青山文平のレビュー一覧

  • 跳ぶ男
    学生時代に縁があり能に多少関わって、沢山の舞台や演者の方を観させて頂いた事を思い出しました。江戸時代の「能」を通して、見事過ぎる武士の生き方を描いた傑作と思います。小説の筋とは関係ないですが、能には色々なものがあり、例えば佐渡ヶ島には沢山の能舞台が残っているのですが、そんな農村で演じられたお能なども...続きを読む
  • 本売る日々
    は〜、すごい。着地点もお見事としか言いようがない。
    褒める点しか無い一冊。
    「底惚れ」がなんてったってすごかったから、そりゃ期待はして手に取ったけれど想像を遥か遙か超えて圧倒的に面白い。
    小説を読むのって、面白いんだよね、理屈じゃないんだよね、と純粋に感動させてもらえて感謝の念さえ浮かぶほど。
    「こ...続きを読む
  • 底惚れ
    これは凄い本です。「江戸染まぬ」の結末がとても切なかったのだけど、振り払う後日談でした。こんな続きを書ける作家さんに出会えてよかった。
  • 本売る日々
    本当に凄い本だった。私が書店員だったら本屋大賞にこの本を投票したい。
    時代ものは苦手意識があったけれど、本を売る話が3遍で非常に読みやすかったし書物がいかに重要であったかも書かれていて共感できるところも多かった。
    何より「初めての開板」のラストは圧巻。
    本好きにはたまらない時代小説だと思う。
  • 父がしたこと
    一気読み。参勤交代で痔になる大名。初耳。大変だ。エコノミークラス症候群も多発していただろうな。「父のしたこと」まったく肯定できないが、それが忠臣という時代…。それにしても、あまりに実直…。教科書でしか知らない江戸時代の蘭方医が、生きた“お医者さん”として目の前に。資料探しも大変だったろうな青山さん。...続きを読む
  • 本売る日々
     先般電子書籍に関する本を読んでいたので、江戸時代の本屋の話を読んでみた。時代は文政年間、本が好きで本屋になった男が主人公。三つの中編からなる。

     「本売る日々」は、71歳の名主と後妻に迎えた女郎上がりの17歳の娘との関係を描いている。

     「鬼に喰われた女」は、和歌に関係した男女の関係を八百比丘...続きを読む
  • 半席(新潮文庫)
    ☆4.5

    御家人から旗本への出世を目指し、徒目付の仕事に真面目に取り組んでいる片岡直人は、徒目付組頭の内藤雅之に外部からの頼まれ御用を度々任されてしまう。
    出世に関わりない仕事であるのに、その面白さとやりがいに、自らの狭い視界を広げさせてゆく。
    六編収録の連作短編集。
    事件が起きても、犯人の自白と...続きを読む
  • 白樫の樹の下で
    「やっと訪れた春に」がオモシロかった青山文平を追っかけてみようとデビュー作(別ペンネームでは既刊ありらしい)を読んでみた。

    リズムに乗らず若干読みづらさもあるが、物語の構成は天才的。無差別辻切りの犯人捜しミステリーとしても、剣豪小説としても、青春友情譚としても、十分に読ませて熱量もあって、良くこの...続きを読む
  • 父がしたこと
    物語の前半はちょっと読みにくい、ちょっとこの世界に入りにくいところもあるが、中盤以降は青山文平ワールドに浸ることができた。青山氏の本は残らず読んでいるが、今回も期待に違わず最後まで一気読みしてしまった。
    隠居した父の年齢を超えているせいか、主人公よりも父に感情移入するところが多かった。
    願うしか救い...続きを読む
  • 本売る日々
    読み始めは、あまり興味を感じない内容でしたが、読み進めていくうちに、段々と物語の中に引き込まれていきました。本の装丁も凄く素敵で、またこの作者の本を読んでみたくなりました。
  • 本売る日々
    新刊案内でタイトルとあらすじ読んで読みたくなった『本売る日々』(青山文平)。

    本の行商人という『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語 』(内田洋子)に似たようなものを感じたからかもしれない。

    今でこそいろんな書物があり、インフラが整えられてそれらをすぐに手に入れる手段がある。

    そしてネッ...続きを読む
  • 底惚れ

    この春に生まれた川海老が泳いでいるのに、ようやく気づいた。 ー修羅場を経てジタバタした後、ふと目に入る小さな当たり前の日常 この瞬間って幸せ

    いつ芳が登場するのかと思いながら読んだ。
  • やっと訪れた春に
    本家と分家、交代で藩主を出していた橋倉藩では十四代目当主候補岩杉重政が相続を辞退し、ようやくその分裂めいた状況が終息するかに見えた…が、重政暗殺により事態は急変、本家分家それぞれの近習目付であり幼馴染であり親友の長沢圭史と団藤匠が暗殺犯を追う。

    事件の成り立ちも、登場人物たちの動きも思想も、間違い...続きを読む
  • 跳ぶ男
    能とはが感じた。わかったとは言えないのですが。江戸時代は自分を通して生きることが大変な時代!!
    でも、女性が出たかなかったよ。
  • 本売る日々
    本の行商人が出会う市井の教養人たち。江戸時代の田舎風景を伝える味わい深い逸品、連作集。

    本を通じた人と人の関わり。真の教養とであったり人生の味わいについて教えてくれる小説。
  • 本売る日々
    江戸時代の本屋。お得意先の老人が少女のような妻を娶ったと聞いた話、結婚するはずの男に裏切られた女の話、名医か判断し難い医者の話。加えて当時の本屋の商売や、「芥子園画伝」「古事記伝」「伊勢物語」「群書類従」 「梁塵秘抄」「傷寒論」などの蘊蓄多数。

    本屋商売+古典蘊蓄+人情=面白かった
  • 本売る日々
    「松月堂」は物之本(もののほん)を商う本屋。
    物之本とは、『根本』『本来』の本であり〈物事の本質を意味する〉本だ。
    P16より。

    「本売る日々」「鬼に喰われた女」「初めての開版」
    3編に通じるのは本への強い結びつき。
    「本売る日々」
    惣兵衛は新造のため画伝を欲しいと小判を何枚も積む。
    だが渡すこと...続きを読む
  • やっと訪れた春に
    本家と分家が交互に藩主を出すという極めて不安定な事情を抱えた藩で、両家の当主を支えながら藩の政治の安定を図ってきた二人の壮年の侍。藩の中興の祖から続く因縁を密かに抱えながら、厚い友情で結ばれ苦楽を共にしてきたが、重臣の暗殺により思わぬ展開を見せる。あらすじといい、登場人物の魅力といい、素晴らしい歴史...続きを読む
  • 底惚れ
    時代小説なのに、ビジネス小説っぽい。なんかいい感じ。第17回中央公論文芸賞受賞作。
    社会の底辺で暮らしていた男が、恩人の女にお礼を言いたいがために、入江町の岡場所で女郎屋を開く。女郎が来たくなるお店にするため、1人一部屋、一回に1人だけ客をとるシステムで、儲けはあまり考えない。しかし、お店の数を増や...続きを読む
  • 底惚れ
    主人公の胸の内がぐるぐると思い巡らされる様を、余計なものを削ぎ落として、粋な江戸っ子の語り口だけで描くリズム感が小気味いい。主人公の一途な思いと執念が迫ってきて、一気に読み通した。予想もしなかった終盤の展開が素晴らしく、そして表題の意味するところが分かったときには、もう一人の一途な思いが静かに展開し...続きを読む