【感想・ネタバレ】半席(新潮文庫)のレビュー

ユーザーレビュー

Posted by ブクログ 2019年06月30日

父は、御目見以上の役に就いて旗本になったが、その後役を解かれて御家人に戻った。一代御目見以上だった。片岡直人は、今の半席の状態からもう一度御目見以上になり、子も生まれた時から旗本である永々御目見以上になるのをを目指している。今の徒目付は、そのための腰掛のつもりであったのだが、次第に徒目付の表の仕事は...続きを読むもとより、徒目付組頭の内藤正之から押し付けられる幾つもの裏の仕事に魅力を感じていく。この裏の仕事とは、決着がついて刑が決まったしまった科人が、なぜそんな罪を犯したか明らかにするというものだ。謎を解くための着想を得る過程が、なかなかに面白い。その中で、片岡は成長していくのだ。片岡の心の動きを読んでいくのは、魅力的であった。終わり方も、さわやかでいい。

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Posted by ブクログ 2019年06月11日

半席の身を脱し勘定役へと転身し旗本格を得たいと考えていた主人公が、徒目付での上司である内藤の「たのまれ御用」を努めるうちに、武家社会の摂理を自ら感じ取っていく目付の仕事に魅了されていくお話。

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Posted by ブクログ 2019年04月15日

良い本だった。
各編の最初の組織、役職の説明はなかなか頭に入らない所もあったが、ストーリーは見事なものだった。
とりわけ「六台目中村庄蔵」には、グッとくるのがものがあり感動させられた。
本書で青山文平は見事な作家だと再認識した。

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Posted by ブクログ 2019年01月16日

『おすすめ文庫王国』の国内ミステリ部門で1位だったので購入。
最初は「時代小説なのに?ミステリ1位?」と思ったけれど、これは紛れもなくミステリだ!「何故」を追求するホワイダニットを時代小説で描いた、斬新なミステリ。
旗本を目指す徒目付の片岡直人が、徒目付組頭の内藤雅之に頼まれ、既に片が付いている事件...続きを読むの「何故」を追求していく連作短編集。何故そんな死に方をしたのか?何故慕っていた人を殺してしまったのか?追求されずとも良いこと。されど知ってスッキリしたいこと。それを探るのが直人の役目。
人情味溢れる時代小説でもあり、普通とはちょっと違うグッとくるミステリでもある。これは面白い!

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年03月18日

ミステリといっていいかどうかは正直、首をかしげるところ。「なぜ」をテーマにしているから、そうだといえばそうだろうが、時代性もあってなんとも言えない。しかし、通常の小説として読めば、その時代性が生きてくる。武士独特の矜持などが事件の背景にあり、その心情を読み解いていく過程と、事件を通じて成長していく主...続きを読む人公の姿が楽しい。

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Posted by ブクログ 2019年03月03日

本書のタイトル「半席」って何ぞや?と思って調べてみたところ、当時は世襲で役職を継ぐ身分になるためには1人が2回御役目につくか、父子二代で2回御役目につく必要があり、その規定に達していない場合は一代限り「半席」の身の上である、ということだそうです。
主人公の徒目付(幕臣の監察をする役職)である片岡直人...続きを読むはまさにこの「半席」の立場であり、やがて生まれてくるであろう自身の子供たちには苦労させたくないとの思いから、何とか出世して「半席」の身の上から脱したいと考えています。そんな直人の元に上司である内藤雅之が時々非公式な「頼まれ御用」を持ってきて、事件の真相を探っていく、というのが各編の基本的なフォーマットになっています。

いつもの青山文平作品と違わず、渋いです。江戸時代末期という、ある種成熟した武家社会を舞台に、人間の奥深い部分に光を当てようとしています。個人的には1、2、6編目が特に面白く読めました。今の仕事は出世のための踏み台程度にしか考えていなかった直人が徐々にその魅力に引き込まれていく様も良かったです。
一定以上のレベルの作品ではあるのですが、各編で直人の身の上について似たような説明が繰り返し書かれているのはちょっといただけないですね。恐らくバラバラな時期に発表されたのだと推察しますが、初出時は仕方ないにせよ、単行本化の際には削るべきだったと思いました。また事件そのものも割とあっさり決着している印象で、もう一ひねりあればなあという欲張りな思いも抱いてしまいました。

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Posted by ブクログ 2018年12月18日

このミス2017年版4位。時代ものの連作短編集。とても質の高い小説。残念ながら自分が時代小説にあんまり馴染みがないので、聞きなれない単語でいちいちひっかかってなかなかスムーズに読み進めれず、研ぎ澄まされた表現の美しさやリズム感を感じられなかったような気がする。風景描写などもやや退屈に感じた。それでも...続きを読む、読み手に優しい本で、編ごとに何回も"半席"や"徒目付"などの主人公の立場や社会の仕組みなどの背景を説明してくれて良く理解できた。謎解きも鮮やか。

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