山本周五郎のレビュー一覧

  • 虚空遍歴(下)

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    「人間のすることでむだ骨折りだということはなに一つないと思います。」おけい
    「死ぬことはこの世から消えてなくなることではなく、その人間が生きていた、という事実を証明するものなのだ、死は、人間の一生にしめ括りをつけ、その生涯を完成させるものだ、消滅ではなく完成だ」中也

    解説を見ると、山本周五郎自身を表現しているのではとのこと。

    世間の評価と自分の評価が合わないときの可笑しさ、悲しさを味わえる。

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    2018年11月25日
  • 季節のない街

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    昭和の時代にはこんな街があちこちにあったような感じ。近所同士が裸の付き合いをする。スマートでないが、滑稽でもあるが、極めてまじめにがむしゃらに生きている。そして生き生きしている。「がんもどき」がよかった。12.12.1

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    2012年12月01日
  • 虚空遍歴(上)

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    印象に残った台詞
    冲也「若いとき人を殺し盗みをはたらき、悪事の限りをつくしながら、のちに名僧聖人と呼ばれるようになった人の例もある。どうやら人間は死ぬまで見ていないとわからないらしいからな」
    洒竹「世間にゃあ表と裏がある、どんなにきれい事にみえる物だって、裏を返せばいやらしい仕掛のないもの稀だ、それが世間ていうもんだし、その世間で生きてゆく以上、眼をつぶるものには眼をつぶるくらいの、おとなの肚がなくちゃあならねぇ」

    下巻が楽しみだ。

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    2018年11月25日
  • 生きている源八

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    読後感がさわやかな短編集。「生きている源八」戦争の形勢が不利になり、統制が厳しかったと思しき時の微妙な作品。12.10.27

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    2012年10月27日
  • 雨のみちのく・独居のたのしみ

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    歳末に往来を行く女に貧の哀れを感じる著者の目は矢張り市井人情を描いてきた名人のもの。気骨あるがどこかユーモラスな懐かしい文人。

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    2012年10月20日
  • 彦左衛門外記

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    大久保彦左衛門おだて、家康のお墨付きを偽造、天下のご意見番に。性愛の表現があけっぴろげで、明るい内容の一部を成している。ただ、周五郎の作品だからと読むとがっかりするかも。12.10.18

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    2012年10月19日
  • ながい坂(上)

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    時代小説を嫌煙してはいけないね。ここには現代社会にも通じる事が沢山ある。
    三浦や滝沢の経験すること、思うことは時代に関わらない。谷の言も真理をついている。
    下巻、すぐに読むぞ〜。

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    2012年10月17日
  • 小説 日本婦道記

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    結果的に唯一の直木賞辞退作である同作を再読、全く覚えていなかった。
    やけにひらがなが多い文章で少々鬱陶しいが、整然とした文体で現代の作家にはあまり見られない品の良さがある。
    とは言いつつ少しばかり内容に浸り切れない感あり、これは書かれた時代のせいかもしれない。ただ最後の『二十三年』は秀逸、これで★を一つ上げた。

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    2012年09月23日
  • 五瓣の椿

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    映画やドラマになったら面白いんだけれど、本書を読むとどうも間が抜けている気がする。完全に犯罪が成立しないような。

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    2012年08月29日
  • 人情裏長屋

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    ネタバレ

    11篇からなる短編集。

    「おもかげ抄」
    周囲から甘次郎と呼ばれるほどに女房に甘い鎌田孫次郎は、腕も確かで武士を助けたことで仕官の道が開ける。しかし孫次郎の妻は、本当は既に亡くなっていて…。

    「三年目」
    大工の友吉は博打から足を洗うために、許婚のお菊を信頼できる友、角太郎に預けて上方に旅立った。しかし戻ってみるとふたりは夫婦となっており、怒りに駆られた友吉はふたりの住処を捜し当て…。誤解が解けてよかった!

