あらすじ
第154回(2016年)直木三十五賞
女という圧倒的リアル! 直木賞受賞作
去った女、逝った妻……瞼に浮かぶ、獰猛なまでに美しい女たちの面影はいまなお男を惑わせる。
江戸の町に乱れ咲く、男と女の性と業。
女が映し出す男の無様、そして、真価――。
太平の世に行き場を失い、人生に惑う武家の男たち。
身ひとつで生きる女ならば、答えを知っていようか――。
時代小説の新旗手が贈る傑作武家小説集。
男の心に巣食う弱さを包み込む、滋味あふれる物語、六篇を収録。
選考会時に圧倒的支持で直木賞受賞。遂に文庫化!
解説・瀧井朝世
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2015年(下期)直木賞受賞作
江戸時代中期の下級武士の世界を描く
6話からなる短編小説
①ひともうらやむ
②つゆかせぎ
③乳付
④ひと夏
⑤逢対
⑥つまをめとらば
男より女の方が逞しく、活発。男は一歩引いた落ち着きを感じる。
好きなのは⑤逢対かな
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江戸時代が背景で、お役が回ってこない下級武士たち。
それでもなまじ身分があるゆえお上と民衆に挟まれるような立場の苦悩があり、反対に、民衆はといえば身分の低さの苦労が描かれた短編時代小説です。
形や程度に差はあれど、現代にも通ずるものを感じます。
それぞれの章には救いのヒントになるような人物がおり、だいたいの話は出口が見えたような、薄日が差したようなラストになっていたように思えました。
個人的に
『乳付け』
・初産で乳が出なく、自身の子どもに乳をあげられない母親が「乳付け」に悋気しながらの葛藤しつつも、その乳付けや夫、まわりの人情を描いたお話。
『逢対』
・武士とは何かを識りたいもの、武士を地でいくものが「逢対」にてそれぞれの道を立てるお話。
の2話が特に好きな話でした。
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江戸時代あたりの夫婦だったり恋人だったり男女関係から話が展開されて最後もそこにオチをつけるような短編集。時代ものは漢字が難しいのだけど、テンポ良く読めて面白かった。長編も読んでみたいかも。
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思い当たる心の動きに、わかるわかる、ああそうかもしれない…。
気に病むという言葉があるが、特にそのあたり、深くうなずきながら読んだ。
それぞれ、同窓会でもあればAさんがどうした、Bさんがどうしたと話題に出てきそうなお話。
時代も身分も飛び越えて身近で、筆致には軽やかさと人肌のぬくもりを感じた。
せつなさあり、おかしみあり。
味があった。好きだな。
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江戸時代の町人や下級武士たちの生活をしみじみと描いた傑作。その時代に生きていた訳はないが、何故かそんな事もあるだろうなあと思わせる現代にも通じる6つの物語。表題作は隠居の身になった2人の共同生活の楽しさ、結婚への価値観など頷くことしきり。縁側に寝転んで読みたい気分になる。
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154回(2015年下半期)の直木賞受賞作品。
江戸時代を背景として、夫婦や妻について書かれた6編の短編集。
短編集よりも長編が好きだが、これは面白かった。
主に男性側の目線からみた「つま」を描いたものだが、特に3作目「乳付」は女性側の目線から書かれており、特に胸に響いた。
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しみじみと良いなあ青山文平は。どの短編もとても良い。「ひと夏」の斬り合いのシーンの描写は読んでてゾクゾクした。「逢対」の男女の描写もなんかジワリと感じるものがあった。好きだな青山文平。
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表題作「つまをめとらば」ほど、等身大の人間が描かれた作品は無い。
等身大に描くというのは、何もかもを剥き出しにすればよいというものではない。それは、誰もが普遍的に胸に秘めた、しかし言語化することは難解で、上手く形容し難い《なにか》を、数多もの語彙を用い、緻密に構成した《物語》という媒体に落とし込むことでようやく表現することが可能となる。それはどう足掻いても不完全にしかなり得ないが、完全ではないという事実が、作品への印象を玉虫色に染め上げる。この作品を「赤」と思う方もいるし、「黒」と思う方もいるだろう。はたまた「赤っぽい黒」「青っぽい緑」「白とも赤とも青ともいえないような色」など、表現することが難しい印象を覚える方もいることだろう。それは、この作品がそれだけ様々な人間に纏わる物事を含有している証拠であり、言語化することを難しく思えるその《なにか》こそ、この作品が描いた等身大であり、それに打たれた僕は、最後の頁を捲った指を震わせた後、腹の底より息を吐きながら、最大限の賛辞と拍手を贈ることしかできなくなってしまうのだ。
