山本周五郎のレビュー一覧

  • 雨のみちのく・独居のたのしみ

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    歳末に往来を行く女に貧の哀れを感じる著者の目は矢張り市井人情を描いてきた名人のもの。気骨あるがどこかユーモラスな懐かしい文人。

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    2012年10月20日
  • 彦左衛門外記

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    大久保彦左衛門おだて、家康のお墨付きを偽造、天下のご意見番に。性愛の表現があけっぴろげで、明るい内容の一部を成している。ただ、周五郎の作品だからと読むとがっかりするかも。12.10.18

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    2012年10月19日
  • ながい坂(上)

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    時代小説を嫌煙してはいけないね。ここには現代社会にも通じる事が沢山ある。
    三浦や滝沢の経験すること、思うことは時代に関わらない。谷の言も真理をついている。
    下巻、すぐに読むぞ〜。

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    2012年10月17日
  • 小説 日本婦道記

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    結果的に唯一の直木賞辞退作である同作を再読、全く覚えていなかった。
    やけにひらがなが多い文章で少々鬱陶しいが、整然とした文体で現代の作家にはあまり見られない品の良さがある。
    とは言いつつ少しばかり内容に浸り切れない感あり、これは書かれた時代のせいかもしれない。ただ最後の『二十三年』は秀逸、これで★を一つ上げた。

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    2012年09月23日
  • 五瓣の椿

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    映画やドラマになったら面白いんだけれど、本書を読むとどうも間が抜けている気がする。完全に犯罪が成立しないような。

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    2012年08月29日
  • 人情裏長屋

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    ネタバレ

    11篇からなる短編集。

    「おもかげ抄」
    周囲から甘次郎と呼ばれるほどに女房に甘い鎌田孫次郎は、腕も確かで武士を助けたことで仕官の道が開ける。しかし孫次郎の妻は、本当は既に亡くなっていて…。

    「三年目」
    大工の友吉は博打から足を洗うために、許婚のお菊を信頼できる友、角太郎に預けて上方に旅立った。しかし戻ってみるとふたりは夫婦となっており、怒りに駆られた友吉はふたりの住処を捜し当て…。誤解が解けてよかった!

    「風流化物屋敷」
    おおらかな性格の武士、御座平之助が化物屋敷と名高い屋敷に越してくる。日々、物音がしたり化物が脅かしてくるが平之助は平気の平左、ちっとも動じない。賭場として使いたいがために博打打ちたちが化物屋敷として広めていたというのがオチ。

    「人情裏長屋」
    松村信兵衛は優れた剣客であり、弱きに優しい武士である。長屋の住人とも親しくしていたが、ある日ひとりの浪人に親切にしてやると、浪人は信兵衛に赤子を押し付けて消えてしまう。酒を断ち、赤子を育てるが…。

    「泥棒と若殿」
    藩の後継ぎ争いに巻き込まれた末に孤独に貧しく暮らしていた武士の屋敷に伝九郎という名の泥棒が押し入る。あまりの窮乏に見かねた伝九郎は武士の世話を焼いてやり、ふたりは楽しく暮らしていた。そこへ藩からの迎えがきて…。「信さん、行ってしまうのか」の台詞が切ない。

    「長屋天一坊」
    長屋の家主である吾助は業突く張りの嫌われ者。女房と娘もそれに張る強烈な性格の持ち主。吾助が家系図に興味を持ったことから起きる騒動。

    「ゆうれい貸屋」
    職人の弥六は芸妓の幽霊お染と意気投合し、幽霊を貸す商売を始める。しかし思うように働いてもらえなかったり、人間に負けて返ってくる幽霊も。すったもんだの末に実家に帰っていた女房とやり直すことになる。

    「雪の上の霜」
    「雨あがる」の続編。伊兵衛は武芸には優れているが、優しすぎる性格が災いして仕官の道を見出せない。病気の妻おたよを養うために街道で荷物運びをして日銭を稼ぐが、人足達から縄張り荒らしだと責められ…。己の立身出世よりも他人が虐げられることに我慢がならない伊兵衛を支える妻の姿が微笑ましい。