    「風流化物屋敷」
    おおらかな性格の武士、御座平之助が化物屋敷と名高い屋敷に越してくる。日々、物音がしたり化物が脅かしてくるが平之助は平気の平左、ちっとも動じない。賭場として使いたいがため

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    2012年09月06日
  • ならぬ堪忍

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    「私の書いた戦前のものは「日本婦道記」以外はすべて焼き捨ててくれ」と語っていたらしいが、戦前の13の短編。
    「千本仕合」「宗近新八郎」「米の武士道」など気持ちのいい短編もあるが、「あれ、これが周五郎?」という拙い感じのものもあって面白い。

    「武道は寧ろ武家の外にある。」「忠、不忠は世の批判のほかにあり。」「つまり、それは「なる堪忍」。さむらいにはご奉公の他にならぬ堪忍などない。」行動にすべて絶対基準を設け、生死も利害も小さなもので正義と面子にすべてをかける生き方はすがすがしい。

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    2012年07月27日
  • 雨のみちのく・独居のたのしみ

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    周五郎の随筆集。貧困、忍耐、頑固のイメージのある作者にユーモアがある面も見せてくれる。12.6.16

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    2012年06月16日
  • ひとごろし

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    昭和の初期の作品から30年代までの作品を集めた短編集 。筆者晩年の追求テーマは "無償の奉仕"。 短い物語の中に人々がもつ悲しさと意思のある行動をしっくりはめる。流石です。最初の作品壺は特にオススメ。生きる "極意"を学ぶ事ができます。

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    2012年07月29日
  • 山彦乙女

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    柳沢吉保が権勢を誇った時代、半之介は幼い頃に「かんば沢」という奇怪な土地の話を叔父から聞いていた。武田家再興を願う一族に縁のある地、「かんば沢」を調査していた叔父はその後、狂人となり失踪してしまう。成長した半之介は叔父が残した書付を見付け、どうしようもなく魅了され…。

    通勤途中に読み終えたのですが、半之介のように全てを捨てられたら幸せだろうなぁとぼんやりと駅の雑踏を眺めてしまった。気持ちが落ち込んでいるときには読まないほうがいいようです。

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    2012年05月08日
  • あんちゃん

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    後半の数編、ノウゼンカズラやあんちゃんはあまり面白くなかった。長編に見る細部の緻密さがない。
    これだけの文豪にも駄作があるのか、とちょっと安心。

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    2012年04月18日
  • 小説 日本婦道記

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    頭の天辺から指の先まで神経が通っているような、完璧な世界感。武家女性たちが生み出す張り詰めた空気と凛然さが、行間からひしひしと。古代日本女性は美しいです。が、今の私には眩しすぎて。。こんなに強くなれないよ。。緩みきって、漫然と日々を過ごしていると、緊張感でバリアされた作品世界に、入りこむこともできないのです。遠くから傍観、眺めるばかり。完全に読み手側の問題。我が身の未熟さを痛感し、縮こまった一冊。肩身が狭くなったけど、背筋は伸びた。文壇の重鎮の作品はやっぱり奥が深いです。婦道っていうからお説教されるかと思いきや、山本周五郎の女性への深い敬愛を感じたよ。もう少し共感できるような強さをもてたら再読

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    2012年03月03日
  • 季節のない街

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    貧民街に住む個性的な人達の日常生活を描いた作品。

    貧しさゆえ常にありのままをさらけ出して生きる人達の姿は悪く言えば下品かもしれないですが、虚飾だらけの現代人には羨望を覚えるところもあります。

    人物は個性的で面白いのですが、可笑しさの中にもどこかに哀しみがあり、その妙な現実味がこの作品の不思議な魅力の一部になっていると感じました。

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    2012年02月11日
  • 雨の山吹

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    江戸時代の恋愛を描いた小説。
    現代の小説でいうと、2人をさえぎるのは病気であったり、死であったりするけれど、
    江戸時代は身分違いや格式だったりする。

    時代で恋愛も変わるもんだね。

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    2012年02月08日
  • 花も刀も

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    花も刀も

    山本周五郎の初期から後期までの幅広いジャンルの短編集。ちょっとおかしいのからシリアスなのものまで、時代劇も現代物も合わせて。

    三部大作を読み終えたあとでは短編ではやはり物足りない感があるのは事実だがそれでも読み応えはある。

    タイトルにもなっている花も刀もは剣術に生きる主人公が剣の道、人との付き合い、食べていく方法で大いに葛藤する姿を書いている。誰も間違ってはいないが信念が受け入れられない主人公の歯痒さをつい自分の経験に当てはめて読んでしまう作品だ。

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    2015年05月12日
  • ちいさこべ

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    「ちいさこべ」は舞台を見ていたので読みやすかった。「花筵」と「ちくしょう谷」はどちらも興味深い。「へちまの木」は面白くなかったなー。

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    2012年02月01日