青山文平のレビュー一覧
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本書のタイトル「半席」って何ぞや?と思って調べてみたところ、当時は世襲で役職を継ぐ身分になるためには1人が2回御役目につくか、父子二代で2回御役目につく必要があり、その規定に達していない場合は一代限り「半席」の身の上である、ということだそうです。
主人公の徒目付(幕臣の監察をする役職)である片岡直人はまさにこの「半席」の立場であり、やがて生まれてくるであろう自身の子供たちには苦労させたくないとの思いから、何とか出世して「半席」の身の上から脱したいと考えています。そんな直人の元に上司である内藤雅之が時々非公式な「頼まれ御用」を持ってきて、事件の真相を探っていく、というのが各編の基本的なフォーマッ -
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山本周五郎さんと対極にあたる「めおと感」
直木賞受賞作、この短編集にある小説の数々に思いました
「夫婦ってなんだろう」と突き詰めれば様々に答えが出てくるのですし
これが決定版とか、超現代の様相だからとか結論付けはありません
池波正太郎さんは洒脱の中に深くあたたかい愛情
司馬遼太郎さんはユーモアにくるんだ慕情
そして山本周五郎さんは厳しいまでの自律を経ての愛情
「めおと感」を時代小説として表した過去の作家たちを見て思うとき
はて
青山文平さんの「めおと感」はかなり異色
突き放されて、突き放して何が何だかわからなくなってくるのが
現代っぽいというか、現代に即しているというのか