    「秋の駕籠」
    駕籠屋の相棒である六助と中次は、普段は一緒に暮らすほどに仲がいいが、時折つまらないことで喧嘩をする。ある日、払いのいい客を乗せて箱根まで行くが、途中でその客を追ってきた男にそいつは詐欺師なのだと教えられる。タダ働きかと意気消沈するふたりだったが…。

    「豹」
    正三は兄が死んでから、義姉と甥が暮らす家に寄宿していた。ニュースで近くの動物園から豹が脱走したと知り…。女の生々しさと情。

    「麦藁帽子」
    偶然であった老人から昔話を聞く。いったいどこまでが真実だったのか、それとも全てが老人の紡ぐ物語だったのか。

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    2012年09月06日
  • ならぬ堪忍

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    「私の書いた戦前のものは「日本婦道記」以外はすべて焼き捨ててくれ」と語っていたらしいが、戦前の13の短編。
    「千本仕合」「宗近新八郎」「米の武士道」など気持ちのいい短編もあるが、「あれ、これが周五郎?」という拙い感じのものもあって面白い。

    「武道は寧ろ武家の外にある。」「忠、不忠は世の批判のほかにあり。」「つまり、それは「なる堪忍」。さむらいにはご奉公の他にならぬ堪忍などない。」行動にすべて絶対基準を設け、生死も利害も小さなもので正義と面子にすべてをかける生き方はすがすがしい。

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    2012年07月27日
  • 雨のみちのく・独居のたのしみ

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    周五郎の随筆集。貧困、忍耐、頑固のイメージのある作者にユーモアがある面も見せてくれる。12.6.16

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    2012年06月16日
  • ひとごろし

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    昭和の初期の作品から30年代までの作品を集めた短編集 。筆者晩年の追求テーマは "無償の奉仕"。 短い物語の中に人々がもつ悲しさと意思のある行動をしっくりはめる。流石です。最初の作品壺は特にオススメ。生きる "極意"を学ぶ事ができます。

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    2012年07月29日
  • 山彦乙女

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    柳沢吉保が権勢を誇った時代、半之介は幼い頃に「かんば沢」という奇怪な土地の話を叔父から聞いていた。武田家再興を願う一族に縁のある地、「かんば沢」を調査していた叔父はその後、狂人となり失踪してしまう。成長した半之介は叔父が残した書付を見付け、どうしようもなく魅了され…。

    通勤途中に読み終えたのですが、半之介のように全てを捨てられたら幸せだろうなぁとぼんやりと駅の雑踏を眺めてしまった。気持ちが落ち込んでいるときには読まないほうがいいようです。

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    2012年05月08日
  • あんちゃん

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    後半の数編、ノウゼンカズラやあんちゃんはあまり面白くなかった。長編に見る細部の緻密さがない。
    これだけの文豪にも駄作があるのか、とちょっと安心。

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    2012年04月18日
  • 小説 日本婦道記

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    頭の天辺から指の先まで神経が通っているような、完璧な世界感。武家女性たちが生み出す張り詰めた空気と凛然さが、行間からひしひしと。古代日本女性は美しいです。が、今の私には眩しすぎて。。こんなに強くなれないよ。。緩みきって、漫然と日々を過ごしていると、緊張感でバリアされた作品世界に、入りこむこともできないのです。遠くから傍観、眺めるばかり。完全に読み手側の問題。我が身の未熟さを痛感し、縮こまった一冊。肩身が狭くなったけど、背筋は伸びた。文壇の重鎮の作品はやっぱり奥が深いです。婦道っていうからお説教されるかと思いきや、山本周五郎の女性への深い敬愛を感じたよ。もう少し共感できるような強さをもてたら再読してみたいかも。

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    2012年03月03日
  • 季節のない街

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    貧民街に住む個性的な人達の日常生活を描いた作品。

