山本周五郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ11篇からなる短編集。
「おもかげ抄」
周囲から甘次郎と呼ばれるほどに女房に甘い鎌田孫次郎は、腕も確かで武士を助けたことで仕官の道が開ける。しかし孫次郎の妻は、本当は既に亡くなっていて…。
「三年目」
大工の友吉は博打から足を洗うために、許婚のお菊を信頼できる友、角太郎に預けて上方に旅立った。しかし戻ってみるとふたりは夫婦となっており、怒りに駆られた友吉はふたりの住処を捜し当て…。誤解が解けてよかった!
「風流化物屋敷」
おおらかな性格の武士、御座平之助が化物屋敷と名高い屋敷に越してくる。日々、物音がしたり化物が脅かしてくるが平之助は平気の平左、ちっとも動じない。賭場として使いたいがため -
Posted by ブクログ
頭の天辺から指の先まで神経が通っているような、完璧な世界感。武家女性たちが生み出す張り詰めた空気と凛然さが、行間からひしひしと。古代日本女性は美しいです。が、今の私には眩しすぎて。。こんなに強くなれないよ。。緩みきって、漫然と日々を過ごしていると、緊張感でバリアされた作品世界に、入りこむこともできないのです。遠くから傍観、眺めるばかり。完全に読み手側の問題。我が身の未熟さを痛感し、縮こまった一冊。肩身が狭くなったけど、背筋は伸びた。文壇の重鎮の作品はやっぱり奥が深いです。婦道っていうからお説教されるかと思いきや、山本周五郎の女性への深い敬愛を感じたよ。もう少し共感できるような強さをもてたら再読