
殿様が突然死し、藩を救うために殿様の身代わりとなる。「能」が藩を救うということで、江戸で頭角を表す。
「自分の国をちゃんとした墓参りができる国にする」という師からの言葉を自分の命題とした屋島剛は最後の手段に出る。これが衝撃的な内容だった。最後にこ -
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面白そうな内容なので 読んでみました。
藩札というものがあったという事実にびっくりしました。
時代劇だと 小判とか 銀銭とか が 流通貨だったもので・・・・
ホント 本を読むと色々な事が わかって楽しいですね。
で、この小説なのですが・・・
主人公達は 命がけで 国を良くしようと政策を考えた。
(命をすぐに捨てるのは どうかと思うけど)
実際には 昔のお役人達が どうだったかわかりませんが・・・・
義の為に 命を捨てるのは 良いってイメージがありますよね。
今の政治家って 命がけで 政策を出しているのかしら??
と、 ふと 思っちゃいました。