    貧しさゆえ常にありのままをさらけ出して生きる人達の姿は悪く言えば下品かもしれないですが、虚飾だらけの現代人には羨望を覚えるところもあります。

    人物は個性的で面白いのですが、可笑しさの中にもどこかに哀しみがあり、その妙な現実味がこの作品の不思議な魅力の一部になっていると感じました。

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    2012年02月11日
  • 雨の山吹

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    江戸時代の恋愛を描いた小説。
    現代の小説でいうと、2人をさえぎるのは病気であったり、死であったりするけれど、
    江戸時代は身分違いや格式だったりする。

    時代で恋愛も変わるもんだね。

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    2012年02月08日
  • 花も刀も

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    花も刀も

    山本周五郎の初期から後期までの幅広いジャンルの短編集。ちょっとおかしいのからシリアスなのものまで、時代劇も現代物も合わせて。

    三部大作を読み終えたあとでは短編ではやはり物足りない感があるのは事実だがそれでも読み応えはある。

    タイトルにもなっている花も刀もは剣術に生きる主人公が剣の道、人との付き合い、食べていく方法で大いに葛藤する姿を書いている。誰も間違ってはいないが信念が受け入れられない主人公の歯痒さをつい自分の経験に当てはめて読んでしまう作品だ。

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    2015年05月12日
  • ちいさこべ

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    「ちいさこべ」は舞台を見ていたので読みやすかった。「花筵」と「ちくしょう谷」はどちらも興味深い。「へちまの木」は面白くなかったなー。

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    2012年02月01日
  • 小説 日本婦道記

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    昔から女性は(妻は)「こうであればいいな~。」と思われてきたような登場人物が次々と出てくる話。
    現代においては(ここに出てきたような)こんな女性達は少ないかもしれない。

    実際にはあんなに耐える尽くす女性にはなれないけれど、
    でも昔から日本において美徳とされてきた女性達の気持ちは、全く他人事という訳でもなかった。

    私も(一応)日本の女性だからだろうか。。(笑)

    短編の割に読みやすかった。(^^)

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    2012年01月13日
  • 青べか物語

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    余所者である私が「蒸気河岸の先生」として浦安の町を訪れ、住人たちの物語や3年間にわたる彼らとの触れ合いを描く。狡猾だがしかし質朴な個性あふれる町の住人たちの克明な描写が秀逸。徹底して部外者としての視点を貫き、冷静に回顧している点が特徴的である。

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    2012年01月08日
  • 柳橋物語・むかしも今も

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    全1巻。
    短編集。
    柳橋物語、むかしも今もの
    2本入り。

    ・柳橋物語
    とにかく不幸続きの女が
    最後に見つけた愛。

    ・むかしも今も
    ぐずでのろまで愚直な男が
    最後に手に入れた愛。


    柳橋物語はとにかく不幸。
    読んでて気がめいってくる。

    むかしも今ももずっと不幸。
    だけど最後少しだけほっこりする。

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    2011年12月05日
  • おさん

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    全1巻。
    短編集。
    全部で10本いり。

    ・青竹
    珍しい歴史小説。潔い武士の心持ち。
    泣ける。

    ・夕霞の中
    復讐しようとする男の人情劇。

    ・みずぐるま
    シンデレラストーリー。

    ・葦は見ていた
    青春時代の全てを投げ打つ程の愛と、
    その愛から立ち直った後、壮年になってからとの対比。

    ・夜の辛夷
    岡場所で必死に生きる女と、
    たまたま客になった訳あり男の人情劇。

    ・並木河岸
    ダメになりそうな夫婦が立ち直るきっかけは。

    ・その木戸を通って
    記憶喪失の女と、その夫になった男。

    ・おさん
    悲しい女の性に振り回される女と男達。

    ・偸盗
    平安時代の大泥棒の物語が演劇調に展開する
    コミカルで不思議な話。

    ・饒舌り過ぎる
    無口なのとおしゃべりなのの友情物語。
    ほっこりする。


    青竹と、偸盗と、饒舌り過ぎるが好きだった。

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    2011年12月05日