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非常にしっかりした、丁寧な作品だと思った。文体がきれいで、かつ余計な部分が無く、落ち着いて読めるのが気持ちいい。内容も大人で、40代中盤の今読むと味わい深い。良作だと思う。
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時代ものの短編集。男女の縁があったあと、どうなったかが色々なパターンで書かれている。設定がきっちりしているためか、1つ1つの編に読みごたえがあって楽しい。
下手をすると一揆になる藩の飛び地に一人で赴任する「ひと夏」、亡くなった妻の書いた本を読むか悩む「つゆかせぎ」、妻目線の悩みが書かれる「乳付」辺りが印象に残った。
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太平の世、江戸時代
下級武士たちの恋と友情、生活を描いた短編集
時代は変われど、男女の仲は同じ。
どの話もちょっと捻った終わり方が楽しい
ふわ~っとした読後感
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ひともうらやむ、つゆかせぎ、乳付、ひと夏、逢対、つまをめとらば
の6編。
どの作品もなんとなくさわやかな読後感が残る、柔らかい春風のような読み終わりだった。
いい作品集だった。
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苦手な時代小説だけど、直木賞受賞作ってことで。結果、これは比較的好きな方。短編集だけど、表題作が特別出来が良いってことはなく、全般的に質が高かったのもポイント。タイトルが示す通り、結婚や離婚を題材に据えた物語が並ぶんだけど、そんな中、系統を違えて提示されているのもお見事。
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時代設定は江戸中期、太平の世というあたりです。
その時代の下級武士達と妻とか妻候補とを絡めた人情味豊かな短編集。短編6編で、どの作品も文章が柔らかで、つつがなく、平和の中の武士達の葛藤を面白く読みました。心情は、現代の会社員にも通じるものがあります。
共通するのは、登場女性達の、強かさ。比べて、男性陣の穏やかさ。
「つまをめとらば」は、高齢にさしかかった男二人が、しばらくの間、同居の形を取り、案外心地良いね、という事になる。結局、同居は解消して、一人は女性のところに行く。最後は女に頼ってみることにする、らしい。追い出されないか心配になるわ。
「乳付」これが一番好きです。この作品だけ女性の立場から書かれていること。出産が今より厳しかった時代の、一族の育児の支え合いの様子が温かい。
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第154回直木賞受賞作品
でも、自分には合わなかった(笑)
六編からなる短編です。
■ひともうらやむ
■つゆかせぎ
■乳付
■ひと夏
■逢対
■つまをめとらば
どれも男と女が絡んだ物語となっています。
表題の「つまをめとらば」
これ、ちょっと想定と違って面白い。
男同士のほうが楽?
現在の結婚問題にも通じるところがあるのかもと感じました。
一方、登場する女性
これまた力強い
やっぱり、男って駄目ね(笑)
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甘じょっぱい、ほろ苦いのような、
暖かさの中にちょっとスパイシーな酸味が溶けています。
(以下抜粋)
○乳の要るところに乳がなく、乳の要らぬところに乳がある。わたくしたちは乳付けで、その酷さに挑まなければなりません
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藤沢周平の方が好きだな。
つまをめとらばは、面白い話しばかりだと思うけど、
料理で例えるなら味付けが濃くて…この1冊でお腹いっぱい。
藤沢作品の様に、味付けは薄く、でもダシは良く味わえる作品の方が好み。
全体が現代の匂いがする。
江戸時代の情緒が漂わなかったなぁ。
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山本周五郎さんと対極にあたる「めおと感」
直木賞受賞作、この短編集にある小説の数々に思いました
「夫婦ってなんだろう」と突き詰めれば様々に答えが出てくるのですし
これが決定版とか、超現代の様相だからとか結論付けはありません
池波正太郎さんは洒脱の中に深くあたたかい愛情
司馬遼太郎さんはユーモアにくるんだ慕情
そして山本周五郎さんは厳しいまでの自律を経ての愛情
「めおと感」を時代小説として表した過去の作家たちを見て思うとき
はて
青山文平さんの「めおと感」はかなり異色
突き放されて、突き放して何が何だかわからなくなってくるのが
現代っぽいというか、現代に即しているというのか
つまり、夫婦をやっておりますと
ポロポロこぼれ落ちるものや、ボロボロになるものがあって
両者とも「私が正しい」「私は間違っていない」になるんだとさ
そう言えば藤沢周平さんの「めおと感」は何だっけ?
わたしは感知していないよう、わからない、残念
というのも、周五郎→周平→文平さんの印象だから