山本周五郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ11篇からなる短編集。
「おもかげ抄」
周囲から甘次郎と呼ばれるほどに女房に甘い鎌田孫次郎は、腕も確かで武士を助けたことで仕官の道が開ける。しかし孫次郎の妻は、本当は既に亡くなっていて…。
「三年目」
大工の友吉は博打から足を洗うために、許婚のお菊を信頼できる友、角太郎に預けて上方に旅立った。しかし戻ってみるとふたりは夫婦となっており、怒りに駆られた友吉はふたりの住処を捜し当て…。誤解が解けてよかった!
「風流化物屋敷」
おおらかな性格の武士、御座平之助が化物屋敷と名高い屋敷に越してくる。日々、物音がしたり化物が脅かしてくるが平之助は平気の平左、ちっとも動じない。賭場として使いたいがために博打打ちたちが化物屋敷として広めていたというのがオチ。
「人情裏長屋」
松村信兵衛は優れた剣客であり、弱きに優しい武士である。長屋の住人とも親しくしていたが、ある日ひとりの浪人に親切にしてやると、浪人は信兵衛に赤子を押し付けて消えてしまう。酒を断ち、赤子を育てるが…。
「泥棒と若殿」
藩の後継ぎ争いに巻き込まれた末に孤独に貧しく暮らしていた武士の屋敷に伝九郎という名の泥棒が押し入る。あまりの窮乏に見かねた伝九郎は武士の世話を焼いてやり、ふたりは楽しく暮らしていた。そこへ藩からの迎えがきて…。「信さん、行ってしまうのか」の台詞が切ない。
「長屋天一坊」
長屋の家主である吾助は業突く張りの嫌われ者。女房と娘もそれに張る強烈な性格の持ち主。吾助が家系図に興味を持ったことから起きる騒動。
「ゆうれい貸屋」
職人の弥六は芸妓の幽霊お染と意気投合し、幽霊を貸す商売を始める。しかし思うように働いてもらえなかったり、人間に負けて返ってくる幽霊も。すったもんだの末に実家に帰っていた女房とやり直すことになる。
「雪の上の霜」
「雨あがる」の続編。伊兵衛は武芸には優れているが、優しすぎる性格が災いして仕官の道を見出せない。病気の妻おたよを養うために街道で荷物運びをして日銭を稼ぐが、人足達から縄張り荒らしだと責められ…。己の立身出世よりも他人が虐げられることに我慢がならない伊兵衛を支える妻の姿が微笑ましい。
「秋の駕籠」
駕籠屋の相棒である六助と中次は、普段は一緒に暮らすほどに仲がいいが、時折つまらないことで喧嘩をする。ある日、払いのいい客を乗せて箱根まで行くが、途中でその客を追ってきた男にそいつは詐欺師なのだと教えられる。タダ働きかと意気消沈するふたりだったが…。
「豹」
正三は兄が死んでから、義姉と甥が暮らす家に寄宿していた。ニュースで近くの動物園から豹が脱走したと知り…。女の生々しさと情。
「麦藁帽子」
偶然であった老人から昔話を聞く。いったいどこまでが真実だったのか、それとも全てが老人の紡ぐ物語だったのか。 -
Posted by ブクログ
頭の天辺から指の先まで神経が通っているような、完璧な世界感。武家女性たちが生み出す張り詰めた空気と凛然さが、行間からひしひしと。古代日本女性は美しいです。が、今の私には眩しすぎて。。こんなに強くなれないよ。。緩みきって、漫然と日々を過ごしていると、緊張感でバリアされた作品世界に、入りこむこともできないのです。遠くから傍観、眺めるばかり。完全に読み手側の問題。我が身の未熟さを痛感し、縮こまった一冊。肩身が狭くなったけど、背筋は伸びた。文壇の重鎮の作品はやっぱり奥が深いです。婦道っていうからお説教されるかと思いきや、山本周五郎の女性への深い敬愛を感じたよ。もう少し共感できるような強さをもてたら再読してみたいかも。
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Posted by ブクログ
全1巻。
短編集。
全部で10本いり。
・青竹
珍しい歴史小説。潔い武士の心持ち。
泣ける。
・夕霞の中
復讐しようとする男の人情劇。
・みずぐるま
シンデレラストーリー。
・葦は見ていた
青春時代の全てを投げ打つ程の愛と、
その愛から立ち直った後、壮年になってからとの対比。
・夜の辛夷
岡場所で必死に生きる女と、
たまたま客になった訳あり男の人情劇。
・並木河岸
ダメになりそうな夫婦が立ち直るきっかけは。
・その木戸を通って
記憶喪失の女と、その夫になった男。
・おさん
悲しい女の性に振り回される女と男達。
・偸盗
平安時代の大泥棒の物語が演劇調に展開する
コミカルで不思議な話。
・饒舌り過ぎる
無口なのとおしゃべりなのの友情物語。
ほっこりする。
青竹と、偸盗と、饒舌り過ぎるが好きだった。